表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/174

緊急事態に付き、と、情報が古い!


現場に来るのは初めてだったからそこそこ時間がかかった。

でも狭間の世界はとても特殊。

知ってる場所や、自分の本体へは、一瞬で戻れる。

知っていれば移動が容易というのは存外便利なものだなぁ。


精霊さんも僕に着いて、僕の本体の所まで戻ってきた。


「只今。ウウダギ」

「生きた」


「死んでません」

「セイレイサン。ポンピカ大丈夫?」


”うむ!ワシの可愛いウウダギよ!お前が悲しむ事をワシがするわけ無いじゃろ?”

「わかった。ポンピカいろいろ教えて」


ウウダギって本当に切り替えが早い。

それに精霊さんのあしらい方が辛辣。


それから、手短にウウダギへ状況を説明する。

いつの間にか隣にいたンダンダも次第に険しい顔に成ってきたような?

流石にスキクの表情はまだ読みにくい。


「ポンピカ。悠長にヤサイを採ってる場合じゃないんじゃない?」

「う〜ん。そうなんだけどね?でも作物っていうか食べ物がないと結局解決できないよね?」


「そうだけどぉ・・・。でもポンピカだけは、先に合流して様子を見たほうがいいんじゃないかなぁ?僕らも出来る限り沢山食べ物を持って、後を追うよ」


なるほど。

それでいこう。

結構建設的な意見に聞こえた。


「ンダンダ。じゃぁ、皆にこの事を話してくれる?で、ある程度溜まったら急いでケルケオ使ってでもいいから後を追ってきてよ」

「そうするよ」


ンダンダが大きくうなずく。

ついでに、ウウダギが首を傾げている。

なんだろう?引っかかるのかなぁ?


「ウウダギ?どうした?」

「僕何処行けばいい?」


ウウダギはンダンダと一緒に集落で待機かなぁ?


「ウウダギは集落で僕の手助けしてほしいんだけど・・・一緒に行きたい?多分怖いよ?」

「・・・僕は足手まとい。帰ってくる所守る。僕の仕事」


なんとなく理解した様で嬉しいです。

でも少し俯いちゃったかな?

でも危険な場所に連れてくことはできないかなぁ?

数匹程度の集団相手なら何とか守りきれるけど、

もし100ものスキクが一斉に襲ってきたら、そりゃ逃げなきゃいけないし、

何より足が遅いウウダギを担いで走らないといけなく成る。


流石に体力は無限ではないしなぁ・・・。

男らしくないと言えばそうだけど・・・。

僕今はスキクだしねぇ。男っていうか雄なわけで・・・。

スキクはどっちかって言うと雌の方が強いからなぁ。

情けなくても結構何とか成るのがスキクのいい所だ。


今回はそこに甘えちゃおう。


「ウウダギごめんね」

「大丈夫。怪我しないでね」


なんていい子なんだろう。

怪我の心配までしてくれちゃう。


・・・あっちょっとやばい。

涙出てきそう。


「ポ、ポンピカ?早く行かなくていいのか?」


ンダンダは集落の心配が強いなぁ。

台無しだなぁ。


蚊帳の外の精霊さんは、なんとなく自分もついて行かないといけないのか?

っていう顔をしている。

付いてこないでどうする?


ウウダギが心配なのは分かるけど、流石に一匹で放り出してる訳じゃないだろ?

それに集落にウウダギが居るほうがいろいろと捗りそうだ。


「精霊さん。着いてきてね?じゃないと怒るからね?」

”ウウダギの側がいいのじゃ・・・”


「セイレイサン。ポンピカを助けて」

”うむ!ウウダギが言うなら仕方ないのう!ワシがなんとかしてやろう!”


