説教かと思いきや。と、生産
族長の元に着くと、
族長から座れと言われた。
此の流れは完全にお説教だ。
「ふむぅ・・・。何から話せばよいか・・・」
呼んどいて、これだもんなぁ。
「取り敢えず、アレでしょ?精霊さんが色々しでかしたんでしょ?」
「・・・知っておるのか?」
「知ってるも何も・・・状況見ればわかるじゃん。それにパパムイやギギリカにも言われたしね」
「ふむ・・・」
「ただ、僕は昨日の夜戻ったから昨日寝る前までのことは知らないよ」
「そうか・・・しかし、困ったものじゃ」
「困ったのは僕の方だよ。勝手に僕の体使ったんだしね。おかげで体がなまっちゃってしかたないんだ。」
「そうか・・・ポンピカも被害を受けたわけだな」
「まぁ、被害っていうか・・・。被害だね」
「ふむ。しかしラマナイ様ニも困ったものだ・・・もっと厳格なお方だと思っておったが・・・」
「えっ?前にも話したよね?随分やんちゃだって言ったはずだよ?」
「確かにそうじゃが・・・彼処までとはな・・・」
あれ?説教じゃないぞ?
愚痴か?
でも族長が頭を抱えるほどっていうのは、
相当なことやったんだろうな。
今までにないくらい頭を抱えてる。
何やったんだ?精霊さん。
「族長?精霊さんっていったい何やらかしたの?」
「・・・」
なに其の間・・・相当なの?
「いいづらいこと?」
「それも有る。 が、何より数が多くてな・・・困っている」
やらかしすぎたのか。
「取り敢えず、何やったか言ってよ」
「そうじゃなぁ・・・手始めは・・・」
それから結構な時間を族長からの愚痴と共に垂れ流されてきた。
其の結果、僕が思う所は一個だ。
精霊さん。
やりすぎ。
生きたことで浮かれたか?
「・・・結構やらかしたね」
「やらかしたではない!温厚なワシでも我慢ならんのだ!」
自分で温厚とか言ってるけど、
族長は意外に気が短いだろ?
結構我慢したほうだと思うよ。
「まぁ、取り敢えず精霊さんには今後そういうことが無いように言い聞かせるから」
「うむ。それが、叶うならいいのだがな・・・」
「やっぱり、精霊さんはやりすぎたね」
「うむ・・・。だが、偉大な呪術師なのは間違いないからのう・・・ワシでは何も言えぬのだ」
「そりゃそうだ。だけど、我慢出来ないときはちゃんと言わなきゃダメだよ?」
「ワシはしっかり物を言ったのだ!だが聞く耳さえ無いのだ!どうせよというのだ?」
「それでもだよ。 まぁ、僕が戻ってきたんだ。皆への謝罪とかちゃんとするからさ?」
「・・・ポンピカは悪くないじゃろ・・・」
「でも僕の体でやったことだしね。少なからず僕にも責任は有るだろう?」
「・・・ワシは別にポンピカを責めているわけではない」
「でもだよ。 だから、イライラしないで、何時もの族長に戻ろう?ね?気分治そう?」
「う・・・うむ。そうじゃな・・・ポンピカがそこまで言うならそうしよう」
「うん。良かったよ。 この集落は族長が要なんだ。族長がイライラすると集落全体がイライラしちゃうだろ?それじゃ、いい方向には行かないじゃないか?だから、族長がしっかりしないとね?」
「・・・う、うむ・・・そうじゃな・・・ワシがしっかりせんと、皆もうろたえてしまうか・・・」
「そうだよ!ね?だから、気分治して頑張ろう?」
「うむ。そうじゃな。ポンピカも戻ったことじゃし、ラマナイ様には困ったが、まぁよかろう」
「そうだよ!」
「うむ。少し気分が晴れた。済まないな、ワシのはけ口にしてしまったようじゃ」
「大丈夫だって、また、愚痴をいいたく成ったらズズナド辺りにグチグチすればいいさっ!」
「・・・ポンピカではダメなのか?」
「僕が何時も居るわけじゃないだろ?ズズナドは何時も隣りにいるじゃないか」
「それもそうじゃな・・・。 ふむ、それは良いことを思いついたのう?」
「うんうん。やっぱり適材適所だよ!ね!」
「ふふふ。なかなか気分が良い。まぁ、今回はこんなところじゃ」
そろそろ話し終わりそうだ。
さっさと皆に謝って回んなきゃなぁ。
「ところでじゃ」
まだ続くの?
「そろそろ、ヴァレヴァレが合流する頃合いではないか?ギギリカが陣頭を取って、埋め立て地に壁は作ったようだが、その後が進んでおらぬ。間に合うかのう?」
それ今はなすの?
其の流れはじめて聞いたしなぁ・・・。
まだ現場見てないし、
そもそも、僕戻ったの今朝だよ?
・・・仕方ないか。
族長もおじちゃんだしね。
なんと言うか、死に急いでるのかわからないけど、
なんで年寄りは早急に何かをしたく成るんだろう?
