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ダムに続き浄水所とデデンゴのお願い


もう結構いい時間なので今日は夕食を食べて寝るばっかりだなぁ。

ウウダギと一緒に集落の中をブラブラする。

皆が夕食に集まる広場。

いつも思う。


なんで皆ココで一緒に食事をするんだろう?


なんか決まりでも有るのかな?

決まって、ギギリカやシシブブ、イイオオ辺りが食事を作る。

ってか、他のやつが作れないらしい。

一度、パパムイに任せたら、ギギリカが血相を変えて手伝ってしまったことが有る。

どうやら、塩漬けした肉をそのまま焼いて、更に塩かけたらしい。


塩っぱすぎて食えないだろうと思わないのがパパムイだ。

まぁ、自分で獲ってきた獲物だからね?とやかくは言わないつもりだけど、

ギギリカ的には、食べ物を粗末にした気分だったのだろう。


もちろん僕はそんな物ウウダギに食べさせるつもりはない。

なので、作ってるところを見た瞬間に森で果物と虫を沢山獲ってきて、

僕ら二匹はその肉は食わないつもりだった。


まぁ、ギギリカに見つかって、ものすごく怖い形相で見られたけどね。

仕方ないだろ?塩害は結構体に残るんだって話だ。


まぁ、そんな事はいいか。

それより、今集落の広場で、食事の支度をしているギギリカ。

僕ら二匹は結構早い段階で広場でくつろいでいる。

くつろいでいるのは、多分僕だけだ。

ウウダギは既にダムのことで頭がイッパイでブツブツ言ったりする始末。

心ここにあらずってヤツ。


まぁ、可愛いからいいけどね。

頭を撫でると、ヨセっ!っていう感じで手を振りほどく。

その動作も一々可愛い。

ちょっかい出したく成る。


でも我慢。

嫌われたくない。


そんなウウダギを見ている内に食事の支度が出来たようだ。

もう広場には皆が到着している。

ただ、ギュギュパニ組連中は半分位しか来てない。

多分これから夜どうしで、鞴を踏み抜く事に成るからだ、

ギュギュパニも多分踏むだろう。


交代でご飯を食べる算段の様子で、

作っているギギリカにギュギュパニがアレヤコレヤと話している様子が伺える。


なんか、大変な仕事を与えちゃった気がして、申し訳ないなぁ。

でもギュギュパニの周りにしか振れない仕事だと思うんだよね。


う〜ん。


「ポンピカ。ちょっといいですか?」


後ろから声をかけられた。

振り向くと、パレンケだ。

パチャクケチャクも居るけどその後ろに3匹ついてきている。

全然知らない顔ぶれだ。


「どうしたの?」

「オンガクの分野で弟子が出来たんですよ」


ほう・・・。

そう言えば、パレンケとパチャクケチャクの三匹は、

音楽トリオだったね。


「ほう・・・で?」

「この際だから、正直にいいます。歌が書けないんです!」


・・・詩の事を言ってる?

楽器はどうなった?


「歌は歌う物だろ?」

「そうじゃないんです。歌の内容が書けないんです!僕じゃわからないんですよ」


「お、おぅ・・・。随分今日はアツイ感じだね?」

「ポンピカが始めたことじゃないですか」


「ん?歌とか、踊りとか音楽とかは元々有ったやつが見るに耐えなかったからだけど・・・。わかったよ。で?どんな内容の物がほしいの?」

「ズバリ!番の為の歌が欲しいんです!もうすぐ発情期に成るんですよ。それに向けて音と歌で皆をくっつけちゃおうと思いまして・・・」


余計なお世話な気がするけど・・・そういう企画と言うかイベントが有るのかぁ。

確かに去年もう少し経った時期くらいに皆そわそわしてたり、

なにやら吠えたり、シャーシャー言ったりワサワサしてたよね?


その事かな?


でも発情期ってのが有るってのは、

やっぱり、スキクは年に一回くらいしか卵を産めないんだろう。

情報が足りないなぁ。

まぁ、こっちに来て、二年経ってないからねぇ。


「歌と言うか詩を書くのはいつも誰が担当してたの?」

「僕ですね」


「何個か作った?」

「いいえ。ソレがどうも僕では、ちゃんとした歌が作れないんです。音、オンガクは何とか成ってるんですけどね・・・」


随分器用なんだね?

