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族長の焦りと後手


今日は、殆ど何もしてない。

オルギュスの訓練で、時間を使ってしまったし、

何より自分を鍛えるのもついでに行っていたので、

まぁいいかと言うくらいだった。


明日は、避難民化しているヴァレヴァレ合流組に対応するため、

族長へと軽く話を通そうとおもう。

まぁ、食料を取り敢えず溜めて、

合流組が飢えから開放されるよう願うばかりだ。


オルギュスは明日使い物にならないだろうし、

何より、他にやらなきゃいけないことが多い。


ギュギュパに達は製鉄所を作るだろう。

その作業にウウダギも駆り出される。

と、なるとやる気の出たパパムイとイイオオあたり、

あとはンダンダに頑張ってもらうしかないかな?


そっちの指揮はぼくが段取りを進めればいいかなぁ?


家造りがドンドン遅くなるけど、

今はやらないといけないことが多い。

優先順位が高いからなぁ。


まぁ、仕方ないだろう。

最近じゃ、足腰が少し出来て切れるバルバル達はハンモックで寝ているし、

何より、僕が3週間ほったらかしにしていたこととかも有るだろう・・・多分・・・。

いろいろ見つけて、穴埋めしていかないとダメだよね。


取り敢えず今日はウウダギと仲良くいつもどおりに寝るかな。


さて、ウウダギがモゾモゾと僕のお腹の上に来た。

撫でると目を細くして気持ち良さそうにするんだよね。

可愛いなぁ。


あっという間に寝息を経て始めた。

僕も寝よう。

満天の星、綺麗。

そう言えば、月ってこっちにも有るんだね。

今まで空を見上げてもなんにも思わなかったけど、

こう静かだと星がよく見える気がする。

いろいろ気づく事も多いね。


しかし、星っていうのはあれだね?

こんなにも地球と違うんだね。

まぁ、月が二個有るけど、大きさも違うし、

色も全然違う。


前世の住んでいた場所からは、

よくオリオン座とか見えてた。


似たような形がないか探したりするけど、

全く違う。


ただ、ここから見る所で、

北極星は有るんだ。

全く動かない。そして中心として周りが回るだけっていうやつね。

それが北にあるのも同じ。

変な所で一緒だったりするんだ。

まぁ、実際に僕が今見ている北極星と前世の北極星は星事態が違うだろうけどね。


明るさはこっちのが明るく見えるね。

いや、全体的にってはなしだからね。


確か古代の人々は星座でいろいろ占いだとか世界のことを読み解こうといろいろやってたよね。

こちの人類も似たようなことをやってるのかな?

もしやってるならきっと星座や物語も有るんだろうか?


まぁ、今の状態ではなんともわからないけど、

今生、生きているうちに外の世界と触れてみたいものだなぁ。


いろいろ制約が厳しそうだけどね。


さて、僕も寝よう。

明日は、忙しいだろう。

おやすみ。


翌朝もいつもどおり良い朝である。

うん。とっても気分が良い。

昨日オルギュスの訓練の付き添いで少しは体が絞れたみたいだ。

動きが良い。


でも、ここで日課を怠けるようなことはしない。


「ウウダギおはよう」

「ん〜。 ポンピカ。おはよう」


少し寝ぼけてるなぁ。

可愛い。


「体操して食事しようか?」

「うん」


ウウダギと一緒に太極拳を行い。

鍋の所へ。


今回ウウダギはへばらなかった。

体力ついてる。


ちっちゃくてもスキクは変化が著しいね。

これ見るとオルギュスは多分大丈夫そうだなぁ。


まぁ、鍋の所に着くと、昨日と同じで族長の周りに皆が集まっていて、

これまた昨日と同じで僕等待ちしているようだ。


大した話じゃないんだからさっさと終わらせばいいのになぁ。


「ポンピカが来たようじゃな、では始めよう。皆よ。昨日も話したが、合流するヴァレヴァレからまた鳥が来た。2日の距離にまだ居座っておるようじゃ。なにか問題が有ったようじゃな・・・。しかし、ワシ等がやることは変わりない。引き続き皆に万進してもらいたい」


今日の族長のお言葉でした・・・。

とは行かない。

昨日精霊さんが僕の所に報告してきた内容を伝えないといけないし、

何よりその内容は皆周知してもらいたい。


族長が解散を命じる前に、サッと手をあげる。

族長がソレに気づき、僕を指さして、発言を許された。


「えっと、昨日オルギュスをこっぴどく訓練してる時、精霊さんが報告に来たんだ。僅かな時間だったけどね。その中で分かったことがあるんだけど、今言ったほうが良いかな?族長」

