精霊さんの修行とブルググ
皆飢餓状態なわけだよなぁ?
そうすると胃腸の動きも緩慢なわけだよね?
そうなると、やっぱり、消化が良いものというか、
消化がしやすい物特にすぐにエネルギーに成る砂糖水とかが理想かな?
それに塩分もほしいね。
以前、病気に罹ったウチの連中は塩と糖分で何とかいけた。
塩はそれなりに袋には入ってる。
そうなると糖分だよね?
スキクは基本狩猟ばかりで肉類を食していて、
僕が今の集落で果物を食べ始める前は、
ほぼ誰も手をつけていなかった。
つまり、そういう習慣が全体的に有るってことだから、
例にもれずヴァレヴァレから来たこの連中もそうだろう。
ふむ。
果物はンダンダとの森歩きのおかげで相当種類を見つけてるんだ。
意外に多くて、何故手を付けていないのか不思議なくらいだ。
実際、大きい葉っぱの木に成る黄色い果物もよく食べるけど、
ほぼ感触はマンゴーだし、
違う大きな葉っぱの種類はまんま、バナナだったりする。
ただ、バナナの方は、前世ノバナナとは随分かけ離れた居ると思う。
というのもかなり小さくて、種が結構有るんだよね。
モンキーバナナみたいな大きさが一般的なんだ。
まぁ、バナナの話は置いておこう。
何はともあれ、よく探せば、それなりに食べる物に事欠かない。
それくらいこの森は潤っているんだよね。
にもかかわらず飢餓状態ってもったいないと言うか、
知らないのは損だよね。
動物しか口にしないとか・・・。
まぁ、今までそれで過ごしてきたわけだし、
いきなり変えろと言って変わるもの・・・でも無くもないなぁ。
ウチの連中は既に変わってしまったしなぁ。
まぁ知らないのはもったいないってだけだな。
それに、どうしてこんな状態に成るまで放おって置いたんだろうね?
そうこう考えているうちに腕の中にいっぱいバナナもどきとマンゴーもどきが溢れた。
いい匂いがする。
此の匂いだけでも食べたいと思うよね?普通は・・・。
まぁ良いんだけど・・・。
沢山の果物を持って、精霊さんが居る場所まで持って積み上げる。
「精霊さん」
”なんじゃ?”
「様子はどう?」
”そうじゃなぁ。まぁまだ起きぬじゃろう”
つまらなそうにしてるなぁ。
まぁ、精霊さんには余り向かないよね。
見張りとかより何か遊んでてくれる方が見てるこっちも気分が良いなぁ。
ただ、やらかしたりだけしなければ良いんだけど・・・。
もどかしい。
「精霊さん。もしよかったら何か練習する?」
”!? 練習とは?何をするのじゃ?”
「たとえばさぁ・・・。今詰まってるんでしょ?現界の物を動かすっていう手段」
”う・・・うむ・・・悲しいかな、コツがわからぬ。たまに触った感触が全身に伝わる事が有るのじゃがなぁ・・・実際は動いておらぬのじゃ”
なるほど、結構いい線まで行ってそうだ。
「それなら僕の目の前でやってみてよ」
”ふむ。まぁ良いじゃろう。先程の草スキクを使ってもよいか?”
藁人形の事言ってるのかな?
取り敢えずまだ持っている藁人形を精霊さんの前に出してやる。
”おぉ!これじゃ!これがイイ!”
何を喜んでいるのかわからないけど、
取り敢えず、精霊さんの気分は上がってきた。
「精霊さん。これには精霊さんの一部が入ってるんだ。つまり身体の一部だ。そうやって思い込む事で、より現界との結びつきが強くなると思う。確かに依代を使うと色々出来るね。良い所に目をつけたよ」
”そうじゃろう。そうじゃろう。まぁ、手始めにはじめてみるかのう”
そう言うと精霊さんが藁人形の前で、あぐらをかきはじめた。
じっと藁人形を凝視している。
前みたいに動け!とか触ったりとか余計なことをすることがない。
どうやら経験上そんな事をしなくとも良いと理解したらしい。
本当にこういうことには優秀だと思う。
果物の皮をむいて大きな葉っぱへ並べていると、
藁人形に変化がで始めた。
最初は腕だ。
ピクッと動いたような気がした。
次に足もピクッ。
次に頭がピクッと、徐々に動く箇所がでてきている。
「精霊さん。いい線いってるじゃん」
”むむむむぅ・・・今ぁ・・・集中しておるのじゃぁ・・・話しかけるでないぞぉ・・・”
すごく顔がこわばってる。
スキクの顔はそれ程、表情筋が動くわけではないけど、
今の精霊さんはハッキリと顔が変化してる。
おもしろいなぁ。
精霊だと表情がここまで豊かに変わるんだろうか?