普通歌いながら音を決めたりするんじゃないの?

僕はそういうのよく知らないから・・・。


「そかぁ。じゃぁ、詩は何個か作るよ。パレンケも作った詩を見て出来る限り作る練習してみてよ。余り専門じゃないから記憶に有る詩しか書き出せないけどね」

「ソレでかまいません!僕も書ける様に成りたいですから!でも時期的に少し遅かったもので・・・」


「そうだよねぇ。パレンケは音楽以外にも皆の手伝いをしてるからね。練習できてるの?」

「そうですねぇ。チョコチョコやって入るんですけどね。最近は新しい音の鳴る物を作ってるんです」


「・・・ふーん。多分、聞こえてるから分かるけど、太鼓とかでしょ?」

「タイコ?っていうんですか?僕はボンボンって言ってるんですけど?」


「呼び方はどっちでもいいさ。要は皮を貼った樽とかにバチで叩いて鳴らすんだろ?」

「・・・やっぱりすごいですね?音聞いただけで分かるんですか?」


「分かるっていうか、普通に僕の記憶にはそういう物が有ったんだ。音も独特だからね。似たようなものが有っても可笑しくないだろうと思っただけだよ」

「なるほど。 じゃぁ、その歌の件お願いします」


「任せてよ。 あ!それは置いておいて、パレンケ」

「ん?どうしました?」


「水。水の件をパレンケに任せたよね?綺麗な水を作るってやつ」

「ええ。作ってますよ」


「効率が酷いって話だったよね?」

「ええ・・・砂やドロが混じっているのでねぇ。川の水を網にかけていってもやっぱり何処かで目が詰まってしまうんです。炭もいい線いってるんですけどね?やっぱり目詰まりを起こします」


「一個いい案が有るんだけど・・・」

「!?どんなものですか?」


「蒸留っていう技術なんだ」

「ジョウリュウ?ですか・・・」


「水を火に掛けると沸騰するよね?」

「ええ」


「その沸騰したときに出る湯気には水が沢山含まれているんだよ」

「はぁ」


「それを冷やすと、綺麗な水が集まるんだ」

「・・・どうやってですか?」


そういって、蒸留水の簡単な作り方を教える。

粘土で、容器を作って、その容器の上に穴の開いた受け皿をつけて、

セットした物を火に掛けるっていうやつ。

下の鍋で沸騰した蒸気が上の方で冷やされて、

鍋蓋を伝って周りの窪みに水が貯まるっていうやつだ。


「パレンケなら粘土扱えるよね?」

「もちろんです。何回レンガ作ったと思ってるんですか?」


「あー。そうだったね。まぁ、出来たら使ってみてよ。それと、もう一つ」

「もう一つ?」


「今、ウウダギがベベビドの要求で、ダムっていう施設を作ろうとしてるんだ」

「ダム?」


「イメージ的には水が沢山貯蔵されている湖をまるごと水源として確保するっていう仕組み」

「・・・湖を?どうやって?」


「まぁ、原理は置いておくよ。説明に時間がかかる」

「わかりました」


「それでね?普通、そのダムっていうものには浄水所っていうのがついてるものなんだ・・・」

「ジョウスイジョ?所って作ってことは・・・もしかして製材所みたいなものですか?あれは木だから、水を加工する場所ってことですか?」


「鋭いね?そうだよ。加工というか飲める綺麗な水に変えるところだね」

「綺麗にですか・・・なるほど。それは僕の出番ですね」


「そう思うよね?だから、大掛かりな浄水所の話を今度話すよ」

「今ではなくてですか?」


「それも大掛かりなんだ。ダムが出来るのと平行しないとダメだからね」

「・・・なんとなくですがすごい物なんですね?」


「うん。集落のためなんだ」

「わかりました。折を見てお話ください」


「そうします。ってか、その後ろの三匹が弟子?」

「ん?ああ、そうです。前ポンピカが言ってましたよね?アイドルとか言うやつですよ。パチャクケチャクだけでは、物足りないですよね?なので綺麗どころの三匹を弟子にしました」


・・・異議ありっ!

