精霊さんの慌てようと、エネルルとは?
全然気が付かなかった。
真後ろから突然精霊さんに声をかけられた。
ちょっとビックリ。
ウウダギは既に精霊さんを見れるし声も聞こえる。
同じタイミングで振り返った。
「セイレイサン来た。ウザイ」
ウウダギそのまま言っちゃうね。
”うむ。可愛いワシのウウダギがそういうのであれば、ワシはウザくてもかまわぬ”
精霊さんは完全にウウダギをロックしてるなぁ。
お祖父ちゃんな感じなのかな?やっぱり。
「精霊さん?どうしたの?報告?」
”報告は報告じゃが、ちとマズイ事に成っておる・・・。アノ連中がやっている儀式は以前侵略者へ行ったワシの術に酷似しておる。アレでは最悪この集落が落ちるぞ”
随分物騒な話しになってない?
なに?何が有ったの?
「ちょ・・・。詳しく」
”詳しくか・・・。想いとは様々な形が有るのは分かるじゃろう?”
「あー。うん」
”皆の想いを一つの形に揃えることができれば、相乗効果が生まれると分かったんじゃ”
「精霊さんってさ?話しヘタ?」
”・・・”
「取り敢えずどうマズイのか教えてよ」
”・・・今のうちに想いの元、元凶をくじかねば、最悪マズイことに成る・・・それしか言えん”
「だからさぁ・・・どうまずいんだよ?」
”そうじゃな・・・簡単に表すと、オルデゴが25匹同時に攻めてくる”
「・・・まずくね?」
”じゃからマズイというておろう?”
・・・流石にオルデゴとか言う驚異が25匹で攻めてくると成れば、
僕一匹でどうにかできないだろう?
ええ?なんでそうなったの?
侵略者に精霊さんがやった儀式に似てるって言ってるけど・・・。
「精霊さん?その儀式ってどんな物?」
”さっきは、どうでも良さそうではなかったか?”
あれ?スネた?
「取り敢えずどんな儀式か聞きたいんだ」
”ふむ、じゃからな?想いを揃えて、一匹に全て注ぐのだ”
注ぐ?想いって気だろ?
意思とかだろ?
同じ想いをか・・・。
呪術・・・。
なるほど、大体分かってきた。
想いを揃えるとはどうやるんだ?
似たような陰陽道の術は聞いたことが有る。
アレは巫蠱術に近かったはず。
でも、最終は魘魅の事だよね?
呪術だ。
とすると、多分魘魅で間違いないと思う。
元の世界では、魘魅や蠱毒、巫蠱なんかはまずやっても効果がなかった。
魘魅ですぐ思いつくのは、藁人形に五寸釘だ。
要は呪術が呪いである所以。
呪って相手を害する行為、術のことだ。
その方法というか体系を魘魅と言っている。
道教はシャーマニズムから成り立っていて、
全ての物に魂があるとされていた。
だから形ある物には魂があり、
人は魂を持っていると思われていたことから、
人形にも魂が宿ると言う思いに至る。
そして、念じた人形にも魂が宿る。
つまり、恨みやそういった念を、想念とか邪念とか言って、
それを呪いの元である呪詛とする。
つまり念を持って生まれた人形には念によって魂が宿ったと言うことに成るんだ。
そして、似ているものは似る。
そういう事が経験上あり得た。
そう思った連中が、憎い相手を模した人形に念を込め、
憎い相手の代わりに害することで、
呪術となったんだ。
元の世界ではそんなことしても効果はまったくなかった。
なかったんだけど・・・。
実際こっちの世界では気が充実してれば、
精霊さんのように魂が証明されてしまっている。
もっと言うと、呪術が確立してしまってるんだ。
なれば・・・。
精霊さん曰く、
想念を一方向に集約する行為が一匹の生き物へ向いた時。
向けられた生き物は恐らく正気では居られない。
最終的にその生き物は死を迎えるが、己を失い、想念に突き動かされるだろう。
オルデゴが25匹・・・そう考えると、
やけに具体的な数字を聞けば、恐らく100は居るスキクが全体でその術に掛かった場合。
四分の一である25匹と言う思考か?
