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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第五十五話 勇者パーティーへの復讐 その八

 ……思ったより、興が乗らなかった。
 想像していたよりは楽しくなかったのである。

 勇者パーティーへの復讐。
 満を持しての復讐は順調に進んでいる。今までは僧侶、戦士と立て続けに殺してきた。しかし、だというのに俺の心は満たされない。

 まったくもって物足りないのだ。
 俺がやりたかった復讐はこの程度なのだろうか……退屈だ。もっともっと、楽しいものだと思っていたのに。

 俺を奴隷にしていたクラウン・プロエリウムを殺した時はもっと高揚した。
 あいつの惨めな姿を見ると、心が満たされた。

 だが、僧侶と戦士が死んでいく姿を見たところで、大して心は満たされない。

 違う。俺が求めていたのは、この程度ではない。

 なんとなく違和感があった。その違和感は、魔法使いと戦っている時も残ったままだった。

「ぐ、ぁ……」

 計画通り、魔法使いも呆気なく追い詰めていた。
 ともすればこいつは僧侶や戦士よりも簡単だった。魔法使いなのだから、魔法が効かないような武具をスケルトンに装備させれば良い。ただそれだけで、魔法使いは戦う手段を失った。

 魔法に関しては絶大な力を持っているらしいが、いざ得意分野を潰されたらこれである。パーティー内でも勇者に頼り切っていたのだろう……だからあいつがいなくなるだけで、他のメンバーは雑魚となり果てる。

「……つまらないな」

 飽きた。
 僧侶を殺してる時よりも、大分退屈になりつつあった。戦士の時にも薄々感じていたが、正直なところこいつらを殺しても大して俺の心は満たされない。

「お前らなんて、所詮前座か」

 ふと、気付く。
 僧侶、戦士、魔法使い……こいつらへの復讐は、ただのついでだろう。

 俺の真の目的は――勇者への復讐なのだから。

「ぅ……ぁ」

 言葉をかけても魔法使いは何も言わない。いや、言えなくなっていた。
 こいつには徹底的に肉弾戦を仕掛けた。Aランクスケルトンたちに命じて、ひたすら殴らせた。結果、奴は立っていられなくなるくらいに負傷し、現在は地面に這いつくばって唸るだけの死にぞこないとなっている。

 その姿を見ても、俺はあまり興奮できなかった。

 クラウンの時の感情を覚えているだけに、無性に物足りないと感じてしまう。

 もういいか。前座はさっさと済ませよう。
 本命の勇者へ復讐がしたい。そろそろ我慢できなくなっていた。

 あいつの苦しむ顔が見たい。
 勇者こそが、俺を裏切った張本人にして、復讐の対象だ。何故なら、俺は騙されていた時にあいつを一番信用していたからだ。

 その分、裏切られて復讐心も募っているのだろう。

「よし、終わりだ……『殺せ』」

 だから俺は、なぶるのもそこそこに魔法使いを殺すようにスケルトンに命じた。

「――――」

 魔法使いは声を上げることもなく死んでいく。もう少し抵抗してくれたら楽しめたのに、魔法使いは一番打たれ弱かったな。

 こんな奴にも馬鹿にされていたかと思うと、イライラする。

「舐めんなよ」

 言葉を吐き捨てて、死体となった魔法使いを蹴飛ばした。ただの肉塊はゴロンと転がって、地面に伸びている。

 哀れな姿である。勇者は、こいつらの死体を見たらどんな反応をするのだろう。

「お……悪くない案だな。こいつらの死体、利用するか」

 なんとなく思い立って、俺はスケルトンにこんなことを命じた。

「『僧侶、戦士の首を持ってこい。魔法使いの首も斬り落とせ』」

 そう。勇者にこいつらがしっかり死んだことを証明するために、首を持っていこうと考えたのである。手土産にはちょうどいい。

 せっかくの対面なのだから、これくらいしてあげよう。

 勇者は、たくさん苦しんでくれるだろうか。そうだったなら――最高だ。

「うん……やっぱり、あいつへの復讐が一番いいな」

 勇者の苦しむ顔を想像すると、他の三人を殺した時よりも感情が昂ってくる。俺にとって今回の復讐は、結局のところ勇者のみが対象だったと言うことだろう。

 僧侶、戦士、魔法使いはついでである。
 こいつらは勇者を苦しめるためだけの道具だ。なんだかんだ、勇者はパーティーメンバーを大切にしていたのだから、きっとこいつらが殺されたと知ったら少なからずショックを受けるだろう。

 そう考えると、退屈だった三人への復讐も意味があるような気がしてきた。

「あははっ……あははははは!」

 無意識に笑っていた。
 いつの間にかスケルトンたちが持って来ていた三人の首を眺めながら、俺は笑い声を抑えきれなくなっていた。

「――殺す」

 そのまま立ち上がって、奴らの髪の毛を掴む。頭は結構重かったので引きずりながら、勇者がいるであろう場所まで歩くことにした。

 ダメだな……今の顔は、レイラに見せられない。
 俺はきっと、最低な顔をしているだろう。こんな顔は見られたくない。

 だって、人を殺すことに喜びを覚えて笑うなんて、そんな部分をレイラに知ってほしくないのだから。

 これで、最後にしよう。
 復讐は、勇者で最後だ。

 だからしっかりと、勇者を痛めつけておこうと思った――
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