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無難な日常か?と、ブルググをどうするのか?


弟子候補もとい、

小さいスキク集団筋肉痛事件から少し経つ。


そもそも、小さいスキクにはキツイ修練だった。

だったけど、今じゃデデンゴ筆頭に頑張っちゃってる。

さすがスキク。

筋肉がつく速度も半端ではない。

多分この集落限定だけどね。


と言うか、第一のプンタの恩恵ってのがとんでもなくデカイ。

半端ない。


第一プンタはそんなに詳しくは言っていないが、

恩恵とは単に成長が早いとかそんなレベルの話ではないらしい。

と言うか多分、旧き者っていうのが取り扱ってるであろう技術をプンタも使えるんだ。

まぁ、全部ではないだろう。

この恩恵は非常に破格な効果が出ている。


どんな効果?

簡単に言えば時間操作だ・・・多分。

SFじゃねぇの?とか思うような事をやっている。

ぶっちゃけ”気”とかそんな話じゃない。


時間操作は流石にやり過ぎだと思うけど・・・。

それも制限有りなんだろう。

生き物に関してなんだと思う。


だから、スキクが元気だったり、

作物が成長早かったり、

獲物が絶えず獲れまくるとか、

そんな事が起こってるわけだ。


集落の生き物、集落の周りの生き物。

なんであれ周辺の生き物は全て対象なんだろう。

微生物から始まって、草木もそうだし、虫、小動物、

そしてケルケオみたいなものや、僕等だ。


もう手当たりしだいに変化が起こっている。

その変化というのも時間に関係する事が多い。

例えばさっきも言ったけど実りが早い。

とんでもなく早い。


それに、小さいケルケオ達の成長も早い。

シシブブなんか首をかしげる様をよく見かける。

当然アンキロも成長がはやい。

ぶっちゃけ今の大きさに成るのに3〜4年はかかるとかなんとか?

シシブブの知識だからほぼ合っているはず。

にしても早い。


生き物が早熟すると不安な点が出てきてしまう。

例えば成長に伴い頭がついて行かないのでは?

学ぶ、遊ぶ等のチャンスがバランスを崩すのでは?

そんな事が僕の頭をよぎる。


でも不思議と、問題は無さそうだ。

成長はこの集落に後から来た連中にも言えることだ。

成長が早ければ死期も早いとおもうけど、

最年長の族長は以前よりピンピンしてる。

あまり当てにならない。


まぁ、この一ヶ月いろんな事が起きたような気もするけど、

今と成っては、それなりかなぁ?

と言うか既にヴァレヴァレの連中は馴染んでるし、

子供たちは、ウウダギを筆頭に数匹を除き、僕より大きく成長している。

体つきも僕よりたくましい。

若干普通のスキクより大きく思える。


ただ、近頃の筋トレから次の段階にシフトして、

格闘の基本を学び始めている子供達。

既に僕は先生扱いされてる。


ウウダギはソレが少し気に入らない様子。

だけど、自分のやらなきゃいけないことが多すぎて、

僕にかまってもらおうとはしていない。

だから、夜寝る前は、お話したり、かまってやったりしている。

そうすると気分が落ち着くみたいだ。


ギュギュパニの鉄作りの作業は順調に進んでいる。

一回目こそ失敗したけど、2回目と3回目はかなりの出来だった。

炭素の調整も学び始めているようで、

一回目は炭素が多すぎて硬鉄とか鉄滓スラッグとかノロと言われるものが殆どだったけど、

現在は、鋼としてのものが取り出せる様に成っている。

純粋な鉄を取り出す技術も確立し始めている。


コークスのおかげで、溶解まで温度が到達するため、

鍛金の工程が半ばすっ飛ばしてもやれるのが大きいかな?