様子を見ていると、
今度は、力強くググッと藁人形の足がくの字に曲げられた。
続いて、手を使って上半身を起こす。
次第に動きは大きくなり、
僕もいつしか見入ってしまった。
なんと、精霊さんは、藁人形を動かしたんだ。
しかも今目の前では、奇跡と思えるほど、立って、二本足で歩いている。
流石に驚嘆した。
思わず声まで出したほどだ。
「いやぁ・・・精霊さん。さすがとしか言えないわ。確かに精霊さんは凄い」
”ふ、ふふ・・・そうじゃろうぅぅぅ。くっ! だはぁっ!限界じゃ!”
どうやら、集中が切れてしまったみたいだ。
今まで眼の前で歩いていた人形が途端に糸が切れたように倒れ動かなくなった。
”しかし、ココまで動かせたのは初めてじゃ・・・なんとも言えぬ充実感があるのう”
やり遂げたという達成感を感じているのかもしれない。
疲労はしている様子だけど、顔に力がみなぎっている。
「良かったね。あとは、今の要領で他の物も動かせれば上出来だね」
”ふむ・・・そうじゃな。 しかし、まだまだ練習が足りぬ。そのヨリシロとやらをワシにくれぬか?”
「あげてもいいけど、持っていられないでしょ?」
”いや、それがワシの物だと思えれば良い。ヴァンには物は必要ないからのう・・・ただ、それだけはどうしても欲しいと思ってしまったのじゃ”
なんかしおらしい事言い始めた。
まぁ、即興で作った藁人形がそれ程好きならどうぞといいたい。
まぁ、練習用に何個か藁人形を作ってあげとこうかな?
そんな事をしていると、
奥でひと塊で並べていた100匹スキクの集団の中でうめき声が漏れ始めた。
それも複数同時にだ。
”ふむ。そろそろ起き始めるか”
「そうみたいだね」
さて、どうするかなぁ・・・。
今、果物は手元に僅かだけどあるんだし、
それを起きた順に食べさせるかなぁ?
でもそうすると目が覚めて騒ぎを起こしそうだしなぁ。
”ポンピカどうするのじゃ?また術で眠らせるのか?”
それもやだなぁ。
曲がりなりにも一瞬で意識を奪うキノコだよ?
体に良いわけ無いだろ。
そう考えるなら・・・仕方ないかぁ。
ツボでも押すしか無いかな。
まぁ。僕が使うのはツボっていうより、
点穴だ。
点穴っていうのは、ツボととは少し違う部分がある。
点穴の一部にツボがあるんだ。
まぁ、そういう経穴って言われるポイントのうち、
厄介な結果がついて回るツボの事を点穴っていうんだ。
まぁ、要は、経絡の結節点なんかに経穴があるんだ。
それを押せば経穴の周りの気脈である経絡に影響が出る。
同時に現界からの影響で、其の周りの内蔵や骨皮膚様々な物に影響を及ぼす。
具体的に言えば・・・。
今まさに僕がやっていることだ。
耳の後ろと首筋のアタチに幾つかの経穴が集中してるんだけど、
其のうちの一つに、脳への血脈に関わる点穴があるんだ。
これを強く押すと一瞬脳への血液が減ったり、最悪止まったりする。
押し方にもよるけど、
僕はじいちゃんからこんなことばかり教わっているんだよなぁ。
じいちゃんもよく教えたよね?
って感じで、首筋のところをギュッと押しておく。
すると、頭がクラクラしているスキクがすぐにまた倒れる。
起き抜けに気絶。
まぁ、いやな事この上ないだろうけど、
ウチの集落に着くまで暴れてほしくないからね。
これまた山積みになっている、
スキク達にキノコではない点穴に寄る気絶を、
プレゼントして回ることに成った。
其の際、精霊さんから、
”そんな術があるのならキノコ謎使わずとも良かったのではないか?”
とか言われたけど、気にしない。
「ふぅー。取り敢えず全ぶ寝かしたかな?」
”例の8匹にはソレが効かぬのか?”
正直どうだろう?
やってないからわからないけど・・・。
まぁ、やってみようかな。
「精霊さん。ありがとう。もしかしたら効くかもしれない」
”うむ。ソレをみるのは面白い。ソレにアノ8匹は虫の世にうねっていて気色が悪い早くなんとかしてくれないか?”
