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オルギュスダウンとパパムイ


オルギュスをしこたま鍛えた。

鍛えたけど今日は同じ動きをずっとやらせた。

それでいい。

小手先だけ上手くなるような鍛え方はしない。

実際に生死に関わる技術だ。

しっかり身につけなきゃいけない。

何より体力がない連中だからなぁ。


でもバルバルとベネネズはきっと体力がついてきてるはずだ。

そう考えると、イヂジンやセルセルそれにヒュルル辺りを鍛えないとダメかな?


もう一匹訓練していれば、

きっと手合わせも出来るだろうしね。

良い結果に成ると思う。

何はともあれ練習だね。


帰り道、オルギュスは僕の肩にのしかかる状態でデロデロに疲れている。

ほぼ意識がない。

っていうか多分疲れすぎて寝たいだろう。

でも食事は摂らせよう。


鍛えた意味がなくなるからね。


集落の鍋まで到着する。

周りがざわついてるけどどうしたんだろう?


「パパムイどうしたの?」

「ポンピカ・・・オルギュスになにしたんだ?なにかと出会っちまったのか?」


・・・オルギュスが関係してるの?


「ポンピカ。オルギュス。虫の息」


ウウダギまでどうした?

虫の息ってw面白いねw


ウウダギが僕の側で地面に倒れ込んでるオルギュスにペチペチしてる。

ジーっとみたあと、僕のほうへ顔を向けると。


「死んでる?」

「死んでません」


ウウダギが目を大きくしてまたオルギュスを見る。

そして、なぜかウンウンとうなずいて。


「生きてる」

「うん。ちょっとしごきすぎたかなぁ。沢山食べ物食べさせてねせないとね」


「わかった」


ウウダギがギギリカの所に行って三匹分の食事を持ってくる。

っていうかお盆を作ってるみたいで、器がそれに乗せて運ばれてる。


なかなか賢い。


今日は珍しく、パパムイも隣で食べるようだ。

パパムイも居るってことはギギリカもだ。


オルギュスの口に喉ポンポンしながら、

食事を流し込んでいるウウダギも居る。


さっきのザワザワは、どうやら僕が担いできたオルギュスについてだったみたいだ。

また、何か有ったんじゃないかと思ったらしい。


まぁ合流組が悲惨な状況だからなぁ。

見てないけど、精霊さんの顔がしかめっ面だったから相当だろうなぁ。


「なぁ?ポンピカ」

「ん?」


「なんでオルギュスがこんなに成ってんだ?」

「あ〜。ギュギュパにには内緒なんだけどさ? そろそろ合流しそうなんだよ」


「合流?なにがだ?」

「パパムイ?憶えてないの?ヴァレヴァレよヴァレヴァレ」


「・・・あー!あー。たしかにそんな事あったなw俺忘れてたぜ」

「もー。ホントに興味無いとすぐ忘れるんだからぁ」


「そうそう。ヴァレヴァレが合流するんだ。だけど、いまこの集落から2日くらいの所で立ち往生してるっぽくてね。実際にここに到着するのはまだ後っぽいんだよ」

「へー。なんでポンピカはそんな事分かるのよ?」


「・・・精霊さんだよ。精霊さん。 ちょっとお願いをして、見張ってもらってるんだ」

「おー!セイレイサンってのは、あれだろ?ラマナイのヤツだよな?」

「うん。そうなんだけど、精霊さんって結構偉いスキクみたいだから余りかまっちゃダメだよ?」


「んなこた、わかてるよ。ギギリカにちょっかい出したときはホント腹が立ったしな」

「そうよね。まぁ、腹がたったとか言ってるパパムイは、となりで馬鹿笑いしてたけどねっ!」ドン!


ギギリカの肘鉄がパパムイの横っ腹にクリーンヒットして、食べてた食事が少し溢れた。

ついでにパパムイがむせてる。


「ゲホッ・・・ったく、相変わらずギギリカにはかなわねーなぁ。 でもよ?なんで、オルギュスがこうなるんだ?ヴァレヴァレが合流するならそれでいいじゃねーか?なぁ?ギギリカ」

「・・・パパムイ少しは頭使わないと、ダメに成っちゃうわよ?」


「えー?なんだよ? 俺そんなにダメか?」

「ったく。 多分ポンピカは、また問題が発生すると思ってるのよ。 それもほぼ確実にね」


「??どういうことだ?ポンピカ」

「あー。まぁギギリカが大体把握してるっぽいけど・・・。精霊さんの報告でも厄介な相手が同行してるっぽいんだ。」


「厄介?どんなヤツだ?」

「どんなヤツっていうのは正確には把握してないんだけど・・・。パパムイはベネネズの事どのぐらい知ってる?」


「う〜ん・・・。全然しらん!」

「あたしは、少しは知ってるわよ?子供が向こうの集落で暮らしてるって。しかも、向こうの族長がその子供を理由にしてベネネズをオルガクルガの所に潜り込ませたって話しでしょ?」


「そうそう。それだよ。それやったの向こうの族長じゃなくて、その子供で、雌のエネルルっていうヤツらしいんだよ。オルギュスとヒュルルから聞いてるし、ベネネズは余り口に出してないからアレだけど、それでも話は聞いたよ」

「ほへー。ひでーヤツだな?その雌。 まるでポンピカみたいじゃんかw」


えっ?それ酷くない?


