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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第二十九話 またしても、繰り返す

「……死んだな? おい、まさかこの傷で生きてるなんてことはねぇよな?」

 アームが倒れて、勇者は彼の様子を観察していた。

「息はしてない。心臓も止まってる。脈もない……なぁ、てめぇらはこれどう思う? きちんと死んでると思うか?」

「それで死んでなかったら逆に驚くよ。ねぇ、早く帰ろうよ……死体は傷むのが早いし、僕は不潔なのあんまり好きじゃないから」

 神官が気持ち悪そうな顔をしているが、勇者はまだ納得していないようだった。

「うーん……こいつ、不気味なんだよな」

「不気味とは、どういう意味ですか?」

「いや……あれだ。死んでも動きそうな感じがする」

「ガハハ! 勇者殿の冗談は面白くないな!」

「笑ってるじゃねぇかよ……いや、やっぱりなんか違和感がある」

 魔法使いと戦士もその心配は杞憂だと言っていたが、それでも勇者は首を振った。

「念のため、生き返っても動けなくしておくか」

 そして彼は、もはや死体となっているアームの肉体を、更に蹂躙した。

 こともあろうに、右腕、左手、右足、左足……全てを切断したのである。
 血だまりは既に大きく広がっていた。アームはどう見ても死んでいると言うのに、勇者はそれでも手を止めようとしなかった。

「よし、首まで切って最後だな」

 五体全てを切り刻もうとして――しかし、そこで彼の行動を神官が止めた。

「もう、勇者さん! 遊んでないで早く帰ろうって言ってるのに……首なんて切ったら、返り血で匂いが酷くなるからやめてくれない? 僕、血の匂いとか不潔な匂いが嫌いなんだけど」

 神官はアームの死体を見て表情を歪めていた。
 魔法使いも神官も、アーム他の死体を気持ち悪そうに眺めている。

 そこでようやく、勇者は手を止めた。

「それもそうか……せっかくの服に奴隷の血がつくのは最悪だしな。よし、帰るか」

 剣に付着した血を払って、勇者は武器を納める。
 Aランク最難いクエスト『アームの討伐』も終わったので、これで四人は帰還することにしたようだ。

「ふぅ、ようやく一息つけますねぇ……この一ヵ月間は疲れました。奴隷と話すのはなかなかたいへんでしたよ」

「まったくだね。ああ、気持ち悪い……あいつに『仲間』とかなんとか言われた時、思わず鳥肌が立ってたよ。勘違いしてて、本当に哀れだと思う」

「これでまた有望な若者が潰れ、儂の地位も安泰となった! いい日である!!」

「ご苦労さん。まぁ俺は楽しかったぜ? 未知の生物を相手してるみたいで愉快だった……でも、奴隷はやっぱりダメだな。品がねぇ」

 四人は好き勝手言いながら、アームから離れていく。
 ここは未開の地で、魔物の生息地だ。アームの死体はすぐにでも魔物に食べられるだろう。

 血の匂いで既に魔物が寄ってきている可能性もあるので、四人は足早に退散したのである。

「やっぱり、仲間にするにしても戦闘職の貴族がいい……生産職はやっぱり、奴隷がお似合いだぜ。抱くにしても、やっぱり貴族に限る」

「あ、分かった。勇者さん、あいつが連れまわしてた貴族の……プロエリウム家だっけ? そこの娘に手を出すつもりだっ。だから今日は連れてくるなって言ったんでしょ?」

「相変わらず、勇者君は女癖悪いですねぇ……悪趣味ですよ」

「ガハハ! 貴族の女を食い物にするとは、うちのリーダーは頭がおかしいな!! ……騙される方が悪いのだ、もっとやれ!!」

 そう言われて、勇者はニッコリと笑う。
 アームの前で見せていたのとは違う、友好的な笑顔で……

「んだよ、好き勝手言いやがって……別にいいだろ? ほら、アームが死んだからあの女は解放されたことになるし? その恩を体で返してもらうだけだ」

 四人は和やかに帰路を歩く。
 もう、アームのことなど忘れたかのように――





『【蘇生・発動】』




「――っ、ぁ」

 不意に、意識が覚醒した。
 同時に、激しい痛みが俺を襲う。

「こ、れはっ」

 痛い。痛くて、頭が割れそうだ。
 最早どこが痛いのかも分からないほどである。

「はぁ……はぁ……」

 すでに息が切れていた。
 何かがおかしい……体に違和感を覚えて、俺は自分の状態を確認する。

 確か俺は、胸元を斬られた死んだはず。

 今、目が覚めたということは――恐らく、保険で鎧に負荷していた【蘇生】の効果が発動したのだろう。

 おかげで、死んだはずなのに生き返ったのだ。

 だが、生き返っただけで……俺の状態は最悪だった。

「て、手が……足、がっ」

 手と足が、ない。
 いや、あるにはある。だが、俺の体についていなかった。

「どこ、に……」

 首だけ動かすと、すぐ近くに落ちているのと見つけた。
 ああ、そうか……俺は殺された挙句に、四肢を切断されたようだ。

 この激痛の正体はこれか。

「ぎ、ぐぁ……」

 声が上手く出せずに、俺は呻くことしかできなかった。
 最悪である。なんで俺は回復系統の機能を付加しなかったんだ……神官がいるからそれは不要だと思っていたが、裏目に出たようだ。

 早く、回復しないと……

【武具生成スキル・発動】
『形状:ヘルム』
『付与属性:なし』
『特殊効果:治癒』
『性能:なし』

 武具を生成して自分の体を治そうと試みる。
 だが、ここで俺は気付いた。

「そうび、できな……い?」

 俺には今、手と足がない。
 だから、武具を生成したところで、装備ができないのだ。

 これでは生成する意味がなかった。

「く、そぉおお!!」

 喚き散らしながら、ジタバタともがく。
 それでもヘルムをかぶることはできない。手と足の断面からはなおも血が流れている。

「っ……」

 唐突に感じた激しい痛みに、俺はまた意識を失った。

 …………。

「――――?」

 そしてもう一度目を開けた時にはもう、夜になっていた。
 どうやら俺は、また死んでいたようだ。

 ああ、ダメだ……最悪だ。

 武具が装備できなければ、どうにもならない。
 呆然としていると、俺はまた死んだ。

 ただ、既に装備している鎧の【蘇生】だけが何度も繰り返された。

 死んで、生き返って、死んで、生き返る。

 その繰り返しは、まるで拷問のようでもあった――
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