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部屋の中と木乃伊


推論の根拠は全然ない。

ここまで手がかりがないのも珍しい。

だけど、自動ドアに見えてしまうんだ、仕方ないだろう?

仕掛けがどうなってるか、わからないけどね。


気を集め、陰の気を少し多めにバランス調整する。


陰の気っていうのは想いを刷り込みやすい。

いや、実際は刷り込み安いわけではない。

多分僕がそう思っているだけだ。

向き不向きになるかもしれないけど、

陽の気に比べると、僕は陰の気を扱うのが得意な方かもしれない。


ただそれだけだ。

だけど陰の気と陽の気の性質みたいな物にはさほどの差はない。

というのもどちらも”気”で間違いないからだ。

だけど陰陽は互いに相容れない。

基本はそこなんだけど、

条件次第では交じるらしい。


交じると言うのは、大きな意味で交じるのであって、

厳密には完全に融合しているわけではないらしい。

そこまで気を操ることが出来ないので、僕にはわからないけど、

精密な操作と言われる中では、それを知り得なけれんば先に進まないらしい。


まぁ、そのうち分かる時が来るかもしれない。


取り敢えず今は、出来る所をやるわけだ。

だけど、バランスをとるのも結構重労働だ。


多すぎてもいけない。

少なすぎてもいけない。


結局、用途に合わせて適切に取り扱う事が大事なんだ。

まぁ、うんちくはどうでもいい。


さて、そろそろバランスが整ってきた感じだけど・・・。

調節を逐一していく・・・。

陰の気を増やして、重さと誤認させるんだ。


・・・まだ足りないかな?

もう少しかな?


感触的にはそろそろなんだけど・・・。



すると、音もなく六角形の壁もといドアが薄らいでいくように消えた。

自動ドアだけど、消えるタイプなんてSFでしか見たことないんだけど・・・。


でも、ここは狭間だよね?

現界では実際にどういう空間なんだろう?

この幻の完成度が高すぎてどうも現界を覗けないんだよね。


そうこの壁もこの柱もそして、このドアもすべて幻と言っていい。

狭間の世界でここまでリアルに実感できる物が現界に存在していることは、まずないからだ。


ただ、厳密に言う成れば、

そうだなぁ・・・この壁や構造物すべてが膨大な気で形成された物とわかる。

なぜかと言えば、霊体である僕が通り抜けることが出来なくて、先を見通せないからだ。

現界の物っていうのは霊体である今の僕からすると、

希薄なものでしかない。


宿る気の量が少なければ認識が遅れるほど、希薄なものとして映る。

生命と言われる物、生物全般はすべてが生きる為に必要な気で覆われているため、

其の形が現界に引きずられる形で、その形状を保っているようだ。


例外と言えば、僕くらいだろう。

中身である気の塊が”人間”で、現界での存在形状がスキクなんだ。


気の方が強いとそちらに現界が引きずられるようで、

結果的に僕の現界での形が”人間”よりに変化しているのも事実だ。


多分、全てがバランスなんだと思う。

そこで思うことが有る。


最近、ギュギュパニが体もすだけど、形や鱗や色々なところがオルガよりに変化している。

それはオルガの気の塊、霊体のほうが現界のギュギュパニの体よりバランスから見ると、

ウェートが重いんだろう。


うん。

意外にオルガは精神が強かった。

結果、ヴァンから精霊になりかけていたわけだしね。

そこまですると、流石に現界のギュギュパニでは抗うことは出来ないだろう。

そもそも、体が不自由な状態を補うために施した憑依現象が、

こうも影響がでてしまうとは、流石にやっちゃった感がいなめないなぁ。


ギュギュパニはそれを分かってるのかな?

意外に気づいていても仕方ないとか、成るように成ると思ってそうだけどね。


まぁ、いいや、ここで立ちっぱなしで、考え込んでても仕方ない。

少しマイナスな考えがでているのは恐らく、気を重くしたためだ。

気が重いっていうだろ?


