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カエルとお話


目の前のカエル・・・。

多分これがプンタなんだろう。


ただ、デカイだけのカエルではない。

やはりザーザースなんだ。

なんと言うか二本足では立っていない。

立っていないどころか、


何処からか現れた木製に見える真っ黒な椅子にどっしりと腰をかけて、

しかも椅子ごと浮いている状態だ。


間違いなくお化け。

・・・これも精霊のたぐいなのか?

精霊っていうか完全に見た目だけは、怨霊だよね。


カエルの王様の怨霊かぁ・・・。

なんか嫌だなぁ。

生臭そう。


椅子に座っているって言っても、

足がそもそも短くて、椅子の中であぐらをかいている。


腕も短い。

椅子の肘掛けにて降ろされているだけだ。

ただ、深々と腰を椅子に突っ込んでいるんだろう。


なんていうか堂々としてる。

しかも顔だ。


デカイ。

一言で言うと、デカイ。

目もデカければ、口もデカイ。

鼻は申し訳程度しか無いけど・・・。


っていうかカエルのフォルムなので、

頭が何処にあるかわからないんだ。

額が見当たらない。

ふむ・・・何処に脳があるんだろう?

普通のカエルは結構脳が小さい。

トカゲもだけど、なおさら小さいんだ。

構造が似てるなら、プンタの脳は何処にあるんだろう?


実に不思議な形をしている。

・・・さっきからずっと、わからない言語らしい物で唸っているし、

何より見た目が怖い。


どうしよう・・・。

予想してたプンタ像と違ったわぁ。


なんていうか僕の中では、

髭が生えていて、冠を被っていて、偉そうななんていうか・・・。

カエルと人間の間の子みたいな怪人風に思ってたんだ。


予想よりだいぶカエルなんだよね。

自分より大きなカエルを見るとなんだか、

震えが来るなぁ。


まとっている霧っぽいのも、

漏れ出す息っぽいものも全部黒い砂っぽい物だしなぁ。


完全に悪霊、怨霊だよね?

違うのかな?


なんていうか。

関わりたくないなぁ。


”grooooom・・・gguuurooooooooo”


どうしよう。

唸りが大きくなってる。


・・・あっ。

あの短い手でオイデ、オイデし始めた・・・。


行きたくないなぁ。

どうしよう。


怖いなぁ。

流石にお化け関連の対処方がわからないんだ。

精霊さん位明るいヤツなら普通に話ができそうだけど、

流石に、ガチの陰キャにはなぁ・・・。


でもオイデ、オイデが続いてる。

これ、行かなきゃ行かないのかなぁ?

ダメっぽい流れだよね?


仕方ないかぁ・・・結構、気が滅入るなぁ。


カエルの怨霊の前に進み出ると、

カエルの怨霊が短い手をこちらに伸ばしてくる。


・・・届いてないよ。

届いてないのに一生懸命伸ばそうとしてる。

なんだろう?


あっ・・・。

届かないことに気づいてもっとこっち来いって、呼んでる。


ここまで来たんだ仕方ない。

触りたいのかな?


怨霊に触られても大丈夫かな?

