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辛くて面白い。と、イイオオ


集落の何時もの広場までもう少しの所で、

畑へ戻るンダンダに会った。


ンダンダはケルケオの一匹にまたがって、

移動しているようで、少しビックリした。


「ンダンダ。畑に戻る所?」

「うん。そうなんだ。話は聞いてるよ。ポンピカなんだろ?」


「うん。戻ってきたんだ」

「そうか。じゃぁ、もうやいのやいの言われなくていいかな」


「やっぱり、ンダンダにも悪さしてたの?」

「う〜ん。悪さじゃないと思うよ?食べ物をもっと作れっていう話ばっかりだったしね」


「ふ〜ん。じゃぁ大丈夫だったってこと?」

「・・・うん。なんとか凌いだよ」


凌いだかぁ・・・。


「もしかして、結構無理言ってた?」

「・・・まぁ・・・ね」


「ちなみに?」

「そーだなぁー。例えば畑で肉を作れって言われたときは流石にまいったよ」


・・・大豆ってことか?

もしかして、僕の記憶とかも読んだり出来るのかな?


「どうしたの?」

「なんだろう?って思って、取り敢えず肉を地面に埋めてみたんだ」


・・・いや、それは・・・無いだろ?

ンダンダ大丈夫か?


「それで?」

「そしたらね。なんだかわからないけど、固い実が成ったからそれを肉っていって渡したんだ。ラマナイも喜んでたよ?」


・・・その実というか植物がなんなのか知りたいなぁ。


「それ食べれたの?」

「うん。固い木の実みたいなものなんだけどね。殻を石で割ると、中から赤い果肉が出てくるんだ。それがさ?血の味がする果肉でね。まぁ肉っぽい食感なんだよ。だからごまかせたよ」


なるほど・・・?

あれ?ンダンダごまかせたって言わなかった?

やっぱり、違うって分かってたのね。


「なるほど、ちなみにその実っていうか植物は森とかで見かける?」

「畑にあるよ?肉っぽいから取り敢えず作ってるけど?」


「いや、そうじゃなくて、はじめて見る植物だった?」

「・・・まぁ、はじめて見る植物っていうのかなぁ?赤い実ははじめてだけど、あの植物と似ている物はよく見かけるよ?」


「じゃぁ、そのよく見かける植物は?」

「ああ、それは、”ダライ”っていう植物で、鞘を形成して、中に豆が出来るんだよ。鞘の内に収穫して食べてもいいんだけど、完全に熟すとね?カラカラに乾くんだ。其の中の乾いた豆も固いけどコリコリしてて美味しいよ」


大豆だね。


じゃぁ、たまたま大豆の種が混ざってる所に、

肉まいたから鉄分的なものが吸収されちゃったとか?


そういうノリかなぁ?

そんなこと無いと思うけどなぁ。


そこもやっぱりプンタの不思議パワー?


「なるほど・・・その植物はきっと、肉使わないでも肉っぽいよ?乾燥した豆もちゃんと使えば肉っぽく成るっていうか肉の代わりになるはずだよ」

「へぇー。じゃぁ、今度はダライを植えようかな?」


「応用が凄い沢山出来るからそうするといいと思う」

「そう?じゃぁそうするよ」


「それからさっ?あんな広い畑よく一匹で色々出来るね?」

「一匹じゃないよ?この”フラウ”も居るから」

「クウァッ!」


フラウってのはこのケルケオか?

名前付けたんだね?

・・・あれ?前、名前つけたっけ?


「このケルケオは・・・」

「ポンピカが捕まえてきたケルケオの一匹だよ!ほら、一番弱そうな子だった」


ああ・・・憶えてる。

一番最下位に位置してた雌の個体だ。


そうか・・・結構役に立ってるんだね。


「このフラウはね。ヤサイが好きなんだ。何時もヤサイばかりたべてるよ」


・・・つまり?

雑草処理はフラウがやってるってことかな?

