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謝罪と真意


結局パレンケ達と話をして、

僕が精霊さんにバトンタッチしてから作られている、

レンガ、石灰、陶器、木炭、石炭なんかの個数はなんとなく把握できた。

というのも石炭や木炭に関しても結局パレンケが統括して把握していたのだ。

パレンケは完全にデスクワーク向きの仕事だと思うんだよね。


結構細かい所まで記録に残していたりする。

元々、話しとか出来るし、器用だし、

何より豆なところが有る。


いちいち記録を付けたりもするんだ。

最初は、自分が次に来る時に知りたかったからだと言ってたけど、

そこをウウダギが見つけて、問題点を指摘したりした上で、

それの利用がどれだけ利益に繋がるかということを説明したらしい。

まぁ、ウウダギは元々自分の行動とかで、

気づいた点を常にメモる癖が着いてるからそれで思いついたんだと思うけどね。


ただ、驚いたことが一個あった。

書くと言うことを覚えたパレンケは、

音楽に関して、僕の話の耳かじりだろうけど、

自分なりに楽譜を作っているんだ。


これは凄いことなんだ。

聞きかじりだとしても、

音楽の音と楽譜の記号をしっかり把握しなければかけないわけだ。


だからといって、記号がわからない状態でどの音が其の記号に有っているのかという、

意味づけ的な事を独自で開発したということである。


うん。

流石にそれは才能と言えるだろう。


一個、楽譜を見せてもらった。

ミミズが這ったようなグネングネンしてるものだったけど、

しっかりリズムというか、線が途切れる所は切れて、

繋がる所は繋がるみたいな表記が有った。


僕は音楽がダメだ。

楽譜は読めない。

見たからと言ってそれがなんなのかはさっぱりなんだけど、

それでも凄いなぁと思ってしまった。


しかも別の葉っぱには、歌詞というか詩が大量に残されていたり、

なんと言うか、ここまで独自で出来るのは流石に脅威と言える。


一匹で文化をドンドン推し進めてしまうのは、

恐らくスキクが先入観無く、物事にチャレンジして、

労働に対しての疲労をあまり感じないことに有るのかもしれない。


まぁ、良いことづく目だけど、どこかで体を壊さないか不安でも有る。


一つ懸念が有る。

跡継ぎが居ないことだ。


多分スキクの性質上、親がシンガーだから子供もシンガーとなるだろうけど、

全く同じ力を発揮できるかと言えば違うわけで、

こういう場合は弟子とかのシステムを教えてあげると良いのかもしれないなぁ。


まぁ人数的に、いまはパレンケだけだけどね。


話は長く成ったけど、

要は、建材が二階建の家を屋根込で作ったとして、

この集落のスキク一匹辺り一軒あてがっても全然足りるようだ。

ただ、ヴァレヴァレが何匹合流するかはわからない・・・。

もし、以前から言われている数である100匹に到達するならば、

そこそこ足りないだろう。


土地は確保してるはず、

既に埋め立てをしている場所を増築するようには言ってあるし、

スキクの特性、特にギギリカの性格から言えば、

間に合わせて入るはずなんだ。


家の構造や頑丈さについても、ベベビドやウウダギ、そしてギギリカやギュギュパニ辺りにも、

はなしはしてある。


ギギリカについては避難所を作った際に色々指導をしたりもしたし、

ギュギュパニはその巨体を利用して重い物をどうやって運ぶかなんかも、

前もって言ってあるから、それを鑑みても、

多分埋立地の土壌や構造はヴァレヴァレの追加に間に合う面積だろう。


・・・もっとも、見てないから何も言えないけどね。

取り敢えず、ウウダギと一緒に埋立地へ移動した。


移動してる最中に前も思ったけど元々坂なんかなかったのに・・・。

ガッツリ坂が出来ている。


坂を登りそろそろ登りきるか?と思う頃に、

ふと、気に成る点があった。


僕は慣れているから気づかなかったけど、

石を切り出して出来ているタイルのような物を利用して、

階段が設けられている。


ウウダギは見慣れたんだろう。

僕は知らなかったけど前世が前世なんで、気づかなかった。


そうなんだ。

下から上まで、結構広い階段が設けられてる。


はて?階段とかの話はしたけど、

木で出来た階段の話しかしなかったはずなんだよね。

また、思いついちゃったかな?