「・・・パパムイ?ちょっと酷いんじゃない?僕はそんな事しないよ?」

「えっ?しただろ?ケルケオの時」


・・・あー。

そうか、やったわ・・・確かに卵を人質にしたなぁ。

似てるか?


「・・・あん時は・・・ほら・・・ってか、あん時パパムイ気を失ってたじゃんか!」

「いや、そうだけど、聞いたぜ?」


「誰から?」

「ほら、そこに居るウウダギから」


・・・ウウダギが言っちゃったかぁ。

まぁそれなら仕方ないかぁ。


「そうか・・・。まぁそれなら仕方ないか」

「ウウダギじゃないと大変なことになってそうだなっw」


「パパムイ。ホント笑い事じゃないでしょ?大丈夫?」

「いいんだよ!ポンピカはそれでも守る為にやったことだ。だけど、そのナントカっていう雌は、この集落を襲う為にやったんだろ?ポンピカより悪いやつだなw」


まぁ、パパムイはこう言うヤツなんで、今更だしなぁ。


だから名前が呼ばれたからってううダギちゃんはこっちを気にしないでいいよ。

先にオルギュスの食事済ませちゃってくれる?


「でもよ?もっと分からなくなったぜ?なんでオルギュスが、厄介なヤツが来るとしごかれるんだ?」

「んもー・・・パパムイったら・・・ホント、頭足りないわねぇ」


「んなもん。わかるわけねーだろ?俺は頭が足りないんだ。皆も知ってるだろ?」

「まぁ、そうだったね。パパムイに遠回しに言っても仕方なかったね。 簡単に言うとさ?防衛の力を付けないとイケないんだよ。だから取り敢えず一匹でも力をつけちゃおうとやってみたんだ。その結果がこれだね」


「ほー。 ・・・それ、俺も参加できねーか?」


ん?なんだろう?

パパムイの目が突然真剣になってるんだけど?

ココ最近で一番凛々しい顔してるよ?大丈夫?熱あるんじゃない?


「パパムイ!何言ってるのよ!そんなことしたら誰が狩りするのよ!」

「そんなこたーわかってるよ。でもよ?俺だけ何もないだろ?流石に頭が足りない俺でも気づくぞ?」


確かに。

確かにそうだ。

なんでパパムイだけ殆ど変化してないんだ?

狩りが凄いうまくなったとか、

大物を仕留めまくったとか全然聞かない。

プンタの不思議パワーはパパムイを避けてるのか?


なんでだろう?

そっちのほうが不思議だ。


今まで、狩りだけをしてきたパパムイ。

そして、不思議パワーがガンギマリすればそりゃもう・・・。

クウォンだろうがケルケオだろうが、狩りまくってしかるべきだ。


でも現状、スキクの数が多くなったせいで肉類の食料の消費が激しい。

以前より頑張って狩りはしてるようだけど、相変わらず成果はそれ程増えていないようだ。

肉類の不足分は、殆どが魚と、ンダンダが見つけている肉っぽい植物が主流になってる。


なんで不思議パワーの影響を受けないんだ?

頭が足りないからか?

それだったらデデンゴもじゃないか?

でもデデンゴは恐らく個体として一番変化がある。

ぶっちゃけ種族が変わってるかもしれないほどに。


可笑しい。

なんでだろう?


まぁ、パパムイだしなぁ。

仕方ない気がするし、まぁ大丈夫だろう。


でも戦と言うか争いが嫌いパパムイがなんで訓練なんて受けようと思ったんだろう?

狩りでもっと成果を上げればいいじゃないか?


「ねぇ?パパムイは争いが好きじゃないよね?」

「・・・ああ。そうだけどな・・・でも、俺も少しはなにかしないとダメじゃないかと思うんだ」


パパムイなりに悩んでるんだなぁ。

熱があるとか思っちゃってごめんね。


「どうせなら、狩りでより沢山取れる方法を考えてみれば?」

「頭が足りない俺が思いつくわけねーだろ?」


「前話したヤツ憶えてる?罠ってもの」

「罠かぁ・・・。俺はポンピカみたいに沢山知ってるわけじゃないからなぁ」


「罠を沢山作るとか、効率がいい罠を考えるとかしてみればいいと思うよ?どっちにしても今すぐパパムイを鍛え上げることが出来ないんだしね」

「そうかぁ・・・。だけどよう?俺もなにかしたいんだ。どうしたらいい?」


「そーだなぁ。取り敢えずだけどさ?コレから合流するスキクはどうやら飢餓状態らしいんだ。狩りが下手らしくて、まともに食べ物も食べてないらしいんだよ。それが結構ひどい状態らしい。正直ドン引きすると思うくらいらしいからね」

「・・するってーと、相当な数の獲物を獲ってこなきゃいけねーのか?この数日で」


「そーゆー事なんだ。これはパパムイにしか出来ないしパパムイなら出来るだろうと思う」

「・・・わかった。いいぜ!俺が何とかしてやる!100だろうが200だろうが狩り尽くしてやるさっ!」


「そうでなきゃなっ!さすがパパムイだ!そういう所好きだよ」

「よせやいっ!雄に好きとか言われたってなぁ〜?ギギリカ」


「あたしもそう言う所は好きよ。期待してるからね!」ドン!


