頭痛と二回目の送迎
新年あけましておめでとうございます。
今年もご贔屓にしていただきたいものです。
どうぞ、よろしくお願い致します。
翌朝、早くに目が覚める。
ウウダギはまだ寝ている。
昨日と同じで周りが少し涼しい感じがする上に、
5m先も見えない状態の霧が立ち込めている。
よくもまぁ・・・。
気づかなかったなぁ。
ウウダギを起こさないように辺りを見回す。
後ろに見えるテントの他は、
霧で見えない。
だけど、後ろのテント・・・一晩でボロボロ。
何が起きた?
やっぱり、
中に居た連中が酔っ払ったかな?
「・・・ポンピカ。起きた」
ウウダギが起きた。
「??寒い」
やっぱり寒いようだ。
「前見えない。これ何?」
「これが前話した事のある自然現象の霧だよ」
「キリ・・・。寒い?」
「そうだね。この霧は寒いみたいだね」
「違う霧もある?」
「あるって話だけど、僕もそう多く体験はしてないからね。よくわからないんだ」
「わかった」
なんとなく分かってくれればいいかな?
「ソレよりウウダギ皆どうなったかな?」
「皆・・・。見に行く」
うんうんとウウダギがうなずいて、
動き始める。
「ポンピカ起きました?」
パレンケが声をかけてくる・・・。
あれれ?
そう言えば交代して焚き火見るって話じゃ?
「・・・もしかして、僕起きなかった?」
「あ・・・あぁ・・・いや、その・・・僕も寝ちゃったんですよ・・・」
あ〜・・・なるほど。
パレンケもあの煙吸い込んでたのか。
あの煙は随分厄介そうだなぁ。
「まぁ、しかたないか。何事も無さそうだしね」
「そうなんですけど・・・。正直周りが変わりすぎてどうしたのもかと」
「あれ?ウウダギとの話し聞いてなかった?」
「?なんのですか?」
「この白いモヤは霧っていう自然現象なんだ」
「キリですか?初めて見ました」
やっぱり余り一般的じゃないのかもしれないなぁ。
「パレンケでも知らないのか」
「ええ。初めてです。なんと言うか少し寒く感じますね」
「まぁ、そうだね。霧の原理はたしか、小さい頃に習ったなぁ・・・えっとね。空気中の水分が充実してる場所で、地面が空気中より冷えると、空気中の温度が下がって、水が集まって大きい粒を形成して、それが霧っていう状態になったり、あとは逆に暖かい水に、冷たい風が吹き込むと暖かい水からは常に見えないほど小さな水分が出てて、ソレが冷やされて、水滴を作って、霧になるとか・・・確かそんな感じだった話かな?」
「・・・今一分かりづらいですね?」
「まぁ、要は、急激な温度差による現象ってことかな」
「はぁ・・・。でも寒いのはなんででしょう?正直初めてなんですけど」
「あー。パレンケもここまで寒いのは初めて?」
「ええ。僕は初めてなんですけど・・・”ト”に居る時、噂なんですけど・・・。大陸の北側に近い中央に山があるんです。そこは、とても高い山らしくて、ある程度登ると、とても気温が下がってしまうらしいんですよ。そこでは、白いフワフワした物が空から落ちてきたりするらしくて、とてもじゃないですが、スキクでは生きていけない不毛の土地とされているって話です。つまり、僕が言いたいのは、このキリっていうのがそれなんじゃないかと・・・。そんなことないですよね?」
「あー。まぁ、そのフワフワしたやつは僕の知識だと雪ってやつだなぁ。ソレに変温動物である僕らは基本そんな寒いところでは生きていけないよ。熱が作れないからね。それと、この霧とその雪は別物だから心配しなくていいよ。ぶっちゃけると、今の何倍も寒くて多分その前に僕らスキクは意識なくなるからね」
「・・・そんなにですか?」
「うん。変温動物の僕らにはちょっと厳しいかなぁ・・・」
「そういうものなんですね・・・」
「話逸れちゃったけど、イイオオは?」
「ああ、さっきポンピカより早く起きて、後ろのテントに入っていきましたよ?シシブブが心配らしいです」
「あー。僕もギギリカとか心配だなぁ・・・。後、パパムイとか」
「・・・僕もパチャクケチャクが・・・」
「じゃぁ、それぞれ行こうか?」
「そうですね」
パレンケと別れて、
僕とウウダギが後ろのテントに入っていく。
中にはイイオオの姿がある。
イイオオの先には三匹の倒れ込んでいる連中・・・。
まぁ、エネルルと、ギギリカとシシブブなわけだけど・・・。
他の連中て言えば、パパムイは・・・反対側の誰も居ない辺りで、
へんてこな格好で寝ている。
なんていうか器用な寝方だなぁ。
まるでパイルドライバーかけられたまま寝ている感じ。
頭に血が登らない?
