エネルルと真相
今、教習の合宿に来てるんですけど、
打ちなれていないノートを使っているので、
執筆がはかどっていません。
卒験が一発合格なら20日あたりで正常にもどるはずだけど・・・。
自信ないですねぇw
「さて、聞いてたと思うけど・・・。エネルルの話を聞きます」
「・・・ブルググが今話した事は事実だ。私が何かを言える立場には無い・・・」
いやさ?
そんな立場とかさ?
今もうヴァレヴァレの呪縛から離れてるんだからどうでもよくないか?
「じゃぁ、なんでさっきは言い合いになったんだ?」
「一つ言えるとすれば、私は拒否できなかったのだ。ほかのスキクが早々に拒否をしたためだ」
あー。
順番で損したみたいなやつ?
でも拒否はできるよね?
別にここで聞いてるのは、
拒否したかしないかではないんだけどね?
「まぁ、言わんとするところはわかる。それに多分ブルググはわかってるだろうけど、おそらく納得できないんだ。エネルルがヴァレヴァレの圧におびえるうえで、拒否ができなかった事をね」
「!・・・。どうして・・・わずかな間で・・・」
「まぁ、成り行き聞いてればわかるよね?ってかわからないほうがどうかしてるけどね」
「・・・私には同じ卵から生まれた体の弱いもう一匹がいるのだが、ヴァレヴァレは事あるごとに、エナルルを養い、育てる事を盾に・・・従わざる負えないのだ・・・そのエナルルも去年・・・」
あれ?
鬱なルートに入ったか?
あまり触っちゃダメなとこに触れた気がする。
話を戻すか。
「あ・・・まぁ、気の毒だったね・・・とりあえずブルググはそれも知ってるってことだよね?」
と言って、ブルググを見ると、
ブルググが目をまん丸にして、キョトンとしちゃってる。
・・・知らなかったのかぁ。
「まぁ、それならブルググも納得するよね?早めに事情話したらこうならなかったんじゃない?気のせいかな?」
「・・・言えるわけないだろ・・・エナルルは体が弱い。私がエナルルの力をほとんど卵の中で奪ってしまったんだ・・・。後悔しかない」
鬱ルートから離れてくれない。
「・・・そのビススはどうなったの?」
「ビススは・・・。信じてもらえないだろう・・・」
なるほど、わかった。
そのパターンは言っても信じてもらえないから言わなかった結果、
ドツボにはまったってやつだ。
この際だから全部吐き出せばいいじゃんね?
「エネルル。何事も言葉で伝え始めないと相手との距離は縮まることはないんだ。ヴァレヴァレはここに居ないしね。どうせなら全部吐き出したらどうだい?」
「・・・そうだな。わかった。 ブルググ本当に済まない事をした。ビススは・・・ビススは私をかばってヴァヴォアの餌食になったのだ・・・。当時、私は、幼すぎた。まだ体も出来上がらぬうちに親から無理な訓練を受けた。結果、周りのスキクよりも力がなかった・・・。そのうえで、エナルルを盾にされ、ビススを追うことになったのだが、森の中は力のない子供がそう簡単に超えられるほど生易しくなかった。ビススはそれを見て、追われる立場だというのに倒れ、弱った私を介抱してくれたのだ・・・」
・・・いい話じゃん・・・なんで黙ってたの?
いい話じゃん?
泣けるよ?
泣かないけど・・・。
「エネルル・・・。それは本当か?ではなぜビススの・・・なぜ話してくれなかった!・・・なぜだ・・・」
ブルググって、意外と感情豊かなんだろうなぁ。
「ビススとの約束だ、何も言わないという・・・。ブルググ。ビススは幼い私がヴァレヴァレの玩具として扱われている様をみて、常日頃から不憫に思っていたようだ・・・。ビススだけなのだ・・・ビススだけ族長であるヴァレヴァレへ直に私への仕打ちをやめるように話したのは・・・私にとっても恩を仇で返すわけにはいかないのだ・・・」
「・・・しかし、なぜビススがエネルルを?・・・私に相談もなかった・・・なぜだ?なぜ・・・」
「・・・」
あー。
そーゆーこと?
読めてきたなぁ・・・そりゃ、人間である僕からするとわかるけど、
そりゃつらいわなぁ。
ビススってのはもしかしたらよほど勘が鋭かったか何かだったんだろう。
でなきゃわかりようもないだろうになぁ。
「エネルル。頼む、知っていることを話してくれ!頼む!」
「・・・」
ブルググ?
