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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第三十二話 協力者

 魔王、レイラのおかげで俺は命を救われた。
 裏切られ、苦しんでいた俺を、彼女は助けてくれた。

「なんだい、そのクズどもはっ……君を騙すなんて、許せない連中だよ」

 彼女には全てを打ち明けた。

 俺が奴隷だったこと。
 生産職として惨めに生きていたこと。
 プロエリウム家への復讐のために魔族を利用したこと。
 その後に冒険者として成り上がろうと決意したこと。
 勇者パーティーを本当に仲間だと思っていたこと。
 裏切られ、殺されたこと。
 レイラに助けられなかったら、今頃どうなっていたか分からないこと

 不思議と、レイラになら自分のことをしっかりと話せた。
 泣き叫ぶ姿まで見られたのだ……これ以上の醜態はないだろう。情けないことも、今なら簡単に口にできた。

「ぼくまで不愉快になっちゃったよ。君はよく、こうしてがんばって生きてきたね。偉いと思う」

 レイラは俺の気持ちを汲み取ってくれるばかりか、一緒になって怒ってくれていた。
 その優しさがとても嬉しかった。

「人間なんて、やっぱり最悪だよ。先天的な能力で身分を決定するだって? 笑わせるね……君のような優秀で素晴らしい人材が優遇されないなんて、ありえない。人間はやっぱり嫌いだなぁ」

「……俺も人間なんだが」

「君は特別だよ。あれだ……そういう部分は察してくれると嬉しいな。好意的な気持ちを言葉にするのは、結構恥ずかしいんだから」

 話していて、気分が楽になる相手というのは初めてだった。

 勇者たちを仲間だと思い込んでいた時でさえ、こんな風に談笑したことはない。今にして思えばそれを仲間だと思っていたことにびっくりするほどである。

「とにかく、アームの事情は分かったよ。君のことが知れて良かった……えへへ」

 笑顔が、かわいい。

 そんな感情を抱いたのは初めてだった。
 それくらいレイラは魅力的だということかもしれない。

 あるいは、俺が彼女に惹かれているのだろうか。
 ……なんてことを、いつの間にか考えてしまっていた。

「で、だ……君が良ければ、なんだけど。ぼくに復讐を手伝わせてくれよ。こっちだって、勇者パーティーとやらには同族がたくさん殺されている。許せない気持ちは一緒さ」

 俺を助け出してくれたどころか、レイラは更に手を差し伸べてくれた。
 その手を取るのに、ためらいはもうなかった。

「……仲間に、なってくれるのか?」

「むぅ。一度騙されているから、不安なのかい?」

「いや……レイラになら、騙されてもいいよ」

 かつて、仲間という軽い言葉に浮かれて俺は騙された。
 再びレイラと手を組もうとしているわけだが、正直なところ彼女になら何をされても良いかなって思えた。

 たとえ、彼女に裏切られようと。

 今、俺はレイラに命と心を救われたのだ。
 レイラになら裏切られてもいいし、騙されても文句はない。むしろ、彼女の役に立って死ぬのなら、それはそれで悪くないとさえ思えてくる。

 それくらい、レイラには感謝していた。

 だが、そんな俺の思いがレイラにとっては不満だったらしい。

「騙す? ぼくが君を? ありえないね。こんなことを思われるのは心外だよ。ぼくだって怒る時は怒るんだ……バツとしてちょっとだけ君の手を握り続けてもいい?」

「それは……バツになるのか?」

「ふんっ。バツという名目でただ触りたいだけだから、気にしないでくれ……って、ほら。こんなバカらしいことを考えちゃうくらい、ぼくは君を好ましく思ってるんだよ? 騙すなんてしないもん」

 むくれた表情に、こっちまで頬が緩んでしまうような。
 レイラは不思議な女の子だった。

 さっきまでのドス黒い感情が、もうなくなっている。
 この子と一緒にいると、心が安らいだ。

「でも、そうだね。君にとって『仲間』という言葉は軽くなってるのかもしれないな。だったら、言い方を『協力者』に変えようか」

 協力者。
 その言葉は少し前、彼女と出会った時に俺が使用した言葉だった。

「勇者たちに裏切られた君は復讐ができる。勇者たちに同族を殺されたぼくも仕返しができる。あと、ついでのぼくが君からの信用を勝ち取れる。それから、もしかしたら君がぼくを好きになるかもしれないし……ほら、お互いに得をしてる。ぼくとアームは『協力者』になれるよ」

 お互いがお互いのためになる『協力者』は、『仲間』よりも気分が楽になる言葉だった。

「それに……ぼくの力は、君の力と相性がいいと思うんだよね」

「……力?」

「ああ。ぼくの力は、これさ――『出でよ、我が僕よ』」

 そして彼女は、唐突に一体のスケルトンを召喚した。

 確か、スケルトンとは骨だけの魔物だったという覚えがある。

「『スケルトンの無限召喚』がぼくの力だよ。魔王としては、最弱に近いみたいだけど……君の『武具生成』能力と併せたら、すごいことになると思わないかい? 最強のスケルトン軍団が作れるんだからねっ」

 ……先程、彼女は『運命』という言葉を使っていた。
 その『運命』を、俺はようやく感じ取っていた。

「うん……そう、だな」

 レイラがいれば、勇者たちへの復讐もできる。

 俺には戦闘技術がないから、いくら性能の良い武具を生成しても勇者たちに苦戦するだろう。
 だが、スケルトンを強化して数の力を利用すれば、苦戦することもないような気がした。

 レイラにとっても、本来ならスケルトンをいくら召喚できたところで火力が足りず、だからこそ最弱の力と言われていたのかもしれない。ただ、俺の『武具生成』スキルがあれば、それを解決できる。

 お互いに足りない点を補うことができる、というわけだ。
 そう考えると、気力がみなぎってきた。

 命も、心も……そして気力も、彼女のおかげで救われたらしい。

 だから、俺は彼女の手を強く握りしめるのだった。

「よろしく……頼むよ」

「ああ。ぼくの方こそ……ふつつかものだけど、どうぞ末永くお願いします」

 そうすれば、彼女はニッコリと笑って頷いてくれるのだった――
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