頂上というか、

そこそこ登ったあたりで、全貌が見えてきた。


埋立地では主にヴァレヴァレの連中が作業してる様子が伺える。


そう言えば精霊さんはヴァレヴァレの連中に嫌味をいったり、

終いには、セルセルに手を出そうとしたり、イヂジンが泣いたり、

かばいに入った他の連中とひと悶着したりと、色々やらかしていたらしい。


多分僕の印象は最悪だろう。

困ったなぁ・・・。


まぁ、ヴァレヴァレ達のこともそうだけど、

まぁ、予想と言うか想像していた事から見てもギギリカは随分やらかしたなぁ・・・。


埋立地、すげーなコレ。

よくこんな広い場所を設けたと思うよ。

しかもキッチリとミニョルン対策で予想される水位よりも高い位置に広げているね。


何より驚いたのは、

碁盤の目の様にキッチリと区画を整理してあるんだ。

それで、道路らしき物。

石を削り出した板で道を作ってる。


「ねぇ。ウウダギ?」

「ん?」


「これギギリカが一匹で指示したの?精霊さんがまた言いつけたりとか?」

「セイレイサン関係ない。ギギリカ。やった」


そうかぁ・・・。

ここまでできちゃってるのか。

まぁ、もっと日数かかると思ったんだけどね。


そう思ってると、ウウダギが僕の横っ腹をツンツンしてくる。

ふと顔を向けると、地面を指差している。


「どうしたの?ウウダギ」

「石、下、水流れてる」


・・・は?

ちょっとまって、水路作ったっていうの?


「ちょ・・・そこまでやったの?」

「やった。ギギリカやった」


そうかぁ、水路作ったかぁ・・・。

そうなると川の位置がこの埋立地より下なんだ。

そこを考えるとポンプらしきものか貯水池か何かを作ったんじゃないか?

でないとここまで水が上がってこないだろ・・・。


ぇええ?

マジでいってんの?

ギギリカすごくない?


ギギリカ一匹でここまで指導できちゃうの?

スペック高い高いとは思ったけど、

これパパムイ・・・かなわないだろ・・・大丈夫かな?


埋立地の石畳の上で僕がぼーっとしていると遠くから一匹のスキクが近づいてきた。

はて?見たことがないスキクだ・・・。

僕が居ない間に追加でも有ったのかな?


「ラマナイ。来たのか?」


あれれ?

声と言うか雰囲気は何処か知ってるやつに似ている。

けど鱗の色と模様が見慣れない。

形も随分ゴツゴツしてる。


こんなスキク居たかな?

居ないよね?


「えっと・・・だれ?」

「ん?・・・」


「ん?」


僕とそいつで意思疎通が、

というか噛み合わない。

何だコイツ?


ウウダギに目をやると、

ウウダギがこんなこといい始める。


「オルギュス。ポンピカ戻った」


オルギュスじゃないよ?

尻尾どうした?

生えてないぞ?


あれれ?

そう言えば僕の形に似てる。

足の作りが僕より担ってるね。

スキクだよね?


顔もツルッとしてたはずなのに、

顎のエラっていうか後頭部に近い所に小さいけど角みたいなゴツゴツしたものが生えてるよ?


「えっ!?ポンピカ?ポンピカ様なのですか?」

「・・・うん。なんと言うか・・・ホントにオルギュスなの?」


「ええ!そうです!オルギュスです!そうか!よかったぁ〜。ホントよかった」


なにその反応・・・。

皆、精霊さんのこと嫌い?

意外におちゃめだけど、憎めない感じだよ?