っていいたいけど、スキクの美的感覚は僕と違う。

余り突っ込まないでおこう。


「そうか・・・。まぁ頑張ってよ。今度また音楽聞かせてね?取り敢えず詩はすぐに書くからね」

「助かります。では、僕らはこれで」


そう言って、食事を食べ終わって就寝に付き始めた。

ウウダギはずっと自分の世界から戻ってこない。

仕方ないので、パレンケと話している最中も口元にご飯を持っていったり。

今は既に動こうとさえしないので僕が担いでいるわけだ。


うん。ウウダギはこういう所が有るんだよね。

ウウダギのお世話するのは好きだから別に構わないんだけどね。

これがパパムイだったら取り敢えず頭にケリをいててるなぁ。


その日は、結局ウウダギは自分の世界から戻ってこなかった。


翌朝、いつものように体操をして、見回りとかしようかと思っていたら、

ウウダギが自分は仕事が有るって言いはじめて、

さっさと、埋立地へと向かっていってしまった。


既に考えついたんだろうなぁ。

昨日、パレンケと話していた浄水施設の件も直接言ってないけど、

横に居たんだし、聞いているはず。

もしくは、既に織り込み済みだとか・・・そんなところだろう。


後で色々聞いてみようかな。


さて、僕はコレから一匹で自由行動になった・・・。

ウウダギもたまにこうやって気を利かせてくれるときが有る。

?そんな気がする。


何しようかなぁ・・・。


取り敢えずギュギュパニの所行こうか。

なにか変化が有るかもしれない。

ギュギュパニのところへ走って向かった。


途中、デデンゴがワラワラと群がる小さなスキクたちとじゃれているのを見かける。

デデンゴは昔・・・と言うかうまれてすぐに体が大きく、

更によく食べていたようで、スクスクと成長して、

周りの同年代のスキクの中から抜きん出て強い個体だった。

逆に最低辺をひた走るウウダギをまぁ、子供ながらの低能のなせる技だろうか?

例にもれずというのだろうか、いじめをしていたわけだ。

なのでウウダギが未だにデデンゴになつかないのはそういう理由。

デデンゴは最近じゃ、ウウダギにホの字に成ってるようだけど、

やっぱり、ウウダギは受け入れてくれないだろう。

実から出たサビってやつだなぁ。

まぁ、子供のやることだし大人な僕らがどういう事も出来ない。


過去の話だしね。

それに力では絶対に勝てないはずのウウダギが、

昨日は合気でデデンゴを転がしたんだ。

デデンゴのショックは半端ないだろう。


前世で言うところのいじめられっ子に負けたいじめっ子な立ち位置だなぁ。

しかも幼馴染で、恋心が付随しちゃってる。


デデンゴ頑張れよ?ウウダギは多分折れないだろうけど、

全くそうだとも言い切れないだろう。


まぁ、応援はしないけどね。

でも、パレンケの子供に成ってから性格がガラッと変わって、

知的ににも成った。

態度も言葉遣いもかわって、大人びてきている。

いい傾向だと思う。


きっとウウダギ以外でデデンゴのことを好きに成るスキクが出てくるはずだ。


ってか、ホントこう見るとデカイなぁ?

顔の形やトゲトゲしい額の作りを見ても、

明らかにスキクと離れている気がする。


そう言えば、ヴァレヴァレの連中って、意外に見た目がバラバラなんだよね。

見た目を言えばこの集落の元から居る連中、

つまり牧野パパムイやギギリカとかだ。

ココらへんは形が酷似していたんだ。


僕はなんの因果か?

人間寄りに変化をしてしまったけど、

依然として、パパムイやギギリカはやはりトカゲでありスキクなわけだ。

ウウダギだって、スキクから離れない。


だけどヴァレヴァレの連中。

例えば今デデンゴの腕にぶら下がっているヤツは手が長く顔が長い。

それに比べて、下で騒いでいるヤツは、目が大きく、鼻が短いく、上へ反り返っている。


鱗の作りも皆まちまちであるし、

柄もすごくパターン数が有るように見受けられる。


つまり個性が強いって言うことだ。


ふむ、すごいなぁ。

中には明らかにクウォンににた顔立ちの子供も居る。

鰐だねありゃ、クウォンと交配できちゃったりするのかな?