でも、一回目の硬鉄が出来た時のギュギュパニの顔は凄かった。

目がまん丸になって、

鳩かと思うように「ポ、ポ、ポ・・・」って僕の名前を言うことしか出来ない始末だったなぁ。

笑ったよ。


二回目の時は、結構慎重にやったみたいで、

コークス量や鉄鉱石の選抜なんかも目の色変えてやっていた。

まぁ、弟子と成るようなスキクも既に出ている。


バルバルやベネネズはどうかと言うと、

彼らはなぜか、採掘場に入り浸るように成っていた。

というのも、ギュギュパニが採掘場に顔を出さないからだと思う。

流石にこんだけ鉄鉱石のストックが有るにしても使い続ければ、

やがては底をつく。

それを鑑みたんだろう。


第一プンタの恩恵はここでも発揮されている。

変化が著しいのがベネネズやバルバルかもしれない。

もう既にザウスと見分けがつかないほど大きく成長している。

筋肉もすごい。

絶対、力だけではかなわないなぁ。


三回目にも成れば、コークスを選び、量を整え、

鉄鉱石を粉にまで挽き、水へと溶かしたかと思えば、

比重の重い底に貯まる鉄を精製するまでになった。

もう砂鉄を作ってるのが分かる。


鉄鉱石を挽くとき粉々にするのは、ギュギュパニ筆頭、輩のパワーだけど、

最終的には水車の力を借りた。

まぁ、臼で挽いたわけだ。


更にウウダギの入れ知恵だと思うけど、

体力消費の著しいヴァレヴァレ連中の足踏み作業。

これを水車で代用した。

まぁ、当然の成り行きだなぁ。


僕でもそうするつもりだったわけだしね。

ただ、鉄の製品が出来始めたら蒸気機関を簡易的だけど作り出そうと、思ってたんだ。

此の分だと僕が口出さなくても勝手にウウダギが進めてくれそうだ。

面倒事が無くて済む。


なんだかだんだんダメ親になってないか?僕。


ンダンダの農地もヤバイ位広がって僕が何かを言うことができなくなった。

広すぎて、見きれない。

ンダンダは、よくそれを管理しているなぁ。


そして、ブルググだ。

この一ヶ月以上を言葉を使わずに過ごしているにも関わらず、

いつの間にやらンダンダと仲良しだ。

どうやったらそんな関係に成るの?

不思議。


そして、ヴァレヴァレ合流のちょい前から行方がしれない精霊さん。

未だに帰ってこない。

最近少し不安だなぁ。

徘徊し過ぎで戻ってこれなく成ったのかな?

もうボケたか?


さて、僕は今、族長に呼び出されている。

なにかやらかしたか?と思いを巡らせるけど、

やらかしたっぽい事しかないので、考えるのを諦めた。


「ポンピカよ。いい加減ブルググをどうにかしてやらんか?」


何の話かと思ったらブルググの禁を解けって話か・・・。

危害がなきゃ良いけどね。


「危害がない保証ないよ?」

「もう既にこの集落に慣れたと思うがな?どうだ?」


「ンダンダとは仲が良いみたいだね」

「そうじゃが色々とこの集落のために手を動かしておるのをよく見かける」


「なるほど・・・。まぁ族長がいいなら禁を解くけど、責任はとれないからね?」


此の場には僕と族長の他、

何故かエネルルとギギリカが居る。

ギギリカは分かる。

けどエネルルは?どうしてだ?


そう言えば此の一ヶ月エネルルを余り見かけない。

何をしてたんだろう?


「ポンピカ。私からも願う。ヤツの話しを聞かなければ私も落ち着かない」

「エネルルは、裏切られたんだっけ?」


「・・・そうだ。なんと言うか、そう的確に心をえぐる言い方は好きではない」

「でも裏切られたんだよね?」


「ぐっ・・・」

「ポンピカ。あまりエネルルを責めないでよ」

「なんでギギリカが肩もつんだ?」


「エネルルもこの一ヶ月は集落のために色々動いてたのよ?それはもう寝る間も惜しんでね」

「そうなの?」


「っ!ギギリカ・・・。私は・・・」

「良いじゃない!エネルルはがんばったわ」


なんだろう?

雌同士の友情でも芽生えちゃってるのか?

まぁ、良いけど、どんな事してたんだろう?

集落の溜めって言ってるしぃ・・・。


ギギリカが関わってるのかな?

それともヴァレヴァレ関係かな?

もし、そうだとすると、ヴァレヴァレとのつながりを断つ作業でもしてたのか?


それだったら話が早いなぁ。

でも、そうなると、エネルルは一ヶ月以内にヴァレヴァレとこの集落を往復したことに成る。

ケルケオを使っていないのは分かる。

だって大人の三匹は常に集落の中でこき使われてるし、

子供達は未だにシシブブ離れできてない。

体はもう殆ど大人なのになぁ。


なんだろう?

違うことかな?

寝る間も惜しむような事ってこの集落にあったか?