そんな頼み事したら余計話せないだろう。
まったく・・・助け舟出すかぁ。
「ブルググ。ビススの外見というか特徴言ってみてよ」
「?今、それを話す必要があるのか?それよりもエネルルの知っていることを聞くべきだろ」
「!・・・」
あー。
どーしよー。
エネルルのびっくりしてる顔見たら確定しちゃったじゃんか!
まったく・・・。
ブルググは不器用というか鈍感なのか?
それともスキクっていうか、
ザーザースってのは、そういうことに気をめぐらせないのかな?
やっぱり家族を作らないからかなぁ?
社会性の問題かなぁ?
「エネルルはきずいちゃったみたいだから、回りくどく言わないよ。直球で言うならおそらく、エネルルはビススの産んだ卵から孵ったスキクだよ。だろ?卵はビススでもその種は・・・おそらく族長であるヴァレヴァレだ・・・違うか?」
「・・・なんだ! なんでそこまでわかる!なんだお前は!お前は・・・お前は異常だっ!なんでこの短期間に見てもいない聞いてもいないことを当てる!おかしいだろ!なぜだ!」
「エ・・・エネルル・・・ポンピカの話は・・・本当なのか・・・?」
エネルルが僕に向ける目が痛い。
そりゃそうだろ、
だいたい考えが回ればおのずとわかるだろ?
なんでビススは族長であるヴァレヴァレへ直訴できるんだ?
ビススは、なんでエネルルだけを見るんだ?
そして・・・。
なんでエネルルだけがビススの秘密を知っていて、守ったかだ。
ほぼ確定だろ?
流れはそうだろ。
まったく・・・これだからスキクってのは、簡単で仕方ない。
「ポ!ポンピカ! 知っていたのか?知っていて、私を捕まえたのか!?」
「えっ?どうしてそういう話になるの?僕はあくまでも予測とか憶測を交えて話しているだけで、その話を肯定したのはエネルルやブルググだよ?ちゃんと考えてから話してほしいなぁ」
「そんなことより、なぜ、ビススが産んだと分かった?ポンピカ!」
「ちょっ!二匹とも少し落ち着けよ。そんなこと言ったって、さっき僕がエネルルにカマかけてその結果、エネルルが表情で肯定したからに決まってるだろ?大丈夫か?ヴァレヴァレの集落の、特にお前ら二匹は嘘もつけるんだろ?少しくらい頭働かせてほしいんだけど・・・こんなことくらい、ウチのウウダギだってすぐに気が付くぞ?」
「「・・・」」
まぁ、しかたないかぁ・・・。
取り合えず半間氏をまとめてやるか。
以外に早くトラブルが終わりそうだ。
「取り合えず、ブルググはエネルルを懲らしめるようなことはするな。もしそんなことすると、番のビススがあの世で泣くぞ? それからエネルル。ブルググには、ちゃんと心のうちを話してやれ!出ないとそれこそ恩を仇で返すことになる。ビススは良い雌だったのだろ?しっかりしろ!まとめ役はエネルルが適してるんだ。頑張ってほしい」
「ポンピカ・・・」
「・・・わかった・・・ブルググ。少し二匹だけで話がしたい。ビススの事だ」
ブルググが素直に肯定して、落ち着きを取り戻したように見える。
二匹が森のほうへと並んで歩き去っていった。
ふぅ。
・・・さてっと・・・。
「ねぇ。オルガ?そこにいるんだろ?聞いてたんだよね?ね?ギュギュパニの挙動が不信すぎるよ。もう、丸わかり」
「ッチ。アンタだけは相手にしちゃいけないようだねぇ・・・まったく」
僕の指摘にシシブブとギギリカと族長がびっくりしている。
「で?何が聞きたいんだい?覚えてないことも多いいんだよ。言えないことには目をつぶってくれると助かるんだけどねぇ・・・」
「あー。とりあえずさ?ビススってのは、そもそもオルガ派だったんだろ?」
「アタシ派とか言われてもねぇ。周りのみんなが勝手に盛り上がっただけだからねぇ。だけど、確かにアタシのそばに寄り添った一匹ではあるね」
「ブルググを説得できなかったのか?」
「そりゃ、説得したさ。しないわけないだろう?」
「じゃぁ、ブルググはそれでもヴァレヴァレ派についたってこと?」
「ヴァレヴァレは自分が思ったことをうまく実現する力に長けてるんだよ。まぁ、アンタ程じゃないけどねぇ。しかし、なんだね?アンタも大概にしないと、そのうちウウダギあたりに足元掬われるんじゃないかい?ガハハハハ」
「・・・なるほど。隠し事があるんだね?」
「・・・どうしてそう思ったんだい・・・」
「余計な話をして、話をずらそうとしてるだろ?丸わかりなんだよ。・・・ほんとスキクやザウスはわかりやすいなぁ・・・。これじゃ、僕みたいな人間が絡んできたら手の上でコロッコロに転がされるなぁ・・・まぁ、今はないかっ。で?何を隠してるんだ?」
「はぁ・・・。ほら、やっぱりだめだろう?オルガ・・・ポンピカはこう言うヤツなんだよ。 ったく、なんでこう勘が鋭いんだろうねぇ。まったく」
ギュギュパニがさっきブツブツ言ってたのは、
おそらく僕が話を聞いたらこうなるぞとわかったんじゃないかな?
