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ブルググを探して。と、新しい料理


エネルルとギギリカを伴い、

ンダンダと行動しているブルググを呼びに移動している。


途中、ウウダギが不思議そうに僕を見ているのを見かけた。

っていうか逆に僕が首を傾げた。


アンキロ二匹を引き連れて、

アンキロが大量のアレはきっとセメントで出来たブロックだろう。

一個が、縦10cm、横20cm、奥行き30cmくらいだろうか?

そんなのを平でかぞれば、一段大体10x10位を一つのパネルに、

10段は乗ってる。

それをアンキロ一匹が4つの板を数珠つなぎで引っ張ってる。

つまり、二匹のアンキロがそれぞれ4台ずつそんなのを運んでるんだけど、

どんだけ力強いんだよ・・・。


あのパネルは多分下に滑車みたいなのがついてるだろう。

そのおかげで、今此の辺りは整地されているのでケルケオもそうだけど、

車輪の付いた物も結構スムーズだ。


まぁ、そう言えば、

埋立地で既に土台まで出来ている10棟の建物がある。


多分、それに使うのだろう事は分かるけど、

あの大きさ、あの量のブロックはウウダギじゃ持てないだろう。

どうやって組み上げるのだろうか?

クレーンはないよ?


不思議。


ちょっと最後まで見ていたかったけど、

後ろからギギリカにツンツンされたので、仕方ない。

ウウダギにまた後で見に行くといって、先を急いだ。


農地に着く。

着いたからと言ってすぐに会えるものでもない。

とんでもない広さに成ってる。

最近広くしすぎるンダンダとその一団に小言を言ったけど、

その後以降来てないんだ。

だって、際限なく広げる癖でもあるのかと思う。

ンダンダは元々だけど、その弟子として一緒に成ってる連中が、

これまた、ンダンダと同じく際限なく広げていくっていう・・・ちょっと怖い事に成ってます。


今、目の前に広がる麦の畑。

麦が採れたのはとても良いことだけど、

広すぎ、だってTVで見た、外国の農地の様なそんな感じだ。

ぶっちゃけ向こうが見えない。

ずっと麦。


この麦どう処理するんだろう?

こんなに沢山だと、消費するまえに腐っちゃうだろう?

考えてるのかな?


ベベビドの所で水車を使った、麦粉作りも無事終わり、

集落では麦粉を使った食べ物をアレヤコレヤと試行錯誤している。

僕はと言えば、お決まりのパンやクレープみたいなものを作ってみたりと、

手本のように成ってたりする。

僕が作ったものをギギリカ筆頭に料理に興味が出ている数匹が、

ひっちゃきになって練習していたりする。


でも、イースト菌とかどうやって作ればいいか知らない僕は、

取り敢えず発酵をしないものでやってるんだ。

まぁ、出来るのは硬いパンばかりだけどね。


一番簡単なのは、卵と麦粉を水で溶いて、

平たい石の上にお玉ですくって広げて、

焼くと出来るクレープみたいな皮に具材を乗せてラップみたいにするやつだ。

これはコレで人気がある。


肉食が進んでいたスキクの文化の中に草食のスキクも実は混じっているらしく、

今まで、嫌だと思いつつも生きるために肉を食べていた連中は、

大半が雑食化した。

肉も食べれば野菜も食べる。


実にバランスが良いと思う。

僕も雑食だけど野菜の方が好き。

色々あるけど食文化の根底である材料を支えているのは、

まぁ、僕が日頃文句を言っている相手、ンダンダの力が大きい。

ってかほぼ野菜や穀物はンダンダの生産だ。

ぶっちゃけ世が世なら食料の独占生産会社と成るわけだからなぁ。

僕一匹がとやかく言えるような地位じゃないだろう。


でも、ここはスキクの世界だ。

なんだかんだ言っても文句を聞き届けてくれるンダンダに救われてる気がする。

まぁ、広げるのは辞めないらしいけどね。


「ねぇ。ブルググ、何処だと思う?」

「あー。ンダンダじゃないとわからないわよ。だって誰が何処で何をしてるか把握してるのンダンダだけらしいわよ」


「それって・・・管理できてるって言えるの?」

「ソンな事あたしに言わないでよ。あたしはパパムイだけで手一杯なんだから」

「パパムイはそんなにギギリカを困らせるのか?」


「別にエネルルが心配するようなことじゃないわよ?普通に頭が足りないだけだから」

「良くそんなスキクと仲良く出来るな?」


「まぁ、いいところは沢山あるからね」

「ふむ。そういうものか」


「・・・納得してるとこ悪いけど、ンダンダ探さない?」

「そうね」

「たしかに」


探さないか?と言ったけど、

どこから探せばいいかわからない。

ってかヤツ等ってケルケオを使って中を移動したりしてたよね?