思い当たるのは鉄作りで夜どうし踏み抜くことくらいだ。


なんだろう?


「差し支えなければ、何やってたか教えてよ」

「えっ!?あたしが言うの?」


なんでギギリカが反応するの?

逆にビックリなんだけど・・・。

眼の前にエネルル居るじゃん。

なんだろう?

さいきんギギリカがパパムイ化してないか?


「ギギリカ。構わない」

「いいの?」


「ああ、構わない。 ポンピカ、私はヴァレヴァレから来る間に死んでいった者の埋葬をしていたんだ」


なにそれ?

それ重要なのか?

・・・重要なのか・・・そうか、スキクの仲間意識は人間より強いときも有れば、

かといって、死んだら死んだで食べてしまうくらいだ、

イマイチ埋葬と言うか弔うという精神構造が有るように思えなかったけど、

どうやらヴァレヴァレはそういう事を行っていたんだろう。


ギギリカはそういう事に慣れていないのか。

そうか、埋葬っていう考えがイマイチない。

だって、この集落はミニョルンで死んだ仲間の時は燃やしたけど、

その後は、墓さえ建てなかった。

つまり、宗教観と言うかそういうのが乏しいんだ。


なるほど、

面白い。

そして僕は前世でそういう事を見て聞いていたのに、

スキクになってこの集落に生まれてから、

そういう事に鈍感になっていたかもしれない。


ほう・・・で?

それがなんでブルググと関係が有る?

そこがわからん。


「なるほど、埋葬してたのか・・・スキクにも墓とか弔うという文化が有ったんだね」

「ああ、ヴァレヴァレにはそういう仕来りが有った。そのハカというのはわからないが、死んだものを弔い、後世に残すために石で印を建てる事はしていた」


「ああ、なるほどその印の事を僕は墓っていうんだ」

「そうか・・・。つまりポンピカはヴァレヴァレと同じなのだな?」


んぁ?何だその言い回し・・・。

僕はヴァレヴァレじゃないぞ?

あんな頭の悪い動きはしない。

生産性の欠片もないだろ。


「僕はヴァレヴァレと一緒じゃないだろ?頭やられたのか?」

「ああ、済まない。言い直そう。私の親と同類だと言いたかったんだ」


親?

・・・あー。ヴァレヴァレって、そう言えば族長の名前だっけ?

そんでウチはボロンゴだっけか?

そうか、聞き間違えるものだなぁ・・・面白いけど、

それでも僕がエネルルの親と同じというのも良くわからない。


「同類っていうけど・・・。何をどうしたらそう思うのかな?」

「そうか、それもまだ話していなかったな、簡単に言えば先祖返りや生まれ変わりの事だ」


「?族長は皆そうだろ?僕は族長じゃないぞ?」

「おい!ポンピカよ!それは秘密じゃったろ!」


「なんだよ!この後に及んで、そんな事どうでも良いだろ?大した秘密じゃないんだし、この集落は既に特異点だからもうそんな仕来りは秘匿する必要がないと思うけどね?」

「と?・・・なんだその、ト、トク? それはなんだ?」


「特異点? そりゃ一般では無い事って意味だよ」

「・・・確かにトクイテン・・・か」


「そんなに気になるのかね? で?僕の前世は族長ではないし、スキクとしての一生は初体験だよ」

「話が混乱したようだな・・・。かいつまんで言えば、ヴァレヴァレの族長である私の親もポンピカと同じで、スキク生まれの心を持っていないんだ・・・厳密に言えば、侵略者の心が、呪術に引っかかったと言っていた」


・・・おいおい。

敵さんの魂まで引っ掛けちゃうのか?

旧き者と精霊さんの手で作られたその術と言うか転生の輪廻とかだろうけど、

そのシステムは外から来訪した魂も保有しちゃうのか?


・・・もしかして、

僕も何らかの原因でその網にかかったのか?

それでこうなったのかな?