多分、僕は気が滅入ったり重くなったりと、マイナスな方向に行けば行くほど、

自分の殻に閉じこもって鬱々としてしまう気質なのかもしれない。


う〜ん。

まぁ、心や感情は別に分けたほうがいいなぁ。

あまり、やりたいことの為にそれらのせいで判断が鈍るのはどうかとも思うしね。


取り敢えず開いた。

先に進もう。

でも、わからない先に進むのはあまり気が進まない。

取り敢えず調べてからだな。


幻光で足元を照らす。

消えたドアの境目と部屋。

そこにはクッキリとした境目が有った。


僕が居る部屋は床もそうだけど、壁や柱にまで、

わからない素材で出来ているSFな装いだけど、

開いたドアの向こうはまぁ、暗くて光が届かない。

床は何年も手入れがされていないような砂が溜まったようなそんな床が見える。


ぶっちゃけ床っぽい石材は見えるけど、それを覆い隠すほどの砂が積もってるんだ。


これをどう解釈したらいいか悩む。

これがプンタの試練なのかな?

そもそも、なんでプンタはこんなことしてるんだろう?


精霊さんはどうおもってるんだろう?

と言うか、今に至るまでにやったことって、ただドア探してドア開けただけだよね?


どこからどう試練なんだ?

そもそも試練じゃないんじゃないか?

ただ、案内人がいないだけの「かってにお入りください。お足元にはご注意ください」

とかそんなたぐいじゃない?


色々悩むのは僕の悪いクセだな。

パパムイみたいに何も考えないで先を急いだほうが良いかもしれないな。

ここに来るまでけっこう

時間を使ったからね。


現界の僕の体というかウウダギとか泣いてないかな?

大丈夫かな?

そっちのほうが心配なんだよね。


んもー。

余計な事言っちゃったなぁ・・・精霊さんが関わると、色々問題が大きくなる傾向が酷いよね。


さて、時間は早いほうが良いだろう。

パパムイみたいにさっさと進もう。


僕は迷わず、砂まみれの部屋へと足を踏み入れる。

全身がその砂まみれの部屋へ入ると、

後ろのドアが消えてしまった。


「しまったっ!?やっちまったか?」

と思ったけど、まぁ、覚悟は決めていかないと、先に進まない。

まぁ、いいか。


今僕はパパムイみたいにするって決めたんだ。

何も考えず、何も気づかず、そして論点は見ない。

自分の頭の決めごとが最優先で、自分勝手に好き勝手に物を言う。

・・・僕ってパパムイの事そう思ってたのか・・・改めて思い返すと僕も大概だなぁ・・・。


まぁいいや、僕はパパムイだ。

そうおもって進もう。


さっさと、先へ、調べものなんてしないで・・・

何も気づかない様にしてっと・・・。


・・・。

むりだな・・・。


だめだ、僕はパパムイみたいに頭が足りない事が出来ない。


すぐに断念してしまう。

悩みや疑問がいっぱいなんだよね。


でも取り敢えず先に進もう。

どうせ、試練があるなら向こうから接触してくるだろ?


歩みを進める内に周りが見える様に成ってくる。

多分、見えるような光があるんだろう。

ここは狭間だから、正確には光とかではないかもしれない。

ただ、現界と全く接点の無い場所でもない。


狭間は現界と隣合わせ、

現界の法則も狭間の世界には有効で、

狭間の世界の影響も現界に出てしまう。


現界に光有れば、

狭間にも光が有る。


要は、気が物質なわけだし、狭間と現界とで分けるのも違うのかもしれない。

厨ニ風に言えば、ここは狭間でも有り、現界でも有る。

そして、どちらでもないけど、どちらとも言える。

みたいな?