なんだよ。
結局、自分があまり見たくないからやらせたかったんじゃないか。
まぁ、スキキョンには効くかもしれないなぁ。
ウニョウニョしている一匹に近づき、
首筋を触って、点穴を押す。
すると、生きているスキクよりは反応が少し遅かったけど、
動きを止めて、白目を向いた。
止まった。
なるほど、薬は効かないけど、技は効くみたいな感じだね。
さっさと残りの7匹も並べて、気絶させた。
”やはりその術は優秀そうじゃな?ワシも肉体が有ればソレを試してみたかったがのう”
「ないものねだりしても仕方ないだろ?」
精霊さんとそんなくだらない話をしていると、
僕の視界の中にふと、違和感が生まれた。
すぐにそちらへ視線を合わせるとエネルルと例の雄が縛り上げられている。
エネルルがもう起きたかな?と思ったけどそうでは無さそうだ・・・なんだろう?
見間違いかな?
「精霊さん。なんか動いたよね?見てなかった?」
”・・・”
精霊さんが、エネルル達の方へ近づき、
しきりに雄の報を値踏みしている。
ものすごく近く顔を寄せては、
首を傾げ始めてる。
「精霊さん?どうしたの?」
”ポンピカよ。コヤツ目が覚めておるぞ・・・ほっほっw。気を失ったふりなぞしておるw”
・・・まぁ、そりゃ時間的にはそうかなぁ?
ってか雄だけ、点穴押すの忘れた。
「エネルルの隣のお前。目が覚めてるの分かってるよ?顔上げな」
”はははw。ビクッとなったぞ!面白い”
精霊さん?
一々ちょっかいかけてもどうせ見えないんだから程々でよくないか?
「・・・名前位聞かせてよ」
”ポンピカよ。コヤツ粘るぞ”
わかってるよ。
ってか、エネルルの側近っぽかったじゃん?
余りうかつに近づくと良いこと無さそうなんだよ。
取り敢えず距離だけ取らせてほしいんだけどなぁ・・・だめ?
何度か声をかけたけど、
やっぱり反応を示さない。
いや、近くに精霊さんが居るから、
声をかけるたび一々驚いて反応しちゃってるのは分かってるんだけどね。
でも近づかせる作戦かな?
まぁ、いいや。
手も足も、ついでに口というか鼻も縛り上げてるからね。
どのみち動けないだろう。
近づいて、エネルルと一緒に縛り上げられている雄をポンっと叩く。
明らかにビクッと成ったのが分かる。
「やっぱり目覚めてたじゃん?」
「・・・」
・・・返事がない。
あっ!返事できないじゃん!
口を縛っちゃってるんだしね。
こりゃ失敗。
急いで、口の紐を問いてやると、
ポツポツと何かつぶやき始めた。
様子を見ていると、
何処からか影が頭の上を遮る。
その瞬間反応して僕が上を見上げた。
でも何もなかった。
顔を戻すと、大きさで言えばカラスと同じくらいか?
そんな、翼竜みたいな始祖鳥みたいなのが、
雄の手や足の紐を鉤爪で切り裂いている途中だった。
ビックリ。
これが鳥か・・・まぁ鳥だけど・・・。
いやいや、そこじゃない。
頬けてるとそのまま逃げてしまいそうだ。
取り敢えずサッと腰のボーラを立ち上がった雄の足へと投げつける。
まぁ慣れてるから百発百中だ・・・此の距離ならね。
雄はボーラのせいで、
勢い良く前のめりで倒れ込んだ。
「あれ?エネルルほっといて逃げるの?」
その言葉に、手でボーラを剥がそうともがいてたけど、
ピタリと止まる。
「・・・私にはヤラなければならないことがあるんだ・・・」
「やっと喋ってくれたね。ついでに名前位言ってみたら?」
「名乗りは必要ないでしょう」
「そうかなぁ?お前とかオイとかで済ませるのはめんどくさいんだけど?」
「・・・変なヤツだな・・・。ソレよりも此の場から逃げてはダメか?」
「なんで逃げるの?なんかやったの?皆と居たほうが良いと思うけど・・・」
「・・・おい・・・此のままここに居ると被害が出るぞ?それでもいいのか?」
「被害?なんの?」
「・・・やはり話してもわからないか・・・ヴァンを連れているからもしやと思ったが・・・」
ん?ヴァンっていう言葉が聞こえた。
慌てて精霊さんを見る。
精霊さんは僕の隣で、
口ひげもないのに口元を何故か撫で回してる。
何がしたいの?