「許可なぞ求める必要はない。好きに言ってみろ」


「まぁ、バルバル達には耳が痛い事に成るかもしれない。でも聞いてほしい。特にベネネズは先走らないようにね。ギュギュパニ、ちゃんと見張っててね」


前ふりをしておいた。


「さて、2日の距離に居るのは確かだ。昨日精霊さんが言ったとおりで、何か有ってまだ移動をしていない。これも事実だ。」

「精霊さんから聞かされた話しでは、多くの小さなスキクと雌、ソレに僅かな雄がコチラへ向かっているらしいんだ。」


「ポンピカよ。その辺りは皆把握しておるじゃろう?本題はまだか?」

「話すよ」


「さて、本題だ。彼ら、合流してくるヴァレヴァレ達だけど、かなりの飢餓状態だ」


そこに来て、皆がざわつき始めた。

一番大きくざわついてるのは、まぁ元ヴァレヴァレのバルバル達。

その中でもベネネズがキョドり始めてる。


「さらに、バルバル達なら分かると思うけど・・・どうやら健康状態が良く、正常なスキクが一匹居て、どうやらそいつが指揮を取っているようだ。・・・エネルル。名前は分かるね?」


ベネネズがすぐさま走り出そうとした。

ソレをギュギュパニとバルバルがガッチリ止めた。

方向知らないだろ?何処行くつもりだ?


「ポンピカ。それは本当か?」

「族長?こんな事にウソは言わないよ。ここでウソ着くと後でひどい目にあうからね」


「では、その知らせを聞いたワシ等にどうせよと?」

「一番大切なのは生き残ること。それだけだ。つまり、狩りや採取を今日一日皆で行って、なんとしても合流するヴァレヴァレ達の飢えを解消しなければならない」


「ふむ・・・。それがワシ等に出来る最優先とお前は言うのだな?迎えに行けばよいのではないか?荷台もあるじゃろう・・・今この集落には備蓄も多い。それをかき集めればすぐにでも合流出来るのではないか?」

「族長。それをやると、この集落が危機的状態に陥るよ。今ある備蓄だって、結局は彼らを満足させるほどの量はないよ。なにせ僕等の数の10倍は居るんだからね」


「・・・しかし・・・小さいスキクが飢餓に襲われているのだろう?助けねばならぬだろう」

「今ある備蓄を仮に、彼らの為に使ったとしよう。するとつぎの日の食料にも事欠き始める。それと教育には時間がかかるだろ?彼らがパパムイ並の腕前の狩りが出来るならいざ知らず、事実狩りが上手く行かなかったからこの状態なんだ。そうなると、彼らの分だけでなく僕らの食料をも確保できなくなるんだよ。僕らが向こうの数に引っ張られて自滅しかねないんだ」


「ぐぐっ!ではどうしろと言うんじゃ!」

「落ち着いてよ族長。まずは今日一日で出来る限りの食料を確保するんだ。その上で、ンダンダやイイオオ、パパムイには引き続き食料確保を継続してもらう。でなければ、合流組が僕らと同じ基準に成るまでの間に食料が尽きちゃう」


「それは分かっておる!そうではなく!ヴァレヴァレの!合流するスキクはどうするのかと言っておるのだ!」

「一時に大量の食料が無くなると生産には時間がかかるんだ。狩りならその数にも制限が出る。この集落ではパパムイが狩り、イイオオが漁、ンダンダが農業だ。数が足りないんだ。その上で彼らを救わなければならない。だけど、全部を救う手段がない。・・・残念だけどね」


「見捨てろと!?そういっておるか?それでは合流前からそれは分かっていたことではないのか?なぜ準備を怠った・・・なぜ・・・」

「族長。救うよ。救うけど、全て救えるとは言えない。残念だけど現在進行系で、餓死しているスキクも居るかもしれない。」


「・・・ぐッ・・・どうにかならぬか・・・」

「・・・族長。分かってるんじゃないの?ある程度狩りが出来る連中だったらこんな状態には成ってないんだ。エネルルだっけ?随分な選別をしたみたいだね・・・。いや、それがヴァレヴァレの族長のやり方なんだろう・・・多分あてつけもあるんだよ」


「・・・そうじゃな、アヤツはいつもこの様な手を使ってくる・・・始末におえん・・・」

「だけど、こんな状況でも助けれるスキクも居るだろう。一日だ。一日でどうにか食料をなんとか確保しよう。そうすれば、助けれる数も増える。問題も少なくて済む。踏ん張りどころじゃないかな?」


