第一話
これ・・どう・・・どっ・・・
人の話声が聞こえる。なにがあったっけ?
思い出せない。【BIIT起動】【今何時だ。】【20時12分】
えーと朝仕事に出勤してその後外回りで・・・地面が裂けて落ちた?
えっ落ちたよな?死後の世界?いやBIIT起動しているし生きてるか。
えーと営業してたのが昼過ぎだったから・・8時間近く気を失ってたのか。
身体が風邪をひいた時のようにだるい。起き上がれない。
とりあえず目を開けるか。
そこは上下左右がすべて純白の世界だった。
見えない地面があるようだがすべてが白く境目が見えない。
そんな世界に黒髪チョビ髭、ギリシャ神話の神様みたいな洋服?洋服っていうのかな?コート?のイケメン外人がいた。
???どうなってんだ?思考が止まる。とりあえず話かけるか。言葉通じるかな?
翻訳機能使うか?いいかとりあえず声をかけよう。
「あの・・・」か細い声が出た。
「はぁ」外人さんがため息をついてる。
「あの・・すみません〜」
「ありゃ起きた?」
「ええ、ここは・・えーとあなたはどなたです?」
「ん〜どうしよう言っていいのかなぁ・・しかしでも、ん〜」
何か悩んでいるようだ。正直なんとなく気づいてる、と言うか現実的じゃない。
この状況はおかしすぎる、夢の方が納得が行く。
神様とかなんか別次元の人かな、あの、頭がおかしい人とかって意味じゃなくて
「その〜神様ですか?」自分の言葉とは思えない間抜けな言葉だ。
「神様・・ん〜まぁそうか神様になるのかなぁまぁいいか。そうです私が神様です!」
「・・・・」
「・・・・」
「頭大丈夫ですか?」
「頭大丈夫です」
「大丈夫な人のセリフとは思えないんですが」
「そっちに合わせただけだよ!そんなことよりさっさと起きろ」
外人さんが手をかざすと身体のだるさが抜け起き上がれるようになった。
やっぱり神様的な感じの人かなぁ、ヤベェな興奮してきたな不安もすごいあるけど
「えーとそれでここはどこであなたは誰で俺はなんでここ「うるせぇ!一気に質問すんな」
「あ〜ここはそうだな言ってしまえば次元の狭間?みたいなとこで俺はオーガストって名前で、その〜神様みたいなもん?と言うか別次元の存在的な?」
「なんでそんなあやふやなんですか?」
「俺だって全部理解して生きてるわけじゃないんだよ、え〜ととりあえず連絡するか、ちょっと待ってろよ〜」
そう言うと懐から四角い黒い板を取り出し電話みたいにかけ始めた。
携帯かな?と言うか神様じゃなくて別次元の存在なのかただ超常的な能力持ってそうだし、ちょっと言葉遣い荒いし怖いな。
「あ〜すみません3次元担当のオーガストです。今3次元の人間がこっちに落ちてきたんですけど、これどうすればいいです?・・・・はい・・はい・・・えーとその付与ってやったことないんですけどどれくらいつければ・・ええ・・ああなるほど了解です。じゃあそんな感じで・・・わかりました〜」ピッ
なんか不安になってきたな。この人大丈夫かな?
「あの〜」
「おうお待たせしました。えーとなんだっけ、えー」黒い板を見ながら何か話し始めた。
「ようこそ3次元の存在よ。そなたは・・えー次元の狭間に落ちてしまったようだ。これから選択肢を与える。すまないがそれ以外の選択肢を用意できんので覚悟を決めて選ぶがよい。」
「はぁ」
「そなたが選択でき・・るのは、えーとここにいた記憶を消して元の世界に戻る方法、それとこれは別の世界?ん〜別の世界に転移する方法の2種類だ。どちらがいい?」
おぉちょっと感動漫画っぽい展開だ。元の世界戻れるんだ。別の世界も興味あるけど
「ちなみにその記憶を消して元の世界に戻るって問題ないんですか?
「問題ないとは?」
「その〜ビット式携帯使ってるんで今も録画してる状態なんですけど、それも消えて落ちる前に戻るんですか?」
「ビット式携帯?なんだそれ?」
「え〜と脳内にチップがあってそれが脳内の情報をすべて保存してるんで自分が見ている光景とかも保存されちゃってるんですよ〜」
「えっ脳内になんか埋め込んでんの?えっキモっ気持ちわる!今の3次元の存在ってそんなことやってんの?やばいわぁ、気持ち悪いわぁ」
「まぁ抵抗なかったかといえば嘘になりますけど」
「そうねぇそれも多分消えるねぇ。あとで確認するけど、それとその元の世界に戻る場合は落ちる前じゃなくて、多分ちょっとずれると思うよ」
ずれる?場所がずれたりするんかなぁ?
「ずれる?場所とかですか?
「いや時間がちょっとずれると思う」
時間!時間ってどのくらいなんだろう?正直元の世界戻ってもなぁ
「どのくらい・・・まぁいいか正直元の世界に戻るのは選択肢としてないし別の世界行きたいです!」
「そうか別の世界の場合は〜え〜これか、なになに別の世界の場合ランダムか、よしっ!さぁゆけ三次元の存在よ!」
「えっちょっちょっと待ってランダムなの?」
「うんランダムらしいよ。まぁ体質とか向こうの世界に合わせて再構築されるみたいだから大丈夫じゃないかぁ。それと付与っていうのを行います。」
「ランダムは怖いなぁ、付与ってなんです?なんか超能力もらえたりするんですか?」
「そうねぇ超能力みたいなもんか、そうだ超能力だ!この中から一つ選ぶがいい!!」
そう言うとオーガストさんは黒い板を手渡してきた。なんか手触りすべすべした石みたいだな。
おお、立体ホログラムみたいにリストが出てきた。
え〜なになに、《異世界ゲーム化》?他には〜・・・ない?えっ一つしかない?
「ほうほう異世界ゲーム化楽しそうじゃないか、これでいいか?」
「これでいいも何も一つしか・・・」
「多分あれだ、お前に合うのはそれしかないってことだと思う」
「俺に合う?なんかこう釈然としないんですが、ちなみにこれどういう能力になるんです?」
「これはあれだ異世界をゲームのようにするということだな。うん」
「・・・・」
「・・・・」
「いやっ「さぁゆけ3次元の存在よ!!今後ここに落ちてくるでないぞ」
反論しようとしたが言葉は遮られ、オーガストさんが手をかざすと亀裂に落ちた時のように目の前が暗くなり、俺の意識はなくなった。