まぁいいや。
視察もしなきゃだし、対策もしなきゃなんだよね。
「間に合うかどうかはわからないよ。取り敢えず埋立地はあとで見てくる」
「うむ。迎え入れる時のやり取りは任せていいか?」
「構わないよ。ただ、ことと次第によっては一悶着有るだろうけどね」
「・・・また、死者が出るのか?」
「できれば出さないようにしたい」
「そうだな・・・できれば死避けてほしいものだ」
「努力します」
「うむ。これで以上だ。戻っていいぞ」
「はーい」
色々言われたけど、
結局、半分以上は愚痴だ。
それにしても精霊さん・・・やり過ぎだなぁ。
なんかお灸でも据えないとダメかな?
僕がウウダギの所に戻ると、ウウダギがツンツンとしてきた。
「どうしたの?」
「パチャクケチャク」
あー、あの二匹か。
それがなにか?
「二匹がどうしたの?」
「謝る」
ああ、なるほど、パチャクケチャクが精霊さんのお気に入りだったね。
そうか・・・それで手を出そうとしたのか。
「二匹は?」
「あっち」
ウウダギが指で指し示す方向は川の方だ。
さっき、食事のときも姿を見ていない。
精霊さんのやらかしのせいで、皆と一緒に食べれなく成ったか?
それだったら可愛そうだ。
なんとかしなきゃ。
ウウダギと一緒に川の方へ向かう。
川が近づくに連れて川の側で30本の太い煙が立っているのに気づいた。
これは見たことが有る。
以前僕がレンガや木炭、など他にも色々作っていた時に立ち上る竈の煙だ。
それにしても、結構作ったね?
それでレンガでも作ってるのかな?
でも石炭や木炭も創らなきゃいけないよね?
どうやってるんだろう?
石灰でも作ってるのかな?
「ねぇ。ウウダギは何作ってるか知ってる?」
「うん。イッパイ作ってる」
そうか、イッパイかぁ・・・。
種類かな?量かな?
どっちもかな?
そんな事を話してると、
現場に着いた。
・・・けど、僕の想像を越えてました。
というのも遠くから見えていた30本もの煙の柱は、今稼働してる物に過ぎなかったんだ。
しかも僕が試しで作った竃の多分3倍は容量が入りそうな大きさを実現してる。
それを30機ほか、まだまだ川辺に連なっている。
っていうか、ここからだと端っこが見えない。
これ、どうやって作ったんだろう?とさえ思うけど、
竃に使われている材料を見るとなんとなくわかった。
レンガと土とモルタルだろう。
しかも空気穴を塞ぐ用の蓋は、陶器っぽいし、
さらに手が届かない場所での作業用の道具まで作ってる。
あの棒なんかまるで枝切狭とマジックハンドを合わせたような物だしなぁ。
なんでここまで独自で進んじゃうんだろう。
プンタが規制していた理由が分からなくないなぁ。
「あ、ラマナイ様」
パチャクが嫌そうな顔を向ける。
「あ・・・来ちゃった」
ケチャクがこれまた酷い威嚇顔をしてる。
「二匹ともそんな顔しない!ラマナイ様だろ?」
パレンケが居る。
この三匹は、何時も一緒に行動してるよね。
っていうか、もしかしてここ最近は建材作りをしてたのかな?
「あー。 ごめんね。なんか精霊さんが迷惑かけたみたいで・・・。 特にパチャクケチャクには酷い思いをさせちゃったみたいだね。 さっき族長に叱られてきたばかりだよ」
「・・・」
「えっ?・・・」
「ん?えっ?・・・。もしかして、ポンピカ?ポンピカですか!?」
どうやら、此の三匹は外見で判断するんだろう。
だから中身が変わったかどうかはわからないんだ。
・・・そりゃそうか。
僕でもわかんないだろうなぁ。
「うん。ポンピカだよ。ウウダギ?僕は誰かな?」
「?ポンピカ」
「ね?ポンピカだよ」
「んもー!だったら先に言ってよね!」
「そうよ!先に言ってくれないとあたし達はまだわかんないじゃない!」
「まぁ、まぁ、二匹とも!そうやってすぐに憤慨しない!ね?憤慨しても良いことないでしょ?」
「だってー。あたし達はパレンケと番になるって決めてるのにラマナイ様がいいよってきたじゃない!ホント酷いよね!」
「そうよ!そうよ!あたしなんか尻尾撫でられたのよ?分かる?尻尾撫でられたの!もう、本当に気持ち悪かったんだからね!」
「ほらぁ!そう言わない!ポンピカには関係はないって前からいってるでしょ?」
「そうだけどぉ・・・」
「でもでもぉ・・・」
随分話がこじれてる。
しかも僕の隣でウウダギが清まし顔なのに牙だけ剥いているっていう器用な顔をしちゃってる。
・・・あれ?
なんでウウダギが怒ってるんだろう?
まぁでも、そうかもしれないね。
ウウダギにとってはもし僕に番ができちゃうと、
お母さんが出来ちゃう感じだしね。
それが仮に、パチャクケチャクだった場合はどうだかなぁ・・・?