「・・・わかった。そうしよう」

「ってことで、悪いけど、皆コレから集落の一員と成る者が飢餓に苦しんでるんだ。まずは不慣れでも良い。何とか食べるものを溜め込んでほしい」


族長とのやり取りを黙ってみていた皆が力強くうなずいて、

思い思いに狩りの道具や漁の道具を手に散らばり始めた。


鍋の食事を食べてないのは僕とウウダギだけだったようだ。

族長が自分の居場所に座り込み、傍らにはズズナドが気遣っている。


まぁ、ズズナドになんでお前も行かないんだ?

という事は言わないでおこう。

こう言っちゃなんだけどズズナドは狩りが出来ない。

ほぼ全くと言って出来ない。

なのに大食いなんだ。

困ったね。


そう言えば、集まっていた中にはオルギュスがちゃんと居たな。

体力回復したのかな?

きっと筋肉痛とかで動くの難しと思うんだけどなぁ。

やっぱり、元仲間だもんな、それにベネネズの事もある。


皆で手分けして狩りやら漁やらをしに行った。

ベネネズが暴走しなきゃ良いけどね。


「ポンピカ。僕バッタとる」


ウウダギも食べながら僕にそう言ってくる。

すごく健気だなぁ。


それにしてもやっぱり厄介な問題を持ってきたなぁ。

精霊さんから報告された時はあれぇ〜?って思ったけど、

よーく考えると、結構酷い状況だなぁ。


う〜ん。困った。

僕もなにかしないといけないだろう。

ここはあえて、植物に頼ろう。

エネルギー源である炭水化物は植物からの方が効率的に摂れる。

さらに虚弱に成っているであろう飢餓のスキクにいきなり肉類を与えれば、

消化が出来なくて、死に至る可能性もないわけじゃない。

小さいスキクならなおさらだ。

ウウダギが病気で何とか持ちこたえたのも偶然が大きい。


さて、食事も終わる。

ンダンダに合流だな。


食事が終わり、族長に移動をする旨を伝え、

ンダンダの所へ向かった。


ンダンダの畑は広い。

広いけど、やっぱり一匹では収穫が追いついてないんだろう。


見えないけど奥の方からケルケオの声がする。

ンダンダもケルケオも既に頑張っているようだ。

僕も頑張んないとね。


ケルケオの声が近づく、

既にウウダギは袋に何匹かバッタや食べれそうな昆虫を袋へと押し込んでいる。

まぁ、僕も獲るのは手伝ったけど、

アレだなぁ、ウウダギは反射神経結構いいね。

バッタや昆虫が逃げそびれるんだ。

何ていうかどっちに逃げるか分かるようで、

飛び出した瞬間を掴んでることがほとんどなんだよね。


袋の中身も増えてくる頃にはンダンダに合流出来た。

ってかなんでこんなに食べれそうな昆虫が沢山畑に住んでるの?


「ポンピカ。随分大変なことに成ったね」


ンダンダも現状がどんなだか理解してくれてる。

まぁ、皆の前で族長とやり取りしたんだ知ってて当然だけどね。


「まぁ、仕方ないよね」

「でもポンピカがいつも食料の事に力を入れてたろ?こういう事のためだったの?」


「いや、そうでもないんだ。でも、食料が少なくなる時期はあるだろうからそれでも皆がひもじい思いをしないで済むようにと思ったのは確かかな?特にウウダギがひもじい思いをしないようにって考えてたからね」

「そっかぁ。そりゃそうだよね。 あ、それともし手伝ってくれるなら、あっちの木の実を袋に入れてよ。あの木の実かなりお腹に溜まるんだ」


「わかったよ。ンダンダは?」

「僕はほら、コメの実を大袋に4つ積んだんだ。まだ採れるから続けるよ。お腹が減ってるってことは沢山食べるんだろ?だったらコメだよ。お腹が落ち着くからね」


「へぇ〜w。ンダンダもわかってきたね!」

「へへぇwでも、悠長に話してられないね。今日は頑張んないと!」


そりゃそうだ。

僕も収穫を進めよう。


ウウダギは既に僕の近くでひたすら昆虫をせっせと袋煮詰めてる。

凄いとり方だよね。

なんであんなにホイホイ採れるんだろう?

不思議。


・・・そう言えば、コメって天日干しとかするものだよね?