それにしてもかなりの量だよね?


「じゃぁ、凄い食べる感じ?」

「うん。毎日雑草だけじゃたらないんだけどねw」


へぇー。

その流れだと、糞尿も肥やしってやつかな?

前にンダンダに糞尿を土と乾いた葉っぱとかで混ぜて、

肥料を作れると話してあるから、

スキクなんだし、コリャやっちゃってるなぁ・・・。


「やっぱり、肥料も?」

「うん。ポンピカに言われたとおりに作ると、すごくいい土が出来たよ!ありがとう」


お礼いわれちゃった。

そうか・・・。


「そうかそうか・・・、まぁいい方向に行けるならいいかな?」

「うん。 ・・・あっ!そう言えば、作物の保存について聞きたかったんだ教えてよ」


保存?

どうせ、デカイ倉庫作ってるんだろ?

きっとウウダギがハイテクなやつに仕上げてるはずだ。


「いまはどうしてるの?」

「今は、その日採れたヤサイを鍋に入れるくらいしかしてないんだ・・・。保存ってやつが分からなくてね。どうしたらいいか教えてほしかったんだよ。ほら、食べないものでも残っちゃうでしょ?もったいないし、可愛そうだからね」


・・・保存・・・してなかったのかぁ。

そうか、ウウダギを見ると、僕の顔を見上げてる。

どうやら保存方法がわからないから倉庫作らなかったな?


「保存庫は?」

「ホゾンコ?・・・ああ、多分肉のヤツならあるよ。パパムイとイイオオが管理してる。魚と肉を長く食べるためだって言ってた。僕もヤサイをそうしたいんだよね」


なるほど。

確かにヤサイの保存の事は一回も話してない。

更に肉の保存は何回も話しているし、

ミニョルンの時に色々やったからなぁ。


まぁ、あるだろう。

スキクなら作るはずだ。

ウウダギは直接見てるしね。


「そうか、じゃぁ、ウウダギにヤサイの保存について大まかに話しておくよ。それからンダンダにヤサイとか穀物についてウウダギから質問があるはずだからそれに答えてくれれば多分近々保存庫ができるとおもうよ」

「そう!?ならうれしいよ」


話しは其のくらいかな?


何気に誤り入れてないけどね。

話を聞いているだけだとンダンダには余り迷惑を掛けてないじゃん?

ウウダギは随分掛けてるみたいに言ってたけど・・・。


ンダンダのヤサイ食べたとか、

掘り返したりとか、

いじりに来るとか言ってたはずだけど・・・。


「ンダンダ?精霊さんに結構いじられたんでしょ?」

「イジられた?・・・ああ、たしかに畑掘り返されたよwでもその後そこの畑は育ちが良くなったんだ。だから悪いことじゃないってわかったよ」


なるほど。

耕したのか・・・。

ん?ちょっとまてよ?

もしかしてそれまで、耕すってことをしてなかったのか?

何気に畑は試作でもちゃんとしてるように見えたよ?


「ふーん・・・。掘り返すっていうのを”耕す”っていうんだ。憶えておくといいね」

「へー。タガヤスか・・・。でもね、木の植えた所をそのタガヤスをすると木の育ちが悪いんだよね」


なるほど、ちゃんと分かってやってるならいいか。


「そうか。ちゃんと見極めてるんだったらいいかな」

「そう?ならよかった ・・・あっ!そろそろ戻らないと今日の日課がおわんないよ」


そんなギュウギュウでやってるの?

疲れない?大丈夫かなぁ?


「・・・わかった。無理はしないでね?畑はンダンダだけがたよりだからさ」

「まかせてよ!何時も元気で居れるのは畑をやってるからだと思うからね!たのしいよ!」


そうかぁ。

楽しきゃいいかなぁ?

スキクだしね。

好きなことやってれば疲労はしないだろう。


まぁ、ほっとけばいいかな?