「ヴァンっていった?そっか。見えるんだ」
「そういうお前も見えるんだな?誰に習った?生まれつきか?」
「まぁ、生まれつきではないかな?自力といえば自力だけど・・・」
「・・・俺が教えてやってもいいぞ?呪術を・・・」
?なんで急にそんな話に?
「・・・?話の流れがわかんないや。ソレよりなんでここから逃げないとダメなの?」
「これだけ言ってもわからないか・・・所詮は俄ってわけだな」
「結構言ってること強めだけど、お前、今拘束されてるからね?僕の目の届くウチでは自由にさせないぞ?」
「・・・こんな紐程度・・・」
「まぁ、逃げてもいいけど・・・後味悪いと思うけどね?」
「・・・間もなく・・・エネルルをはじめ、ここのスキクが全て狂い始めるだろう。そうなれば手がつけれなく成る・・・」
「あー・・・。それで、逃げて身を隠しておきたかったんだね?」
「ああ・・・。お前はなぜこんな所に居る?なぜこんな事をした?どんな手段だ?」
うーん。
なんだか今一噛み合わない。
なんだろう?
色々考えを巡らせてるっぽいんだけど・・・。
まぁ、ちょっと気になる点があるのはあるんだ。
「ねぇ?あの8匹達の中身どこいった?」
「!・・・」
あー。それが原因かぁ。
「そっか。中身っていうか飢餓に駆られた狂気が外に出ちゃったんだね?それが悪さをするって話か・・・なるほど・・・精霊さんの作った儀式とは一風変わった形っぽいよ?精霊さん」
”うむ。確かにワシもあの8匹から抜け出したヴァンの所在に疑問が有ったのじゃ・・・そか・・・しかし今何処におるのかのう?狭間にはおらなんだ”
「そーなんだよね。どっかに隠れてるのかなぁ?狂気なら相手が誰であれつ罹ってきそうな気もするんだよね?なんでやってこないんだろう?」
”・・・あー。なるほどじゃ。分かったぞポンピカ”
「なにがわかったの?」
”抜け出したヤツラは手近な死者を食ろうておるのじゃろう・・・まぁ、吸収と言ったほうが正しいかもしれんがな”
「それならいの一番に精霊さんが狙われるじゃないか?なぜ襲ってこない?」
”曲がりなりにもワシじゃぞ?偉大なラマナイ様じゃぞ?狂気のヴァンなんぞワシの威光で目がくらむじゃろう”
・・・何言ってるんだコイツ?
まぁ、いいや、要は大きいヴァンには勝てないからどこかで大きくなるよってことね?
そんな事できるんだね。
「さっきから何をブツブツいっている!早くここから逃げないと大変なことに成るぞ?」
「あー・・・。何とか成ると思うよ?取り敢えずアンタの名前だけ聞かせてよ」
「・・・ブルググ・・・。アンタは?」
「僕の名前は、パパムイだ!」
「パパムイか・・・憶えたぞ」ギロッ。
睨まれたね。
呪術を教えてやるとか言えるくらいのスキクだ。
まともに名前を言ってしまえば呪詛にかかりやすく成る。
相手がどうやら僕の事を甘く、そして下に見ていることから、
相手の名前は、恐らく正直に話したんだろう・・・。
まぁ、パパムイには悪いことしたかもなぁ。
「そうか。じゃぁブルググはなんでこんな儀式を始めたの?」
「・・・儀式だとわかるのか?これは俺が編み出した儀式のはずだぞ?なぜ分かる」
えぇ・・・。
何でもクソも、その儀式の元って僕の隣のご老人が考えたやつだろ?
「・・・えっと。もしかしてだけどさ?」
「・・・御託はいい!早く拘束を解いてくれ!逃げ切れなく成る!」
「・・・いや、話し位最後までしてってよ」
「くっ!・・・」
「取り敢えずブルググは僕の隣のヴァンを認識できてる?」
「ああ・・・随分大きなヴァンだな?・・・まぁ、ただ大きいだけだ」
あれ?
イケてない羽飾りとかは?
見えない感じ?