「う、うん。まぁ、只今ってやつかなぁ?」

「そうですか!そうですか! あっ!そうです!少し見ていってください」


なんかオルギュスが元気になった。

声の張りも幾分強くなったしね。


オルギュスの後に続いて歩く。

こう言っちゃなんだけど、

まだ僕は目の前のスキクが以前のオルギュスの姿と重ならない。

実は違うんじゃないかとさえ思える。


でも多分ウウダギが否定しないところから思うに、

オルギュスなんだろうなぁ・・・。


突然オルギュスが止まって、周りを確認した上で、

四方に大声で仲間を呼び始めた。


時間を置いて、周りからワラワラと寄ってくるのは、

まぁヴァレヴァレの連中だ。

だけど、他の連中はあまり変化が無い。

見知った連中が来たわけだけど・・・。


皆一様に「なんだ?オルギュス」とか「あ、ラマナイだ・・・オルギュスなんで呼んだんだよ」、

とかそんなことばかり言ってる。


やっぱり評判がだだ下がりだ。


「皆、聞いてくれ。ポンピカ様が戻られたぞ!」


オルギュスが集まり際の皆にそんな事を言うと、

「な・・・なにぃ!本当か!」

「えっ?どういう事?」

「マジか!?た、助かったぁ」

みたいな返しがわらわらと出る。


どうやら、僕の評価が下がったわけではなさそうだ。


「えっと、精霊さんが、皆にも迷惑かけたみたいで、本当にすみませんでした。以後このようなことがないように言い聞かせますので、許してやってください」


取り敢えず、頭を下げてみた。


僕の謝罪はきちんと受け取られたようで、

随分とこわばっていた皆の顔が幾分ゆるくなった気がする。


「ところで、皆はここの手伝いしてたんだよね?随分手が入ってるようだけど?」

「そうなんです!もう・・・逃げ出したいくらいで・・・」

「そうなんです。ラマナイがちょっかいかけてくるし・・・」

「昼も夜も無いんだ!俺なんかずっと皆と飯食ってないんだぞ!」

「そう言えば。随分、長い間バルバルとベネネズの顔見てないなぁ」


集まったのは四匹。

イヂジンにセルセル、これはペアだから何時も一緒。

ヒュルルにオルギュス、コイツラもつるんでるからまぁ、大抵一緒。

この四匹はまとまって仕事をすることが多い。


話しによれば、ここでも精霊さんが、要らない事を言った挙句、

ヴァレヴァレの集団が合流間近だと言っては、労働を強制していたみたいだ。


強制していたみたいだ・・・僕もそのうちやろうと思ってたけど・・・。

アレ?精霊さん僕の仕事進めててくれたんじゃない?

なんだか悪い評判は精霊さんへいって、

僕はいいとこ取りしてるような状態になってる気がする。


あれれ?

僕・・・精霊さん・・・怒れなくない?

ダメじゃない?


横に居るウウダギは、なんとなく其の話に察しが着いたんだろう。

冷や汗物の僕の横っ腹をツンツンして、

こんなことを言う。


「ポンピカ。よかったね」


うん。っていうしかないだろ?


ただ、目の前の連中は、セルセル意外あまりちょっかいをかけられていなかったらしい。

強いて言えば、ギギリカに計画の前倒しを強く言っていたみたいだ。


其のせいで、ギギリカは板挟み状態だったのかもしれない。

結構キツキツな生活だったんじゃないかなぁ?


悪い事しちゃったなぁ・・・。

しちゃったの僕じゃないけどね。

でも謝ったからいいかなぁ。


まぁ、結果から言えば望んだ形には近づいてる。

このまま家の建築にまで進めば、あとは皆楽が出来るんだ。

安全に生活もできる。


襲撃にも備えなければならない環境だから、外には壁や、

色々と仕掛けもしないとイケないけどね。


まぁ、一段落したら労おう。


其の場の皆と、たわいない話をした後、

ベベビドとンダンダが居る木工所と其の近くにある畑のところで、

謝罪周りしないといけないと思う。


一応、この後の指示がどう出るかというあらましを話したんだけど、

正直皆の目が死んでたなぁ。


まぁ、仕方ないだろう。


ウウダギと一緒に木工所へ向かう。

途中でギギリカが沢山の葉っぱを抱えて埋立地へ向かう所でばったりであった。


「あ、ポンピカ。どお?皆に謝ったの?」

「今、パレンケ達とヴァレヴァレの四匹には謝ってきた」


顔を覆うほど沢山の葉っぱ。

よく見ると設計図だ。

この設計を誰が描いたかわからないけど僕の知識でもわからない位よく出来てる。


ギギリカが持ちづらそうにしてるので、

少し束を持ってあげてもう一度埋立地へ戻ることにした。


「そう。でも、ラマナイは流石にやり過ぎたからねぇ」

「まぁね。でもギギリカに言っておかなきゃいけないんだけど、精霊さんがやったことはとおかれ少なかれ僕がなんやかんや言って、皆にしてもらうことだったんだよねぇ」


「あー。だからかぁ。そーじゃないかな〜っておもったのよね。だからあたしも従ったんだもん」


意外にギギリカはよく気づくスキクだなぁ。


「謝ってまわってるんだけど、精霊さんを簡単に叱責できないなぁって思ってるんだよね」

「そんなのしっかり怒らないとダメだよ?仕事のことは仕方ないけど、だからって、雌の尻尾をなでたりするのは違うと思うからねぇ」


そうなんだよねぇ。

流石に雌にちょっかい欠けるのは僕の計画には入ってないしなぁ。


埋立地へ着くまで、ぶっちゃけトークで盛り上がったけど、

やっぱりギギリカはすごい子だと思った。

分かってて、理性的に判断して、それでも納得行かない事には怒るけど、

そうではなければ、結構怒るからね。


いつの間にか精神年齢も上がってる気がした。


埋立地に着くと、束を地面へと起き、

重しを乗せた後またウウダギと木工所までむかう。


去り際に、ギギリカが、

「木工所だけど前の場所にはないからね?スイシャの有る近くに大きな建物があるからそこに行くといいわよ」


まぁ、そんな話が聞けた。

3週間で随分変わるものなんだなぁとしみじみ思う。


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