それをオルガに相談したんだけど、
オルガは、まともに受け取らなかった・・・そんなところだろう。
「・・・で?何の話だったっけねぇ?」
「ビススだよ。ブルググを説得できなくても、なぜビススをヴァレヴァレ派に渡したんだ?」
「ん?そんなの簡単だ。その時はそうするのが争いを起こさない最善だったからだ」
「まぁ、そうか・・・。ビススはいつヴァレヴァレと番になった?」
「・・・番・・・か。 ポンピカ。アンタはザーザースと随分ちがう知識を持ってるのは知ってるけどねぇ。アタシらザーザースは、別に番じゃなくても子孫を残すことがあるんだよ。特に年を重ねすぎた奴らはね。何としてでも子を残そうと必死になるものさ・・・」
ん?
それ・・・って、
強引にってことか?
それは、ダメだろう。
ビススはかわいそうなだけだ。
そういうのは、僕認めるわけにはいかないよ。
「なるほど。それは、ザーザースとしては、普通の事なの?」
「まぁ、強い奴らはそういう事をすると聞いてるけどね。ただ、ヴァレヴァレは腕っぷしはそれほどじゃないんだよ。しいて言うなら族長としてだろう・・・」
ヴァレヴァレの中身が少し見えてきたな。
つまり権力ってものを理解しているんだ。
そこそこの知識があるってことだな。
「ビススって、もしかして始め、ヴァレヴァレ派だったのか?」
「はぁ・・・なんでそう、きずいちまうかねぇ・・・そうだよ。強引に排卵させられたのを機にアタシのほうへ身をよせたんだよ」
なるほど。
「オルガ。ヴァレヴァレは、ブルググにビススと番になるように仕組んだと思う?」
「・・・。 アンタ、本当に怖いヤツだ。 その話をされれば、したんじゃないかと思うねぇ。どんな手を使ったか知らないけどねぇ」
いろいろわかったなぁ。
ヴァレヴァレは、かなり策略がお好きなタイプらしい。
「なるほど。じゃぁ、ヴァレヴァレはビススに執着があったってことかな?」
「どうだろうねぇ?若い時のビススはそれはもう綺麗な鱗をしていたし、体つきは、それほど立派ではなかったけど、雌としては、器量もよかったと思う・・・ヴァレヴァレが飛びつくほどか・・・と聞かれれば、答えは否定するが、何かが気に入っていたのは事実だろう」
ふむふむ。
・・・多分。
ビススは僕と同じで、転生である可能性が高いなぁ。
ビススの中に人間らしさを感じたヴァレヴァレが、
ビススをいたく気に入って、告ったけど番になれなくて、
強引に子供を作ったはいいけど・・・その子供は転生者ではなかったんだろう。
ヴァレヴァレは以外に転生というか人間に執着しているのかもしれないな。
ビススが転生者だった場合。
エネルルを自分とヴァレヴァレの子供だと、
判断できるだけの知識を持ち合わせていただろう。
そうなると、一度は離れたヴァレヴァレの元へと戻るきっかけは・・・。
エネルルとエナルルだ。
まぁ、自分の子供がどうしてどうなったか知らないけど、
同じ集落へと運ばれたわけだしね。
まぁ、その運びもヴァレヴァレが一枚かんでる可能性はあるんだけど・・・。
エネルルやエナルルをかばうために・・・。
人間なら戻るよなぁ・・・。
母性本能は受け継がれるんだろう。
それもヴァレヴァレは熟知してたんだろうなぁ。
厄介この上ないなぁ。
「どうした?話はこれでおわりかい?」
「あー。取り合えずさ?ビススはどう考えても僕と同じ転生者だなぁ」
「テンセイシャ?ってのは・・・元ニンゲンってやつかい?」