切り替え早いなぁ。

僕の感想が入る余地すらなかった。


まぁいいか。


僕はその足で、合流組が留まっているあの場所へと向かう。

まぁ、場所も分かってるし、

現界の距離で言うなら確かに一日二日の距離であることは分かる。


一直線に向かえば、恐らくだけど、一日くらいは短縮出来ると思うんだよね。

向こうのキャンプの近くまで到着したら少し休んで、

様子を見ながら接近すればいいんじゃないかなぁ?


場所は分かってるんだ。

奇襲をかけれるのは僕の方なわけだし、

いざ不足の事態に成れば精霊さんがまえもって知らせてくれるだろう。

むしろ知らせてくれるのを期待して連れてくわけだしね。


・・・精霊さんって・・・。

式神にできそうだなぁ。

こっちの世界ならそれも可能なんじゃないかなぁ?

向こうだと、そもそも精霊っていうのが居なかったしなぁ。

居たとしても僕は見たことなかったし、

そもそもここまで術が効果を発揮するなんて知らなかったしね。


まぁ、ココ最近は精霊さんを式として、いろいろさせちゃってたしなぁ。

そろそろ、ご褒美でもあげないと怒っちゃいそうだ。


・・・まぁ、あげなくてもいいかなぁ?

僕の体を3週間も勝手に使ってたわけだしね。

まぁ、善意だろうけど。


いろいろ悩ましいなぁ。


僕は目的地へ一直線。

取り敢えずいつも腰に下げている袋が有れば、

狩りでなくても木の実や植物を採って移動しながら食べていける。


袋にはまぁ、いつもの便利アイテムがズラリだ。

クグナに縄、紐、火打ち石もあるし、スリングは上腕にいつも巻いている。

スリング用の石も袋に入ってるし、寝る場所さえ選ばなきゃ、結構充実してるんだ。


それに太ももや腰に有るホルダーにはカランビットやブレイカーもちゃんと装備されてる。

ちょっとした事でも無い限り大丈夫だと思いたい。


僕は現界を一匹で走って、木を登ったりジャンプしたりと、忙しくしてるわけだけど、

隣で、浮いて着いてきてる精霊さん。

本当に暇そうなんだ。


しかもつまんないからと言って、話しかけてくる。

無視したいけど、機嫌損ねると大事な時にしくじる気がしてならない。

一応それとなく「えっ?聞き取れなかった」とかいって煙に巻いているけど、

言い直しが酷いし、自分がいいたいことが優先で僕の話しは上の空だ。

なんだろう?結構酷い気がするんだけどなぁ。


「かなり進んだと思うけど・・・言ったんこのへんで寝ようかな」

”ふむ、もう少し先のほうがいい”


「どうして?」

”この辺は、肉食性の動物が多い。しかも相手が大きくとも怯まない”


「へー。僕こっちの方面に来たの初めてだから・・・。そういう動物が居るんだ?」

”うむ。それにこの辺りは特に木に登る種類もおる”


「へー。そこまで言うならもう少し先に行こうかな」

”うむ。この先に崖がある。崖の中腹にちょうどよい出っ張りも有るのじゃそこが良かろう”


なるほど。いい案だね。

言われるがまま、崖へと足を運ぶと、

なんていうか、崖だ。

想像してたのは10mも無いだろう崖をイメージしてたけど。

若干90度を越えてるところがちらほらしてる10m超えの崖だ。


ん・・・。

クライミングは、遊び程度しかやったこと無いんだけどなぁ。

しかも10mで命綱なしかぁ。

スキクが木登り上手いのは爪がちゃんと引っかかるからだよ?

こんな切り立った崖どうやって登れっていうんだ。


確かに中腹には出っ張りが有るのは見えるけど、

何より出っ張りの脇から鳥の巣が伺える。


ありゃ先客がいるじゃん。

使えねーじゃん。

なんで使えねーの言うんだ?


「精霊さん?」

”むむぅ・・・先を越されておったか”


どういう事?

あれ?もしかして、情報が古かった?

それも数年単位で古そうな雰囲気だけど?

先を越されたどころじゃないよね?