取り敢えず保存庫の手配だけしてやろう。


ンダンダが急いでそうなので、

立ち話もなんだし、

話を打ち切って、見送った。


「さて、ウウダギ」

「ん?保存庫の事だけど」


「うん!」

「食事しながら話そうか」


「うん!」


元気だなぁ。

ほんと可愛い。


大鍋の周りにまだ食べている連中が居る。

僕とウウダギは空いてる隙に入って、座った。


座るとギギリカが食器と食器によそった食べ物を振る舞ってくれるんだ。

まぁ、どうやら食事の担当がずーっとギギリカ固定なのは、

意外に器用な所と味にうるさい上に要領がいいらしく手早く作るからだ。


ギギリカ自身も苦もなくやってのけているので、

まぁ、大丈夫だろうとは思う。

でも、ギギリカは働きすぎだよなぁ。


そんな事を考えている間にウウダギが僕の分も分けてもらってきたみたい。


ギギリカがこっちを見て、

「さっさと、たべてよ」

的な感じで顎をしゃくってきた。


どうやら、食事の時間を決めてるらしい。

後片付けもやってるんだろう。


あれだね?もう、食堂のおばちゃんだね。


「ポンピカ。これ面白い。食べよう」


面白い?

なにが?


ウウダギがそんな事言うものだからいぶかしんだけど、

見た目はただのごった煮のスープだ。

若干豆類が入っていたり、

僕が知らない草が入っていたりする。


匂いもなんだか昔嗅いだことがあるような?

なんだか懐かしい匂いもする。

胡椒かな?

胡椒の葉っぱは前から使ってるし・・・なんだろう?


まぁいいや。

みんな美味しそうに食べてる。


ウウダギがニッコリしながら口に運んでるから、

大丈夫だと、思ったのがダメだった。


いやぁ・・・。

辛っい!


唐辛子系の辛さだ。


ベロがしびれるのはこれなんだろう?

山椒のような風味もある。


・・・塩の塩梅はいいんだけど・・・。

何より辛いんだよ。


ちょ・・・ウウダギこれ食べてニッコリしてるの?

味覚大丈夫かな?


「ゲホッ!・・・ウウダギ。これ辛いぞ!」

「うん!辛い!面白い!」


わかんないよ!

なんで辛いと面白いの?


ちょ・・・これ食べきれるかなぁ・・・。


「お!二匹とも久しぶりに仲良く食べてるな」


パパムイだ。

パパムイもこれ食べれるの?


「おお!今日も”ギギガ”はいってるな!美味そうだ!楽しいんだよなぁ!」


だめだ!

これ、スキクはみんな面白いっていうやつだ!


どうしよう。

僕だけ辛いと面白いに繋がらないんじゃないか?


「ポンピカ?どうしたの?面白い?」


ううぅ・・・。

そんなキラキラした目で僕を見ないでくれ。

・・・ウウダギの期待に答えないと!


「お・・・お、面白いなぁ〜! わ、わぁ!すごいなぁ〜!」

「うん!面白い!辛いは面白いね!」


言っちまった!

これじゃぁ、もっと面白くしようっていい始めるだろう?

そもそも僕は辛いものが苦手なんだよ!


どーしよう。


「はははwポンピカお前、辛いの苦手だろ?その顔」


パパムイめぇ!

ウウダギの喜びを台無しにしやがって!


「なに騒いでるのよ?早く食べちゃってよ。今日のはそんなに辛くないでしょ?」


何言ってんだ?

ギギリカの味覚が馬鹿になっちまってるんじゃ・・・。


「あたしも辛いのだめなのよ・・・でもこれくらいなら大丈夫よ?」


ギギリカ!お前、自分が嫌いなのにどうして辛くした!?


「はははw。ポンピカw涙でてらぁwギギリカが泣かせたぞw」

「もう!パパムイは辛いのが好きだから入れてるのよ?あたしは嫌だっていってるのに」

「ギギリカ。辛いは面白い。僕も好き、何時もありがとう」


「・・・ウウダギが言うんじゃ仕方ないわね・・・」


うぉい!