両方が重なり合っているのではない。

同時に存在しているのでもない。

分けるのがそもそもの間違いなのかもしれない。


まぁ、そんな事を一生懸命考えても今の事態が好転するわけじゃないけど、

それでも色々考えてしまう。


さて、色々考えながら進んでいると、

今居る部屋?が、映画とかに出てくる遺跡の神殿っぽい作りになっているのが見て取れる。


そして、僕が足を止めたのは・・・。

祭壇の前だ。


祭壇。

階段を登って其の先に石造りのテーブルが有るように見える。

見えるというのは階段下の僕の位置からだとテーブルの端っこしか見えないからだ。


少しサイドへと回ると、

奥行きがかなり有る。

祭壇のテーブルの先がそのまま高い位置に廊下が有るようで、

ありゃあの道から外れれば、下へ真っ逆さまだ。

結構、高所恐怖症持ちにはきつそうな場所だね。


サイドから眺めると、奥の方。

道を真っ直ぐ進んだ先にこれまた広い広場的な場所が有るように見える気がする。


坂道の様に成ってるんだろう。

上り坂だなぁ。


だから奥の方をここから出覗けないんだ。


・・・この雰囲気から考えると、

手前の祭壇の辺にプンタが居るか、もしくはあの広場の奥に鎮座してる可能性が高い。

そう思える。


映画だとそんな感じじゃん?

違うのかな?なんか仕掛けが有ったり?

わかんないなぁ。


でも取り敢えず奥へと進まなきゃいけないけど、

それには階段を登って、祭壇へと向かい。

最終的には、広場へ向かうんだろうなぁ。


僕は高所恐怖症では無いはず・・・スキクだからね。

しかも、空まで飛んだから、それ程怖くはない。


何より今は霊体だ。

だったら高いところから落ちると言う行為は己の妄想がトリガーに成るはず。

つまり「あっ!落ちるっ!」とか思えば落ちるのであって、

そもそも、落ちると言う現象が現界の自然の法則である、

重力に影響される現象のようなことがないはずだ。


まぁ、そういう事。

もし重力が狭間に働いているのであれば、

僕は空を飛べない。

幾ら気の力が強かろうが、それを持ち上げる気の力がそれなりに必要になり、

最終的には現界の飛行機と何ら変わりないほどのエネルギーを消費するものだ。


でも狭間にはそんなことは起きない。

物が浮かないのは、ものがその位置というかそこに居ると言うのを無意識下で、

もしくはそこを動けない何らかの枷があるからだ。


こう、狭間に長く居ると、色々な考えが出てくる。

こういう状態、状況を前世ではしたことがない。

とても興味深いし、観察や考察もドンドンしたいと言う欲求が強いんだ。


まぁ、階段登ろう。

でも本当に僕は、いま霊体なんだろう。

そして、見えるこの風景は、多分現界だろう。


それを証明するのは、

本来ならば、現界でこんな場所を歩けば、

床に溜まった砂が舞っているはずだ。


だけど、僕が歩んできた場所には足跡も着いていなければ、

砂が舞い散るような現象は見て取れなかった。


つまり、大気を動かすほどの密度が無く、

極めて、軽量。


更に現界の光が僕を素通りするところから考えても、

これが現界であると認識できる。


リアル感がちがうんだ。

さっきのSF部屋と違いね。

あっちは、影もできればものに触るというか、

仮に彼処に埃があれば舞うだろう。


さっきの部屋のドアは狭間と現界の境目だったのかもしれない。

どんな仕組みかはわからない。

そういうことが出来るんだろう。


興味深いなぁ。

まだ色々知りたいことが沢山あるね。


学べるのなら良いんだけどね。


階段を登りきる。

先程サイドから覗いた様に、

やはりここには祭壇しか無い。

祭壇と言っても何かを捧げる儀式用のテーブルがあるだけだ。


8畳くらいかな?

結構狭いく正方形のお立ち台の様な作りだ。


やはり、ここは現界なんだ。

当然、経年劣化が進んでいる。


SF部屋からこっち、周りの風景が見える様にナルトわかったことだ。

周りの壁や柱、石畳らしきもの。

すべてが半壊、全壊していたり、

風化したりと永い年月誰も手入れをしていないのが分かる。


精霊さんの話しによれば、たしかここは、数千年放置されていたんだ。

数千年放置でここまで形を保てるのも不思議だけどね。


今立っている祭壇の場所は砂まみれもそうだけど、

テーブルは既に真っ二つに割れている。

そして、ボクから見て右奥の足の部分が完全に粉々に吹き飛んでる。

破片が見当たらない。

風化してどこかへ消えてしまっているようだ。


ただ、かろうじてというべきかな?