なかなか興味が尽きない。

エネルル面白いやつだ。


「でも元は侵略者なんだろ?なんで、族長なんかやってるんだ?」

「あー、その点はワシが言おう」


なんか族長がしゃしゃり出た。

一回言ってみたい。

しゃしゃってんじゃねーぞと・・・。ダメかw


「ポンピカよ。前の記憶が有る場合、族長が族長を選ぶのは知っていただろう」

「ああ、そういう話だね」


「稀に一つの集落に族長候補が複数同時に現れる場合が有る」

「それって前世持ちが複数出るってこと?」


「簡単に言えばそうなるな」

「なるほど」


「そして、その中で、より有能な者を選んで族長に据えるのが習わしだ」

「・・・そうか、だから紛れたのか・・・でも族長はヴァレヴァレと因縁が有るって言ってたよね?」


「うむ。昔から殺った、殺られたの仲じゃ。しかし、まさかヤツが侵略者の心の持ち主であったとは・・・流石にワシも驚いておる」

「・・・じゃぁ、その侵略者ってのは昔に入ってきたわけだ・・・僕正直半分信じてなかった」


「ラマナイ様から聞いていないのか?」

「聞いたよ?なんならプンタからも聞いたけど、昔の事だろ?今は関係無いと思ったんだ」


「ふむ。時間か・・・。まぁ話を戻す。恐らくエネルルの話しからすれば、ヴァレヴァレは侵略者の中でも特に心が強い者だったのであろう。心が強ければ、世界に引き寄せられると聞いたことが有る」

「その世界っていうのが、輪廻転生のシステムの事か・・・なるほど、面白いけど、ソンな事して何が楽しいのかな?旧き者ってのは」


「ポンピカ。お前のそういう物言いが特に親に似ているのだ。私達ザーザースは旧き者を崇めている。にもかかわらず、お前達はそれの欠片もない。つまりその点だけを見ても異質だ」


なるほど。

分かるやつには分かっちゃうと言いたいのか?

まぁ、確かにもしヴァレヴァレ族長がそうだとしたら、

旧き者なんぞクソ喰らえ!くらい言ってのけるだろう。


なるほどね。

宗教観ってやつか。


「なるほど、バレちゃうわけか・・・。面白い」

「面白いとかではなくてだな?ポンピカも侵略者の仲間だったのではないかと思うのだ」


「?それについては前にも話さなかった?僕はそもそもこっちの世界の常識や侵略者であろう人間の事はよく知らないし、何より今ここで行われている事を見れば分かるでしょ?明らかにその侵略者の記憶よりずっと進んだ世界の知識だよ」

「なぜ進んだ世界の知識と言える?」


「う〜ん。簡単に言えば、皆が信仰してる旧き者の技術に近いからだよ」

「侵略者が今の時でそれを越えているとは思わないのか?」


「あー。越えてたらもう僕ら居ないよ。侵略が完了してなきゃ可笑しい。つまり僕らが生きていることが僕が元住んでいた世界の方が進んでいるという証拠だ」

「話が見えない・・・。何故侵略者の文明が進むと私達が生存出来ない事に成る?」


「ん?そんなの簡単さっ。一つの星に複数の知的生物は共存できないんだ。特に侵略者と言われていたのが僕が知っている人類という連中なら、ほぼ確実に他者を淘汰するからね。生き残れないよ」

「・・・」


ちょっと難しかったか?


「・・・なぜ、そんな事に成る・・・」

「考えてもみなよ?自分とは違う考え方、姿、形、色、言葉、習慣、様々に受け入れられない事柄っていうのは意外に多いんだ。それに対して、皆が皆、譲り合って手を取り合うという事は、人類には出来ないんだ。僕の居た世界では知的生命と言われるのは人類だけだったけど、それでも1万年くらいは、たかが考え方が違うとか信じる神が違うとか言う理由で同種間で戦争を続けているくらいだからね。そもそもわかり合うって事を受け入れないヤツも多いんだ」


「そんな・・・。では、親は?ヴァレヴァレは、そういう世界の者だったと?」

「どうだろうね?厳密には分からない。だって、複数の知的生命体が居るのは確定している世界だろ?ここは・・・。 そんな中で、此方の世界の人類がどんな思考しているとか、どんな事を信じているとか、全てがわからないんだ・・・まぁ、近い将来ウウダギには言ってあるけど・・・僕は世界を見て回ろうと思うよ。そうすれば、より多くのスキクやザウス、ひいてはザーザースのために成るだろ?」


「ポンピカよ。それは初耳だぞ?」

「そんなの聞かなくても分かるだろ?そもそも、僕は中身がその侵略者と多分同種なんだ。ならばヤツラの文明とか文化を見て回りたいと思うのは当然だし、なにより、ウウダギやこの集落の皆が色んな意味で被害と言うか害を被らないようにしたいだろ?解決策は内側には無いのは明確だし、外に求めるのは当然だと思うけど・・・?」


