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金属を取り扱います


ひと騒動あってからしばらく経ってしまった。

別に何がどうってことでもない。

集落は順調にっていうか目を離した隙きに進みすぎる傾向に有る。


その際立つ、さきっちょのスキクは、

今も僕のお腹の上で小さく寝息を立てているわけだけどね。


可愛いんだよなぁ。

なんでこんなに可愛く見えるんだろう?

不思議。


もう少し寝かせてあげようか。


それにしても、

ずーっと気にしてなかったけど、

精霊さんは何処をほっつき歩いてるんだろうね?

突然姿を見せなく成ったんだよね。


まぁ、ウザイのが居ない分だけ楽だ。

ほっとこう。


僕も一眠りした後、

起きて、ウウダギと一緒に体操する。

その後ウウダギはすぐに自分の仕事へとでかけていく。

僕は、午前中は大体、子供たちを相手に訓練まがいな事をしている。


子供たちには、太極拳をそのまま教えている状態で、

武器なんかの使い方はまだ教えていない。

体が出来上がっているわけでもないしね。


ヴァレヴァレから来た連中は、子供の方が多いんだけど、

少ない大人連中はほぼ全てが仕事を見つけることに成功した。


例のピィピィという体は大人だけど、中身が子供なスキクは、

子供連中に混じってしまっている。


ヴァレヴァレの集落では爪弾きされていたようだけど、

この集落では、子供たちの対応と言うか接触が変わったようで、

多分大人たちの影響が少ないからだろうけど、

馴染んでいる。


ただ、やはり難しいことは出来ない様子だ。


ブルググにも前もって聞いてみたんだ。

ヴァイヴァの中身がないわけで、それを操作していたのが旅の途中ではブルググだろう?と、

すると、ブルググは確かにそうだと言い、

もともと、ヴァイヴァはピィピィが幼い内に既に死んだそうだ。

この死んだの意味が、少し違うんだけど、

僕の言う肉体の死ではなく魂の方が天に召されたというわけだね。


まぁ、なんのこっちゃわからないけど、

どうやら、ピィピィが危険な状態に成った時に身代わりでヴァイヴァが助けたようだ。

でも、後遺症的なのが残ってしまったのが現状で、

それ以来、中身の成長が見られなく成ったのがピィピィだ。


そんで、心を失ったヴァイヴァをそれ以降、操っていたのが、族長の側近の一匹らしい。

まぁ、雌の一匹らしいけど、ヴァイヴァは雄だ。

どうやってるのかわからない。


深くは考えないことにした。


何はともあれ、ピィピィはウウダギが持ち合わせていない子供らしい心を持っているので、

なんとなく羨ましく思うけど、ウウダギはウウダギでかわいいからいいかなぁ。


結果的には子供の一匹てことで処理することと成る。


子供の扱いに付いても色々と族長やエネルル、ブルググやズズナド様々なスキクと相談した。

というのも親が居ない子供ばかりなんだ。

当初はギュギュパニが一手に引き受けていたようだけど、

結局ヴァレヴァレでオルガがやっていたのと同じことに成る。

それでは、状況が変わらないと僕が進言。

ついでに前世で知り得た話しで、コミューンというのがあった。

まぁ、戦争孤児や親に捨てられたとかいろんなことで親が居ないという子供を、

纏めて育てるという共同体の話だ。


孤児院と違うのは共同体だという点で、まぁ、

見方を変えれば国や地域が管理するとても大きな孤児院だとも言えなくない。

学校も完備だという話だ。


コミューンの中では基本後見人が付き、

親代わりをすると成るけど、結局は、子供たちで共同生活をするという面も有ったらしい。

要は、子供たちを集団で社会に出せるくらいまで育てましょうという制度なわけだね。


なんのこっちゃない。

僕はそれをそのまま言ったわけだ。

誰が親代わりでも有るし、誰の子でもない。

どっちでも良いだろうという話だという事だ。


もちろんこれは親が居ないスキクに対しての話で、

親がいる場合は親元で暮せばいい。


