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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第四十二話 復讐の舞台

 ――魔王城。
 その単語は、俺もなんとなくだが覚えのあるものだった。

 確か、セリスが幼い頃に読んでいた絵本に書かれていた気がする。『勇者』という、現在の勇者の元ネタになった英雄の物語に登場する建物だったはずだ。

 絵本ではもちろん、英雄である勇者が魔王城の魔王を倒してめでたしめでたしとなっていたわけだが。

「ぼくの先祖様はね、この魔王城で『勇者』を倒したことがあるらしいよっ。幼い頃に聞かされたおとぎ話では、そうなってた」

 どうも魔族の間に伝わる物語と、人間の間に伝わる物語とでは、結末が違うようだ。どちらかの物語が都合よく改変されているのだろう。

 真実はもう分からない。
 だが、この場所で勇者と魔王が戦ったと言うのは事実のようだ。

「もうどれくらい昔の話になるんだろう……少なくとも、数百年単位で前の話だと思う。魔王城なんて、てっきり空想上の建物かと思っていたよ。実在するなんて知ってるのは、現在生きている魔族にはいないんじゃないかな?」

「……ここ、レイラたちが生活している場所から、移動用の装備なしでも数日くらいで到着するぞ? 結構近いのに、誰も来てないってことはあるのか?」

「ああ、だってぼくたちは数百年単位で衰退しているからね……さっきも言っただろう? このあたりに生活拠点があったのは、ぼくが産まれるよりも大分昔の話だって。魔族はもう絶滅寸前なんだから」

 相当前から、魔族は苦難ばかりだったようだ。
 ここ最近は特に人間側が優勢だったのは、魔族側が衰退していたせいもあったのか……それくらい執拗に攻め立てられていた、ということもであるか。

「ほら、早く中に入ってみようよっ」

 古ぼけた魔王城を見上げていると、我慢できなくなったのかレイラが俺の手を引いて走り出した。

「ちょっ……分かったから」

 彼女に続いて城内へと入る。俺たちの後ろからはレイラの召喚したスケルトンたちがカタカタと音を鳴らしてついてきていた。

 大理石で覆われた城は、どことなく冷たい雰囲気を発していた。

 あと、やはり長い年月が無人だったおかげで、あいつらの住処にもなっていたようだ。

「あ、魔物だ」

 入ってすぐの場所にある大広間に、大蛇の魔物が当たり前のようにとぐろを巻いていた。

 しかも、この場だけで十匹以上もいる……

「もしかしてだけど、魔王城って魔物の巣になってたりしないか?」

「……可能性は、あるかな」

『キシャァアアアアアアア!!』

 レイラの苦笑と同時に、大蛇の魔物が雄叫びを上げながら襲ってきた。

「『迎撃しろ』」

 襲撃を察知するや否や、レイラは伴っていたスケルトンに命令を下す。

 今現在、ついてきている七体のスケルトンは今までの戦いでも生き残ったAランクスケルトンばかりだ。当然、苦戦することもなくこの場の魔物は殲滅できた。

「このまま、中の魔物を一掃しつつ探索してみよう……たぶんだけど、お宝とかあるかもしれないっ。昔は持て余すくらいに財宝があったって聞いたことがあるっ」

 目を輝かせるレイラは興奮しているみたいだった。

 そんな彼女に頬を緩めつつ、一緒に探索を続ける。
 やはり城内には魔物が巣食っていた。たくさんいたが、その全てをスケルトンが蹴散らしてくれた。

 やっぱり兵力としてはかなり優秀である。これは勇者たちとの戦いにも期待できそうだ。

「あ! やっぱりあった!!」

 そうして、探索を続けているとレイラが宝箱を見つけた。
 城内は結構入り組んでおり、ここはかなり奥の場所にあたる。まるでここまで来たご褒美と言わんばかりに、この宝箱はぽつんと放置されていた。

「おおっ……宝石だ。売れば、いいお金になりそうだよ。帰ったら早速売り払って、豪華な宴会でもしたいね」

 お宝には価値もありそうである。そのまま歩いていると、幾つもの宝箱を見つけることができた。最初に見つけたような宝石が入っている宝箱は当たりで、中には錆びれた武具などはずれの宝もあった。

「……なんで、こんなに宝箱があるんだ?」

「魔王城はね、人間をおびき寄せるダンジョンとしても機能してたみたいなんだ。甘い蜜として宝箱を設置して、それを狙ってきた人間を殺して持ち物なんかを奪っていたらしいよ」

 一種の罠みたいなものだろうか。
 そうか……それは、良いことを聞いた気がする。

 レイラの話を聞いて、俺はふとこんなことを思いついた。

「じゃあ、ここを復讐の舞台にしよう」

 そう。勇者パーティーを殺す場所を……この、魔王城にしたいと思ったのだ。

「あいつらはちょうど『勇者』の称号を持ってるし、魔王城という舞台はうってつけだろ? あと、ここならおびき寄せてあのパーティーを分散することもできそうだ」

 そんな俺の提案に、レイラは同意してくれたのか何度も頷いてくれた。

「うんうん、それはいい考えだねっ……ここは多くの勇者が死んだ場所とも言われている。彼らの墓場にはぴったりだよ! あと、この魔王城は色々な場所と空間が繋がってると聞いたことがあってね……もしかしたらだけど、人間の世界の近くにもゲートが存在するかもしれない」

 かつて、魔王城は人間をおびき寄せていたのなら、もしかしたらゲートもあるかもしれない。その可能性は低くないだろう。

「ちょっと探してみよう」

 レイラと一緒に探索してみると、やっぱりゲートの存在は確認できた。
 ちょうど、魔王城の入口付近にあったのである。これを利用すれば、人間を……勇者をおびき寄せることは可能だった。

 少しずつ、勇者パーティーへの復讐が現実味を帯びてくる。
 彼らを苦しめる時が、今から待ち遠しくなってきた――
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