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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第二十八話 真相

「う、そ……だろ? なんでっ」

 背中に剣が突き立てられた。
 それでも俺は『裏切られた』という事実を受け入れられなかった。

 何かの間違いだと思いたかったのだろう。
 だが、そんな俺の淡い願いは、勇者の言葉によって打ち砕かれる。

「おいおい、生産職の分際で本当に俺たちの仲間になれるとでも思ってたのか!? アハハハ、笑えるじゃねぇか……てめぇは最初から騙すつもりだったんだよ!」

 相変わらず無邪気な笑顔だ。
 その笑顔の意味が、今ようやく分かった。

 勇者は……こいつは、悪いことをしているつもりがないのである。

 絶対的に自分が正しいと思っているから、こんな風に無邪気になれるのだ。

「まぁ、最初はあれだ。いい装備持ってるし、奪ってやろうかなと思って近づいたわけだがよ、まさか武具が作れるとはなぁ……奴隷生産職の分際でいい力持ってるじゃねぇか。なかなか殺すのに手こずりそうだったが、てめぇのおかげで助かったぜ。ありがとうな」

 この一ヵ月の思い出が、粉々に砕かれていく。

「あと、なんとなくだがよ……てめぇの気配に違和感があった。魔族討伐の時な、俺たちは魔族の他に何者かの襲撃を受けたんだよ。その時に、てめぇっぽい気配があった気がしてな。少し、てめぇを観察することにしたんだよ」

 魔族討伐の時……俺は確かに、勇者パーティーに向けて攻撃を放った。
 あの時は隠密用の装備に身を包んでいたが、勇者の異常な感覚が俺を補足していたらしい。

「最近な、とあるCランク冒険者が過労で死にかけたという事件もあって、ギルドからも相談を受けてたんだよ。で、クエストの記録なんかも確かめて、てめぇが容疑者かって話をもらったんだ。いやぁ、Aランク最難クエスト、『アームの討伐』に一ヵ月も時間を使っちまったぜ……」

 俺はずっと、騙されていた。
 奴らは最初から、俺を裏切るつもりでいた。

 一ヵ月も時間をかけたのは、俺の信頼を勝ち取るためだったみたいだ。

「まぁ、そう怒るなよ。てめぇの作ってくれた武具は、これから何人もの命を救うだろうし? ほら、つまりてめぇは間接的に俺たちの仲間になってるようなものじゃねぇか!」

 夢から覚めたみたいに、俺は現実を直視していた。

「ふぅ……勇者君の悪趣味に付き合うのも疲れましたよ。私、学のない人と喋るの嫌いなんです。彼、見るからに頭が悪くて、困ってたんですよね」

「ガハハ! 未来ある若造の目を摘むのは、年長者の役目だからな!!」

「やれやれ。やっと奴隷さんから解放されるよ……僕、アームさんのこと苦手なんだよね。会話も続かないし、一緒にいて楽しくない。あと、奴隷だからからなぁ? ちょっと臭い」

 魔法使い、戦士、僧侶からの言葉も、最悪の一言だった。

 本当に、バカみたいだ。




 ……ああ、やっぱり貴族は――戦闘職は、クソだ。




「――殺す!!」

 怒鳴り、俺は弓を構えてこの場の全員を殺そうとした。

 胸が痛かった。
 仲間だと信じていた自分の愚かさが、何よりも情けなかった。

「【雷矢射出ショット】!!」

 勇者の頭に向けて矢を放つ。
 怒りに任せて繰り出した一撃は――しかし簡単に対処されてしまった。

「アハハ! てめぇの剣、いい感じに使えるじゃねぇか!!」

 俺が与えた剣には『魔法切断』の効果がついている。それを使って対処されたのだ。

「クソが! 死ね……死ね!!」

 喚きながら、次撃を繰り出そうと体勢を整える。
 だが、その時にはもう勇者の接近を許していた。

「てめぇさ、武具はいいけど……戦いに関しては素人だよな? 動きが雑だ。そんなんで、俺たちの仲間なんて……バカすぎるだろうがよぉ!」

 剣が、腹部に刺さる。

「がはっ」

 鎧のおかげで貫通はしなかった。
 でも、傷は深く……血を吐きながら、俺は前のめりに倒れこんでしまった。

 痛い。苦しい。辛い――そんなことは、一切感じていない。

 ただ、俺が今考えていることは、一つだけだ。

「殺してやる!!」

 殺す。こいつらを、殺す。

 俺を裏切った勇者パーティーを殺すことしか、考えられない。

 憎い。

 心の底から、こいつらを憎いと思った。

 でも、俺と勇者の実力差は明らかだった。

 せめて時間があれば、もっと性能を考慮した武具を生成できたのだが……この時の俺に、そんな余裕はなかった。

 本当に俺は、バカだった。

「おうよ。殺せるなら、殺しても構わないぜ? ……まぁ、先にてめぇが死ぬんだけどな!!」

 勇者は笑いながら、俺の腹部に突き刺さった剣を抜いた。
 そのまま鮮やかな動きで身を回転させて、今度は俺の身を袈裟斬りにした。

「――――ぁ」

 鎧もその一撃には耐えられなかったみたいだ。
 剣は鎧をも切り裂き、俺の胸元を抉る。

 心臓も斬られたのだろう。
 言葉のできない感覚に、俺は『死』を直観した。


 ――ダメだ。これは、死ぬ。


 立っていられなくなり、俺は地面に倒れこむ。
 痛みはもうなかった。ただ、溢れ出る血が生温かかったことだけは、鮮明に感じ取れた。

「こ、ろ……す」

 それでも俺は殺意を研ぎ澄ませる。
 死の寸前まだ、俺はこいつらを『殺す』ことだけを考えていた。

 殺してやる……絶対に、殺してやる。

 俺を裏切ったこいつらに『復讐』する。

 そう心に誓って、俺は命を落とした――
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