「まぁ、そういう事だね。ヴァレヴァレと同郷である可能性が高いなぁ。知識を利用して、僕みたいなことをしていないことから考えておそらく間違いないだろう」
「ふむ・・・。そうなると・・・なるほど、同郷だとわかったからヴァレヴァレが執着したのだな?」
・・・まぁ、そうしとこうか。
「まぁ、そうだね。ついでに言えば、ヴァレヴァレは、転生者同士であれば、転生者が生まれるんじゃないかと思ったんじゃないかな?」
「・・・なるほど。わからなくないねぇ。より強い子を残していくにはそれが良いことだとは思うけどねぇ。スキクには必要ないだろう?」
「オルガ?ヴァレヴァレはスキクじゃないよ。中身は人間だ」
「・・・なるほど。そうか・・・。しかし、なぜビススはブルググに?」
「どこでどう知ったか知らないけど、エネルルと、もう一匹の話を聞きつけたんじゃないかな?そのうえで、まぁ、仕組まれていたとはいえ、ちょうどよく保護を買って出るヤツが現れて、さらに子供に近づけるとなれば・・・人間なら、母親ならその機会を利用するだろうなぁ。これは、憶測だけどね」
「・・・ハハオヤってのは、ザウスで言うマビーのことかい?雌の親の事だろう?」
「ああ、そうか。オルガは経験してたっけ?その認識で間違いないはず」
「しかしわからないねぇ?沢山産み落とす卵の中で選り好みするのがニンゲンかい?」
「あー。人間ってのはね?基本一度に一匹ずつくらいしか産めないんだよ。例外はあるけどね?」
「・・・なるほど」
「だから大切だと思うだろ?オルガだって、折角産んだ卵を全部割られたらショックだろ?」
「・・・そんな事したら、手足がなくなろうと、海の向こうまで追っかけるねぇ」
「そうだろ?そういう気持ちを人間は母性本能とかっていうんだ」
「・・・読めたよ。ビススがテンセイとかで、ニンゲンだから、そのボセイホンノウとかで、子供を取り返しに来た・・・ってことかい?」
「取り返すは、言い過ぎかもしれないけど、まぁその筋で問題ないと思うよ」
「なるほどねぇ。しかし、アンタ本当に・・・よくそんな話を考えつくねぇ?どうなってんだい?その頭」
「僕の頭がどうなってようとどうでもいいだろ?それより、今の話でわかったのは、オルガは一度は保護したビススを手放したんだろ?やっぱりそれが習わしだから?」
「・・・なんかアタシが責められてるようだけど、まぁ、ビススの願いに根負けしたのは事実だね。アタシャあそこまで必死にはなれないからねぇ・・・」
なんか遠い目をし始めちゃってるけど・・・。
流れは読めたからいいや。
ってかその流れだと、
ブルググはかわいそうだなぁ。
ようは都合の良い男ってやつだ。
・・・かわいそう。
そして、エネルルの話から察すれば、
ビススはもう亡くなってるわけだね。
・・・むー。
エネルルとブルググかぁ・・・。
仲良くなってくれるといいなぁ。
「そろそろいいかい?ギュギュの体を使うのも結構疲れるんでね」
「ああ、いいよ。ごめん。ありがとう」
オルガがギュギュパニに主導権を渡す瞬間、
ポロっと、小声で「ビススは願いがかなったわけだねぇ」とか言っていた。
なるほどなぁ。
おそらく、オルガ知ってたなぁ。
まぁ、いいや。
何気に嘘がうまくなってるのはオルガがダントツかもしれない。
いいことが分かった。
さてっと、ブルググとエネルルはちゃんと話ができたかなぁ?
覗きに行くわけにいかないよね?
ダメだよね?
ダメ・・・だよね?
ね?ギギリカ?
行っちゃだめだからね。
取り合えず、ギギリカとシシブブの腕を引っ張って押しとどめました。