パパムイだから大丈夫か。
「イイオオ大丈夫そう?」
「ん?ああ、ポンピカか・・・どうやら、寝てるだけっぽいな」
「そうか・・・」
「まぁ、昨日の騒動は流石に驚いたが、問題はこれでおしまいだろ?」
「そうね。まぁ、あの葉っぱ燃やさなきゃ大丈夫だと思う」
「わかった。皆が起きたら伝えよう」
「そうだね」
ウウダギはさっさと、パパムイの所に向かい。
パイルドライバー後のパパムイを不思議そうにツンツンしている。
そう言えば、精霊さんが昨日の途中からぱったり顔を出してないなぁ。
なんでだろう?
なんかやることが有ったのかな?
まぁ、騒がれないからそっちのほうがいいわけだけどね。
さて・・・先に食事の支度でもしようかな?
それと、皆起こして、残りの60匹位をさっさと集落へ移動させちゃおう。
「イイオオ。ンダンダを起こしてきてくれる?多分ココと同じ状態だと思うから」
「・・・わかった。シシブブのことはよろしく願おう。それと、運ぶのは昨日と同じか?今度は大きいスキクだからな・・・数を絞ることに成るかもしれないがいいか?」
「はーい。いいと思うよ。好きにやっちゃってください。気をつけていってらっしゃい」
イイオオは頭が回るなぁ。
まぁいいや。
このテントにはエネルルの他ブルググとか、
あとは、例の屍鬼と化している8匹が硬直したような状態で並んでいる。
・・・そう言えば、この屍鬼連中は、葉っぱの影響を受けなかったなぁ。
やっぱり反応そのものが緩慢なのかもしれないなぁ。
「シシブブ?ギギリカ?起きれるか?」
二匹の横っ面をペチンと叩いたけど寝息意外帰ってこない。
「ウウダギ?パパムイは起きそう?」
「ダメ。起きない」
そうかぁ・・・。
寝覚めの良いパパムイでさえ起きれないみたいだ。
まぁ、結構煙吸っちゃったかな?
「ウウダギ取り敢えず皆外に引きずって出しとこう」
「わかった。手伝う」
ウウダギと二匹で、雌優先で外に引きずり出していく。
パパムイも取り敢えず逆さ担ってるのを押し倒して、引きずり出す。
屍鬼たちは、無反応でそのまま引きずりやすかった。
引きずり終わる頃には、シシブブとギギリカが頭を押さえて、
起き始めた。
「っ〜・・・イタタタ・・・なんだか頭が痛いわね・・・イツッ!」
「・・・なにこれ・・・寝すぎたのかしら?」
「・・・イツッ!。ンンンンン〜・・・」
エネルルも取り敢えずブルググと切り離して、
雌陣営にひとかたまりだったわ。
まぁ、逃げないだろうし縄位解いてもいいよね?
それにしてもなんだか青っちろい・・・、
いやスキクだからそう顔の色とかわからないんだけど、
どことなく顔が蒼い気がする。
目の周りとかもっとピンクだもん普通。
「皆大丈夫?」
「イタッ!・・・。なんだか話しかけられると・・・頭に響くわねぇ・・・」
「ン・・・。こんな事はじめてだわ」
「少し、声をかけないでもらえないか?・・・痛くてかなわない」
なんでか知らないけど、
エネルルが雌陣営の一角に成ってる気がする・・・なんで?
