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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第五十四話 勇者パーティーへの復讐 その七

 勇者パーティーの欠点は、勇者個人に力量が偏りすぎているところだと思う。
 いや、僧侶、戦士、魔法使いが弱いというわけではない。実力はこの三人も十分にある。

 しかし、あまりにも勇者が飛びぬけているせいで、勇者パーティーには弱点が生じていた。

 その弱点とは――パーティーを個別に分けると、勇者を除く三人の実力が著しく低下することである。

 魔法使いとはまだ戦っていないので推測になるが、少なくとも僧侶と戦士の実力は勇者パーティーとして戦っている時よりも遥かに下だと感じた。

 二人は弱点を突かれると、たちまち何も出来なくなってしまったのだ。僧侶は直接戦闘に弱く、戦士は遠距離攻撃に弱い。今まではこの弱点を勇者が庇ってきたのだろう。それがあって、二人はパーティーで真の実力を発揮できていた。

 自惚れもあったと思う。自身の力を驕り、弱点への対策も疎かになっていた。
 まぁ、そのおかげで俺は簡単に復讐をすることができるのだ。感謝しておこう。

「『放て』」

 いったい、何度目の命令になるだろうか。
 穴の中に向けて、スケルトン達に爆発の矢を射出するように命じる。意思を持たないスケルトンは淡々と弓を引き絞り、戦士に向けて矢を放った。

 直後、穴の中に刺さった十数の矢が、一斉に爆発を引き起こす。これを何度も繰り返したせいか、そのせいで最初は十メートル程度だった穴が、倍以上に大きくなっていた。

 攻撃力としては、そこそこ程度。幾ら爆発で威力を高めているとはいえ、相手は高い防御力を誇る戦士だ。あまり大きく体力を削ることはできない。

 しかし、それを幾度となく続けることによって、奴は着実に疲弊していた。

「き、貴様ぁ……っ!」

 穴の一番下で、戦士は地面に手をついて唸っていた。
 俺を見上げるように睨んでいるが、その視線は弱々しい。みなぎっていた覇気も衰え、戦士は惨めな姿をさらしていた。

 そんな奴を更に絶望へと追い込むために、俺は言葉を紡ぐ。

「お前はこのまま死ぬ、と忠告しておく。俺はお前が死ぬまで攻撃を止めないからな……で、お前はそんな目で俺を見ていいのか? この状況を覆せる手段があるのなら、まぁいいんだろうが。しかし、手段がないのなら……愚策だな」

「……………」

 戦士はふと押し黙り、悔しそうに唇を噛みしめていた。

 その顔だ……その顔が、俺を高揚させる。

「何か、言いたいことがあるのなら、聞いておこう。これは最後の問答になるな……何かあるか? あるのなら言葉を選べ。ないのなら、そのまま殺す」

 殺す。その言葉に偽りはない。
 そんな俺の本気を、戦士も感じ取っているようだ。ようやく死を実感したのか、奴の表情は悔しげな様子から恐怖へと変わっていく。

「ま、待てっ」

 戦士は、とても保身的で貴族らしい貴族だとセリスは言っていた。
 その本性を、俺は垣間見ることになる。

「儂を殺すな……金ならやる。我がウォリアー家の財を、言い値でやろう。女も用意してやる。何なら、貴様を匿ってもいいっ。ウォリアー家で一生面倒見てやる。贅沢な暮らしができるぞ? こんなところで暮らすよりも、はるかに貴様は幸せになれるっ」

 ……どうやら奴は、俺と交渉をするつもりのようだ。
 犯罪者である俺の面倒を見るから、命は助けろと言っているらしい。

「生産職では味わえないような快楽を、貴様に与えてやる! だから、儂を殺すなっ」

 恐らく、こいつの言い分を受け入れれば、俺は貴族のような生活をできる。こいつの家で贅沢な暮らしを送れる。想像もできないような快楽を、こいつは用意してくれるのだろう。

 それはある意味では、成り上がりと言えなくもなかった。

 元奴隷には、とても魅力的な提案だ――とでも、戦士は思っているのだろうか。

 そんな快楽など、要らない。



 俺が欲しいのは――お前らの、不幸だよ。



「それが、お前の言いたかったことだな? ふむふむ、なるほど……理解した。その上で俺から言えることは、一つだ」

 そして俺は――

「断る」

 ――戦士に、止めを刺すことにした。

「くだらない甘言で惑わせると思うな。お前の言葉など魅力的でもなんでもないし、そもそもお前の言葉を信用できるとでも? 馬鹿にするのも大概にしろ……もういい、死ね」

 待機を命じていたスケルトンに、命令を下す。

「『殺せ』」

 直後、スケルトンは戦士を殺すためだけに力を解放した。矢を無造作に放ち、特攻をしかけ、戦士の命を消すためだけの存在となる。

「っぁああああああああああああ、ぁ……」

 断末魔の悲鳴も、やがて消えていった。
 こうして戦士も死んでいく。僧侶に続き、これで二人目だ。

 次は魔法使いの番である――
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