レンタル
「むむむっ・・・。」
藤岡です。山岸さんが今度は難しい顔をしてます。
この前のアニメロスの時といい、山岸さんは感情が豊かです。
「むむむむむむ・・・。」
ここは隣の席のクラスメートとして放っては置けません。
「どうしたの山岸さん?」
「あぁ、藤岡君。いや大丈夫、これは私の問題だから。」
「いやでも・・・。」
「そこまで言うなら聞いてもらおうかな。」
早い!!恐らく僕はそこまで言ってない。
「実はね、私アニメが大好きなの。」
うん、知ってる。学生鞄にアニメのキャラクターのキーホルダーをじゃらじゃら付けてるし、昼休みにスマホでアニメ見てるし、突然アニソン口ずさんだりするから、クラスはおろか同じ学年なら誰しも知ってる。
「それでね、少し古いアニメを見直そうと思ってレンタルビデオ屋に行ったの。それでね、全巻一気見する気満々でアニメコーナーに来たんだけど・・・愕然としたわ。」
「全部借りられてたの?」
「それならまだ諦めが着いたんだけどね。DVDの第一巻だけ借りられてたの。最初の巻は一話しか入って無いのよ‼物足りないでしょ‼最低でも二、三巻は借りて行くでしょ普通!!」
あ、熱い。鼻息も荒くなってる。アニオタって熱いな。
「いや・・・人それぞれなんじゃ。」
「あぁん‼」
ひっ・・・メンチ切られた。僕が何かしましたか?
「あっ・・・ごめんなさい熱くなりすぎたわ。でもね、話はそれで終わらないの。後日私が再び同じレンタルビデオ屋に行ったら・・・。」
「い、行ったら?」
「一巻が返って来てて!!二巻が借りられてたのよぉ‼キィィィイ‼」
アニオタのヒステリー‼アニオタのヒステリー‼
「これでアタシが一巻借りたらお下がり感が半端ないわ‼いっそ三巻から最終巻まで私が借りて止めてやろうかぁ‼」
こ、これは収拾つかないヤツだ!!パンドラの箱を僕は開けちゃったんだ!!