そうなると・・・いま飢餓状態だと言う話がきっと解決の糸口だな・・・。
そこは蠱毒の術が利用されてるのか・・・。
曰く、犬神だ。
または、猫鬼だ。
極限状態にして、更に一方向に想念を向ける。
それを呪詛とする。
犬神の話は良く聞く術の例だ。
要は、地面から顔だけだした目隠し犬の前に、
憎き相手の匂いのついた食べ物を置く。
まぁ、大体は相手の血だったはずだ。
すると、飢餓状態の犬は、その匂いを食べようともがく。
飢餓が進めば、いくら動物と言ってもその生存本能が刺激され続け、
動物としての正気が失われていく。
最高潮に狂気が高まった状態で、顔を隠した術者に犬は首を落とされて絶命する。
その後は、諸説があるけど、
まぁ呪うと成ればその犬の霊をそのまま式として憎き相手に飛ばすだろうなぁ・・・。
少なからずこっちの世界ではそういう事が出来るんだ。
だから精霊さんが居て、術がある。
そして術は僕も使える・・・はず。
嫌な術だなぁ。
「精霊さん?ちなみに極限状態のスキクの想いを相手に受け渡す方法は?」
”なぜ少ない情報でそこまで分かる?なぜじゃ?この術はワシが考えた敵を殲滅させるための術じゃぞ?秘術じゃ・・・なぜ分かる?”
「いいから!教えて」
”纏めるならば簡単じゃろ・・・食わせればいい”
そうかぁ・・・スキクって共食いOKだったわ・・・。
そうだよなぁ。
「じゃぁ、その儀式というか僕からすると術なんだけど、それを執り行ったのが・・エネルル?」
”ワシはそう見ておる”
エネルルは、それで無事に生き残れると思ったのか?
・・・生き乗れると踏んだ?
なにか方法があるんだろうか?
飢餓に狂った100匹もの想念渦巻く中でどうやって自分だけその影響を受けずに済む?
・・・?
いや・・・これエネルル無事じゃないな・・・。
黒幕はヴァレヴァレだ。
ヴァレヴァレの族長じゃないか?
向こうの族長って、自分の娘も手駒に使うのか?
「ねぇ・・・。エネルルって正気だった?手を出されてない?」
”正気では有るようじゃ、じゃが、ワシが似たようなと言っていたのは本来既に狂気に取り憑かれたスキクを集団に潜り込ませて、それを移して行くことで、より術の力を高める方法じゃ、つまり術者がその場にはおらぬ。じゃがエネルルというのはなぜかこの術の只中におるのじゃ・・・命がけ・・・ワシにはそう見える”
なるほどね。
精霊さんは、放ったら最後。
相手が全滅するまでずっと相手を喰らい続けるという術を構築したんだ。
なかなかえげつないね?
ってことはだ・・・。
今精霊さんが、マズイって顔してる。
そして昨日もマズイと漏らしてた。
・・・早急に対処しないと此方に向かっている連中が、
狂気にかられたスキクの集団となって押し寄せる・・・。
共食いで、最終的に100匹の集団が25匹に成るまで進むだろうと、
精霊さんは考えてるわけだ・・・
非情にマズイ状態だと言ってるんだね?
もっと早く教えてくれてもいいのになぁ。
「じゃぁさ?狂気にかられる連中はもう出てきてる?」
”まだじゃが、間もなくであろう・・・ワシがヴァンでなければ、手をくだせたが・・・くやまれる”
なるほど。
「術の解除は?」
”呪術がそう簡単に開放出来るわけではない。ことさらこの術は力が強い。始まってからでは手が付けれぬ”
だよなぁ・・・。
本能利用した術だもんなぁ。
飢餓かぁ・・・。
なるほど、飢餓か・・・。
飢餓を解消させるのがポイントだなぁ。
つまり、大量の食料を持ってけば済むんじゃね?
