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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第一話 奴隷はやっぱり奴隷だった

 この家に仕えている生産職の奴隷は、スキルが発現したら主人に報告することを義務付けられている。

 なので、早速俺は主人であるクラウン・プロエリウムに報告することに敷いた。

「ご主人様、少しよろしいでしょうか」

 朝食の席で、クラウンの気を荒立てないよう静かに言葉をかける。

 食事の場だが、この時でないとクラウンは奴隷の前に現れないのだ。だから何か報告があれば朝に行うのが、プロエリウム家のしきたりである。

 しかし、今日は虫の居所が悪かったらしい。

「ゴミ、しゃべるな……気が散るだろう」

 俺に視線を向けることすらせず、クラウンは言葉を吐き捨てる。
 理不尽な態度に怒りこそ沸くが、スキルのことを報告しなければかなり酷い懲罰が待っている。

 なので、仕方なく一方的に報告することにした

「申し訳ありません。ただ、ご報告があります。今朝、スキルが発現しました」

 その言葉を口にすると、クラウンはピクリと反応した。

「ほう? ようやく、ゴミからゴミ箱くらいには進化したか……」

「へぇ……」

 あと、クラウンと一緒に朝食の席に着くセリスも、俺に視線を向けていた。
 しかし彼女の口数は少ない、クラウンの前ではいつも大人しいのだ。

 今のセリスは俺に何もしてこないだろう。
 だから、クラウンにのみ意識を剥ける。

「どんなスキルだ? 説明しろ」

 クラウンは不機嫌ではあるようだが、一応説明は聞くようだ。
 生産スキルは、種類によっては主人に利益をもたらすことがある。だから話を聞く気になったのだろう。

 例えば俺の父は『銀食器生成』スキルを持っていた。プロエリウム家は質の高い銀食器をただで入手できたため、大きな利益を上げたとのこと。

 まぁ、有用なスキルだったせいで父は酷使されて死んだようである。

 とはいっても、使えないスキルでもそれはそれで扱いが悪くなるからダメだ。

 父とは反対に、母は『じょうろ生成』スキルという、あまり使えない生産スキルが発現したそうだ。何にも使えないと言うことで家の雑用をたくさん押し付けられた母は、過労で死んだと別の奴隷から聞いている。

 適度に主人に利益を与えなければ、最悪な扱いを受けることになるのだ。

 奴隷の子供は親と顔を合わせることなく隔離されて生きるので親子の情はない。でも、ああやって使い捨てにされたり、酷い扱いを受けないよう、気を付けたいとは思った。

 それを踏まえると、力の全てを説明するのは危険かもしれない。
 逆に力を隠しすぎるのも良くないだろう。

 そう判断した俺は、スキルの一部のみをクラウンに伝えることにした。

「『武器生成』スキルというものです。一日一つ、好きな形状の武器が生成できます。一つだけ特別な性能を付与することも可能です」

 本当は個数に制限などないし、付与できる要素も多数ある。正確に説明すると『武器生成』ではなく『武具生成』スキルなので、武器に限らず防具なども生成できる。

 だが、あえてこのようにしておいた。

 これだけでも十分に有用ではあるのだ。
 全てを伝えて変に酷使されないように気を付けたのだ。

「……それは本当か? 信じられないのだが」

 しかしクラウンは怪訝そうにしていた。
 まぁ、珍しい生産スキルなので、仕方ない。

 口で説明するよりも実際に見せた方が早いだろうか。

「本当です。試しに一つ、何か武具を生成しましょうか?」

「では、『剣』を生成しろ。『魔法付与』が可能なものだ」

「かしこまりました」

 言われて、頭の中に『剣』をイメージする。
 そのままスキルを発現すると、クラウンの指示した通りの剣が生成された。

【武具生成スキル・発動】
『形状:剣』
『付与属性:なし』
『特殊効果:なし』
『性能:魔法付与』

 出現したのは、あまり特徴のないただの剣である。
 でも、本当に剣が生成できるとは思っていなかったのか、クラウンは目を見張っていた。

「っ……早く渡せ! 『魔法付与』をされているか確かめる!」

 言われるままに剣を差し出す。
 荒々しい手つきで受け取ったクラウンは、一つの魔法を展開した。

「【火炎フィアンマ】」

 言葉が唱えられると同時に、剣が炎を纏う。しっかりと『魔法付与』の力が宿っているようだ。

 それを見て、クラウンは――ニヤリと割った。

「いいじゃないか! ようやく、我らがプロエリウムにも使えるゴミが出てきたようだな!」

 俺のスキルを目の当たりにして機嫌を良くしたようである。

「これはいい……魔法武器は高いからな。これが一日一つでも生成できるなら悪くない。セリス、貴様も明日、そこのゴミに武器を生成させろ」

「……はい、お父様」

 セリスが頷いたのを確認して、それからクラウンは俺に目を向けた。
 初めてこちらを直視したクラウンの目は、とても濁っていた……

 そして俺は、自分の認識が甘かったことを思い知らされる。

「おい、奴隷ども。そこの使えるゴミは地下牢に幽閉しておけ。絶対に、逃がすな」

「――は?」

 そう。俺はてっきり、自分が有用であることを理解してくれたら待遇を良くしてくれると思っていた。

 でも、クラウンにとって奴隷は奴隷である。
 俺に対する配慮など、一切なかった。

「こんなに使えるゴミは、厳重に管理しておかないとな」

 こうして俺は、一緒にいた奴隷たちに取り押さえられることになる。

「くそっ……」

 ああ、なんて俺はバカだったのだろう。
 生産職である俺が、まとにも扱われる可能性なんてあるわけがない。

 勝ち組で戦闘職の人間が、生産職を優遇するなど……そんなわけ、なかったのに。
 そのことを俺は理解できていなかったみたいだ。



 絶対に、許さない。



 こいつらには、俺を軽んじたことを後悔させてやる――
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