僕は御免こうむるけどね。


そう言えば、鰐と言うかクウォンつながりで第一プンタにそれとなく聞いた内容が有ったなぁ。

僕らザーザースの中にはいろんな種類が居るらしい。

皆が知っているウチではスキク・ザウス・クロデルだ。

その他にも稀少な種族が居るって話を聞いたけど、

まぁ、それは置いておいて、取り敢えずクウォンに繋がりが有るのがクロデルだそうだ。


今この世界に居るクウォンの先祖とクロデルの先祖が同じらしい。

僕らスキクから派生したものではないらしいんだ。

旧き者がスキクの手足として知能を余り高くしないという要素を取り入れて作ったのが、

どうやらクロデルだそうで、

僕は実際には見ていないけど、第一が映像の様な形で僕の頭の中に投影した映像では、

明らかにギュギュパニや前のトリケラ頭や、オルガよりもデカかった。

しかも顔が小さい。

顔が小さいというか、頭が小さいんだなぁ。

顎は大きかった。

鰐っていうかクウォンにそっくりな形状をしていた。


見かけはものすごく凶暴そうな感じなんだけど、

実際は温厚と言うか余り気にしないらしい。

叩く程度なら全く気にしないくらい鈍感なんだそうだ。

スキクの声の質と言うか音の波長がどうやらクロデルが好む波長らしく、

スキクの言うことはわりと素直に聞いてしまうらしい。


ただし、頭が良くない。

こっちが言う事のウチ8割は多分理解していない。

それ程に微妙な物だそうだ。


ザーザースの社会構造っていうのは、ザウスがプンタの手足であり、

公僕ということだそうで、

民衆がスキクなんだそうだ。

そして、スキクは知能も高く、器用で、労働力としては、細かい作業に適していたんだそうだ。

つまり、クロデルを指揮して、大掛かりな作業を執り行うためにはスキクとクロデルというペアで、

物事を進めるといいらしい。


ザウスがスキクを従者として扱っている現状っていうのは、

実は予期していない状態であり、

正常な動きではないと第一が声を荒げていたのを憶えている。


どうやら、ザウスはザウスで完結する物だそうで、

そのため家系が有ったり種族ごとに固まって動いたりするんだそうだ。

僕らスキクは変えが効いて、誰が誰の変わりにも慣れるから、

特に家系を大切にする必要がなかったんだそうだ。

一子相伝なんて言うことも無い。

誰でも成り代われるから伝える情報さえきっちりしていればそれでいいっていう話みたい。


情報の伝達は主に族長が行えば、

家系を持たなくてもいい。

しかも、誰の子供が何処に配置されようが、

スペックがほぼ同じ内容なら特に親子にこだわる必要もない。

簡単に言うと、寄り多くの子供を生育できれば、

別にこだわらくて済むっていう仕組みだそうだ。


正直僕は人間だったからか、その利便性がよく分からなかったけど、

どうやらそうすることで多くのスキクを生み出せるそうだ。


だからじゃないけど、

現状スキクがこの大陸の何処にでも居る状態になったんだそうで、

ザウスよりもクロデルよりも、一番多いのがスキクと成る。


クロデルにイタッては育成条件が特殊らしく、

決った場所でしか繁殖が出来ない上に、その頻度も低いという話。

チャンスも少ないらしく、現在では結構少なく成ってしまったそうだ。

一部の集落が、クロデル牧場みたいなのを持っているだけだそうだ。


まぁ、随分と考えがあっち行ったりこっち行ったりしちゃうけど、

結論は、クロデルとスキクでは種族が違うので繁殖は出来ないって事。

眼の前でデデンゴの周りにいるあのクウォン似の子はやはりスキクなんだ。


ただし、ザウスとスキクの間に子が生まれる場合が有るらしい。

非常に稀だそうで、生活圏が現在の様に接している場所では起こりうるそうだ。

まぁ、ザウスも気位が高いからわざわざ見下してるスキクと子供を作ろうとは思わないだろうし、

何より、スキクもザウスの子供を授かっても手に余るだろう。

大きさがそもそも違うしね?

しかも繁殖のチャンスと言うか、成功率もとんでもなく低いらしい。

旧き者が手を出してはじめて成功するレベルだそうだ。


まぁ、旧き者が居ない現状じゃ起こりえないから気にするなと言われた。


ふむぅ。

結構、デデンゴ見てるだけで考え事に走ってしまったなぁ。

走るのをやめて考えるなんて、なんかジジ臭い。


さっさとギュギュパニの所いこっと・・・。


「あ!ポンピカさん!いいですか?ちょっと!ねぇ!」


デデンゴに見つかった。

ってかなんだろう?


