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変温動物に生まれて。

二作品目です。

もしよろしければ、見てやってください。

シュッ! ズシュッ!


よしっ!仕留めた!

手に持っていた小ぶりの弓を背中に担ぎ、

素早く腰に下げたナイフを取り出し、獲物へと駆け寄る。


まだ息が有る。

止めを刺してやる事で、神への祈りとしよう。


「我らの血となり、肉とする事で、貴方の命を繋いでいきます。どうか安らかに」


ブシュッ!


祈りを捧げながら

獲物の喉元へとナイフを突き立て、命が尽きるのを待つ。


この瞬間は何時も罪悪感に苛まれる。

他の者は、恐らくそんな感傷はないだろう。

でも、僕はどうしても慣れることが出来ない。


なぜなら・・・



◆◆◆◆◆


「おーい。悟ーもう帰るのかー?」

「あー。もう眠くてねー」


「もう、眠いってどういう事だよw」

「仕方ないだろー?」


「もしかしてアレかー?」

「あーそだよー。アレー」


「そっかー。大変だなお前ん家も」

「うん、仕方ないさ、産れてくる家は選べないからね」


「ははwでも、お前。その道で食ってくつもりなのか?」

「んなわきゃない。バイト代わりだよ!代わりぃ」


「まぁ、程々にしとけよー?ウチの高校バイトはOKだけど、夜のお仕事はNGだからな」

「家がその仕事してるんだし、しかたないでしょ?」


「まぁそーだなw取り敢えず気をつけて帰れよ」

「うん。また明日ね」


僕が最後に覚えている学校での親友とのひと時だ。


ああ・・・やっぱり、僕は死んじゃったんだな。


たしか、学校からの帰り道、姉を見かけて、道路を横断しようと思って・・・

ベタな感じで、トラックにどーん!


ってことで、死んじゃった・・・。

情けない。


でもなぁー。死んじゃったのもアレだけど、なぜか意識が有るんだよなぁー

なんか、最近ネット小説とかで多い例のアレなのか?


もしこれが例のアレなら、大概は神様系が出てくるはずだけど?

なんだろう・・・出てこない・・・それより、さっきからどっかに引っ張られてる気がするぞ?


パターン無視かな?


あ!目の前が急に・・・意識が・・・ネムっ!


・・・・・・

・・・



って感じで、気がついたら薄暗い場所で目を覚ましたんだ。

それからというもの世界が変わりすぎて、ホント驚きの連続だったよ。



◆◆◆◆◆



「皆!獲物を取ってきたよ!解体しよう!」

「獲物ってコレ?ポンピカ」


「そうだよ?」

「コレ一匹?」


「うん!すごいでしょ!今日は僕一人で仕留めたんだ!へへー!」

「へー。まぁいいか。じゃぁ解体しようか?ポンピカも手伝ってね」


「えー!僕は獲ってくる専門だよ?」

「そんなこと言わないのっ!皆が出来る事なんだから、ちゃんと身につけよう?」


「げぇーっ!血が一杯出るんでしょ?苦手なんだけどぉ〜」

「仕留めといて、血が苦手ってのも変だよねw。でも、つべこべ言わずやるのっ!」

「うう〜」


「ほらっ!そっち持って、一緒にやろう?」

「う〜ん。わかったよー。でも僕ら二匹でやるのぉ〜?」


「此のくらいの獲物なら二匹でやらないと、怒られちゃうよ」

「そっかぁ、じゃぁ、一緒にやろう!」



僕が転生したのは、この小さな集落・・・ではなく。


小難しいので簡単にまとめると、

”産卵の泉”って言われる場所で僕等は生まれるんだ。


産卵って聞いて、「あれ?」って思ったでしょ?


そうなんだ!僕らは人間じゃない。

小さな小さなトカゲ。


それも、二本足で歩くリザードマンとか言う種類なんだと思う。

思うっていうのは、人間と交流がなくて、僕らが「リザードマンだっ!」って言われたことがないからなんだけど・・・トカゲで二足歩行って言えばリザードマンだよね?


そうなんだ・・・どうしてトカゲに生まれ変わったのか?サッパリわからない。

前世でなにか悪い事でもしちゃったのかな?

そんな事ないと思うんだけど・・・


まぁいいや。

話を戻すと、僕らリザードマンは、繁殖時期になると、思い思いに番となってから愛を育むんだ。

そして、お腹に卵が出来て、産卵時期に入ると”産卵の泉”って場所で産卵を行うんだ。


産卵の泉っていうのは、この村から2日ほど歩いた場所にある洞窟の中にあるんだ。

洞窟の中は、鍾乳洞になっていて、少し蒸し蒸ししていて、ほのかに温かいんだ。

産卵時期の間は特に温度が変化しないようで、卵を温めるのにとても適しているらしい。


産卵を迎えた雌はその洞窟の奥へと進んで行くことに成るんだけど。

泉っていうくらいだから、大きくはないけど、鍾乳洞の様な作りの洞窟特有なのかな?

