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ブルググの言い分

今日は短め


随分の時間、言い合いを続けている。

エネルルは、やれ「私はやってない」とか、「私の意思ではない」とか言う。

ブルググは「あの時ビススが・・・」とか何とか言う。


結局予想しても良くわからない感じの言い合いなんだけど、

大まかに概要を述べるなら、

恐らくこうだろう。


一、エネルるが小さい頃、親に言われてやった事でブルググの嫁さんがひどい目に有った。

二、その時、エネルルは、拒否しなかった。もしくは、出来なかった。

三、ブルググは今まで猫被ってた。恨みは全てヴァレヴァレに有るようだ。


さて、どうしたものかなぁ?

そう言えばキョンシーは最初からキョンシーだったようなことも言ってる。

僕の見立てでは、そうじゃないんだけどなぁ。


意識を奪う方法が有るのかもしれないけど、

それをブルググは使えないだろう。

なぜなら使えれば使っているに違いないからだ。


まぁ、それにブルググはなぜそのタイミングでエネルルを贄にしたんだろう?

手を取り合ってもいいだろう?

しっかり話を聞けば、今みたいな誤解がない可能性のほうが高い。


まぁ、ブルググにしては、嫁さんを直接ではないけど、殺されたようなものなんだろう・・・?

はて?生きてるのか?今現状はどうだかわからないけど、

少なからずブルググが復讐にかられるほどの事が起きたに違いない。


コリャ羽交い締めにしているギギリカもそんなに長く体力が続くものじゃないだろう。

結構やり取りがループしている上に言ったら言い返すという不毛な言い合いをしてるわけだ。


此のままだと絶対決着がつかない。

そして僕の視界の隅っこで、これまたブツブツ言ってるギュギュパニが、

イヤに目に入るんだ。


ありゃ、なんか知ってるのか?


しかしギュギュパニは知らないのは分かる。

そもそも集落が相当離れてるからだ。


そう考えるとギュギュパニが手で触っているあの首飾り。

僕がギュギュパニへと渡した首飾りにブツブツ話しかけている様子に見えなくもない。


さて、どうしたものかなぁ?


「双方、いい加減に言い合いを辞めぬか」


族長がしびれを切らしたようだ。

ナイスだ族長。


ブルググもエネルルも黙る。

だけどまだ、言い足りない様子だ。

そりゃそうだろう。

だって、片や贄にしてやろうと思うほどだ。

ふむ・・・。


ん?

族長がなんかアイコンタクトしてくる。

なんだ?


・・・何とか・・・しろ!・・・。


おいおい。

なんでいつも僕に丸投げなんだろう?

ホント困るんだよ。

こんなの恨みが晴れないと解決しないだろうに・・・。


ギギリカも押さえるのに限界だし、

シシブブはさっきからブツブツいいっぱなしのギュギュパニが気になって仕方ない。

ギュギュパニはこっちすら見てない。


さて・・・。

言うこと聞くしか無いよね?


「あー。取り敢えず二匹とも落ち着こうか。僕らじゃ二匹の事情はわからないんだ。だから個別意話を聞いて解決するか。すれ違いを互いに認め合うしかないよ」

「すれ違いとかではないんですよ!あの雌が私の番を追い詰めたんです!」

「だから!それは私の預かりしれないところだと言っているだろう!」


「そうね。うんうん。そうね。 取り敢えず黙ろうか?少し頭冷やしてくれ。でないと今度は二匹とも禁をつけるよ?」

「・・・」

「・・・」


取り敢えず黙ったので、

話を進めよう。


「取り敢えず、二匹とも離れて、僕と・・・シシブブで二匹の話を聞く。その結果、すれ違っているところや行き違いなんかを纏めるよ。多分、どちらも勘違いしてるように聞こえたからね。互いを認め合う必要が有るんだ。取り敢えずそれで解決を試みよう」

「わかった」

「わかりました」


急に指名されたシシブブが目を丸くしている。

こういうのはギギリカの役目だろうと言いたげだけど、

ギギリカだとエネルルの肩を持ちかねない。

結構サバサバしてるシシブブが居てくれると助かるんだ。


そして、僕はどちらの言い分にも興味がない。

だって、僕に関係ないから・・・。


さて、取り敢えずブルググから聞こうか。

シシブブと並んでブルググの話を聞く。

エネルルはギギリカと一緒に族長の元で待機。

離れて聞こえない体をしてもらってます。


部屋じゃないんだから聞こえちゃうよね・・・。

まぁ、いいか。


「さて、ブルググ。最初から話してくれないか?なぜこんな事に成った?」

「先にも話した通り、エネルルが幼いときに私の番を追い詰めたのが原因です」


「少し端折り過ぎだね。取り敢えず、番さんは?生きてるの?」

「生きては居ないと思います。 と、言うか・・・居なくなってしまったんです」


ふむ。

行方不明か。


「結構、前の話だよね?居なく成ったの」

「そうです」


まぁ、そうなると絶望的かなぁ?