まぁ、あとで選別するけどね。

親が親としての働きをしてなければ、

正直、救われないウウダギが出来てしまうわけだ。

ただでさえ、子供を非常食くらいにしか思っっていない連中もいると言うんだ。

そういう所だよね?スキクの低俗なところって。


まぁ、いいや。

この集落ではそんなことさせないようにするつもりだしね。


この話は結局、ギュギュパニが主体で行う事に成ったんだ。

元と変わらないんだけど、意味合いが違う。

だから、学業やそういう事も半強制で行うという取り決めになったし、

食べ物もしっかり摂らせていくという話に成った。


まぁ、ザーザースの社会構成の中で一番のネックっていうか、

問題が起こる部分は、殆どが食べ物が少なく、

生きていけないという点に尽きるんだ。


その点が解決するこの集落では、

より優秀なスキクを生み出すという動きに変わる。

ヴァレヴァレでは、生きる事が辛い状況だったからね。

まぁ、此の集落は食べ物に困らなく成ったわけだからすごいよね。


色々、考えてしまうのが僕の悪い癖だ。


「ポンピカ?何考えてるんだい?」

「ん?あー。最近特にこの集落は発展しちゃっててすごいなぁってさ」


「ああ、たしかにねぇ。だけど、今はそんな事考えるより、マガの加工ってやつを教えなよ」

「ああ、そうだったね。 どの金属を使おうかなぁ・・・。一番多いのは、やっぱり鉄類だね?銅も有るけど・・・。銅は鍋とか作るといいかもね。他には・・・この少ないけど銀類は、装飾品に向いてるんだ。加工しやすいよ」


「そういう事を聞いてるんじゃないんだよ。具体的にどうやって物を作るのか聞いてるんだ」

「うーん。僕も前の世で、親の親から少し教わった程度だから正確じゃないけど、取り敢えず高温の炉がまた必要に成るんだよ」


「ロってのは、あれだろ?コークスを温めて、風を送るやつだろ?」

「そうそう」


「それなら、滝の近くにウウダギが考えた建物の中に有るはずだ」

「・・・ウウダギそんなのも作る指示だしてたの?」


「なんだか、しきりにマガの調子はどうだと聞いてくるからその都度話してやったんだよ」

「なるほど、じゃぁ、問題無さそうだなぁ」


「じゃぁ、そこに行けば出来るってことかい?」

「多分ね。正直、製材所の周りの建物群を把握してないんだよ。なんでいきなりあそこに立ち並んだんだろ?」


「・・・それもウウダギが絡んでるねぇ。なんせ、今この集落で絡んでないことの方が少ないはずだよ」

「・・・ウウダギ様様だなぁ」


「まぁ、それは良いだろう?それよりどのマガを使うんだい?」

「此の中で、一番溶ける温度が低いのはどれか分かる?」


「溶ける?温めてかい?」

「そう」


「そりゃ、このマガだよ」

「マガマガいってちゃ、区別つかないだろ?ちゃんと言わなきゃ・・・。やっぱり銅か」


「ドウって種類なんだね?これはどのマガとも違う味がするんだよ。なかなか面白い」

「味で区別するのどうかと思うけど・・・。まぁいいや、 それを幾つか持ってきて欲しい意外に重いから僕じゃ運べないんだ」


「構わないよ。 掘らそこのあんた。そのドウってマガを抱えてきな」


ギュギュパニの指示で、

余り面識のない一匹の年老いた雄が両手に銅のインゴットを抱えて歩いてくる。


正直年寄りより僕の方が力がないって問題じゃないか?


ギュギュパニの案内で滝の側に有る建物群の一軒に入る。

全く使われていないけど出来たてで、木のいい匂いがする。


中はそれ程大きくない。

10畳もないかな?

完全な豆腐なつくりだけど、

入り口の反対側の隅が石造りになっていて、

そこにどうやら外から引っ張ってきた推力の動力で作られる、

エアーポンプのようなものが繋がっている様子。


多分、コンプレッサーだろう。

火力を高める用のやつだね。


ってかあの筒は風が入ってきて、

炉の中に送り込まれるんだね。

調節まで効くようなコックまでついてる。


すごくないか?木製のコックって・・・聞いたことないんだけど?