小さな池のような場所が所狭しと連なっていてね。


雌は思い思いの場所に産卵を開始するんだ。

そして、産卵した場所は、覚えない。

というか、覚えても仕方ないんだ。


なんでか?

それはね。


泉を管理しているイモリみたいなリザードマンが卵の場所をコロコロと変えてしまうからなんだ。

卵を均一に温めるためらしいんだけど・・・

だから、産卵場所を覚えていても意味がないってわけ。


それに、産卵を終えた雌も特に気にしないのも理由の一つかな?



泉で暖められた卵が孵る時期になると、

イモリは泉の水の中から卵を拾い上げて、

鍾乳洞の地面に並べていく。


そして卵から僕達が孵る事に成るんだ。

孵った僕達はまだ、目が開かない内に産卵をした各集落や村落等に運ばれる事に成る。


各所に連れてこられた赤ん坊は其の集落や村落全体が、親として面倒を見る事に成る。

と、まぁそんな感じで周り皆兄弟みたいな感じになってしまうわけだ。


あと、便宜上、村とか言ったけど。

リザードマンの認識というか言葉で、集落やそういう小さな集まりを”ギ”と発音する。


う〜ん。

ちょっと長い説明だったけど、結局僕らは小さいトカゲ人間なわけだね。


僕は、目が開いた瞬間、周りがトカゲだらけだった事にビックリしたけど、今はもう成れた。


そして、僕ら小さなトカゲは、成長が早いんだ。

寿命も短いんけど、大人になるのに一年かからない。


僕は生まれてから、ちょうど、一年位かな?

カレンダーみたいなものがないから正確な日付はわからないけど、

多分数えて360日は経っているはずだしね。


「ポンピカ!ちゃんとやんなきゃだめだよ!」

「ごめんごめん!ちょっと考え事してたんだよ」


「もー!今は、解体してるんだよ?クグナが手に刺さったらどうするの?」

「だから、ごめんっていってるじゃーん!」


すみません。

やはりリザードマンなため、言葉の壁が有るようですね。

因みにクグナは、ナイフの事です。

そう、認識としては、手にもって、”小さな動きで操れる刃物”という考えのようです。


「もー!ポンピカは何時もそうなんだから!」

「それより、ギギリカは解体終わったらどうするの?」


「んー。今日は特にやることないからねー。ポンピカは?」

「んー。何しようかなー?」


「もう!ポンピカ!ちゃんと決めておかないとだめでしょ!」

「もー!うるさいなー!じゃぁ、今日は・・・パンバムの訓練でもするよ」


ここでも、訳すとパンバムとは、まぁ、”大きな刺す”みたいな意味合いを指します。

なので、”槍”の事を表しています。


「えっ?パンバム?ポンピカが?」

「変?」


「んー。だって、私達は、身体も小さいし、力も無いじゃない?使えない練習して意味あるの?」

「んー。でもさー?パンバムくらい使えたほうが狩りも楽かなー?って思ったんだよ」


「ふーん。 でも私達に合うパンバムなんて置いてないよ?」

「そーなんだよねー。どうしようか?」


「じゃぁさ?ピブでいいじゃない!ポンピカはピブが上手だし!」

「ピブかぁー。今日もそうだったんだけど、ピブってさー?近くに獲物がいると、逃げるしか無いんだよね」


”ピブ”は日本語で言えば、”弓”の事です。

表現的には、”飛ぶ刺さる”みたいな感じですね。


「んー。でもー・・・私達には無理だよー」

「そーかなー?」


「うーん」

「うーん」


「あ!そうだ!」

「ん?」


「クグナを棒の先につければいいんじゃない?」

「・・・おー!それなら行けそう!」


「じゃぁそれでやろー?」

「うん!」


そして、解体を終えると、肉の大半を村長のところへ、持っていき。

余った肉は自分たちで食べる用に取っておくことに成る。


一通りの作業が終わったので、其の日は、クグナことナイフを棒の先端に付けた槍もどきを使って、槍の練習をした。ギギリカも一緒に練習したんだ。


うーん・・・槍も接近戦向きじゃないよね?

やっぱり剣みたいなのが必要かな?

でもこの村で、剣なんて見たこと無い。


なんでだろ?


更新頻度は基本週一回で行こうと思います。

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