・・・これってさ?

昼ご飯の時はちゃんと帰ってくるんだから、

その時で良くないか?


ギギリカとエネルルが宛もなく歩き始めた。

あぜ道とか言う感じかな?

畑と畑の間に道が出来ている。

綺麗に生え揃っている麦と麦の間を歩いてるけど、

麦、結構背が高くないか?

やっぱり、成長も早そうだし、何より、粒が大きい。

大麦ってやつか?多分違うと思うけど・・・。

また、米の木みたいに成るのかな?


米の木って言えば、

米を炊くための鍋を作った。

圧力がかけれるように蓋を丈夫な木で作り、

その上に石をおけるようにしたんだ。


まぁ、ぶくぶく言い始めると「蓋を取るな!」って言っても、

気になってしまって取ってしまうのがスキクらしい。


重しを当てれば、それなりに圧力もかかるし、

いい感じに炊きあがる。

おかげで、わりと美味しいご飯がいただけるわけだ。

嬉しい限りです。


そう言えば、一つ歴史的な”罪”を犯した可能性がある。

何かと言えば、米や麦、穀物が収穫出来ると成れば・・・。

僕は前世でまだ学生だったけど、家のお手伝いやらで、

まぁ、申し訳程度に嗜んだわけだ・・・。


当然、その”飲み物”の作り方も知っている。

・・・だって、家のお客さんの中に酒蔵の杜氏が居たんだ。

そりゃ詳しく聞けるだろぅ?

んなわけで、やっちゃったんだ。


麹菌をどうしたのか?

っていう所が気に成る点だけど、

代用品が有ったんだ。


どんなものかと言えば、

集落から少し離れた場所の平原に大きな木が立っている。

その木っていうのが不思議な木で、

実る果実が熟れて落ちるとたちまち辺り一面にお酒臭が立ち込める。

それも甘い匂いで、アルコールがプンプンするほどだ。


そんな実がその木の根本にはゴロゴロ転がっていて、

それを動物達が食べるわけだ。


そうするとそれはもう見事なくらいに瀑食し始める動物たちが眺められる。

そんでもって、サルっぽいのから、例のエルフィもそうだし、

大型の恐竜もそうだし、

とんでもなくデカイありゃ哺乳類だろう象みたいに少し鼻が長いヤツやら、

いろんな動物が食べ終わるとそこでぐで〜っと倒れ込む。


近づくと、目の焦点が合ってないんだ。

明らかに泥酔してるんだよね。

すげーなーと思った。


因みにその実を木に実っている最中に収穫すると、

その皮の部分から糖質をアルコールに分解する菌がいると判断できた。

まぁ、抽出とか道具も知識もないからその皮をそのままお酒の種菌として使うわけだけどね。


うん。

お酒を作る際、

ンダンダの力と、シシブブの協力が欠かせなかった。


まぁ、そんなこんなで、

今、族長を中心にして、お酒を呑み始めているんだ。

どうやら、スキクもお酒は楽しめるらしい。

僕はまぁ・・・程々ってやつかな?


ウウダギや小さいスキクには、

僕から「まだ、早すぎるっ!」と言ってやってるけどね。


そう言えば、パパムイもあの木の根本で転がる動物を持って帰ることがあるらしい。

そんで、その木の観察の時、案の定だ・・・案の定、安定して、パパムイがやらかした。


日頃から見ていたにもかかわらず、

転がってる実を拾って、躊躇なく口に放り込んだんだ。

ビックリしたよ。

「ばっちぃぞっ!」

っていう暇もなかった。


最初何食わぬ顔で、実を収穫してたんだけど、

次第に足元がおぼつかなくなり、

顔が緩み始め、

目の焦点が合わなくなり、

最終的にぶっ倒れた。


動物を捕まえていこうって言った矢先に、荷物が増えたので、

動物を担がないでパパムイを担ぐハメに成ったわけだ。


さすが、パパムイだ。

安定して、ダメなやつだ。

側に居ると楽しくて仕方ない。


・・・あれ、ワザとやってんのかなぁ?