「大量の食料を持っていけば済む?」
”・・・難しいじゃろう。なぜなら、お前ではないが、スキクは殊の外、命令に弱い”
・・・まぁ、そうか。
言わんとしている所は分かる。
つまり食料を持っていっても、
リーダーである、エネルルが食うなと命令すれば、連中食わないんだ。
そして飢餓がすすむ。
更に間が悪ければ、持ってきたはずの僕らが槍玉に上がる。
そういう仕組みか・・・。
エネルルは自分の立場理解しているのか?
一歩でも遅ければ、恐らく餌食に成る。
上手く逃げおおせても、最終的に帰る道で多分自滅するだろう。
一番、貧乏くじ引いてる気がするけどなぁ。
自分の意思でやったとは到底思わない。
エネルルがもし普通のスキクの思考ならば、
親で有る族長から、
こういうやり方をしてきなさいと言われれば疑問もなくやってしまうだろう。
自分から死にに行く・・・。
流石にスキクはそういう思考はしない。
しないけど・・・やっちゃってるんだよね。
”ポンピカよ。どうする・・・ワシは場所まで案内しかできぬ・・・”
「流石に術が始まると厄介だね。いいよ。ちょっと呪詛を潰しに行こう」
”ジュソとは?”
「いいよ。そーゆーの。結構急ぎだから」
”そうじゃなではついてこい・・・と言っても体は流石に間に合わぬ・・・どうする?”
「そーだなー・・・。一度現状を把握したい。だから魂で場所をみるよ」
”うむ”
精霊さんが、案内してくれるそうだ。
まぁ、未知の場所というのは目に頼るしかない。
知っていれば一瞬だけど、
知らない場所へは、時間の経過が現界とほぼ同じだ。
案内のおかげで短縮は可能だろう。
「ウウダギ聞いてたね?」
「うん。少し死ぬ?」
まだ死ぬ死ぬいうんだなぁ。
まぁ、死んだわけじゃないんだ。
「瞑想はするけど、死なないから大丈夫」
「すぐ戻る?」
「すぐ戻るつもり」
「わかった。僕そばで待つ」
ううダギは離れたくないと言った。
可愛すぎる。
そして、何故か、精霊さんは僕を見て悔しそうにする。
分かるけどね?分かるけど、ウウダギは精霊さんの子供でもなきゃ孫でもない。
諦めてください。
ウウダギに「行ってきます」と言い。
瞑想に入ると、さっさと魂だけに成った。
そう言えば、魂だけに成ってもウウダギには見えるのかな?
一回手を振ってみる。
ウウダギの目が僕を捉えてるようだけど、くびを傾げてる。
見た目違うから混乱してるのかな?
「何をしておる?さっさと行くぞ」
「精霊さん?機嫌治そうよ」
「別にワシは機嫌が悪いわけではない!いいからサッサとついてこい」
めちゃくちゃ怒ってない?
なんで?
サッサとめの届く距離へと飛んでいってしまう。
目の届く距離なら一瞬で追いついてしまうのが、狭間だ。
認識できていれば距離が関係ない。
認識のない場所も感覚器官を利用すれば認識される。
つまり、目や耳、鼻などで分かる範囲ならば距離感がほぼ無い状態だ。
新しい、認識のしていないエリアへと導く手段としては、
次からのことも考えれば、今、精霊さんが行っているように、
「着いて来い」と成るわけだ。
ぶっちゃけそれしか無い。
全く知らない場所に一瞬で移動は出来ない。
そもそも知らない所ってのが知らないんだからなぁ。
まぁどっちが先かとか言う哲学な悩みと似てる問答だね。
さて、精霊さんがドンドン進んでいく。
昨日指さした方向。こっちは集落から北東の方角だ。
まぁ、風水で見れば表鬼門にあたるかな?
別に何か有るわけじゃないし、悪いわけでもないけどね。
一時間位かな?体感でそのくらいの移動をした。
なんていうか精霊さんが先に飛んで待っていて、
そこん僕が目視で飛んでいく。
それの繰り返しだったわけだけど、
相当の回数飛んだはず。
意外に疲れた。
「ポンピカよ。彼処だ。固まって集まっておるのが分かるだろう?」
精霊さんの指が示す方向にはパッと見た限りでは、
70匹か80匹位の数が居るのが分かる。
残りの20匹くらいはどうした?
