第五話
朝から平原に出てモンスターを狩りに行く予定だ。
日本で使用していた時に使っていたBIITの機能は、どうやらこっちの世界でも使えるようで、頻繁に使ってる。
ヴァンさんからモンスターの特徴を聞いてから牛やウサギ、ネズミについてBIITで画像検索や習性なんかを調べてみたが、ラットジラが好戦的ということもあり役に立つかはわからないがな。
「おはようナナシ」
「おはようございますヴァンさん」
今俺はヴァンさんの家に居候してる。
独身でベッドも一つしかない家のため俺は地べたで毛布をかぶって寝ている。
「朝飯食ったら早速行くつもりなのか?」
「ええ、正直緊張してますよ。」
「緊張か、あんまり無理するなよ」
「適度にやりますよ」
その後朝飯、味の薄いジャガイモのスープを食べた後、早速平原に向かった。
持ち物は昨日のナイフと水と昼飯のためのパンくらいだ。
村を出て平原を数分歩いたところで、500m先にウサギっぽいシルエットの生き物が見えた。
これ、モンスターって近ずいたら逃げるのかな?
ゲームとかだったらアクティブモンスターじゃない限り攻撃してこないし、逃げもしないけど。
この間のラットジラは好戦的だったし、逃げはしないか。
ウサギ、ラビッツだったか、に近づいたところ50m付近でこちらを振り向いた。
正直見た目はモンスターっていうかやっぱり大きいウサギだな。
先制攻撃した方がいいか?魔法は遠距離攻撃っぽいし、えーとなんの属性使おう。
火の魔法だったら燃えそうだし火でいいか。
えーとこれ技名いう必要あるのかな?恥ずかしいな。
「フレアバレット!」
手をかざして魔法を唱えた、目の前にこぶし大ほどの火の玉が出てラビッツに向かっていった。
火の玉が出た瞬間からラビッツの表情が険しくなった気がした。
その場で真上に跳躍し、フレアバレットを避けた。
避けた?えっ避けれるの?これまずくない?
つーか結構な速さで火の玉飛んでったけど、あれを避けるの?
跳躍したラビッツは着地後、足に力をためビョンビョン跳びながらこちらに突っ込んできた。
おい!?マジかよ!かなり早いぞ50mも離れてんのにもう目の前まで迫ってきてる!?
「フレアバレットぉ!!!」
とっさに唱えたフレアバレットは突っ込んできているラビッツに当たり、
燃え上がりながら地面に倒れた。神の毛が焼ける嫌な匂いがする。
しかし、ラビッツは燃えながらも立ち上がり再度跳躍しようとしている。
あんな突撃避けられるか!!
俺のMPはもうないはず、直接切りつける!!
ナイフを逆手に持ちラビッツに振り下ろした。
ラビッツの柔らかい腹の皮を裂き血が溢れ俺の手を真っ赤に染める。
まだ動こうとしている!
刺さっているナイフを引き抜き今度は首を狙って振り下ろした。
噴水のような勢いで血が飛び散るように噴き出し、
ラビッツの瞳から徐々に光がなくなり動かなくなった。
「ハァァァァ、キッツイな。もっと簡単だと思ってた」
俺はその場にへたり込んだ。
動かなくなった死体からは血が漏れ出ており血だまりができている。
返り血がすごくて全身血まみれだ。
ラットジラは消えたが今回は消えないのか?
異世界ゲーム化なんて能力のくせに変にリアルなんだよな。
刺した時の感触が手に残ってる。慣れないな。
まだ2体目だし仕方ない。経験値がどれだけ入ってるか確認するか。
「ステータスオープン」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータス
名前:安田善事
種族:人
性別:男
職業:居候
レベル:2
年齢:29
性格:優柔不断
スキルポイント 0
基礎パラメーター
HP:1100/1100
MP:110/10
筋力:130
敏捷:90
器用:70
精神力:100
運:55
EXP:80(次のレベルまで420EXP) ↑80
所持品
ナイフ 水筒 パン ラットジラの皮
スキル
BIIT端末 異世界ゲーム化 基礎魔法Lv1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
経験値は80入ってるな、スキルポイントは入ってないか。
スキルポイントが手に入る基準はなんだろう?
レベルアップに必要なポイントが手に入ると上がるのか?
そういやラットジラの皮が入ったままだった村に戻ったら買い取ってもらうか。
死体が消えてドロップするかどうかの違いがわからん。
ん?ラビッツの死体が消えて肉が落ちてるドロップ化してたのか?
なんですぐ消えない?死んでなかったか?まぁいいか。
ラビッツの肉を拾い、他にモンスターがいないか探し回った。
しかし、結構きついな魔法でどうにかなると思ってたが、意外と威力がないな。
HPが0になったらモンスターって死ぬのか?
それとも致命傷とか部位や怪我の具合がHPに影響してるのかな?
鑑定術が取れればモンスターのHPとか見えるよな?