だって、巣から垂れ落ちてる糞の量が1年や2年のもんじゃないよ?

結構積み重なって壁面が川みたいに見えるよ?


”うむぅ。困ったのう”


困ったのは僕じゃない?

精霊さんは精霊なんだから困らんだろ?


”どうする?ポンピカよ”


そこで振るの?なんで?

ここを提案したのは精霊さんだよ?

なんで僕が解決する話に成ってるの?

確かに困るのは僕だし、僕が解決すべきことだけど・・・。

それにしてもなんていうか・・・そう、腑に落ちない。


「精霊さん。この先、古い情報はなかなかキツイ気がするなぁ」

”古い?どこがじゃ?たかが数十年ていどじゃろう?”


それ、スキクの寿命真っ当する単位くらいじゃないかなぁ?


「取り敢えず、ここじゃない場所のほうがいいかなぁ?あんな糞まみれのところでは寝たくないしね」

”確かに言えておる。さすれば、もう少しこの崖を登りきった辺りに高い木々が有ったはずじゃ。いや、この間も見た。有るはずじゃぞ”


そう?今度は新しい情報かな?


「そう?どのくらい前に見たの?」

”そうじゃなぁ。かれこれ5年ほどか?つい最近じゃろ?”


う〜ん。

僕生まれてないなぁ。

まぁ、木だったら早々変わらないだろう。


しかしどうやって登ろう・・・。

迂回したほうが良くない?

少し真っ直ぐ来すぎたかなぁ?


午前中に狭間を飛んだ時、この当たりも飛んだはずだけど、

移動が一瞬の事なので、細かいところを見て憶えてないんだよねぇ。


口ぶりからすれば精霊さんも大して気にしてないから、

以前のうろ覚えで答えるんだろう。


「どうやって、崖登ろうかなぁ」

”ふむ。では着いてくるがいい”


結局、精霊さんのうろ覚えルートを進む。

そのルートというのが、これまた随分前に落石やら崩れるなんかで、

結構、道が寸断されてたりして、険しかった。


なんだかんだ言って、結構な距離をこの日だけで走破したかもしれない。

まぁ、殆どが精霊さんのうろ覚えが元ナノもちょっと微妙だったわけだけどね。


方向とおおよその道順は、狭間を飛んだ時に憶えてるんだけど、

やっぱり細部は頭に入らないもんだなぁ。


今は、さっきの崖からもう少し目的地に近い場所に有る木の上で、

簡易的なハンモックを作って就寝に着いている。


「ねぇ。精霊さん」

”なんじゃ?明日は早い。早々に寝るが良かろう”


「明日には接触できるかな?」

”ふむぅ・・・。できねば困るかもしれぬなぁ?”


「やっぱり3日猶予ありそうな事言ってたけど危ないの?」

”多くて、3日じゃろうなぁ”


「じゃぁ、明日もし接触しても手遅れの可能性も出ちゃう感じ?」

”まぁ、儀式が効果を出し始めたと有れば、流石に止めるのは困難じゃろう”


「儀式っていうか、僕からすると術なんだけどさ?似たような術が知識としてあるんだよ」

”ほう・・・。じゃから色々と予想が出来ておるわけじゃな?”


「うん。だけど僕もそれをどうやって解除すればいいかはわからないんだ」

”つまり、発生する前までになんとしても接触しなければいけないわけじゃな?”


「うん。どうにかしないと可愛そうだよね?」

”そうじゃなぁ・・・。ワシが行ったときとは全く違う状況じゃしなぁ。仲間に使う儀式でもない”


「うん。まぁいいや。接触すればなんとか出来るかもしれない」

”まぁ、それを願うしか無いじゃろう。ワシとて、罪もないスキクを天に導く謎もう懲り懲りじゃ”


「うん・・・。おやすみ」

”安心して寝ると良い。ワシが見張りをしてよう”


精霊さんが、寝ずの番。

なかなか優秀な式神じゃない?

使えるよねw



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