僕の意見は?

分かってるんだったらなおそーよ!?


「ポンピカ辛いはダメ?」


どう答えればいいの?

正直このレベルの辛さならなんとか・・・。

だけど、これ以上だと悶絶する。


う、ぅぅ・・・。

ん!?


「そ、そうだ!ウウダギ」

「ん?」


「辛いの好きなんだよね?」

「うん!」


「じゃぁ、今度、辛くて美味しい物作ってあげるよ」

「ポンピカ。辛いダメ。でも作れる?」


「うん。カレーっていう食べ物だよ」

「カレー。 変な名前。 辛い?」


「うん。辛さを調節できるから、みんな好みの辛さにできるよ」

「うん!カレー作る。食べる」


なんとかなったか?


「ポンピカ。そのカレーはあたしでも作れるの?」

「多分作れる。ココまでスパイスが有るなら出来ると思うよ。ンダンダの協力があれば本当に美味しいのが作れる」


「ンダンダ? なるほど、その”スパイス”ってのはヤサイなのかしら?」


「ヤサイじゃないんだ。だけどダライみたいな物を沢山種類を使って味というか匂いを出すんだ」

「匂いねぇ・・・。面白そうね!」


「うん。それにカレーは肉にも合うからね。パパムイだって気にいるよ」

「そうなのか?俺は辛ければ何でもいいぞ?」


この中で一番味覚が可笑しいヤツが決定したな。

パパムイ。一回薄味からやり直せ。


「ちなみに辛いのが好きなスキクは多いの?」

「どうかしら?ココでしかこんな食べ物作らないと思うしねぇ・・・でも辛いのが嫌いなスキクも居るわよ?族長もズズナドもあたしも、それにポンピカも辛いの苦手っぽいわね」


族長も苦手なのか・・・。

まぁ、辛さを手元で調節できれば問題ないだろ?

余り辛くないルーを作ってスパイスの瓶でも用意すれば、

みんな好みで食べるだろうしね。


・・・それにしても、この辛さ・・・。

この辛さ酸味もキツイなぁ・・・。


ハラペーニョとかそこら辺のやつに似てるんじゃないかな?


確かかーちゃんがハラペーニョとトマトと玉ねぎで、

手抜き料理って言いながらサルサ作ってタコスを作ってくれたっけ。


僕はチリビーンズだけで、ギブアップだったけど・・・。


「そうだなぁ・・・この辛さから考えて、タコスも作れそうだし、まぁ調味料としてはいい線言ってるかもしれないね。他にもンダンダに聞けば辛いけど、癖が違う物もありそうだね?」

「チョウミリョウ?ポンピカそれなに?」


「チョウミリョウってのは味付けをする材料の総称かな?そう思ってると良いかも」

「チョウミリョウね。 なるほど、たしかにあたしがリョウリするときは、それを使うわね」


「料理するときは色々使うんだ。前の世界では一般的に有って、いろいろな味が出せたんだよ」

「へー。面白そうね!」


「辛い!面白い!僕好き!」

「おう!辛いは楽しいな!俺も好きだぜ!」


どうしよう。

ウウダギがパパムイに成っちゃう!