「ねぇ?もしかして、雌同士仲良くなっちゃってない?まぁ最終的には仲良くなってもらいたいけど・・・。馴染みすぎてない?気のせい?」
「ポンピカ?なにいってんの?」
「私達だってちゃんとわきまえてるわよ!」
「もちろん。わきまえている」
わきまえてい無さそうだなぁ。
なんだろう?
なんでスキクってこんなにお気楽な連中なんだろうなぁ?
ちょっと冗談みたいな連中だよね。
アニメから出てきちゃった感がすごいする。
「まぁ、いいけどさ?シシブブだってもとわと言えば、その切れた尻尾の原因はヴァレヴァレだからね?怖かったの忘れちゃった?」
「何言ってんのよ?ちゃんと謝られたわ?許すのがスキクでしょ?」
あれれぇ?
そうなの?
初耳。
「ギギリカだって、怖い思いしたよね?」
「えっ?そうだっけ?」
こっちにしては憶えてすら居ない。
・・・ダメだな。
つっつけないや。
今までの流れなら普通。
糾弾される側のエネルルが既に集落の一員認識に成ってるんだからなぁ。
すごいなぁ・・・スキクって。
もしかして、パパムイもそんなのりだったり?
まさかねぇ・・・?
いや、パパムイだしなぁ。
ギギリカと同じで忘れてる可能性もあるなぁ。
まぁ、いいや。
気が済むまでそうしてればいい。
ソレより運搬を始めよう。
ンダンダも起きたっぽいし、
イイオオとパレンケは、
何も言わずさっさと昏睡してる連中をケルケオ車に積み込んでる。
僕も手伝わなきゃいけないなぁ。
「まぁいいや、三匹は残る30匹の為のご飯とか色々やっててよ」
「わかったわ」
「そうね」
「心得た」
エネルル?なんで心得たとか言ってんの?
なんか出来るの?
やれるつもりなの?
まぁいいけど・・・。
さて、手伝い手伝い・・・。
それにしてもなんで引きずってきたパパムイを、
またパイルドライバーな寝姿にかえたの?ウウダギ?
気に入っちゃった?
・・・そう。
気に入っちゃったのね。
いい笑顔だ、可愛い。
「イイオオ手間かけさせっちゃったね」
「ああ、かまわない。ソレよりなんでヴァレヴァレの雌がシシブブと仲良くしてるんだ?不安で仕方ないんだが・・・」
「それ、直接シシブブに言ってよ。さっき僕が聞いたら謝られたからチャラだってさ」
「ほー・・・。謝ってきたのか・・・なら、仕方ないか」
お前もかぁ。
そうかぁ・・・これがスキクってことかぁ。
僕は受け入れること出来るかなぁ?
ウウダギ傷つけられそうだったんだけど・・・。
まぁ、許せるのか?
もし傷つけたのなら・・・。
うん。傷ついてたら許せないなぁ。
うん。それでいいや。
「そうか。まぁそうならいいや。ソレより、ずっと気になってたんだけどさ?」
「ん?」
「シシブブとケルケオの世話してたよね?」
「ああ、してたぞ?ソレがどうした?」
「なんで3匹いんの?捕まえたの2匹だよね?あとは子供だよね?あの角が生えてるの・・雄だよね?雌しか捕まえなかったよね?なんで?ってか何時?どうなってんの?」
「ん?なんのこといってんだ?あの雄はこの前フラッとやってきて住み着いたじゃないか?きずいてなかったのか?」
おいおい・・・。
なんの報告も受けてませんが?
ってかこっちに来るちょっと前にはまだ2匹だったはずなんだけど・・・。
そしてあの雄なんで、言うこと素直に聞いちゃってるの?
「・・・そ、そっか・・・住み着いちゃったのなら仕方ないか・・・この後もドンドン住み着いちゃったりする? のかな?」
「どーだろうな?もうウチの集落のケルケオの群れが完成しちまってるみたいだからなぁ・・・他の雄はもう来ないだろう。ただ、この雄が強い個体だったら雌が勝手に近寄ってくるかもしれないけどなぁ・・・ってシシブブが言ってたな」
あ・・・そう。
そう・・・なんだ・・・。
なんだろう?
