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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第二十五話 信頼と暴露

「仲間になってくれて嬉しいぜ、アーム。これからよろしくな」

「こちらこそ」

 笑いかけてくる勇者と握手を交わし、俺からもぎこちないが笑みを返す。
 俺もどうやら嬉しくて笑えるようになったようだ。なんだか不思議な感覚である。

「ようやく、という感じでしょうか。これからよろしくお願いします、アーム君」

「ガハハハ!! アーム殿、背中は任せたぞ!!」

「まぁ、当然だよね。アームさんなら仲間としても悪くないよ」

 魔法使い、戦士、神官の三人も俺を祝福してくれた。
 みんなの期待に応えられるように頑張りたいものである。

「さて……仲間になったところでよ、そろそろ腹を割ってくんねぇか?」

「え?」

「だからよ……えめぇ、隠し事が多すぎるんだよ。顔もそうだし、お前は自分のこと何も話さねぇ。俺たちは仲間になっただろ? もっと、信頼してもいいんだぜ?」

 ……それもそうである。
 みんなは仲間だ。今後の活動のためにも、俺のことをしっかり教えていた方がいいだろう。

 正直なところ、自分のことを明かすのは怖い。奴隷で、生産職で、惨めな人生を送ってきた――なんて、本当は言いたくはない。

 だが、こいつらなら……こいつらになら、言ってもいいかなって思えた。
 根がいい奴らなのである。みんなになら、打ち明けてもいいだろう。

 そう思って、俺は首を縦に振った。

「ああ、分かった」

 それから自分のことを語ろうとして――その時不意に、俺の鎧に誰かが触れた。

「ご主人様っ……」

 奴隷のセリスだった。戦闘の最中は最後方で待機させていたが、今ようやく戻ってきたのだろう。話も聞いていたみたいだ。

 彼女だけは浮かない顔で、俯きがちではあるが首を横に振っている。

 まるで俺に『やめろ』と、そう言うように。

「離せ」

 こんな時に水を差すような真似はしてほしくなかった。
 微かに苛立ちをにじませながら、セリスの手を払う。

 もう一度勇者と向き合えば、彼はセリスの方もジッと見ていた。

「……そいつのことも、不思議ではあるんだよな。荷物持ちとは聞いているがあまり役に立ってるようにもみえねぇ。てめぇほどの実力なら、むしろ足手まといにしかなってねぇよ」

 やはりセリスについても違和感はあったようだ。

 だが、今まではあえて何も言わなかったのだろう。事情があると察して、俺の居心地を悪くしないために伏せていたのだ。

 やっぱりいい奴だ。
 だからその思いに、俺もしっかりと応えよう。

 セリスのせいで少し邪魔されたが、俺はゆっくりと――自分のことについて教えた。

 兜を脱ぎ捨てて、みんなに顔を曝け出す。

「今まで……隠していてすまない。実は――」

 そして色々なことを話した。

 今まで奴隷だったこと。
 プロエリウム家という貴族に仕えていたこと。
 脱走して逃げたこと――などである。

「プロエリウム家って言ったら……あれだ。最近、魔族討伐のクエストで戦犯になってた一族だな。確か、辺境に飛ばされたっけ? なるほど、その機会に乗じててめぇは逃げ出せたのか」

 勇者はまるで同情してくれるかのように、事情を理解してくれた。
 反感や糾弾は一切ない。ただ、事実をありのままに受け入れてくれたのである。

 本当は俺がプロエリウム家を潰したし、逃げ出したと言うのもちょっと違う気はするが、復讐のことには触れないことにしていた。

 なんとなく話しにくかったのである。

「……だから俺は、『戦闘職』の人間じゃないんだ。『生産職』で、『武具生成』というスキルを持っている。この弓も、盾も、俺が生成したものなんだ」

 更に、俺は自分の力についても勇者たちに伝えた。
 生産職であることを口にすると、勇者は少し驚いたように目を丸くする。

「てめぇ、生産職だったのかよ……なるほどな。なんとなく、不思議な力を感じてた。武具の性能も聞いたことがないくらい凄まじい物だったことも、納得できるぜ」

 もちろん、生産職であろうとも勇者は受け入れてくれた。
 いつものように邪気のない顔で俺に笑いかけてくれたのである。

「そうか。てめぇにも色々あるんだな……だがよ、これからは仲間だ。一緒に頑張ろうぜ」

 全てを知っても勇者の態度は変わらない。
 もちろん、他の三人も同様だった。

「ありがとう。俺も、頑張るよ」

 ――今まで、後ろめたさのようなものがあった。

 自分のことを秘密にしていたのだから、それも当たり前か。だけど、秘密を口にしたことで胸が軽くなった気がした。

 明日からは、もっとみんなと仲良くなれる気がする。
 いや、仲良くしたいと思えたのだ。

「よっしゃ! じゃあ、明日はアームがパーティーに加入した記念に、Aランクで一番難度の高いクエストでも受けようぜ! 俺たちなら大丈夫だ……あ、でも、アーム。その荷物持ちを明日は連れてくるな。少し危険な場所に行く」

 勇者の言葉に、俺は即座に首肯した。
 否定する理由などない。

「分かった。明日は置いてくる」

「っ……」

 セリスは俯いていたが、こいつのことなんてどうでもいい。
 今はとにかく、幸せだった。

 明日もしっかり頑張ろう。
 みんなの……『仲間』のために――
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