まぁ、いいや・・・。

唐辛子が見つけられそうだし、

ニンニクが有れば、

中華料理も豆板醤も色々仕込めるかもしれない・・・。


大豆も見つけてるっぽいしね。

醤油も味噌も作れるかもしれないなぁ。

麹だって作れるかもしれない。

米の木があるわけだしね。


日本食も中華料理も色々作れるかもしれないなぁ。

あとは油だな。


「ふむふむ。油も有ればもっと沢山料理の幅も出てきそうだ」

「油ってあの油?」


「そう。動物から出るでしょ?油」

「うん。アレを使うの?どうやって?」


「いろいろだよ。油があれば焼き物もそうだけど炒めものも出来る。良いかもしれないね」

「ふ〜ん。 じゃぁ、そのうち作り方教えてよ」


「うん。そうする」

「まぁ、話はココまでね。パパムイもさっさと食べちゃってよ。片付けるの遅くなるでしょ」

「ああ!わりい!さっさと食べるぜ」


ウウダギが終始ニッコリしてるので、

僕が辛いの苦手でも別に問題なさそうだ。


でも辛いのだけはなぁ・・・。

そりゃ程々ならいいんだけどねぇ。


辛いごった煮スープを平らげて、食器をギギリカに返す。


「そう言えば、僕の後ろにヴァレヴァレの連中がいなかったけど?」

「ん?ああ、ほら、ラマナイに変わってからみんな開放されたよううに離れていったわよ」


・・・良いのか悪いのか・・・良いのかな?


「そ、そうか。まぁ、騒がしくなく成ってよかったよ」

「そうね。でも、できればまた声かけてあげて?まだ慣れてなさそうな子もいるみたいだから」


慣れてない子かぁ・・・。

誰だろう?


まぁ、ギギリカが言うんだ、

そんなスキクも居るんだろう。

明日にでも声掛けようかな。


さて、午後の謝罪周りだなぁ。


「ウウダギ。取り敢えず採掘場いこうか?」

「サイクツジョウ・・・」


ん?

なんだろう?


「なんかあったの?」

「ギュギュパニ。セイレイサンちょっかいかけた」


・・・えっ?

ギュギュパニに?

・・・どんな?


「ちょ・・・。精霊さんって見境なしだったの?」

「うん。雌は全部ちょっかい掛けてる。僕も」


・・・そりゃー・・・ゆるせねーなー。

ウウダギだけは手を出しちゃダメだなぁ。

あとで落とし前付けてもらおう。


でもそうするとギュギュパニはどんな感じに思ってるかなぁ?

やっぱり、姿見せた瞬間ガツンとされるんじゃないかな?

怖すぎる。


「・・・でも、謝罪まわりだし・・・行くしか無いよね」

「うん。大丈夫。ポンピカ戻った。みんなわかってるはず」


そうだよね?

昼食は僕等二匹が最後くらいだったし。

きっとギュギュパニも知ってるよね?

ね?


・・・ね?


結局なんか煮え切らない雰囲気で、

ウウダギと一緒に採掘場へと足を運ぼうとした所に、

イイオオがケルケオに乗って近寄ってきた。


・・・シシブブにも手を出してるはずなんだけど・・・。

切れてたらヤバイんじゃないかなぁ?

イイオオ意外に強いんだよなぁ。


「や、やぁ。イイオオ。 ケルケオに乗ってドウシタンダイ?」

「ん?ああ、ポンピカ戻ったって言ってたな、そうか、今度ラマナイに会ったらとっちめるって言っといてくれ。絶対許さんとな」


激おこプンプンじゃんか!


「あ、ああ。しっかり落とし前つけとくよ」

「頼むぜ」


イイオオの乗ってるケルケオは首の辺りと、

背中の辺りに革紐がついていて、

胸の辺りに板張りがされている。

そしてその板張りに後ろ側へと、

くねくねした形の木の棒がサイドに二本取り付けられて、

後ろの方に台車が着いてる。

長い尻尾が台車の上でユラユラしてるけど・・・。

邪魔じゃないのかな?


