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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第三十話 救い

「こ、ろして、やる」

 生き返るたびに、俺が抱いたのは――激しい憎悪だった。

 かつて、奴隷だった時の惨めな感覚を、まさかもう一度思い出すことになるなんて……

 殺す。俺をこんな目に合わせた勇者たちを――殺す。


 殺してやる。


「ころす……ころす……ころす……」

 いつしか自我さえも薄れてきて、まともな思考ができなくなってくる。
 うわごとのように『殺す』と呟きながら、俺はひたすら空を見上げていた。

 最悪なことに、雨が降り始めた。
 血がなくなったせいで生命力も弱くなっているのだろう。死ぬ間隔が短くなってきた気がする。


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』


 やることもなくて、ただ無意味に回復の性能が付加された武具を作り続けた。
 装備できないヘルムだけが数を増やしていく。

 四肢がなくなった死体のそばに、散乱したヘルム……一見したらすぐに逃げ出してもおかしくはない異常な光景だろう。

『【蘇生・発動】』

『【蘇生・発動】』

『【蘇生・発動】』

『【蘇生・発動】』

 生き返るたびに、惨めな気分を感じた。
 自分の愚かさを呪った。

 やっぱり他人なんて信じられない。

 戦闘職は……貴族は、クソだ。

 仲間? そんな言葉はただの飾りだ。聞こえがいいだけの欺瞞だった。
 あいつらが、俺のような生産職をまともに扱うわけがないのだ。


 奴隷時代にそれを学んだはずなのに、奴隷から解放されて浮かれた俺はすっかり忘れていたみたいだ。

 本当にバカだった。

 今にして思えば、セリスの言葉にもう少し耳を傾けていれば良かった気もする。

 あいつは元貴族として、勇者たちの異様さを見抜いていたのだろう。上手く言葉にできない何かがあったのだと思う。

 その言葉を、俺は『セリスだから』という感情論で否定してしまった。
 あいつの言葉を肯定するなんて、絶対に嫌だったからだ。

 それでセリスが言った通りになったのだから、きっと盛大に笑っているだろう。

 ……本当に、虚しい。

 自分の今までは何だったのだろう?

 奴隷として生まれ、復讐をして幸せを求めたのに、今度は裏切られてまた蹴落とされた。

 まるで、幸せになることが許されないかのように。

「い、や……だ」

 嫌だ。
 このまま死ぬのは、嫌だ。

「だれ、か……っ」

 不幸なまま死ぬなんて、絶対に嫌だ。

 俺は幸せになりたい。
 成り上がって、安らかな生活を手に入れてやる。

 だから、まだ死ぬわけにはいかない。

「た、すけ……て」

 必死に声を振り絞った。
 誰もいない未開の地だ。声なんて発しても意味はないだろう。それは分かっている。

 だけど、それでも……助けが、ほしかった。

「たすけて」

 誰か、俺を助けて。

 もっと、生きたいんだ――





「分かった。今、助けてあげるよ」




 ――最初は、幻聴かと思った。

 夢でも見ているのかと疑った。
 それくらい都合の良いタイミングで、声が聞こえてきたのだから。

「酷い姿だね……それでも生きているのは、君の装備のおかげだね? 相変わらずすごい力だ。そして、君が生きていてくれて良かった……まだお礼も言えてないんだ。死んでもらっては困るよ」

 でも、夢なんかじゃない。
 何者かが、俺を見下ろしていた。

 姿は見えない。
 涙で視界が滲んで、顔が分からなかった。

 唯一分かったのは、彼女の髪の毛が美しい銀色だったことである。

「ぅ……ぁ」

 何かを言おうとして、だが言葉が上手く出てこなかった。
 そんな俺に――目の前の人物は、優しい言葉をかけてくれた。

「無理して喋る必要はないさ。だいたいやることは察してる。その散乱しているヘルムをかぶせてあげればいいんだろう?」

 その人は、俺の血だまりに一切のためらいなく足を踏み入れた。

 自分が汚れるのも構わずに、零れた血で汚れたヘルムを手に取って……あろうことか自分の服でヘルムに付着した血を拭ってから、俺の頭にかぶせてくれた。

「たぶんだけど、回復系統の効果があるよね? ほら、しっかり回復してくれ……ぼくは君のギラついた顔が好きなんだ。そんな、悲しそうな顔をしないでくれよ」

 ヘルムが装備されると同時に、俺は『回復』の効果を発動した。

『【治癒・発動】』

 瞬間、肉体の傷が修復されていく。
 痛みも徐々になくなって、思考もクリアになっていった。

「ん? 手と足がニョキニョキ生えるわけじゃないのか……ちょっと待ってくれ。今、持って来てあげるから」

 その人物――彼女は俺の手足を拾って、一ヵ所ずつくっつけてくれた。
 治癒のおかげで手足は繋がり、ようやく俺は五体満足の体を取り戻すことができた……

「やぁ、また出会えたね」

 ここまで回復したら、もう分かる。
 彼女が誰なのか、ヘルムをかぶせてもらった時点で気付いていた。

 銀髪銀目の美しい少女だ。
 彼女の名は――

「魔王……」

 そう。前に復讐のために利用した、魔王だ。

「うん、魔王だよ。ぼくのこと覚えていてくれたのかい? いやはや、照れるなぁ……」

 彼女は嬉しそうに笑っていた――
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