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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第二話 復讐のために

 ふと、気付いた。
 俺の思考そのものが、負け組だったことを……

 どうして俺は素晴らしい力に目覚めたのに、クラウンに報告してしまったのだ?

 黙っていると痛い目を見ていたかもしれないが、そうなる前に逃げ出すことも可能だったはずだ。

 武具生成のスキルを利用すれば、クラウンに殺されることもない。
 むしろ生成する武具の性能や効果を考慮すれば、圧倒すらできるだろう。

 だというのに俺は、無意識のうちに『待遇の改善』を求めてしまった。

 この思考そのものが奴隷色に染まっていたことに、地下牢の中でようやく気付くことができた。

「許さない……絶対に、許さない」

 薄暗い地下牢で、俺は壁に背を預けて怒りを増幅させる。

 思い返せば、散々な人生だった。

 隷属し、服従することが当たり前。働きが評価されることもなく、主の気分を悪くしないようびくびくするだけの毎日。

 何か失敗をした時は『懲罰』という名目で、痛い目にあった。
 特にクラウンの機嫌が悪い時は酷かった。大したことのない理由で焼印を押されたあの痛みは忘れられない。

 クラウンに比べると娘のセリスはまだマシだったが、それでも日々ネチネチと嘲笑されるのにはうんざりした。

 こんな人生、最悪である。
 顔も覚えていない俺の両親も、きっと惨めに死んでいったのだろう……そう思うと、なんだかやるせなくなった。

 生産職は奴隷だ。負け組だ。
 でも、だからって人間としての尊厳を奪われるのは、あまりにもおかしい。

 プロエリウム家の……いや、この国の生産職に対する態度は異常だ。

 許さない。
 絶対に、後悔させてやる。

 復讐だ。
 プロエリウム家を、没落させてやる。

 地下牢の中で、俺はそう決意した。

 本当は『武具生成』スキルを利用して強力な装備を作り、地下牢を破壊すれば逃げ出すこともできたが……それはあえてしなかった。

 ここにいた方が、復讐しやすいのである。

「おい、ゴミ。新たな武器を生成しろ」

 一日一度、クラウンが地下牢までやって来る。
 俺に武具を生成させるためだ。

「火炎魔法を増幅させる剣を作れ」

「はい、かしこまりました」

 クラウンは自分の戦闘スタイルに合った武器がほしいようで、色々な性能を指定してきた。

 初日に付与できる性能は『一つだけ』と言っておいて良かった……でなければ、もっとこき使われていたかもしれない。

 言われた通りの武具を生成する。

【武具生成スキル・発動】
『形状:剣』
『付与属性:なし』
『特殊効果:破壊の呪い』
『性能1:火炎魔法向上』
『性能2:火炎魔法威力上昇』
『性能3:火炎魔法効率上昇』
『性能4:火炎魔法範囲拡大』

 だが、クラウンには隠して色々な効果を剣には付与していた。

 まず、クラウンが指定したよりもかなり性能の良い装備にしている。これだけ素晴らしい武器であれば、大抵のクエストは容易に達成できるだろう。

 どうしてわざわざ性能の良い武器を用意したかというと、クラウンに自分の実力を勘違いさせるためだ。

 自惚れたあいつを叩き落とす。それが俺の目的である。
 そのための布石として、武具には【呪い】という負の効果を付け加えていた。

 破壊の呪いとは、武具生産者――つまり俺が念じれば武器が壊れるというものだ。

 俺にとって最高の、クラウンにとっては最悪のタイミングで――武器を壊し、クラウンを陥れる。そのタイミングを俺は待っていた。

 それから、クラウンが来ない時は娘のセリスに武具を作った。
 彼女は武具生成とか関係なしに、一定の時間になるとストレス発散のためにここへ来る。

 その時にクラウンが来ていないことを知ると、武具を生成するよう命令するのだ。

「今日は父が来ていないのね? だったら、私にも武器を作りなさい。攻撃力の高い杖がほしいの」

「はい、かしこまりました」

 セリスにも反抗はせずに武具を作っていた。
 もちろん【呪い】や【異常な性能】を付与させて。

【武具生成スキル・発動】
『形状:杖』
『付与属性:なし』
『特殊効果1:耐久力低下の呪い』
『特殊効果2:中毒の呪い』
『性能1:攻撃力上昇』
『性能2:魔力効率上昇』
『性能3:魔力増幅』

 耐久力低下の呪いとは、大して武器を使用していなくてもすぐに壊れてしまう呪いだ。
 もう一つ、中毒の呪いとは武具を使用するたびに快感が生じるというものだ。

 セリスは知らず知らずのうちに、俺の武具を使用する中毒に陥っている。依存していると言っても過言ではないだろう。

 俺がいなくなって武器を失った時、セリスが依存症に苦しむ姿を想像すると気分が多少はマシになる。

 無駄に性能を良くしているのは、クラウンと同様に自分の実力を勘違いさせるためだ。
 タイミングが来たらあいつにも恥をかかせてやる。

 いつかセリスを嘲笑ってやりたいものだ。

 絶対にプロエリウム家を潰す。
 復讐心に支配された俺は、地下牢で静かにそのタイミングを待っていた。

 呪いがついているが俺の生産する武具はとても有用だ。

 高価な魔法武器にかなり良い性能を付け加えてやっているのだ……当然、俺の武器を使用したプロエリウム家は、更に評判を高めていった。

 クラウンも家を大きくする好機と判断したのか、積極的にギルドで高難度のクエストを受注しているようだ。

 順調に自分の実力を勘違いしてくれていた。

 そして、ちょうど一ヵ月くらい経っただろうか。最近の働きぶりを評価されてか、プロエリウム家に、王家から一つの依頼が届いた。

 国王直々の依頼である。
 これを達成すれば家が大きくなると、クラウンは珍しく喜んでいた。

 そして俺も、内心では喜んでいた……

 さぁ、ここだ。
 この大切な依頼で、クラウンに恥をかかせて王からの信用を落としてやる。

 いよいよ、復讐の始まりだ――
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