時々不思議なんだよね。

狙ってるとしか思えないんだよね。


「ポンピカ?考え事?」

「ん?ああ、そうだね。 ブルググ見つかった?」

「ポンピカ。お前は探さないのか?」


「あー。さっき思ったんだけど・・・」

「・・・嫌なこと言わないでね?」

「どんな事だ?」


「お昼に皆、戻るんだし・・・わざわざ探さなくて良くないか?」

「・・・」

「・・・ああ、なるほど・・・。なぜ今言った?」


「いや、言い出せなくってさぁ」

「ちょっとぉ・・・。この探してる時間どうすんのよぉ」


「仕方ないだろ?言い出せなかったんだから」

「ふむ。まぁ良い。ギギリカ、広場へ戻ろう。それで事は済む」


「そうだけど・・・。もうちょっと早く言ってほしかったわね」

「だから、仕方ないだろ?言い出せなかったんだ。皆頑張って探してる風だったし」

「まぁ、ポンピカの気持ちも分かる。仕方ないだろう。何はともあれ、広場に戻ろう、ギギリカ」


「わかったわよぉ」


そんなこんなで、三匹揃って、広場へ戻る。

結構時間が潰れた。

昼時はもうすぐだ。


そして、少しのやり取りでわかったエネルルの漢っぷり、

雌だけど、かなり漢だ。

多分、他の雌連中にモテるんじゃないかなぁ?

頼りになるなぁ。


「なんじゃ?戻ってきたのか?ブルググは見つかったか?」

「それがさー。畑が広いでしょ?だから見つからないのよ」


「ふむ。では、昼まで待てばよかろう?どのみちここに戻ってくる」

「・・・」


「ギギリカ。どうしたのじゃ?」

「・・・やっぱり親子だわ」


「む?」


まぁ。

そうだね。

一応親子だしね。

族長だって、なかなか頭がよろしい方ですからぁ?

そういう答えに成るよね。


ギギリカは御冠だけど、もう結構な時間だ。

今日はこの三匹で昼ご飯を用意しよう。


何気に、料理に興味があるエネルル。

エネルルは多分スペックがギギリカより高い。

だけど、今までの教育の拙さのせいで、

その力が発揮できていないんだと思う。


なぜ、そう言えるかと言えば、

エネルルの話す内容や物事の捉え方や様々な細かい所をチェックしてみると、

この集落で新しく取り入れる事で代用が効いてしまう事が多い。

そして、その新しく取り入れたという事をすぐさま使えてしまったり認識できちゃったりする。

つまる所、頭の中では教えてもらった事が全てだったけど、不満が有って、

こっちに来たらソレが解消して、スムーズに事が運ぶってことだ。

多分、エネルルにとって、ヴァレヴァレはストレスを受ける環境だったのかもしれない。


なんでだろうね?


そんな考えそしながら、

ご飯の支度をしている。

途中でパパムイが牛位大きい哺乳類を狩りで仕留めたらしく、

弟子達と運び込んできた。


すぐさま解体が始まり、

この一ヶ月つきっきりで色々と狩りの訓練を施して、

更に解体の練習まで毎日行っていたためか、

非常にスムーズな解体だ。

手を抜いているわけでもない。


血抜きはもうすませてあるらしく、

あっという間に皮が剥がされ、塩水に付け込まれていく。

そして、すぐに部位ごとに分けられていき、

肉が切り分けられて、

最終的には骨に肉片が着いていないっていう状態で、終わった。


実に器用なさばき方だとおもう。

前世のマグロの解体ショーなんかもみたけど、

ここまで、手際が良いと見劣りしないなぁ。


「ポンピカ。この肉コレから食べれないか?」


パパムイの無茶振りはいつもの事だ。


「良いけど、どんなのが食べたい?」

「う〜ん・・・。新しいのが良い。折れが知らないようなやつで頼むぜ」


すげーむちゃだぞ。

・・・わかった。やってみよう。


「何作るの?ポンピカ」

「ふむ。私も興味がある」


二匹とも僕の側で僕の作業を覗くようだ。

さて、香辛料がある程度揃っている。

唐辛子みたいなものや、

コリアンダーみたいなもの、

他にもナツメグみたいなものや・・・。

全部みたいなものだけど、

まぁ味と言うかスパイスとしては、

ソレでいいと思う。


塩もあるし、お酒もまぁ、ある。


よし、なんか中華ふうな物をラップに包んで食べようか?

それとも飲茶にするか?

