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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第四話 奴隷生産職の暗躍

 魔族は国の外壁近くにある森に隠れているとのこと。
 人間の世界に近い場所にいるなんて、相当追い込まれているのだろう。

 しかも、森を一周するように包囲網が敷かれているものだから、まず逃げることはできない。

 隠密の兜をかぶって包囲網を確認したが、世間に疎い俺でも知っている高名な貴族が多数見受けられた。流石、王家から声がかかっているだけあるな。

 魔族の壊滅にかなりの力を入れているようだ。
 そして、魔族にとって何よりも危険なのは――勇者パーティーと呼ばれる一団だろう。

 構成人数は四人。
 勇者、僧侶、魔法使い、戦士と呼ばれている男だらけの面々だ。

 彼らは国の英雄らしい。
 多くの魔物を薙ぎ払い、魔族の壊滅にも大きな貢献をしたという。

 地位も名声も権力も金も容姿も運も、何もかも持っている連中だ。

 羨ましい限りである……俺もいつかあそこまで成り上がってみたいものだ。

「さて、と」

 一通り編成や人員の待機位置を把握したところで、俺は包囲網の中心――魔族が隠れていると思わしき場所に向かった。

 現在、包囲網は徐々に小さくなっている最中だ。
 決戦は一時間後に設定されている。それまで魔族の神経をいたぶって疲弊させようしているようだ。

 かなり徹底的だな……ここまでやって魔族を逃がしたら、王家は激怒するかもしれない。
 その怒りの矛先がプロエリウム家に向けられたら、きっと最高の気分になれるだろう。

 そのために、俺は魔族をサポートすることにしていた。
 俺の『武具生成』スキルで魔族が逃げられるだけの装備を整えてやろうと思っている。

「魔族は……あそこか」

 少し歩いていると、魔族らしき面々が木の影に隠れているのを見つけた。
 そちらを覗き込んでみる。

「え……?」

 確認したところ、魔族はたった四人しかいなかった。
 しかもみんな、屈強な男魔族ではなく、あまり強そうにない女魔族である。

「魔王様……もう終わりですっ。逃げられるわけないですよ!」

「もうむりにゃぁ……」

 褐色のメイド服を着た女魔族と獣の耳や尻尾を生やした女魔族が不安そうな声を上げている。

「……わらわの身を捧げて、みんなは見逃してもらえないか交渉してみるのじゃ」

 あと一人、露出の多い恰好をした女魔族は、唇を高く結んでいた。

「落ち着け、みんな……大丈夫だ。ぼくが何とかする」

 そんな三人に言葉を返すのは、四人の中で唯一毅然とした態度を保つ女魔族だ。
 銀の瞳と金色の瞳が印象的な、美しい容姿である。

「ユウギリ、君が身を捧げる必要はないさ……いや、私の身を捧げた方が良いと言うべきか。人間は君よりも私に価値があると見ているようだし、運が良ければ君たち三人を見逃してもらえるはず」

「嫌ですっ、一緒じゃないと……」

「イルファ、故郷に帰ったら家族を大切にするんだよ? ぼくのことは忘れてくれ」

「にゃ……まおうさまぁ」

「カリノ、寂しがる必要はない。みんなと一緒に、幸せになってくれ」

 魔王らしき彼女は決意の表情を浮かべていた

「君たちだけは、魔王の名にかけて助けてみせる」

 素晴らしい意思だ。
 決死の思いで仲間を助けようとするなんて、本当に泣けてくる。

 まぁ、俺には関係のない話だが。
 俺はゆっくりと魔王らしき女魔族の背後に回って、生成したナイフを突きつけた。

 そして兜を脱ぎ捨てて、姿を現す。

「――っ!?」

 魔王はいち早く俺に気付いたが、もう遅い。
 ナイフはもう、魔王の白い肌に触れていた。

「動くな。しゃべるな。何かすれば殺す。交渉の余地などあると思うな。お前らが俺に反抗するようなら容赦なく殺す。返事も必要ない。いいな? とにかく、俺が許可を出すまで声を出すな」

 主導権を握るために魔王を掴み寄せる。
 そうすれば、その他三人は何も動けなくなった。

 よっぽど魔王様とやらが大切なのだろう。
 今なら彼女たちは何でもしてくれそうだ。

 しかし、人質にとっているはずの魔王だけは、俺の言うことを聞いてなかった。

「ぼくを殺すのかい? その前に少し交渉をさせてほしいんだ」

「しゃべるなと言ったはずだが?」

「殺したいなら殺してくれ……どうせぼくは死んでしまうだろうからね。あるいは、君たち人間の慰みものか。どっちでも覚悟はできてるんだけど、でもせめて最後に話だけはさせてくれよ。ぼくはお喋りが大好きだからね」

 なかなか肝が据わっている。
 この状況で冷静さを失わないところを見ると、只者じゃないことが読み取れた。

 あまり威圧するのは得策じゃないな。
 こいつには恐らく、意味がない。

「……まぁいい。お前の話は後にしろ。まずは俺からだ」

 ナイフは首元に突き付けたまま、俺はここに来た要件を伝えることに。

「俺の言うことを聞けば、お前ら全員をここから逃がしてやる……いや、違うか。お前らに選択権はない。俺の言う通りにして、ここから逃げろ。分かったか?」

 その言葉に、平然とした様子を崩さなかった魔王が、初めて動揺を見せた。

「……え?」

 信じられないと言わんばかりの彼女に、俺は再度言葉を告げる。

「お前らを、逃がしてやる」

 こいつらに情なんてない。
 死んだところでどうでもいいし、可哀想だなんて微塵も思っていない。

 全ては俺の復讐のためである。
 そのために、こいつらには生きてもらわなければならないのだ――
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