「・・・なに?」

「昨日はすみませんでした」


デデンゴは口調がパレンケと酷似してるんだよなぁ最近。

両腕に一匹ずつ足には三匹ずつ子供がしがみついている中、

ずりずりと僕の方へ寄ってくるデデンゴだけど、

物凄い力だよね?

それ同い年の子だからね?


「忙しい所引き止めてすいません。ちょっとご相談したいことが・・・」


口調が丁寧。

ウウダギはぶっきらぼう。


最近のデデンゴは口調だけでも好感がモテるけどなぁ。

微妙だなぁ、だって僕寄り頭2つぐらい上から見下ろしてるんだよねぇ。

デカすぎない?


「なに?コレからギュギュパニの所行こうかと思ってたんだけど・・・」

「あっ!すいません。でも少しだけお時間もらえますか?」


丁寧!

偉い!

だけど微妙・・・煮えきらないなぁ僕。


「どんな話?」

「いいですか?内容っていうのが、別に大したことではないんですけど・・・」


ですけど? なに?


「あまり焦らされるの好きじゃないんだ、簡潔に言ってくれない?」

「ああ、すみません。パレンケと話すと回りくどいもので・・・えっとですね。簡潔にいいますと、僕と回りにいる子供達に昨日ウウダギがやったような動きを教えてほしいんです」


・・・ん?

僕がそれ教えるの?


「僕がそれやるの?多分ギギリカやパパムイ辺りでもできると思うよ?真面目に取り組んでるからそこそこ出来るように成ってるはずだけどなぁ・・・ウウダギは別格だから、あまり目標や例題にしないほうがいいしなぁ」

「ウウダギは関係無いんですよ。昨日結局みんな何も出来なかったのが、ショックだったらしくて・・・」


「なるほど、そうだなぁ・・・でも小さいうちから戦う事に慣れるのはどうかと思うよ?正直良いスキクに成長出来るか怪しい」

「そう言わず、どうかできませんか?」


「・・・まぁ、体操程度なら教えてあげれるよ?”戦”云々をするとギュギュパニにこっぴどく怒られるんだよ。僕のは伝わると、大虐殺に繋がるからギュギュパニが神経尖らせててね。思うように出来ないのが現状だよ」

「・・・そ、そんなになんですか?」


「そうだよ。だからギュギュパニに結構怒られてるだろ?僕」

「あー・・・確かに」


「だからウウダギやパパムイやギギリカ辺りに教えた体操程度しか伝えることが出来ないんだ。それでよきゃいいよ?そんなに時間がかかるものではないしね」

「そうですか?では、それをお願いしたいんですけど?」


「んー・・・わかった。いいよ。じゃぁ、ここで始めようか?」

「えっ!今ですか?」


「前は急げだろ?今すぐでいいじゃないか」

「・・・わかりました!」


デデンゴが決死のような顔つきで、後ろでワーワーやってる子供たちに向き直り、

大声で、教えてくれるそうだっていいはじめて、すぐに準備しろと号令をかけた。

子供たちもその声に敏感なようで、さっと、遊んでいたりワーワー言っていたのが嘘のように、

整列を始める。

その整列どうやって学んだ?

少し不思議だけどね?


デデンゴの後ろに五列渋滞でなんと言うか揃っている。

デデンゴが、それを見た後僕に振り返る。


「よろしくおねがいします!」

同時にデデンゴの後ろから「よろしくおねがいします!」と元気の良い声が聞こえる。


・・・子供は好きなので、仕方ない。

ウウダギほど可愛くないけど、中にはウウダギと同じくらい華奢な子供も居る。

見捨てるわけには行かないよね?


だよねぇ。

少しは自衛力を身につけてもらおうかね?


僕の決心がついたので、

始めよう。


でも余り込み入ったことはしない。

太極拳を元にアレンジした、

じいちゃんの套路と、

スポーツな感じにアレンジした武道を教えよう。

合気道の練習はしない。

それはまた別のことだしね。


いきなり性質の違うものを押し付けても混乱するだろうし、

取り敢えずこうやろう。


しばらくの時間を子供たちに費やした。


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