上り坂になっている奥の広場へと続く道はここからだと、

スキク一匹くらいならば進めることが出来るほどは保たれていそうだ。


まぁ、石材で作られているようで、ガタガタには成ってるけどね。

多分出来た当初は磨かれた綺麗な石だったかもしれないけどね。

見る影もない。


色々と思考と同時に風景も映り込むような間隔がある。

この部屋に来てからだ、以前の華やかかりし時代を見ているような・・・。

妄執のようななんと言うか、懐かしさやそんな感じの感情が刺激される。


不思議と懐かしく思う。

実にふしぎだなぁ・・・。


まぁ、先に進もう。

祭壇にプンタがいなかったことを踏まえれば、

やはり居るのはあの広場だろう。

その最奥に鎮座してるに違いない。


・・・生きていればだけどね。

生きていないのであれば棺桶くらいはあるかもしれないなぁ。

人間としての思考かな?


スキクに墓や棺桶の風習や習慣はないから、

そういう可能性は少ないかもしれないなぁ。

死んだ者への慰めは基本、食べるっていう行為だからなぁ。


まぁ、数千年動かないで此の状態を放置してると成ればまず生きてはいないはず。

でも精霊さんは生きているていうか、濁してたよね?


色々と疑問が多い。

一つ一つ解決していくと一生でもたりなさそうだなぁ。


まぁいいや。

進んでいくと、広場が見えてくる。

奥にはデカイ壁。

SFが部屋の様な素材を使ったであろう壁には、

遠目からでも分かる。

びっしりとカクカクの象形文字や楔形文字っぽい物が刻まれていて、

ある程度パターンのある模様の中にそれらが彩られている。


意外に壮大な壁画だなぁ。

そんな感覚だ。


そんで、遠目でも分かる。

その壁画に接するように、

ドデカイ石の椅子。


椅子っていうか玉座だね。

ああ言うのって座ってて痛くないのかな?


そんな気持ちが沸く。

それと玉座に遠目からも視認が難しい。


黒い物体が乗っかってるんだ。

まるで大きな卵のような・・・まぁ半分崩れているようなそんなやつ。


黒くて見るからに乾燥してますよって材質感が見て取れる。


カチカチそうだなぁ。

木炭や燃え尽きた木々の様な材質感だね。

歩みを進めると、その物がなんであるかが分かってきた。


その物。

それは、簡単に言えば、木乃伊だ。

木乃伊・・・即身仏。


何でも良い。

急激に乾燥しちゃって、腐敗も起きなかったのかもしれない。

ただ、お腹周りは完全に崩れ去っていて、肋骨や背骨まで丸見えだ。


人間の木乃伊ではない。

いままで見たことがない。


何かの動物にも似ている。


顎のラインというか顎がデカイ。

横に広くなっていて、

頭が後ろの方へ向いている。


服らしい物を着ている。

これもお腹周りは崩れ去っているわけだけどね。

手足は妙に短い。


これじゃ歩けなかったろうにね?

なにかを掴んだり、手を使うことも出来ないだろう。


なんだろう?

なぜこんな生き物が玉座っぽい場所に鎮座してる?

これがプンタ?


いやいや。

そんなわけ無いだろ?


これどう見ても、出来損ないのただデカイだけのカエルだ。

目もがらんどうだし、乾いた皮膚がカサカサ状態で張り巡らされているようで、

形容するのが難しい。


まぁ一言で言えば、

カエルの木乃伊だ。


しかもデカイ。

デカイっていうのは、

ギュギュパニや、オルガよりも少し大きい。


集落で横暴をしたトリケラ頭とどっこいくらいのデカさだ。

デカイね。


カエルならお腹がぷよぷよしててもいいけど、

木乃伊だとこう干物と言っても良いなぁ。


なんだろうこれ?

もう少し近づこうかなぁ。


僕がそんな気持ちで、少し足を向けると。

カエルの木乃伊から黒いモヤが吹き出してくる。

砂のようなモヤ。


それは、段々と形を取り始める。

そして、形が形成されるかされないかの時に、

後ろから声がかかる。


”zuwamm・・・diokaoo”


何語だかわからないけど・・・。

正直ビックリした。


気配がなかったから・・・。

振り返ってもそこには誰もいない。


慌てて、正面を見る。

そこには、カエルのお化けが居た。


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