ん〜次は鑑定術とるか?HPが見えれば精神的にも楽になるし、攻撃の威力もわかるからな。
そうこう考えてるうちに今日の2匹目のモンスターが見つかった。
牛だな。ヴァンさんがいってたブルタスクか。
ただ大きさが日本よりもひと回りでかく見える。
つーかでかすぎる。牛について調べてみたが尻尾から頭まで約170cmくらいらしいが、目の前にいるのは3mくらいありそうだ。
あれを仕留めるのか?このナイフで?お相撲さんよりでかい牛を?
・・・・無理無理無理無理!!!
逃げるか、戦ってみたいと思うが正直今のステータスで勝てる気がせん。
ここは戦略的撤退だ。今日はラビッツかラットジラを中心に狩りをしよう!
===========================
ブルタスクからの戦略的撤退ができてから数時間
その間に狩れたモンスターはラビッツ4体にラットジラ1体だ。
何度かブルタスクにも遭遇しかけたが即座に撤退していた。
戦闘は少しずつ慣れたことで戦闘中でも落ち着けるようになった。
フレアバレット以外の魔法はまぁそのままだった。
ウィンドバレットは見えない弾丸みたいでいつの間にか敵を吹っ飛ばしていた。
ロックバレットはこぶし大ほどの弾丸状の岩が飛んでいき突き刺さる。
ウォーターバレットは一番使えないと思う。弾丸状の水が敵にぶつかるが衝撃と共に敵がびしょ濡れになっていた。
他に気づいたことがあり、死体が消えるのはどうやら時間経過のようだBIITで測ったところ20秒ほどで、ドロップ品が現れる。
なんでそんな仕様なのかは知らんが。
とりあえずレベルアップができる経験値を手に入れてるはずなのでステータスを開く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータス
名前:安田善事
種族:人
性別:男
職業:居候
レベル:2
年齢:29
性格:優柔不断
スキルポイント 5 《スキル選択》 ↑5
基礎パラメーター
HP:1100/1100
MP:110/60
筋力:130
敏捷:90
器用:70
精神力:100
運:55
EXP:500(次のレベルまで0EXP)《レベルアップ》 ↑420
所持品
ナイフ 水筒 パン ラットジラの皮 ラットジラの肉
ラビッツの肉×2 ラビッツの皮×2 ラビッツの骨
スキル
BIIT端末 異世界ゲーム化 基礎魔法Lv1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おおぉぉぉ!来た!キタキタキタ!!レベルアップ&スキルポイントぉ!!!
100EXPごとにスキルポイントがもらえるのかな?
まぁいいや、とりあえずレベルアップをして、スキルを選択しよう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキル選択
ナイフ術 Lv1 必要スキルポイント 1
杖術 Lv1 必要スキルポイント 1
基礎魔法 Lv2 必要スキルポイント 2
鑑定術 Lv1 必要スキルポイント 1
農作業 Lv1 必要スキルポイント 1
BIIT強化 Lv1 必要スキルポイント 10
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2つ増えてるな、農作業まであるってことはある程度経験したことが反映されてるっぽいな。
なんで基礎魔法が最初からあったのかはわからんがな。まぁいいか。
基礎魔法はレベルが上がると威力や効果、射程が上がるようだ。
特に種類は増えないのか。
とりあえず鑑定術と基礎魔法をあげるか。
ナイフは〜どうしよう?武器そのうち変えると思うしいいか。
残り2ポイントはBIIT強化のためとっとくか?
ちょっと怖いけど反応速度上がるのは戦闘中だとかなりのメリットになりそうだし、とっとくか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータス
名前:安田善事
種族:人
性別:男
職業:居候
レベル:2
年齢:29
性格:優柔不断
スキルポイント 2
基礎パラメーター
HP:1300/1100 ↑200
MP:130/10 ↑20
筋力:150 ↑20
敏捷:105 ↑15
器用:80 ↑10
精神力:130 ↑30
運:60 ↑5
EXP:0(次のレベルまで1100EXP)
所持品
ナイフ 水筒 パン ラットジラの皮×2 ラットジラの肉
ラビッツの肉×2 ラビッツの皮×2 ラビッツの骨
スキル
BIIT端末 異世界ゲーム化 基礎魔法Lv2 鑑定術Lv1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータスの上がり方にばらつきがあるな。なんだろ。
正直前にレベルが上がった時は実感湧かなかったんだよな。
そういや異世界ゲーム化のスキル説明見てなかった。
確認しないと、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界をゲーム化する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・・・・・・ん?
・・これだけ?オーガストさんの言ってた説明と大差ないぞ。
いやいやいやいやいやいやいや、ないだろこれは、他のものは説明がしっかりしてるのに
なんでこれだけ?自分で全部検証していかないとイケナイノ?フザケてンノ?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
盛大なため息をつき俺は村への帰路につくのだった・・・