またもや肘鉄を食らって悶絶するけど、

今度はパパムイもニヤケ顔だ。

気分もどったな。


「もし、道具で必要な物が有るなら言ってよ。ベベビドとギュギュパに辺りに言っておくから」

「ああ。そのうちな! ああ!そうだ!ずいぶん前にナントカ弓を作ってくれるって言ってなかったか?それイイヤツだって言ってたよな?」


コンポジットの事かな?

あれ、乾燥とかいろいろ大変で、すぐには出来ないと思うぞ?


「ああ、コンポジットボウのこと言ってる?アレ作るの時間かかると思うよ?ずいぶん前にベベビドには一通りはなしてあるけど・・・」

「そうか。じゃぁ、ベベビドにいえばいいか?」


「まぁ、それでいいと思うよ?」

「いや、どんなものか知りたくてなっ!」


狩りに成ると途端に元気に成る。

それがパパムイである。


「さて、じゃぁ、ウウダギにもご飯食べさせちゃおうかな?」

「ああ、そうだな。ウウダギだけオルギュスにかかりつきだしなっ!」


そういって、パパムイとギギリカはご飯をさっさと口に入れて片付けに行ってしまった。


ウウダギが、ちょうどタイミング的にオルギュスにご飯を与え終わったようで、

自分の器を持って僕の膝まで来る。


まぁ、今でさえ、僕の膝の飢えはウウダギの特等席なわけだ。

結構大きくなってるからね。

意外に重いんだけどなぁ。

でも可愛いんだよね。


なにがって、僕が重そうにしたことがある。

それから少し重さを和らげるように尻尾と足で体重を反らして座ってくれるんだ。


だから器用に体重が膝にドカッと乗ったりしてないんだよね。

本当に気の利く子だ。

可愛いだろ?


「ポンピカ。オルギュス生きる」

「そうだね。明日になればまた元に戻るさ」


「うん」

「それより今日はどうだったの?製鉄の件」


「大丈夫。竃作った。一杯白いセッカイつかった。レンガつかった」


ん?結構本格的な物を作ってる気配がするけど・・・。

まぁ、いいか。


「設計図とかは?あるの?」

「有る」


「見せて貰っていい?」

「?見せる?出来ない」


ん?どういう話?ここには持ってきてないってことかな?

それとも現場の地面に書きましたってことか?


「そうか。現場に有るのかな?」

「?ない」


ない?ないなら、どこに有るの?


「ん?どこに有るの?」

「ここ」ツンツン


ウウダギが自分の頭をツンツンする。


なるほど・・・。

すげーな。


「細部まで記憶してるの?」

「細部?細かい?」


「うんそうそう」

「うん。ちゃんと有る」


やっぱり少し桁が違うなぁ。

何ていうか。

もうこれ写真記憶とかそこらへんだろう?

でも作り出してるみたいだしなぁ。


流石に細部までの複雑な図面を記憶するの無理だともうけどね?

そうでなくても複数枚の図面が頭に入ってるんだろう。


とんでもないなぁ。


「ウウダギ。どうやって皆に図面を説明してるの?」

「ちょっとずつ地面に描いて説明してる」


なるほど。

まぁ、そうなるね。


「そうか。じゃぁ、ウウダギにいい物を今度作ってあげよう」

「いい物?なに?」


「石灰と板と石で出来た物で、黒板っていうものだよ」

「コクバン?なに?」


「チョークっていう書くもので、黒板に描いて、それを説明することが出来るんだ。でも、何回も説明するでしょ?その時にいちいち地面なら書き直さなきゃいけないよね?」

「うん」


「黒板は描いたらウウダギが作ってる布で拭けば、消えるんだよ。そしてまた書き直せるの」

「・・・うん。便利」


「そう。便利だね。それを作ろうか?」

「うん!ほしい!」


ウウダギは賢いからちゃんと使ってくれるだろう。

それに紙でも作れるように成れば、図面をちゃんとおこせて、

皆に説明しやすく成ると思う。


今は葉っぱだけしかないからね。

でもウウダギがいつも乾燥庫に積み重ねてる大きな葉っぱに書いた書類。

結構な量になってるんだよね。


今度読ませてもらおうかな?


「ポ・・・ポンピカ様・・・。明日もやるんですか・・・?」


オルギュスが起きたみたい。


「明日はやらない。でもオルギュスは体力を付けなきゃいけないから、明日は寝てなさい」

「・・・寝るですか?」


「寝ないと体力って増えないんだよ。ちゃんと寝るのも訓練です」

「わかりました・・・すみません。もう寝ます」


そういって、その場でそのまま寝てしまった。

オルギュスは相当疲れたようだなぁ。



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