なんか不安だけど、まぁある程度僕も霊的な耐性はあるだろう。

だって、精霊さんよりも気の保有が大きいわけだしね。


カエルさんを焦らしてイライラさせても仕方ないだろう。

素直が一番。

ウウダギに何時も言ってるんだ。

それに素直すぎるスキク連中に素直が一番とか言ってもわけわかんないだろうけど・・・。


まぁ、いいや。

成るように成る。


意を決して、触られてやろう。


手の届く所まで頭を持っていくと、

カエルさんが、手を伸ばし、

僕の頭へと触るような仕草をしたように思う。


したように思うって言うのも感触が無い。

それに精霊さんと同じように接触の感覚が無いんだ。


なんというか冷たい風が額に吹き付けただけの、

そんな感覚だった。


すぐに手を元の位置に戻したカエルさんだったけど、

しばらくそのままで見ていると、


カエルさんの身体の周りに漂っている黒い砂が、

渦巻いて、カエルさんを巻き込む。


ビックリしたので僕は少し身を引いて様子を見た。


それ程の時間を置かず、

すぐに黒い砂の勢いが収まり、

砂の中から出てきたのは、

今の僕と似たような姿のカエルだ。

まぁ、相変わらずカエルだけど・・・。


今の僕の姿って狭間だから人間なんだけど、

今のカエルさんは人間の身体に、

人間の顔と同じ大きさのカエルの頭がくっついている、

そんな出で立ちだ。


服も着ている。

着ているというか、あの服は前世で僕がよく着ていたお気に入りの服だ。

性別も男の子っぽい。


ふむ・・・。

今の一連の流れから分かることは僕の何某かを読み取って真似たんだろう。


そして、人間の部分を模した事、

僕の記憶の服を着ていることから、

僕の前世の記憶も覗かれている可能性が分かる。


”あー。あー。・・・聞こえるか?・・・この言語は慣れないな”


どうやら当たっているようだ。

カエルさんが喋ったその言語は、

明らかに日本語だ。


「・・・プンタですか?」

”あぁ。通じてるようだね”


結構若い感じの声だし、

話し方も僕と同い年くらいの口調だ。


”えっと、ラマナイに案内された?”

「ええ、精霊さんにプンタがこの先に居るって言うんで」


”ふーん。で?なんで会いに来たの?”

「あー・・・。えっとですね。今集落で色々起きてるんですけど、どうしてかな〜?っと想いまして」


”色々? それって、どんな事かな?具体的に言ってくれないとわからないな”

「あー。 例えばですけど、集落に畑を作ったんですけど、そこでの生育が異様に早いんです。しかも変化が著しいんですけど・・・それって、僕の予想だとプンタであるあなたの某かに関係があるんではないかと想いまして」


”畑・・・。 畑ねぇ・・・。 ザーザースは畑は作らないはずだけど?どうして作ったんだい?”


・・・答えに困るね。

素直に僕が指示したと言えばいいのか?

と言うか言葉まで読み取ったななら僕のこっちでの記憶も見てるはずだけどなぁ?


なぜそんな質問が飛んできたんだろう?


まぁ、いいかな。

素直が一番だしね。


「・・・僕が作るといいよって言ったら始めちゃいました」

”ああ、なるほど。君の働きによる物だったのか・・・ふむ・・・”


「で・・・どうしてでしょうか?」

”ん? ああ、そうだね。確かに私の働きかけが原因なのは確かだ”


「そうなると、これはこの土地だけでの事ですか?これからずっとですか?」

”いや、君も見たよね?あのトーテム。 アレが四方にあるだろ? アレの中にあるものが対象だ”


・・・トーテムか。

なるほど、たしかにアレがなんかそれっぽい原因な気がしてたけど、

正解だったか。


”そんな事を聞きに来たのかい? ラマナイもつまんないことに気を巡らせる”

「いえ、それだけじゃないんです。特に気になってるのは、この集落に居るザーザース・・・スキクとザウスは特殊ですか?何をやらせるにしても早い上に時間的な制約が矛盾してたりするんです」


”時間・・・時か? なるほど、たしかに我らは生産に特化するように創られた者だからね。早いならそれでよくないか?”

「まぁ、其れでもいいんですけど、その技術を持ったスキクが死んだ後、後を継ぐ物が出るかわからないんですよ。それだと文明というか知識と技術が継続していかないんです」


”・・・そうか。 君と我らではそもそも成り立ちが違うようだからわからないんだね?”

「成り立ちですか?」


”私は君たち・・・えっと、ニンゲンと言う種族がどのようにして発生したのかを知らない。事、君はよその世界とやらの住人のようだしね。私では正確な答えを用意できないんだ”

「・・・なんと言うか、いい塩梅な答えは無いですか?」


”難しいことを言うね? そうだなぁ・・・。 我らザーザースはそもそもの成り立ちが労働力として創られている。かく言う私もそれの一部だ。 だけど、ニンゲンはそうではないだろう。他の旧き者の手によって創られた存在であろうと思われる。君に至っては知るすべがない。 そこで考えうる内容としては、ザーザースは常に変化を、しかも激的な変化をいともたやすく起こしてしまう生き物なのだ。 本来動物は何千年と時を超えることで、様々な環境の変化への耐性を付けたりしながら今の形、や習性、性質を勝ち取っている。 それをザーザースはきっかけが有れば数日で行ってしまうのだ。 どういう意味か分かるかい?”