蒸し器は前作ったのがある。


竹が近くで採れてよかった。

竹は使いみちが多い。

非常に優秀な植物だよね。


さて、石の鍋に捌いたばかりの動物の脂身から油を作る。

今は昼食のためだから大量には作らないで良い。


油がでてきたら、ツボに移して、

ニンニクみたいな植物をみじん切りにして、

油の残った鍋にっ放り込む。

シュワーっと少し良い音がする。


続いて、パパムイに手伝わせて、

食べたい部分をミンチにしてもらった物を

ニンニクが揚がり始めた所に投入。


続いて調味料は大体小さなツボに用意されているので、

そこから味付け様に香辛料と塩を振りまく。


赤く、辛そうな状態になってきたミンチ。

続いて、お酒を少し鍋肌に振りまいてミンチに匂いを付けてやる。


そして、全体が良い匂いになってきたら、

引き上げて、大きな皿に待機させよう。


続いて、エネルルに米粉と麦粉をブレンドした物に水を入れて、

それを平たい石の上で伸ばしてもらう。

具材を巻く為の皮を作ってもらっている。


ギギリカには、別の鍋で、トマトもどきを煮詰めてもらっていた。

トマトもどきは、トマトと違う。

赤い実で、トマトほど水気がない。

なので、すぐに煮詰めるのが終わる。


味も酸味がトマトより強く、旨味が強い。

そして風味はトマトそのものだ。

ケチャップとか作れるかもしれない。


まぁそれは後でにしよう。


ギギリカが用意してくれた、トマトのペーストにさっき作った炒めミンチを投入。

赤く出来上がるミンチがいい匂いでスパイシー!

これで、取り敢えずメインの具は出来た。

おいしそう。


続いて、付け合せと言うか一緒に包む用の野菜類を洗って、

綺麗なところだけ、切って大量に種類ごとに積んでおく。


そして、極めつけ。

大きめの深い皿にさっきのトマトもどきを乱切りにして、

それにレモンもどきの汁やスパイス。

特に唐辛子を粉にしてあるので、それを大量に入れて、

塩で味付けをする。

胡椒もどきも挽いてあるのでそれも打ち込んでやった。


それで、やっと出来上がりかな?

あとは、バナナもどきやパイナップルもどき、リンゴもどきや、

果物を切った物を別ザラに盛り付ける。


これで100匹の分で出来上がる。

まぁ、大量なんだよね。


これをギギリカは一匹で作り上げるときもあるわけだ。

ご苦労さまです。

苦労がすごいなぁ。

パパムイはちゃんとギギリカをねぎらってるのか?

ホント、微妙だよね。


「なんだこれ?」

「ん?いい匂いでしょ」


「ああ。面白いヤツの匂いがする」

「面白いねぇ・・・そうか、パパムイは面白いとか言うんだったね」


「なんだ?変なこというな?」

「いや、どうだろうね?僕が変なのか・・・まぁいいや。それより、できたての内に食べな。食べ方は分かるでしょ?ラップ作った時みたいなやつだよ。一応、タコスっていう食べ物だよ」


「へー。そうか。じゃぁ、もう良い時間だし食わせてもらうぞ」


そういって、エネルルが焼いた皮を一枚取って、それに色々てんこ盛りで詰め込んだかと思うと、

はみ出るのも気にしないで巻いて、口に放り込んだ。


「!・・・!・・・。うめぇ!おもしれぇ! うめぇ!あちぃ! おもしれぇ!」


語彙力がだんだん退化してる気がするなぁ・・・パパムイって。


「あら・・・これは、美味しいわね?すごく良いと思う。クダモノも合わせて包んでもあたしは好きよ」

「ふむ・・・。自分好みに調整出来るのか。素晴らしい・・・しかしどうやってこんな物を考えつくんだろうな?やはり元スキクではないとこうも違うものか・・・。それにしても旨い」


ギギリカやエネルルも旨いって言ってる。

面白がってるのは、パパムイだけっぽい。

まぁ、面白いっていうのが僕はよくわからないけどね。

なんでスキクって唐辛子を食べると、面白いとか言うんだ?

僕はそう思わないのにさぁ。


次第に皆が集まり、

ウウダギも僕の膝の上で食べる。

にっこりしてる。

そして面白がってる。

楽しいそうだ・・・確かウウダギも面白いとか言うんだよね。


さて、ンダンダの班も戻ってきて、

ブルググも確認できた。

後で禁を解いてやろう。



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