「数が少なく見えるよ?報告では100匹くらいだって聞いてたけど?」
「うむ。恐らく他のスキクは寝ているか、動けないで居るはずじゃ」
更に様子を伺う。
すると、ヨロヨロとした動きで一匹のスキクが移動したかと思うと倒れ込んだ。
木の木陰に倒れ込んだスキクの様子が見て取れる。
様子からすれば完全な脱水症状だな。
息が早くそして浅い。
意識が朦朧としている様子。
口で呼吸しているし、その呼吸も蒸気を伴いそうなほど熱いように見える。
多分熱が出てるんじゃないか?
いま僕の目で見える範囲に居るスキクは皆どこかしら不調を抱えている様子。
さらに、小さいスキク達は、ほぼ意識を保って居る様子がない。
親と思われるスキクが子供へと寄り添っている様子が頻繁に見て取れる。
子供は多分この苦行というか術に耐えることが出来ないだろう。
それも分かっててやったのかな?
そう言えばエネルルがいない。
どこだ?
そもそもどんな姿してるんだろう?
「精霊さん」
「彼処だ」
ああ、そう言えば狭間だと心の声がそのまま筒抜けだったね。
精霊さんありがとう。
精霊さんの示す方向には、二匹の健康そうなスキクが呆然と立っている。
呆然と・・・。そう、一匹は明らかに当惑した様子なんだ。
もう少し近くへ行けば声が聞けそう。
「精霊さん。近付こうか?」
「大丈夫じゃろう。お前の集落以外でワシを見ることが出来るスキクは居なかった。つまりコイツラはワシ等を見つけることが出来ぬ」
以心伝心かぁ。効率がいいね。
ってかなんであの二匹だけ、あんな所でボケェってしてるんだ?
「恐らくじゃが・・・。様子からすれば、こう成ると聞かされていない・・・。ワシはそう見たぞ?」
精霊さんと、二匹の近くまでゆっくり近づく、
するといろいろ聞こえてきた。
「エネルル様、これはもう手が付けれません。俺やあなたの声が届かなく成ってます」
「わたしは、聞いてません!このような事に成るだなんて!」
「しかし、これでは・・・。これも族長の指示ですか?」
「・・・ええ」
なるほど、大体わかった。
話を聞いたので、
精霊さんとその場所から離れる。
「なぜ離れる?まだ聞けることも有るやもしれぬぞ」
「多分、手遅れかなぁ・・・。あの連中は既に言う事を聞かない様子だしね。言ってたじゃん」
「ではどうする?あれはこのまま進んでしまうじゃろ?」
「まぁ、そうだけど、それにしてもなんでアノ二匹、逃げないの?サッサト逃げればいいのに」
「さっき言っておったじゃろ?ヴァレヴァレの族長から恐らく留まるように言われておるのじゃ」
「そうだね。あの二匹も捨て駒ってわけかぁ。随分な事するね?借りにも自分の子供だよ?正気だと思う?」
「どうじゃろうなぁ?ヴァレヴァレにはワシを見れる者はおらぬでな、大して詳しくは知らぬ」
「そう言えばウチの族長は前から知り合いっぽいこと言ってたよ」
「・・・まぁ、そういう因果は結んであるはずじゃ。前の生と今の生の間には前の生でより近き仲間に恵まれるようにと、仕組んであるはずじゃ。ワシは旧き者からそう聞いておる」
「でも、その仕組みって、デメリットも大きいね?僕としては・・・メリットのバランスが崩れやすい出来損ないの仕組みに思えるんだけどなぁ?旧き者ってのは、随分急いでたのか?手抜きだよ」
「・・・言わんとすることは分かるのじゃがな?それしか無いというのも事実じゃ。そこは上手く使うしかなかろう?」
「・・・まぁ、いいけどね。ってかこれ、凄い光景だね?気が荒れ狂っていて、一定のリズムも取ってないよ?暴風雨の中に居る感覚だよね?」
「うむ、ワシも肉体がないからのう・・・少々キツイ」
「もう少し離れよう。少し観察は続けたい」
「うむ。しかしどうやって止める?これでは本当に3日後には、恐れている事態が起こりかねぬ」
「取り敢えず今日か、明日とかには何とか手をうたないとね?」
精霊さんも忌々しそうに、例の二匹を睨みつけている。
睨みつけたってなにか変わることはないので、無駄なことはしない。
エネルギーの無駄遣いだ。
ってか、なんぜこんなに混乱してる状況で、皆、食事どころか水分さえ口にしない?