「・・・そうか・・・ワシが生きている内に戻ってくるのだぞ」

「ちょwなんで今すぐって話に成るんだよ。先の話だよ。今は此の集落をもっと発展させなきゃいけないでしょ?とても大きくしたいと僕は思ってるんだ。だって、此のままじゃ僕・・・不便過ぎてたまらないからね」


「ん?不便?お前は不便だからと環境まで変えるのか?」

「逆に変えないほうが可笑しいだろ?」


なんか族長と話すといつも喧嘩腰になる。

やっぱり親として見てるんだろうか?

良くないなぁ、話が進まない。


「族長、此の件は置いておこう。話が進まない」

「・・・そうじゃな。済まなかったエネルル」

「いえ。今のやり取りでポンピカが親と随分違う侵入者だとわかりました」


何処で何を判断したんだ?

そもそも侵入者ではないのですが?


「へぇー。まぁ、話を戻そう。エネルルは僕が侵略者の心を持ったスキクで、ヴァレヴァレと同郷のヤツだと思ってたのか」

「そうだ」


「でも、今は、それも違うって気づいたわけだよね?」

「そうだ」


「じゃぁ、その話はあとでしよう。それより本題なんだけど、ブルググの禁を解くって話で、僕は族長に責任は持てないと言ったわけだ。その上で、解くのはやぶさかではないとも言った。それで良くない?」

「・・・それで良いと思うが、もう一つ厚かましくも、願うことが有る」


ん?

なんだろう?


「どんな事?」

「恐らく、ブルググは私の親、ヴァレヴァレの意思を継いでいると思われる。子として、恥ずかしながら私では親の意思を継げないようだ。 つまり、ブルググの説得を助けて欲しい」


・・・それはぁ・・・難しくないか?

僕ぶっちゃけ目の敵だろ?

どうやって、説得の手助けが出来るんだ?

もしかして、エネルルは僕が侵入者の生まれ変わりで、

スキク側のヤツだから利用出来ると考えたか?


・・・利用とは、思って無さそうだ。

エネルルとしばらく話したり、生活をして、

その中で僅かでも接点を持てばなんとなくだけど分かってきたことが有る。

エネルルは親の教育が行き届き過ぎてるんだ。

そのため、周りの物や者を全て利用しろとでも言われてるんだなぁ。

だけどその本質的な所で、エネルるが拒否してるんだと思う。

徹していられないらしい。


ソレが多分親で有るヴァレヴァレに気づかれて、

爪弾きを受けたんじゃないか?


ぶっちゃけると、言動が災いして、

仲間と軋轢を生んでしまうタイプだ。

当のエネルルはそのつもりがないのも関わらずね。


そして、エネルル自身はホント、

スキクに多いタイプであるピュアっ子なんだよなぁ。

困ったねぇ全く・・・。


「う〜ん。別に説得は難しいと思うけどなぁ〜。エネルルはどう思う?例えば、エネルル自身をとっちめた相手が説得をしてきて、『はい、わかりました』となるかなぁ?」

「ああ、済まない。そういう意味ではない。なんと言うか・・・助けてもらえれば良いのだ、側に居て見守るだけでも良い。出来ないか?」


なるほど、

一匹では対処出来ないぞと言いたいのか。

ソレなら分かる。


「なるほど、一匹だとキツイって事だね?」

「恥ずかしい話、私は”戦”を専門とする部族に居ても戦うということをしてこなかった。そのため此の様な時どう対処すればよいかわからないのだ」


「あ〜。なんとなく分かる」

「なので、願えないだろうか?」

「ポンピカ。あたしからもお願いできない?」

「ワシも良いと思うがな」


なんでギギリカと族長までエネルルの側なのよ・・・。

まぁ良いけどさぁ?


「わかったよぉ。最後まで協力するさっ」

「おお!助かる!感謝するぞ!」

「さすがポンピカねっ!」

「うむ。がんばれ」


なんやかんや有って、

結局ブルググの禁を解いて、

説得するまで面倒を見ることに成った。


集落の事もそうだけど、

こういうイベントがさんざん降りかかるよなぁ。

多分さっき言った特異点ってのは、

明らかに僕の事だなぁ・・・自分で言ってて気づかないとか笑えるw


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