その肯定がすっ飛ばされてるなぁ・・・。

でもちゃんと食べれる。

粒が大きいからコメを食べている気分にはならないけどね。

これでチャーハンとかは作れないなぁ。

おにぎりも無理だ。

粘り気が出ても粒が大豆くらいあるんだしね。


練って、せんべいにでもするか?

スキクは歯が強いわけじゃない。

基本丸呑みなわけだし、

せんべいみたいに固い食べ物は余り向かないかもしれない。


そう考えるとおかゆやなんかは食べやすいのかもしれないなぁ。


練り物で作るなら団子か?

そっちのほうが受けそうだ。


でも、せんべい・・・捨てがたいなぁ。

大豆も塩も手に入る状況だ。

発酵食品作り始めるかなぁ?

牛乳が有ればチーズも作れるだろうし、


発酵食品はおいおい作っていきたい。

醤油も作れるだろう。


発酵食品が進めばお酢もつくれるし、

何より僕は飲んだことないけどお酒も作れるように成るだろう。


まぁ、実家がスナックやってたからお酒がどんなものかは知ってるつもりだ。

アルバイトで実家の手伝いしてたわけだしね。

まかないじゃないけど、

ちょっとした惣菜みたいなものも作ってたから現状料理が出来るわけだしね。


ふむぅ。

なんだかンダンダといると、落ち着くなぁ。

なんでだろう?


さっきまでピリピリしてたのに不思議。


「ポンピカ。袋一杯」


ウウダギが結構なパンパンに膨れて、モゾモゾ動いている袋を見せてきた。

褒めてもらいたいらしい。


「ウウダギは凄いなぁ。僕じゃそんなに獲れないよ」

「大丈夫。バッタおいしい」


なにが大丈夫かわからないけど、

それでも食べごたえがある昆虫類が集まってる。


別の袋を用意して、また昆虫の採取を進めてもらおう。


なんやかんやいろいろと収穫しているけど、

あれだね。


三匹だけでやるような作業じゃないなぁ。

全然手がついてない場所もある。

っていうか、なんでこんなに広い?


「ねぇ、ンダンダ」

「ん?」


「どうしてこんなに広くしたの?」

「広く?なんのこと?」


「いや、畑広くない?」

「・・・そうかなぁ〜?僕は余り広いと思ったことないんだけど・・・」


自覚がさっぱりない。

やっぱり慣れなのだろうか?


「でも手がついてないところが多いよね?」

「いや、今収穫してる所は、ちゃんと成長した場所だけど、手のついてない所はまだ育ちきってないんだ。だから早めに収穫しちゃうと美味しくないし、もったいないだろ?」


なるほど、管理はしっかりしてる。


「そう言えば、前もそんなこと言ってたね?気になるの?」

「まぁ、正直きになる」


「ふーん。でも、もっと広げると思うよ?一ヶ月位でこれくらいまで出来るんだ。もっと広ければ食べるものに困らないだろ?」

「まぁ、その方向でいいよ。むしろそっちの方が助かる」


「うん!それよりあっちのクダモノだっけ?実を収穫してほしい。隣の実はまだ熟してないから気をつけてね」

「ん〜。わかった」


僕と一緒にウウダギも果樹園まで移動。

ウウダギは果樹の幹や枝に居る虫をキラキラした目で見つけては、

捕まえて袋に入れ始めてる。


芋虫系がおおいきがするけど・・・。

まぁ、焼けばそれなりに食べれるからいいかな?


ンダンダが指定した果物は、若いとま緑の実なんだけど、

その色がだんだん薄らいでいき、黄色からオレンジ色にまで濃くなる。

オレンジ色まで行った物を収穫しているんだけど、

凄い芳醇な匂いがする。


この実は僕見つけたことない。

流石、ンダンダだよね。


匂いはなんだろう?

パッションフルーツ位、化粧品に近い種類の匂いだと思う。

前世では嗅いだことない匂いだけどね。

でも果物って感じだ。


味はどうなんだろう?

僕食べてる記憶がない。


ウウダギは食べたことあるかな?


「ウウダギ。この果物食べたことある?」

「うん。甘い」


甘いんだね。

酸味はあるのかな?

ここでつまみ食いはダメかな?

つまみ食いしちゃうと、精霊さんと対して変わらないなぁ。

やめとこ。


指定された、果物を収穫完了。

結構な量を収穫できたと思う。


軽トラ一台分はあるね。

結構時間掛かったなぁ。


まだ、お昼にならないかな?

お腹すいてきた。


”ポンピカ。ここに居たか”


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