眼の前にぶら下がってる果物が有るだろ?
いい匂いに誘われないのかなぁ?
ってか、なんで動かない?
何にしても逃げないしなぁ。
ずっと無駄にじっとしてたりするけど・・・。
もしかして、「動くな」とでも言われたのか?
それを律儀に守ってるの?
・・・もしそうならスキクってのは随分出来が悪い人形だよね?
やばくないか?本能さえ抑え込めるって・・・。
しかも言葉だけで、呪詛のたぐいも無くだよ?
ありえないだろ。
「ねぇ?精霊さん」
「ん?」
「なんで逃げないんだろう?さっさと食べ物が有る場所に移動すればいいと思わない?」
「恐らくこの群れの長が動こうとしないためじゃな」
「やっぱり、命令ってそんなに守んなきゃダメな感じ?」
「・・・ワシは例外じゃが、多くのスキクは命令というか、自分より上に居る者からの言いつけは絶対遵守してしまう性質が有る。まぁそのおかげで、酷い仲間割れが起きてはおらぬがな」
「いや、そうなの?僕はただ、運が良かっただけに思えてならないなぁ?利用出来るぞこんなの」
「前言撤回じゃな、ワシが特別例外なのではない。お前がスキク、ザーザースの理から外れておるのじゃな」
「結構な言いようだけど・・・。まぁいいや。一旦戻ろう」
「対策はどうした?」
「一応考えたよ。でも今の段階じゃ最優先は食料を運ぶことかな?それ以外に出来ないし、僕が直接乗り込まないと、多分エネルルとか長とかも何も出来ないまま術が発動しちゃうでしょ」
「まずはコヤツ等の飢えをなんとかすることからじゃな?」
「それしか方法がなさそうだ」
結局、精霊さんと話したけど、
この術ってのは、特に手放しで相手をとことん殲滅出来るから作り上げたようだ。
だけど後処理に困るらしく、
殲滅した敵(侵入者)の数よりも5倍ものスキクの命が最終的に削れたそうだ。
以降、この術は封印されているらしい。
らしいというのは、その術自体を精霊さんしか知らない上に秘匿していたから、
誰も知らないはずなんだそうである。
でも、事実似たような事が起きてしまったわけだ。
因みに、もし術の方法が漏れたとするならば、
何処からだろう?と考えてみた。
開発者であり施行者である精霊さんはそもそも教えない。
では何処からかと言えば・・・術を体現した者だろう。
だけど精霊さんにそれを言うと、鼻で笑われた。
「何を言っておる?気が触れて、正気でない者が正常な判断何ぞすると思うてか?更にその記憶が残った状態で生まれ変わるなぞ、不可能じゃろう?しかもワシが選考した被験者は死後、天にワシ自ら導いてやった。つまり記憶は存在せぬ。故に被験者が伝承者で有ることはありえない」
立派にいいのけたなぁ。
精霊さんの言うことは最もだけど、
事実が事実だからなぁ。
もしかして、ヴァレヴァレの族長が独自に開発したか・
それか過去に精霊さんと仲の良かったスキクが元だったり?
その辺なら受け継いでいても良さそうだなぁ。
「ポンピカよ。それも無いと断言しよう」
聞かれてたなぁ。
一人で頭に思い描く事が全部、盗聴されてるような感じだなぁ。
さっさと体に戻るか。
「そういうことで、精霊さん体に戻ります」
「対策は出来たと言っておったな?何より発動までになんとか食い止めねばならぬ。心してかかるのじゃ」
言われなくても分かってます。