挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

52/58

第五十一話 勇者パーティーへの復讐 その四

「ぐ、ぞ……【最上位回復ハイ・ヒール】」

 右腕が切断されて、痛みに呻きながらも僧侶は回復呪文を唱えた。
 流石は本職だけあって、回復は見事である。切断された右腕はしっかりとくっついた。

「はぁ、はぁ……こ、この僕を、穢したな!? 血が……こんなにっ」

 僧侶は何やら怒っているようである。自分の血がべったりと付着した服に触れて、表情を歪めていた。

 そういえばこいつは血が『汚い』とかなんとか言っていたな。
 自分の血だろうと関係なく、不浄なものだと認識しているようだ。

 これは……面白い。
 もっと穢してやろう。最早『汚い』などと言えないくらいに、血まみれにしてやる。

 そう考えて、俺はスケルトンたちに攻撃を命じた。

「『左腕を切断しろ』」

 今度は、先程とは逆の手を。
 命令を受けた十体のスケルトンは、即座に僧侶目がけて襲い掛かった。

「な、めるなっ……僕を、誰だと思っている!? かの高名なモンク家の跡取りだぞ!!」

 しかし――予想外にも、僧侶はここで大きく反撃に出た。

「【浄化パリフィケーション】!!」

 それは、死霊系アンデッドの生物に対して絶対的な効果を持つ、戦闘職の中でも僧侶にしか扱えない技だ。

 突如として一体のスケルトンの足元に浮かび上がった魔法陣から、光の柱が溢れ出る。
 同時に、そのスケルトンは抵抗する間もなく、チリとなって消えていった。

「あはっ! どうだ、これが僕のちか……っ!?」

 得意げな顔で何やら語ろうとする僧侶。
 だが、残った九体のスケルトンは、そんなことお構いなしだ。

「――――」

 声帯のないスケルトンは、もちろん声を発することはない。
 しかし、それが逆に僧侶にとっては不気味に映っていることだろう。

 黙々と襲い掛かる敵ほど、怖いものはない。

「う、そ」

 もしかしたら僧侶は、一体のスケルトンを浄化することでその他のスケルトンが怯えると考えていたのかもしれない。

 仲間が消されたのだから、恐怖を覚えると思っていたのかもしれない。

 相手が生物なら、そう考えても良かっただろう。
 だが、僧侶と相対しているのは、生物ではない。スケルトンには感情なんてものはないのだ。

 仲間が消されたところで情などなく。
 ただ、与えられた命令のみをこなすのみ。

「残念だったな」

 俺が小さくつぶやくと同時に、スケルトンが僧侶の左腕を切り落とした。

「ぎ、ぁああああああ!?」

 ボトリと落ちた左腕。傷口を押さえてうずくまる僧侶。『痛覚増幅』の影響で異常なほどの激痛に襲われているのか、絶叫していた。

 なんて――素敵な光景だろう。
 少し後方から、僧侶が苦しむ姿を眺める。これがまたいい。

 最高の気分だった。

「ぅ……ぁ……【最上位回復ハイ・ヒール】」

 僧侶は痛みに苦しみながらも、また回復呪文を唱えて左腕をくっつけた。

 先程より息が荒い。度重なる痛みのせいもあるだろうが、連続して幾つも呪文を唱えたことで魔力が少なくなってきているのかもしれない。

 よし。どれくらい頑張れるか、試してやろう。

「『右足を切断しろ』」

 そして俺は、僧侶を痛めつけるよう次々と命令を続けた。

「【浄化パリフィケーション】――【最上位回復ハイ・ヒール】」

 一度目は同じように耐えて、

「『左足を切断しろ』」

「【浄化パリフィケーション】……【最上位回復ハイ・ヒール】」

 二度目は苦しそうに耐えて、

「『両腕を切断しろ』」

「【最上位回復ハイ・ヒール】」

 三度目は浄化の呪文を唱えることがなくなり、

「『両足を切断しろ』」

「ぐ、ぁ……【最上位回復ハイ・ヒール】」

 四度目にはもう、限界に近いようだった。

「おいおい、もっと頑張れよ……つまんないな」

 もう僧侶は虫の息である。

「はぁ、はぁ……っ」

 言葉を発する余裕もないようだ。地面に手をついて倒れまいと踏ん張っている。

 抵抗も、反抗も、少しずつ弱くなっていた。

「『右腕を切断しろ』」

 三体は浄化されてしまったが、未だ七体残るスケルトンへ命令を下す。
 弱った僧侶にもスケルトンは容赦なく襲い掛かり、呆気なく右腕を切り落とした。

 僧侶は抵抗する気力すらなくなっているようだった。

「…………【回復ヒール】」

 そして、魔力も底をついたようだ。
 回復呪文を唱えても、右腕は完全にくっついていなかった。傷口から血が溢れて、地面に血だまりを作っている。

 気付けば僧侶は血まみれだった。
 元は白い僧侶服だったはずなのに、見事な紅に染まっている。

「汚いな、お前」

 思わず口に出た言葉は、かつて俺が浴びた言葉でもあった。
 バカにしたように嘲笑って、僧侶の反応を窺ってみる。

「…………」

 しかし、僧侶は既に生きる気力すらなくしたようだ。俺の嘲笑に反応すらしない。
 ただ、虚ろな目でその場にうずくまるのみだった。

「はぁ……つまらん」

 こう無抵抗になっては、楽しめないな。
 仕方ない。この後にはまだ三人も残っていることだし……このあたりにしてやるか。

「『殺せ』」

 一言、そう命じるとスケルトンが飛び出ていく。
 鮮やかな身のこなしで僧侶に迫ったスケルトンは――躊躇なく、僧侶の首を切り落とした。

「じゃあな」

 死んだことを確認して、俺は僧侶に背を向ける。
 これで一人目は終わりだ。うーん、満足感が足りないな。

 かつて、俺を奴隷にしていたクラウン・プロエリウムに復讐した時の高揚感には足りない。
 もっと、もっと、苦しめたい。楽しみたい。復讐が、したかった。

 次は戦士あたりでも、殺してやるとしよう――
お読みくださりありがとうございます!
よろしければ、評価やブックマークをしていただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