まぁ、運ぶ車が一台増えたからいいね・・・。
そうしとこう。
くだらない話をしていると、
3大のケルケオ車に積み終わる。
っていうか・・・荷物ではないんだが、まぁいい。
「さて、誰が乗ってく?」
「ん〜。雌陣営は無理させれませんね。まだ頭が痛そうにしてます」
「ああ、確かにな・・・しかたないか。俺らでいくしか無いか」
・・・その中に僕入ってる?
「僕も?」
「いや、ンダンダと俺とパレンケで行く」
そうか。
ソレならいいね。
テント・・・あの草はもうつかわん!
失敗だったなぁ。
いい草っぽかったんだけどなぁ。
煙るとあんなとはなぁ。
「わかったよ。任せる」
「ああ、雌達をよろしくな」
「任されたよ」
さっさと三匹でケルケオ車を動かして集落へと向かっていった。
さて、今日はあの葉っぱをどうにかしようかな?
ってかあれ?あんなに積んでた葉っぱが無い。
綺麗に持ち出されてる。
しかもテントの天辺とかに有った葉っぱまで無い。
もしかして、あのエルフィとか言うサルが毟り取ってったかな?
小さかったし出来なくない。
そうか。
もしかしてテントが少しボロボロ担ってるのはエルフィが登ったりいろいろしたからか?
「ポンピカ。ご飯たべる」
ウウダギがご飯作ったらしい・・・。
っていうかあの三匹ご飯食べずに行っちまったけどお腹減らないか?
まぁいいか。
さて、ご飯にしますか。
いつの間にか、それなりに大きな石焼き場が出来上がってる。
どこかで見つけてきたのかな?平たい石。
「おう!ポンピカ!爽快な朝だぞ!今日は、絶対いい獲物が取れるなっ!」
何時もどおりなパパムイの元気顔を拝見しました・・・頭大丈夫か?
「お・・・おおぅ・・・。そうだね。今日も狩りがんばってね」
「まかせろっ!」
うん。大丈夫そうだ。
色んな意味で。
「ほう・・・。昨日もそうだったが、ボロンガの集落は本当に食物が豊富なのだな?見たこともない物が多い・・・しかし、なぜ草を食べる?この木の実はマズイだろう?なぜ食べる?スキクならば肉だろう?・・・疑問が多いな・・・」
そんな事をブツブツ言ってるのはエネルル。
結局昨日パパムイが獲ってきた獲物の残りと、
僕が採取してあった果物とのゴッタ焼きだ。
まぁお肉に甘いフルーツのソースってのは美味しいからなぁ。
取り敢えず僕はウウダギと一緒に先に食べよう。
ウウダギはいつもの僕の膝の上。
熱々の石の上に果物ソースに付け込まれたお肉を並べると、
ジュワーっといい音がする。
食欲がヤバイ。
ウウダギも焼いている肉に目が固定されちゃってる。
しばらく焼いている。
頃合いかな?と、裏返すと焼き目が見える。
いい匂いもしてきた。
やっぱりしっかり下ごしらえしているお肉は違うよね。
よだれが口の袋に溜まっていくのが分かる。
「ウウダギそろそろいいかな?」
「もうちょっと!」
ウウダギはレアより少しウェルダン派なんだよね。
まぁ僕はこだわりがないのでウウダギに合わせてる。
「ポンピカ!焼けた!」
「うんうん。フーフーして食べるんだよ?」
「うん!」
ウウダギが器用にマイ箸で並べている焼き肉を獲っては口に運ぶ。
何度か咀嚼してすぐに喉の袋に押し込んでいってるのが分かる。
熱くないかい?大丈夫?