なんだろういたたまれないよねそういうの。
「まぁまぁ。精霊さんがホント酷い事したっぽくてさ・・・勝手に僕の体使って悪さしてたらしいね。一応謝らないとイケないと思って来たんだけど・・・」
「ポンピカは別にいいのよ」
「そうよ。ポンピカはあやまんなくていいわ!」
「二匹もこう言ってますので・・・」
相変わらずパレンケは腰が低い。
「そう?じゃぁ、僕からの謝罪はこれでいいかな?」
「あたしはいいわよ?」
「そうね。まぁ、触っただけだしね」
「二匹もこう言ってますので・・・」
パレンケ?語彙!
語彙が少なくなってるぞぉ〜。
まぁ、謝罪は一段落でいいかな?
それよりこれはどうなってるのか聞きたい。
今の現状を把握するのが先な気がしてならない。
「ねぇ。これ何つくってるの?」
「あぁ・・・。えっとですね。あっちの冷やしている竃は陶器です。それでこちらがレンガですね。それで反対のあちら側が石灰群です。」
あれ?木炭は?
石炭も結局一回火を通さないといけないだろ?
「木炭や石炭は?」
「石炭は採石場で作ってますね。木炭はンダンダとベベビドが協力して作ってますよ」
燃料が違う場所でつくられてるのか・・・。
効率悪くないか?
「一緒に作らないの?」
「ああ、はじめはそうしてたんです。この今稼働してる竃も元は木炭用だったんですけどね。場所が無くなりまして、どうしても分けなければならない事態に・・・」
それって、どんだけ作ってるんだろう?
それより燃料を持ってくるだけで一苦労だよね?
「えっ?じゃぁ、燃料はどうやって持ってきてるの?この量さばくなら相当燃料が必要だよね?積み上がっては居ないし、どうしたんだろう?」
「ああ、それはですね。ケルケオが進んでやっています。イイオオが陣頭取ってるんです」
ケルケオかぁ・・・輸送出来るまで使えるように成ってるのかな?
「でも、どこに材料を置くの?」
「持ってきた後にすぐに入れてしまうんで、あまり残らないんですよ。パチャクケチャクは火の扱いが上手でして・・・いつの間にか僕よりも上手に成ってました」
なんか申し訳無さそうにパレンケがうつむくけど、
パレンケはこれだけじゃないだろ?
どうせ色んな所に顔を出しては、手伝ったりして、
なんだかんだ言ってできちゃってるんだろうなぁ。
「でもさ?よくこんな沢山作ったね?まるで工場じゃないか」
「コウジョウ?なんですかそれ」
「一つのものを作るのに密集して効率化を計った地域っていうか。まぁ今回で言うとレンガや石灰を作る為の場所のことだよ」
「なるほど。確かにコウジョウですね」
「うん。でもよくこんな事思いついたね?パレンケが思いついたの?」
「・・・」
「「・・・」」
あれ?だんまり。
「え?もしかしてウウダギ?」
「違う。セイレイサンがイッパイ作れ!言った」
・・・仕事してるじゃなぁ〜ぃ。
精霊さんやることやってんじゃん。
「そうかぁ・・・精霊さんが良い始めたのか」
「ですが、無理やりですよ?皆自分がやっていた仕事を放り出さなければならなかったんです」
「そうよ!無理やりだよ!」
「うんうん。あたしなんか尻尾撫でられたしね!」
尻尾はこの際どうでもいい。
どうでもいいけど・・・。
はて?
僕はそのうち後やりたかったわけだけど・・・。
精霊さんが肩代わりしてくれたのかな?
〆るとか言ってらんなくなったなぁ。
「そ、そうか・・・」
「みんな。ポンピカはそのうちコレやる。言う」
ウウダギが、口を挟んだ瞬間。
パレンケやパチャクケチャクが「えっ!?」って顔になった。
ウウダギが言っちゃうなら仕方ないなぁ。
何も反論はない。
実際生産率あげなきゃいけなかったわけで・・・。
それとなくウウダギには計画を話してたわけだしね。
「・・・ま、まぁ・・・。そういう事です」
「ポ・・・ぽんピカですよね?今、ポンピカですよね?」
パレンケがそんな事いうもんだから、
パチャクケチャクが小さく「ヒィ」って声を出して、
竃の影にかくれちゃった。
「う、うん・・・そりゃ生産率あげなきゃねぇ?追いつかないよねぇ?」
「そ、それは分かりますが・・・。もっと方法とか効率的なやり方とか・・・あるんですよね?」
「あるよ。有るけど今の僕等では鉄・・・こっちだとマガを作り出してないだろ?まだできないんだよ」
「そ、そうですか・・・ではしばらくコレを続けるってことですね?」
結構重労働なのかなぁ?
だよねぇ。
見てて三匹でコレ回すのたいへんだろうになぁ。
「・・・ヴァレヴァレがもうすぐ合流するって言うから苦労は減ると思うよ?」
「!そ!そうでした!ヴァレヴァレ!うん!それはいいことです!」
なんか希望が見えちゃった感じの顔してるけどね?
パレンケ・・・実際に使えるまでにするの大変よ?