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第六話

第六話


異世界ゲーム化は実体験で学んでいくしかない。

ステータスの上がり方やスキルの取得方法もイマイチ規則性がわからない。


考えてもわからないかもしれないし、まぁいいか。


村に着き早速狩りで得た皮や肉を買い取ってもらおうと、ヴァンさんに確認しに行った。


「おう!おかえり、どうだ狩りは大変だったか?」

「ええ、心底疲れましたよ、幸い無傷で終われましたけど精神にくるものがありますね・・・」


戦闘中モンスターの攻撃を思い出すだけで肝が冷える。


「はっはっは!!そりゃ仕方ないだろ、戦闘経験ろくにないんだからよ、無傷で良かったじゃないか、最初の狩りにしちゃ上々だろう!」

「上々なんですかねぇ?肉とか皮があるんですがどこで買い取ってもらえるんです?」

「ああ、向かいのなめし屋で買い取ってくれるぞ」


そういや向かいの小屋の前で皮が干してあったな。

肉も買取すんのかな?


「肉もですか?」

「ああ、この村じゃあモンスターの取得物は全部なめし屋で買い取ることになってるんだよ」

「ヘぇ〜こっちとしては便利でいいですけどまとめて買い取ってもらえるんですね、ちょっと行ってきますね」


一旦井戸で血にまみれた顔と手を綺麗にしたあと、向かいの小屋へ着くと生暖かい血の匂いがしてきた。

この中で作業するのか、匂いが残りそうできついそうだな。


「すみませ〜ん」

「あいよ、どうした?」

「これ買い取ってほしいんですが」


言いながら狩りで得たドロップ品を店主に渡した。


「え〜と皮と肉、あと骨か、珍しいな死体じゃなくて解体済みとは」

「珍しい?」

「あん?狩りしてきたんだろ?だったら大抵死体丸ごとでこっちで解体することが多いからよ、にしても随分すくねぇな、これだといいとこ銀貨3枚ってとこだな」


死体丸ごと?少ない?みんなどんだけ狩ってるんだ?

6体も倒して少し自信みたいなもんがあったんだが、この世界たいしたことのないのか?


「えーとラビッツ5羽とラットジラ1体狩ってきたんですけど?」

「おいおい、そんなに狩ってたらもっとあるだろ?」

「いや〜それだけですよ?」

「まぁいいさ、でどうするんだい、銀貨3枚で買い取るか?」

「えっええお願いします」


ドロップ品をすべて渡し、銀貨3枚を受け取る。

何か釈然としないなぁこの後もう一回狩り行くか?

このペースじゃ農作業手伝ってた方が稼げるなぁ。

なめし屋を出て考え事をしてると村の入り口の方が騒がしい。

近くに行ってみると昨日の商人さんがいた。

服はズタボロで所々血を流し怪我をしていた。


「どうしたんですか?」


一番近くにいた村人に話しかけてみた。


「いやぁなんかモンスターに襲われたらしいよ、珍しいことじゃないけど、ん〜護衛がついてるから問題ないはずなんだけどなぁ、この辺りはそんな強いモンスターがいないしさ」

「ペルグランデが出たんだよ!!」


村人の話を聞いていた時、商人さんが大きな声で叫び始めた。ペルグランデ?モンスターっぽいけど


「馬車に乗ってたら急に影ができて、気づいた時にはペルグランデが急降下してきたんだよぉ!護衛が戦闘し始めたがだいぶ苦戦してて、その間に逃げてきたんだぁ」


村人が驚いたように言っている。

急降下?空を飛べるモンスターなのか?

村人の間に緊張感が生まれ重苦しい空気に変わる。

そんなにヤバイモンスターなのか?


「誰か戦える奴はいないか!?このままじゃ護衛と馬車が全部なくなっちまう謝礼は出すから助けてくれ!!」

「ペルグランデなんかを狩れるやつはうちの村にはいないぞ!?どうする!!」

「あの〜すみません、一旦落ち着きましょう、僕ヒールが使えるので怪我を直しますよ」


声をかけたところ村人が一斉にこちらを振り返った。

一瞬たじろいでしまった、商人さんに近づきヒールをかける。見たところ軽い怪我だったようですぐに傷は塞がっていく。


「あっあんた昨日のナイフ買った人か?しかし驚いたあんた魔法使えるのか!?なぁ一緒についてきてくれないか!!いまもこうして護衛が戦ってるんだよ!!!」


俺の両肩を掴み商人さんが懇願してくる。

おぉう、マジか!?

しかしペルグランデってモンスターがどれだけ強いかもわからん、周りの反応見る限りじゃあかなりやばそうだ。


「あっあのすみません!そのペルグランデっていうモンスターですか?僕見たことないんですけど、そんなに危険なモンスターなんですか?」

「危険だ!!!護衛が倒されたらこの街だって襲撃されかねないんだ!!」


どうしよう、俺に倒せるような実力があるとは思えない。

しかし、村が襲撃を受けたら住むところがなくなっちまう、早く決断しないと護衛がもたないか?

行くしかないのか?





「頼む!!!!た、たすけてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ」


顔は下を向き涙と鼻水が混ざりながら汗のように零れ落ちる、悲痛な叫びとえづく声がこだまする。

こんなに必死で懇願されたことは生まれてこの方一度もない。






だからこそ胸に刺さる






助けたい






この人を助けたい






俺の気持ちが言っている助けろと。






「すぐに向かうぞ」

「えっ??」


呆けた顔で聞き返してくる。


「助けに行くんだよ!!!」

「あっあっありがとうぉありがとうぉぉぉぉぉ」

「感謝の言葉は全部終わってからにしてください!!必ず倒せる訳ではないんですから!」




さぁ助けに行くか!!

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