「何か運ぶの?」

「ん?ああ、採掘場行くんだ。 定期的にこれでコウセキってやつを集めてる。何でもギュギュパニがマガがどうしたこうしたって喚くんだ。 俺もよくわからんのだがなぁ。 ポンピカが話したことだろ?どうせ」


何時もより話すイイオオだ。

ふむ。


「マガってのは知ってる?」

「ああ、そりゃ知ってる。プンタが持ってる石だろ?」


若干認識が違うけど、まぁいいか。


「まぁ、石じゃなくて金属のことなんだ。まぁマガを鉱石から作り出せるから掘ってもらってるんだよ」

「・・・それ、マジの話なのか?」


「うん」

「でもただの石なんだろ?随分固いって事は聞いたこと有るけどな」


「まぁ、熱で溶かして、武器もそうだけど、建材や道具として加工出来るんだよ」

「・・・それ、大丈夫なのか?プンタから戒めを受ける内容だろ?」


「この辺りのプンタは第一だろ?第一プンタにはこの間会ってきたんだ。問題ないよ」

「言ってる意味がわからん。ココらへんを統括してるのは第四のはずだ」


「いやいや、ここは元々第一の物なんだよ。第四は管理してる風を装って、結局手を出せないでいるんだ。手が回らないってのが本当だと思うよ。だから恩恵が無いんだよ。加護もないでしょ?」

「・・・そうか。 そうだったんだな。薄々変だとは思ってたんだ」


「イイオオはこの辺しか知らないんだろ?なんで、恩恵や加護についてしってるんだ?」

「ん?そりゃ、俺が呪術師の家系だからだな。親に話してもらってる」


「なるほど。まぁ、そんなわけだから、ここで何やっても自由なんだ」

「・・・まぁ、ほどほどにな?何処かに目をつけられるのは面白くないだろ」


「まぁ、程々にするつもりだけど、多分既に目をつけられてるだろうと思う」

「・・・そりゃ・・・どうしてだ?」


「ほら、あのトリケラ頭いたろ?あれ何ヶ月もトに戻らなきゃ何か有ったって気づくだろ」

「ああ、そんなの居たな。 アレもお前がやったやつだな?」


「そうだけど、第一のプンタに色々話を聞いたんだけどね。まぁそこから連想すると、多分あのトリケラ頭は第四の眷属なんだよ。そんで、何かするためにスキクを集めてたっぽい。多分だけど、侵入者が出始めたんじゃないかなぁ?第四の管理下で入ってきてるんじゃないかな?」

「・・・そこまでわかってて・・・いや、俺が何か言っても仕方ないか。ポンピカ。この集落だけはどうにか守ってくれよ?」


「うん。まぁ、大丈夫だろうと思うよ」

「・・・随分楽観的なんだな」


「そうかなぁ?」

「まぁ、いい。ポンピカ達は何処行くんだ?」


「ん?ちょうど採掘場に行くんだけど・・・。乗せてってくれない?」

「ああ、なるほど。良いぞ。後ろに乗れよ」


結構話し込んだけど、

イイオオは相変わらず親切で良いやつだ。


ケルケオが引く、

荷馬車ならぬ荷ケルケオ車は、

なんと言うか、乗り心地は悪い。

馬車もこんな感じなのかな?

でも馬の尻尾はココまで長くないだろ?