「羽飾りは?」
「はぁ?なんの話だ?」
あー。
なるほどなぁ。
「精霊さん。ブルググは、まだ認識できてないみたいだ」
”そのようじゃな・・・まぁ、其の程度のスキクは多かったが、ポンピカほどしっかりとワシを見つけたスキクは皆無じゃったしのう”
やっぱりかぁ・・・。
「何をさっきから・・・!もしかして!?パパムイはヴァンの声が聞こえるのか!?」
「パパ・・・ああ、そっか。 うん。そうだぜ!オレはヴァンと話ができるぜ!どーだー!スゲーダロー」
ちょっとパパムイに寄せてみたけど・・・。
僕の趣味じゃなかったなぁ。
因みに隣で馬鹿笑いを始めてる精霊さん・・・。
声が聞こえないからと言って、大声だすのやめてもらえますか?
聞こえる僕はうるさくて仕方ないんだけど・・・。
「・・・し、信じられない・・・それならアイツ等が何処に居るか分かるはずだろ?」
「アイツ等って、8匹の?」
「ソレ以外に何がある」
「あー。取り敢えず、精霊さんの話じゃ、精霊さんに恐れをなして、どっかで力を蓄えてるらしいよ」
「・・・それじゃ、ここに戻ってこないのか?」
「さー?どーだろーね?」
「ヴァンはなんと言っている?」
「精霊さんもよくわからないらしいよ。僕の目でも此の辺りには居ないし」
「・・・」
「多分、もし危惧してることが、その8匹が他の生き物やスキクに入り込むことで、多くの犠牲者が出ると言う状況についてと言うなら、多分しばらくはない。ソレに僕がいればなんとでも成るよ。むしろ一匹で行動して、そいつらに見つかるほうが厄介じゃないかなぁ?逃げるのはどっちにしても下策だとおもう」
「・・・パパムイ・・・お前は・・・スキクじゃないのか?似ているが、どこかザウスにも似てる」
「僕はれっきとしたスキクらしいよ。尻尾も数ヶ月前までは着いてたしね」
「・・・」
「それにしてもさ?話からすると、この儀式作ったと言うか考えたのはブルググって事だろ?よく思いついたね?この儀式の大元は精霊さんが考えたっていってるよ?ずっと昔に」
「・・・どういうことだ?」
「ブルググが考えたんじゃないの?」
「いや、お前が言うセイレイサンというのは、なんだ?」
「いや、ブルググから言えばヴァンでしょ?」
「いや、そうじゃない・・・元は誰だ?」
「元っていうか・・・ねぇ?」
そういって精霊さんを見る。
偉そうにふんぞり返っている精霊さん。
偉そうに見えない。
「まぁ、ブルググはまだ力が足りないせいか、精霊さんを認識できないでいるようだけど、このヴァンは、ラマナイ・イッツァとか言うお祖父ちゃんらしい。随分偉いスキクらしいよ?ただのお祖父ちゃんだけどね」
「!?・・・そ、そんなハズ・・・」
「まぁ、その儀式も元は、侵略者に対抗して考え出したって言ってたけど、アレだよね?僕らのボロンガの集落を標的にしてるよね?・・・ヴァレヴァレってそういう事平気でやっちゃうような族長が仕切ってる場所なのか?」
「・・・お前らが、危険すぎるからだ・・・スキクは何もしちゃ行けないんだ」
ん?なんの話ししてるんだ?ブルググってのはよっぽど変なスキクなのか?
「ブルググはさ?話が結構飛んだりしちゃうようだけど、ちゃんと話を整理できてるか?めんどくさいなら取り敢えず僕の集落の皆が車で寝てもらうけど?エネルルみたいにね」
「・・・」
”のう?ポンピカよ”
「なに?精霊さん」
”コヤツもしや、ワシにつけられたガフの一匹の生まれ変わりかもしれぬ”
「・・・新しい単語が出てきちゃったけど?そのガフってなに?」
「ガフ!?ガフを知ってるのか?!」
んもー。
なんで精霊さんと話している間にブルググが食いついてくるんだろうなぁ。
めんどくさいなぁ。
「二匹とも少し落ち着けよ。取り敢えず僕は今ガフと言う単語を初めて精霊さんから聞いたんだ・・・なんなのかを問い詰めている最中にちょっかいをかけてくるなよ」
「・・・ガフとは、スキクが上位のスキクにプンタの命の元一生を尽くすと言う役についた者をさす・・・私は何度かの生まれ変わりの据え、やっとヴァンが見えるほどまでに成長したのだ・・・」
なんか語りだしちゃった。
僕語られるのがとても嫌い。
聞いてる間に重要な情報がボロボロ出てきちゃうけど、
一々記憶してるのめんどくさい。
さて・・・。