随分話がややこしくなってる。

僕はそんな事を聞きたいんじゃないんだけどなぁ。

なんで、時間を無視した動きが出来るのか?とか、

なんで変化が・・・あれ?話し繋がるのこれ?


質問に答えるべきか?

何も頭に浮かばないんだけどなぁ。


「いや、わかりません」

”ふむ。まぁ、良いだろう。君も外ではスキクなんだろ?変化はしているけど、まだスキクだ”


嫌な事良い始めてないか?

僕の身に起こってる変化もそのザーザースの変化が激しいっていうやつの一部ってことだよね?


”君は近い将来、スキクではない者へと至るだろう。まぁそれが望んだ道なのかは、わかりかねるけどね。 でも、其の道を選択したのは恐らく君自身だろう。 納得がいかなくともそうなると98%の確立で予測出来る。ほぼ確定お一定良い。 その変化というのがスキクの特徴であり、ザーザースはすべて、スキクがベースで出来ている。 ザウスやクロデルと言われる者、プンタである私も例外ではない。 きっかけだ。 きっかけさえ有ればどのような道も用意されている。 其の中で、自分がどのような道へと至るかと言う話であれば、私からは憶測でしか無い助言しか出来ない。 それに変化を抑制するために今までの制度があるのだ・・・他のプンタには悪いが、最近私は、思考の極地へと至った。 結果、考えを改めることを選択したのだ。 それが今この時に花開いているとも言える”


随分話すね。

言ってることが、重複してたり思考の方向性が色々飛んだりしてるので、

ちょっと理解に苦しむ。


どう捉えれば良いのかな?

第一のプンタは思考していて、最近結論が出たのか?

そんで、考えを改めました。

そんな話で終わったよね?


それに僕がスキクじゃなく成るとか言ってるけど、

ウウダギと離れる未来はないだろう。

だって、可愛いんだ。

手放すくらいならそんな道は選ばないだろう。


「今一、話がまとまらないようですけど、要は、ザーザースってのは変化が激しくて収拾がつきにくいから画一的に抑制していかないと、手が付けれません。ついでに僕は将来スキクじゃなくなります。そんでもって、考えていたことの結論がでたから、仲間のプンタには悪いけど、旧き者が決めた取り決めを破りますってことですか?」

”話が早いな”


どうやら正解っぽい。


「じゃぁ、今この集落で起きている変化っていうのは、本来のスキクの習性というかザーザースの習性であって、特に問題ではないってことですか?」

”本来というのが何処にあるかと言う事にも成る。 だが、君が懸念している内容からするとそうだ。心配は要らない。 だけど、しっかり見ていかねばならないだろう”


「・・・なるほど、監視は常にしていかないと違う方向に行っちゃうよ?って言ってますよね?」

”話が早いな”


「・・・じゃぁ、いいかなぁ?他のプンタとのかかわり合いは避けたいんですけど、なんとかなりますか?」

”ならない。 むしろ、接触してくるだろう。”


ですよねー。

そうかー。

避けられそうもないなぁ。


「あのぉ・・・。あなたは、結構温和な感じに見えますけど、他のプンタもあなたと一緒で温和ですか?」

”オンワ・・・。 優しいと言う話をしているのか?”


「ええ、僕から見ると随分親切で優しそうに見えるんですけど?」

”・・・そうだな。私と他のプンタはそもそもが違う。厳密に言えば、私は旧き者の手によって生を受けたが、他の8匹のプンタは全て、私かもしくは私に従うスキクの手により私の核を利用して生まれている。つまり私の分身と行っていいだろう。しかし、その中身は、全てが異なる。 行っている意味はわかるか?”


・・・クローンなのか?