早速無言だけど、使い勝手を試したい。

なんだか前世を思い出してしまう。

ウウダギはいい仕事してるなぁ。

ちょっと先を行き過ぎてる気がするけどね。


「早速、火をつける」

「ああ、構わないよ。あたしゃ見てるだけだからね」


そういって、床にドカッと座り腕組みをするギュギュパニ。

こういう所、雌って言うより完全に漢だよなぁ。


木に火を付け、

それを使って木炭に火を付け、

木炭が赤々としてきたら、

コークスがつまれた炉へと木炭を入れる。


そんで、コックを回すと、ひねる度合いでエアーがでる。

コックのひねりを調節してしばらく待つ。


待つ間に、部屋の中央にある土間ににつまれている砂を、

木枠へと嵌めていき、埋まっている砂に少しくぼみを付けたり、

スプーンやフォークの様な形の平面を描いていく。

深さは大体3ミリから5ミリかな。


次第にコークスに点火していき、

次にエアーでより赤く輝き始める。


ある程度温めたので、

石でできた鍋を火に掛ける。


「この石鍋の中に銅を入れるよ」


ギュギュパニは無言で首をしゃくりあげるだけだ。

まぁいいや。


銅を入れた石鍋の底は真っ赤に成っているし、

中に入れた銅も次第に赤く、形は残しているけど、

切り口と言うか、角が心なしか丸く成り始めてきた。


石の蓋が用意してあるのもすごく気が利いている。

この蓋を更に石鍋の上へと掛ける。

そして、鍋蓋の上が平面であることがポイントだ。

上に炉の中から石でできた持ち手が木製のトングで、

コークスを鍋蓋の上へと置いていく。


上と下から熱を与えれば、

ほら、時間をかけずに鍋がまっかっか。


「しばらく待つと思うけど?その間どうする?」

「何を作ってるのか聞かされてないからねぇ・・・取り敢えずポンピカは何をしたいんだい?」


「ほら、鋳造だよ鋳造」

「チュウゾウって・・・あれかい?セッカイとかで形作ったりするアレかい?」


「それそれ、今は石灰じゃなくて、銅を使うんだ」

「・・・なるほど・・・チュウゾウねぇ。 その口ぶりだと他にもやり方が有るんだね?」


「一応ね?鍛金とか有るけど・・・。加工って言えば彫金も良いかもね?」

「タンキンとチョウキンねぇ。 そのやり方は分かるのかい?」


「一通り分かるよ」

「じゃぁ、基礎はあたしがしっかり学んでおくよ。後で弟子達にも教えて行くからねぇ」


「うん。そうして欲しい」


そういう話しの流れで、

結局、鋳造を行い。


スプーンやフォークの板が出来たので、

金床ならぬ石床で、石のハンマーを使って、

鍛金を行い、丸みや曲がりを作り、フォークとスプーンを完成させる。


銅もそうだけど、

金属の殆どが、一度鍛金をすると、硬く成る。

硬く成りすぎると、元が柔らかい銅でも砕けたりするんだ。

まぁ、大半が破れてしまう感じに成るんだけどね。


そうならないように、”なます”と言う行為をするんだ。

なますっていうのは、また火にかけて温めて、やると柔らかくなるっていうやつだ。

金属によって冷える温度が違うとじいちゃんが言ってたっけなぁ?


鉄や銀、銅では扱い方が全く違うらしい。

後でよく考えなきゃいけないな。


取り敢えず、鋳造から鍛金は行ったので、

その成果物ギュギュパニに渡す。


「これっぽっち作るのに随分と時間がかかるんだねぇ?ベベビドならすぐに作り終えるだろう?」

「僕とベベビドを一緒にしないでくれよ。流石にベベビドの作る速度は可笑しい」


「ふぅーん。そんなもんかねぇ?それより随分辺んあ色合いだねぇ?斑模様っていうのかい?」

「あー。いや、これはこれから磨くんだよ。研磨ってやつだ。ギュギュパニは得意だろ?研磨」


「クグナ作ったりする時のアレかい?」

「そう。それ渡すから綺麗にしてきてみな。僕はしばらくここで色々作って見るからさ」


「ほう。わかったよ。少しまってな」


ギュギュパニが建物をでていった。

さて、僕は色々合金を作って、青銅辺りを作れれば良いなぁ。



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