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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第三十八話 魔族の地

 魔族の暮らしているエリアに来るまで数日かかった。
 移動の補助効果が付加された武具を装備してこれである。普通に移動したら倍以上の時間が必要だろう……俺に会うためにレイラは大分長旅をしていたみたいだ。

「ようこそ、ここがぼくたち魔族の住まう土地だよ」

 どうにか到着した地点は、一言で表すと――荒野であった。

 土色の寂れた大地は暮らしにくそうな環境である。作物もこの場所では育たないだろう……寝泊まりするのも洞穴みたいな場所だった。

 想像以上に、魔族の生活環境は酷い。

「みすぼらしくてすまない……少し前までは、もう少しマシな場所に住んでいたんだけどね。戦える魔族が少なくなって、敵がいないこんな場所でしか暮らせなくなったんだ」

 生活しやすい場所というのは、往々にして他の生物にとっても居心地が良いということだ。恐らく、レイラが敵と言っているのは魔物のことか。戦える者がいないとなれば対抗手段もないので、このような魔物も住めない土地で暮らしているのだと思う。

「あと、君たち人間も定期的に襲ってくるし、定住もできなくて散々だよ……やれやれ、かつては国を築けるほど繁栄していた一族だったのに。悲しいね」

 弱者はとことん痛めつけられる。
 今の世界は、そんな風潮が漂っていた。

「……食べ物はあるのか?」

「どうにか、みんなが餓死しない分はあるよ。このあたりは幸いなことに希少な鉱石が採掘できるんだ。これを他種族に売ってお金を稼いでいる。作物なんかは自分たちで生産できないけど、飢え死にしない分は購入しているというわけさ」

「他種族? 魔族のほかにもいるのか?」

「ああ。エルフやドワーフなんかとぼくたちは交流がある。彼らも君たち人間には手を焼かされているし、僕たちは同盟みたいないものを結んでいるよ」

 人間に対抗するために協力関係を築いているようだ。

「ぼくたちにとって人間は天敵だからね……だいたい、『生産スキル』なんていう力を持っているなんて卑怯だよ。物質を生みだす力、なんて羨ましい限りだ」

「……生産職よりも、戦闘職の方が脅威だと思うが」

「戦う力ならぼくたちも持ってるよ。でも、創造する力はない……君たち人間の繁栄は『生産職』のおかげだと、ぼくは分析している」

「そうか? 生産職なんて、負け組の奴隷だが」

「……生産職の者は有能だけど、力が弱いからね。力が強い戦闘職が都合良く利用するために奴隷にしてるのだと思う。君たち人間はとても傲慢さ……弱者には何をしてもいいと考えている。ぼくたちからすると、それが怖くて仕方ないよ」

 確かに、言われてみるとそんな感じがあった気がする。
 強者は弱者から搾取するのが当たり前の世界だった。人間界は、とても歪である。

「まぁ、そんな世の中だからこそ、ぼくは君と出会えたんだ。それだけは本当に嬉しいよ」

「っ……」

 ニッコリとした笑顔に、言葉が出なくなった。
 好意には未だに慣れない。嬉しいではあるので、いつかしっかりと反応を返せるようにならないと。

「あの、ご主人様……食料と水が、もうないわ。そろそろ確保した方がいいと思う」

 と、ここで荷物を確認していたセリスが声をかけてきた。
 数日間の旅で底をついていたらしい。

「ああ、君たちの分はぼくたちが用意するよ。なに、恩人をもてなすくらいはできるさ」

 レイラはそう言ってくれるが、この状況を見ると少し気が引けた。

「ちなみに、このあたりは水があるのか?」

「うーん……ない、と言うしかないね。雨も降らないし、水を確保するには遠くの泉に行かなければならないんだ。毎日、子供たちに往復してもらってるよ」

 ……子供にも働いてもらわなければ、魔族はもう生きていけないということか。

 ふと、付近を見渡してみる。前に言われていたのだが、やっぱり女性と子供しかいなかった。お金はどうにかあるようで衣服などは清潔そうだ……それだけは救いである。

 ただ、環境だけはやっぱり生活するのは厳しいと言わざるを得ないだろう。
 飲み水ですら確保するのが難しいというのは、あまりよろしくない。

「にゃ……まおうさま、おかえりなさい」

「ああ、カリノ。ただいま戻ったよ」

 周囲の状況を確認していると、いつかも見た猫っぽい少女が魔王に話しかけていた。
 彼女もそういえば、クラウンに復讐する時にあの場にいた気がする。

「おみず、くんできますにゃ」

 彼女は容器を持っている。今から水を取りに行ってくるらしい。
 そんな彼女を、俺が制止した。

「ちょっと待ってくれ……水は、俺が用意する」

「――にゃ?」

 ぽかんとする、カリノとかいう猫の少女の前で、俺は武具生成スキルを発動した。


『形状:杖』
『付与属性:水』
『特殊効果:なし』
『性能1:魔力効率上昇』
『性能2:耐久力上昇』


 生成したのは、水属性の杖。
 少し魔力は使うが、水を生み出すことのできる武具だ。

「これ、使ってくれ」

 それをカリノに手渡しておく。

「……にゃっ!」

 彼女は水が出る杖を前に、ただでさえ丸い目をもっと丸くした。

「まおうさまっ」

「ああ……これは、すごいねっ」

 魔王も嬉しそうに笑ってくれている。

「いやぁ、そうか……君の力なら、こういうこともできるのか。よくよく考えると当たり前だけど、やっぱりすごいなぁ……君には、感謝してもしきれない」

 別に大したことをしたつもりはなかった。
 だけど、こんなに喜んでくれると、なんだかこっちまで嬉しくなった。

 こんな風に感謝されるのは、悪い気分じゃない――
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