急いで食べなくてもまだあるからね。
箸を使うのは集落でも僕とウウダギだけだ。
ギギリカや意外にパパムイも使えなくもないけど使わない。
やっぱりナイフやフォークの方が馴染んだようだ。
理由は知ってる。
スキクの指はその長さに比べ太く出来てるんだ。
なので、箸が持ちづらい。
僕はまぁ、こんな体に変化してしまったわけだしいいとしても、
ウウダギは元から節々が細い。
そのため器用なんだけど力がない。
ソレが理由だろう。
「ほう・・・あの様に食すのか・・・変わっているな。せっかくの肉を焼くなんて、もったいなく思わないのか?これだから野蛮な集落の連中ときたら・・・全く・・・」
そんな事を言ってるエネルルも焼き肉を口にした途端。
あれっ?っていう顔に成る。
そして周りをキョロキョロ見回すと、
どうやら自分が考えているような事ではないと思い至ったようで、
俯いてしまった。
まぁ、もう既に僕が知っている限りでは、
ザウスの”ト”だっけ?そこらでもこれほどの物は食べれないって、
ギュギュパニが言ってるのを聞いてるからきっとよその集落でも無理だと思うよ?
その点については明らかにカルチャーハザードは起こってると思う。
まぁ、別にハザード起こすのが目的ではないんだけどね。
僕自身が快適に過ごしたがためだ。
ドンドン進めてこっと。
「ポンピカ」
「なに?パパムイ」
「この後どうするんだ?」
「えっ?どうするもなにも、集落に運んでるのが戻ってきたら、今日は寝ないで、さっさと残りを押し込めて集落に戻ろうと思うけど?」
「おー!そうか。そうだな!・・・だけどケルケオも保つか?」
「・・・厳しいかな?」
「どうだろうな?まる一日走り詰めだとさすがのケルケオも参っちまうかもしれないぞ?」
「・・・そうか・・・でも、早く集落帰りたいよね?」
「そうか?俺は、まだこの辺りの狩りで満足してないからなぁ・・・もう少しいてもいいぜ?昨日の夜は楽しかった気がするしなっ!」
昨日の夜はたぶんパパムイは酷いことされたんじゃないかなぁ?
朝パイルドライバー状態だったわけだし・・・記憶がないって凄いなぁ。
悲惨な思いも楽しくなっちゃうんだなぁ。
パパムイだけかな?
「ギギリカ。もう体調は大丈夫?」
「ん?そうね。頭はもう痛くないわよ」
「シシブブも?」
「そうね。これと言って、不都合はないわね」
「じゃぁさ?あと一晩泊まると思うんだけど、夜番とかみんなで交代出来ない?」
「・・・別に構わないわよ?ねぇ?ギギリカ」
「あたしも構わないわよ」
「じゃぁ、お願いするね」
「うん」
「わかったわ」
さて、エネルルですか・・・ブルググはまだ話が出来ない。
咒言で縛ってるし、まず声を発せることが出来ないからね。
現在のブルググは色々、
目で観察したりしながら情報収集に余念がない。
ただ、縄とかは解いてるんだ。
でも逃げないんだ。
なんか思い至る事が有るのかもしれない。
ソレにこのままヴァレヴァレに逃げ帰ってもしゃべることは出来ないし、
何よりスキクの集落に文字文化がない。
つまり出来事を伝える術がない。
だから放って置いても特に問題にはならないと思う。
ブルググ自身もそう理解したんじゃないかな?
まぁ、じっと僕を観察することが多いけど・・・。
やっぱり咒言とかに興味が有るのかな?
精霊さんの昔のお弟子さんなわけだし・・・。
そう言えば、精霊さんの呪術とかをまともに見たことがないなぁ。
大したことはでき無さそうだし、
余りちょっかい出して、精霊さんがへそ曲げると、
僕も便利が効かなくなるわけだし、
まぁ、程々にしておこうかな?
ってか全然顔をださないね?なんでだろう?
「ウウダギ?精霊さん居ないけどなんか言ってた?」
「?セイレイサン。残り探す。言ってた」
?残り?何の?
「何の?」
そう言うとウウダギが例の八匹を指差す。
・・・なるほど。
”残り”ってのは残りカスのことか。
つまり抜け出たんだろう。
重要な部分が耐えきれない体から剥離したんだ。
見事に殭屍もとい、屍鬼なわけだなぁ。
精霊さん。
結構居ないと寂しいから、
無理しないうちに戻ってきてね。
「ウウダギも精霊さんが早く戻ってきてほしいよね?」
そう僕が言った瞬間、ウウダギがブンブンと首を横に振る。
相当嫌われてるなぁ・・・精霊さんガンバっ!