余り掘り下げると良いこと無さそうだ。


「じゃぁ、エネルルを今回贄にしたのは、族長へのあてつけ?」

「・・・怒りしかないんですよ・・・あの集落では」


「なるほど。 ・・・ヴァレヴァレの言いつけどおり、エネルルを贄にする事が、ヴァレヴァレに対する戒めになると考えたの?それって利用されたままだよね?」

「エネルルには捨てられたと言いましたが、厳密には捨てられたのは私です。結局あの場所に居るはずだったのは私だったのですからね」


なるほど!

だけど、色々腑に落ちないなぁ。


エネルル個別に対して、やはり恨みが有るんだろう。

でなければ、今に至ってもエネルルを貶めようとするのは説明つかない。


「エネルル個別に恨みが有るのか?」

「・・・番の件で、確定しました。私の番はオルガ派だったのです。私と番う際に、オルガへ事情を話し、私の元へと来てくれたのですが、ヴァレヴァレはそれさえ良く思っていなかったようです。結果、ビススはヴァレヴァレ派の中で肩身の狭い扱いをされました。私も何とかかばっては見ても、目を離した隙きに怪我をしたりと結構な事が起こりました。流石に私もヴァレヴァレ派に居るつもりも亡くなったのでオルガ派へと身を移そうと考えたのですが、ソレがヴァレヴァレに知られたたのでしょう。ヴァレヴァレの片腕として、強制的に隔離されたのです・・・」


話し長いなぁ。

まぁ、要は番が村八分にされて、

憤っていた所、権力でぐうの音もでなく成ったわけだね?


「続けて」

「更にヴァレヴァレは当時幼かったエネルルを利用して、ビススを戦の心構えという事で、”ドビ”役を押し付けられたのです。 ・・・その結果、エネルルはしきたり通り、戦を終えて帰ってきたわけですから・・・」


話が見えません。

風習とか習慣が関係してるのかな?

そうなるとこの集落と違うことが行われていたわけだね。

そこを知らないとダメそうだ。


「ごめん。その戦の心構えってのは?この集落ではそのような事をしていないからわからないんだけど・・・そのドビとか言う役っていうのは、話からすると追われる者ってことかな?」

「ええ。追われる役・・・結果。狩られる側です。スキクとして扱われない。そして、動物として処理されるんです。通常、罪を犯した者がその役を言い渡され、弱らされた挙げ句に集落の外へと放り出され、それを戦に慣れていない子供に狩らせるのが通例です」


淡々と放すブルググ。

結構、感情を押し殺しているようだ。

ふむ・・・。


結構エグい風習だね?

まぁ、同族を同族で殺し合わせるっていうのは、

それだけハードルが高いって聞いたことが有る。

多分、僕はスキクを殺せる。

ザウスも殺せる。

実際に殺したから分かるけど、

それ程の感傷はなかった。

だけどこれが人間相手であれば、

流石に動揺するだろう。

中身が人間だからなぁ。


同族として考えればそういうことだろう。


「わかった。つまり、エネルルはその戦の心構えの儀式を拒否出来たにもかかわらず、結果狩りを成功させて帰ってきたと? そして、ブルググの番は戻ってこなかった。行方もしれないということだね?」

「はい。強いて言うなら、その心構えを行う時、他のスキクも居たのです。何匹もの小さなスキクが同時に行うんです。ですが、エネルル意外は全てその儀式を拒否しました。・・・拒否出来るのにしなかったんですよ!エネルルは!」ギリリッ!


最後の歯ぎしりは結構感情が篭ってますね。

まぁ、分からなくもない。

分からなくもないけど・・・今の時点で予想するなら、

全てヴァレヴァレの族長の思惑の範疇で転がされたんじゃないかなぁ?


多分、さっきのエネルルの言い分を鑑みると、

その儀式に参加した他の子供はワザと拒否させられたんじゃないか?

そして何も聞かされてないか、もしくは、

言い含められていたエネルルだけ儀式を行わざる負えなかったとか・・・。

まぁ、そんなところだろう。


恐らく、今の予想が正解に近ければ、

今の此の状況もヴァレヴァレが招いた自体だろう。


ふぅ〜。

めんどくさいヤツだなぁ。

ヴァレヴァレの族長ってのはさぁ。


「ブルググ。取り敢えずわかった。ソレがとても耐えられなかったわけだね?そして、どこかでヴァレヴァレに仕返しができればと、気を狙っていたわけだ?そしてエネルルにもってわけだよね?」

「・・・」


「ああ、言わなくてもいいよ。その沈黙で正しいのが分かるから。取り敢えず次はエネルルの言い分を聞こうかな。多分今の流れならちゃんと聞けば解決できるよ」

「わかりました」


ブルググは結構素直だ。

まぁ、好感が持てないわけじゃない。


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