何ていうか。

目の前にずっと尻尾がピーンと成ってるのは邪魔だなぁ。


今の所一本道で直線だから良いけど、

これがカーブするように成ったら・・・。

目の前の尻尾がグネグネ動くはずだ。

誰かを乗せて走るってことには向いてなさそうだなぁ。


そんな荷台の上で思いにふけっていると。


「なぁ?ポンピカ」


イイオオが話しかけてきた。


「なに?」

「さっきの話だが、お前、第一に会ったっていったよな?」


「うん」

「ラマナイがお前だった時か?」


「そうそう。精霊さんには迷惑掛けられっぱなしだよ」

「そうか・・・」


「どうしたの?」

「いや、親から聞いてる話では、第一はとっくの昔にこの世を去ってしまったと聞いてたんだがなぁ」


「ああ、引っかかってたの其のへんなの?」

「まぁな」


「旧き者ってのが、第一プンタを作った後、居なく成ったのは知ってるでしょ?」

「ん?第一プンタを作って居なく成った?第九のプンタだろ?」


「ああ、そっか。まぁ良いんだけど、第一のプンタが最初で最後の本物のプンタだよ。あとのプンタは第一が頑張って作り上げた複製なんだよ」

「・・・そんな話しまでしたのか?」


「うん。してたけど、まぁ、僕等スキクには余り関係ないんだ。旧き者からすると、僕等はただの道具だからね」

「・・・道具・・・酷い話だな」


「まぁ、いいじゃん。もう旧き者ってのは居ないんだしね。それにプンタももう複製が出来ないんだ」

「じゃぁ、減る一方ってことか?」


「そうなんだ。結局、素体が僕等スキクで色々調整して出来たのがザウスだったりクロデルだったりプンタなんだよ」

「結構その話し、ヤバイ話しなんじゃないのか?こんな所で話して良い内容なのか?」


「別に知ったからって、なにか出来るわけじゃないだろ?僕だって、ヘェーとしかおもわなかったよ」

「いや・・・まぁ、ポンピカならそうだろうけど・・・そうすると今第四がやってる事とか、それらは・・・意味がない行いだと?そう言ってないか?」


「?どうしてそう思うの?」

「だって、俺らはそもそも旧き者に捨てられたようなものだろ?そうなれば俺らには何も意味が無くなるだろ?」


「う〜ん。そこまで深く考えなくていいと思うよ。どうせ旧き者からすれば道具って言ったとおり、旧き者が居ても結局同じ事だしね。やることは変わらないよ」

「・・・随分、達観してるんだな・・・相変わらず」


「はははwだって、中身はちがうからねw」

「いや、笑い事じゃないだろ? 俺らの生きる意味とかに関わってくる話だ」


「う〜ん。生きる意味ねぇ・・・。それは解決できない問題だと思うよ」

「解決出来ない?どうしてだ?今まで俺は、旧き者が戻ってきて、ザーザースを救うと思っていた・・・。今、命があるのは、旧き者のおかげだ、そうなれば恩返しもしたく成るだろ?まぁ労働だろうと俺らは苦ではないからな」


「ふむ。恩返しねぇ・・・。そう聞くとやっぱり僕はスキクじゃないかもね?ザーザースですら無いかもしれない。其のへんの考えはやっぱり違うかもしれないなぁ。でも第一プンタは僕に近い考えも持ってるみたいだったよ」

「第一がか?」


「うん。結局見捨てられたのは、第一なんだよ。だけど今まで一生懸命に自分の役割をこなしてきたみたいだけど、それでも旧き者から答えがないことに気づいたんだ。まぁ飽きちゃったのかもしれないけどねw」

「・・・」


「だから、色々と、変化が訪れるってことだよ」

「・・・ポンピカみたいにか?」


「ああ、そのことも言ってたけど、どうやら僕は第一も関与してないみたいだよ。本当の偶然でなにがどうなったのかわかんないんだってさ」

「・・・そうか」


「まぁイイオオは今までどおりで構わないだろ?どうせ、他のことをやりたいとも思わないだろうしね」

「・・・まぁな。確かに俺が知らない所で何が有っても俺がどうなるということもない。シシブブが守れれば俺はそれでいいさ」


「うん。僕もそれでいいと思うよ。どうせ変化も少しずつだろうしね」

「・・・その辺りは疑わしいなぁ」


「そう?」

「お前が、色々始めてから明らかにこの集落は可笑しくなってる。いや、良い意味でだ」


「あー。そうね。まぁ、いいんじゃない?行くとこまで行こうよ」

「・・・そうだな。余り深く考えても仕方ない事だよな?」


「そう思うよ」

「・・・そうだよな」


採掘場に着くまでにそれ以上、

話しは出なかった。


イイオオは随分考え込んでいたようだけど、

結局僕等で解決出来ないことに悩んでも仕方ないだろうと思うんだよね。


僕等は出来ることをやっていくしか無い。

生きる意味なんてそもそも考える事がナンセンスだと思うんだよね。



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