そういう風に聞こえた。

つまり、今目の前の第一のプンタがオリジナルなんだろう。


・・・これは他のプンタは中身が違うって話からすると、

そもそも別物と考えたほうが良さそう。

そうかぁ・・・別物かぁ。


「あのぉ・・・そもそもプンタってなにが役割なんでしょう?統括とかしてるわけですよね?色々と」

”私は旧き者から今居るこの星全ての自然環境において、起こり得る現象を計算するために生まれている。つまり役割は『思考』そのものだ。こうして君と話しているのも私の外部計算の一部にすぎない。他のプンタには私が、不得手である部分や、計算範囲に入っていない事柄に対して専門的に計算を実行させるように言い含めてある。其のために作ったのだ”


・・・なんか必要以上の情報がゲット出来たっぽいけど・・・。

要は、計算、思考だけが取り柄なのがプンタってわけだね?

そうかぁ・・・。


まぁ、でもこれで色々聞けた。

あとは幾つか聞いて、戻ろうかな。


それから、しばらく色々な質問をするたびに、

プンタはなんの躊躇もなく答えてくれる。


そうだなぁ。

まるでPC検索をしているかのようだ。

曖昧なキーワードに対しても捕捉を求めてきて、

それに見合った内容を提示してくれる。


なんと言うか、

ロボット検索機といえばいいかな?

AIと喋ってる感覚にちかいかな?


ただ、いつくた聞いた所で、このプンタが出来る事は何かと聞いてみたら、

手の届く範囲でならば、環境をある程度コントロール出来る程度だといっていた。


環境のコントロールっていうのは元の世界でも実現できていないだろ?

そうなるとこのプンタは元の世界の何よりも優れていることに成る。


相当凄いパソコンというイメージがつよいな。


まぁ、いい。

取り敢えず、聞きたいことも色々聞けた。

ウウダギもきっと泣いてるだろう。

そろそろお暇しようかなぁ。


「そろそろ僕、現界へ戻るよ」

”ふむ。気をつけて戻ると良い”


結構あっさりしてるよね。


「また何か聞きたく成ったらここへ着てもいいの?」

”それは難しいだろうな。 何故なら私が必ず居るとも限らない。 私は個として一つではない”


なんとなく行ってる意味が分かる。

要は、今話してるのはプンタの一機能であって、

その機能が毎回作動しているわけでもないってことだろう。


感覚から言うと、他の人格があって、役割を同時進行してるから、

次来た時は違う人格が対応することに成るだろうって言ってるんじゃないかな?


「そうかぁ・・・。じゃぁ、残念だなぁ」

”・・・感情は、時に情報をもたらしてくれる。 今回は私の中の感情が機能したようだ。 もしよければ、私に名を付けてくれ”


名?

名かぁ・・・。

つぎがあるならってことかな?

って事はご指名できるってシステムですか?


なるほど。

いいね。


「わかったよ。 プンタなんて言っても味気ないよね。 どんな名前がいい?」

”特にはないかな”


「じゃぁ・・・カエルさんってことでいいかな」

”わかった。私は『カエルサン』としよう”


「いや、”カエル”が名前で”さん”は敬称だけど・・・」

”では『カエル』としよう”


あっさり、カエルってことに成った。

まぁいいか。


「じゃぁ、そろそろ戻ります。 ・・・って言ってもどうやって戻ればいいかな?」

”そこの台座に乗り、天を目指すだけだ。 特に問題はないだろう”


「ここに来るときはどうすればいいですか?」

”ここにはそうそう来れはしないだろう。必要な場合はラマナイに声をかけるといい”


「わかりました。ではそろそろ戻ります」

”私は思考に戻る。 さらばだ”


僕が戻るより先に黒い砂となってまた木乃伊の中へと戻っていってしまった。

不思議な感じだなぁ。


それにしても、台座ってあのテーブルの事だよね?

結構、離れてるけどね。


まぁいいや。

取り敢えず現界に戻ろう。


台座の上で真っ暗な天井へと目を向ける。

目を閉じて、自分の集落へと戻るようにと念じ、

身体を天へと持ち上げるようにしていく。


霊体はその考えというか感覚で、空を飛ぶ。

つまり、そこが空であるとかではない。

霊体はそこが地面であっても地面でなくとも地面と捉えれば、

地面なんだ。


同時にそこが空であると思えばそこが空として機能する。

実に不思議。

思い込みの世界だろうね。


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