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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第十四話 元奴隷として

 食事も終えて、特にやることもなくなった。
 一日というのは結構長いものだ。

 奴隷だった時、時間というのはあっという間に過ぎ去るものだった。
 四六時中何かをさせられて疲労していたせいだろう。いつも頭がぼんやりしていたので時間間隔がなかったのである。

 これからは自分の時間も大切に使っていこう。
 プロエリウム家に奪われた時間をしっかりと取り戻したいものだ。

「あ、の……そろそろ武器を、作ってくれませんか?」

 と、ここで言いつけ通りずっと椅子に座ってセリスが話しかけてきた。
 そわそわしていたのは、武器がないからのようだ。

 彼女は以前、【中毒の呪い】という毒と同じような効果を持つ武具を使用していた。

 俺が面白半分に生成したものである。彼女に苦しんでほしくてこのような効果を付加したのだが、予想以上に彼女は毒に苦しんでいるようだった。

「寒気が、するの……変な声も、聞こえる。怖い……あなたの武器が壊れてから、ずっと体がおかしいのっ」

 いい感じに蝕まれているようだ。

 正直、治そうと思えばいつでも治すことはできる。俺が解毒の効果を持つ武具を生成すればそれで済む話だ。

 しかし、セリスにはもっと苦しんでほしい。
 当然、解毒するつもりはなかった。

 もっと依存状態にするのも悪くないか。

「いいぞ……ただし、誠意を見せろ。お前の態度次第で、作ってやる」

 とはいえ、簡単に作ってやるのは面白くない。
 時間もあることだし、少し彼女で遊ぼうと思った。

 土下座でもしてくれたら軽く笑ってやろう。反抗してきたら強引に屈服させよう。
 どっちに転んでも愉快な余興にはなってくれるはず。

 そう、思っていたのだが。

「……分かりました」

 セリスは頷き、そしゆっくりと自らの服を脱ぎ捨てた。

「私の体を、好きに使って」

 そう。彼女は、誠意を見せるために自分の体を俺に捧げようとしていたのだ。



 ――殺す。



「クソが!!」

 裸体の彼女を押し倒し、馬乗りになって細い首を締めた。

「ひ、ぐっ」

 セリスは空気を求めてて苦しそうにあえいでいる。
 このままだと死ぬ。でも、俺は自分を制止できなかった。

「俺が! この、俺が……お前のクソみたいな父親と、同じことをすると思っているのか!? 奴隷の娘に手をかけるようなあのクズと一緒にするな!!」

 クラウンは最悪の人間だ。いや、あいつは人間ではなかった。

 奴隷には何をしてもいいと思っているような、クズである。

 あいつは奴隷の娘を犯していた。
 毎晩のように、命令に抗えない少女たちを苦しめていた。

 子供ができたら堕胎させ、中にはその負担に耐え切れずに死んでしまった奴隷もいた。

 許せなかった。
 自分より立場の弱い者をいたぶるその行為を、強く嫌悪していた。

 俺はクラウンと同じにはならない。

 だからセリスには食事も与える。虐待はしない。精神こそいたぶるが、それは今までの仕返しの範疇に留める。

 元奴隷として。
 俺は奴隷を、家畜のように扱うつもりはないのだから。

 だからむかついたのだ。

 セリスは恐らく、父であるクラウンが奴隷にさせていた行為を知っていたのだろう。
 奴隷の娘たちと同じように自分の体を捧げることを真っ先に思いついたのだ。

 つまり、セリスは俺とクラウンを同一視していたとも考えられるわけである。

 あんなクズと一緒にされるのはとても不快だった。
 せっかく気分が良かったのに、台無しである。

「ぃ、ぎがっ……ぐる、じぃ」

 怒る俺に、怯えたセリスが首を振る。
 懸命に首元をほどこうともがく彼女を見て、ようやく少しの冷静さが戻った。

「ちっ……」

 力を緩めてセリスを解放する。
 同時に、彼女は息を吸い込みながら俺に頭を下げた。

「ごめ、っ……さい」

 どうやら謝っているようだ。

 ……従順なのは、悪いことではないな。
 こいつもなかなか、身の振り方を理解しているようだ。

「俺の気分を損ねるな。いつでも、お前を捨ててやっていいんだからな? なんなら、もう捨てられたいか? ほら、さっさと出て行け。お前なんていなくても俺は困らない」

「いや……あなただけなのっ。私は、一人で生きていけない……見捨てないで、ください」

 縋りついて慈悲を乞う彼女を見て、気分が少しずつ落ち着いてくる。

 そこで俺は、セリスの状態がおかしかった原因が理解できた。
 最初は『中毒の呪い』がきっかけだったかもしれないが、彼女の精神は不安定になっている。

 今まで、彼女の世話は基本的に俺がやっていた。プロエリウム家の奴隷もいなくなり、もちろん俺もいなくなったわけである。

 彼女は一人で生きていく術を持っていない。
 何から何まで奴隷にさせていたのである。急に一人になって強い不安感に襲われているのだ。

 だから、俺に酷い扱いを受けようと、縋りついてくる。
 俺しかいないと思い込んでいる。毒にも、そして俺自身にも彼女は『依存』しているのだ。

 これは、好都合だな。
 なるべく長く、セリスが苦しむ姿がまじかで見られるのだ。悪くない。

 いつか飽きたら毒を解いてやろう。
 その時までは、俺のおもちゃにしようと思った。

「次から気を付けろ。ほら、杖だ」

【武具生成スキル・発動】
『形状:杖』
『付与属性:なし』
『特殊効果:中毒の呪い』
『性能:なし』

 武具を生成してやって、彼女に渡してやる。
 そうするとセリスは、満面の笑顔で感謝してきた。

「ありがとう、ございます――ご主人様」

 とうとう呼び方も変わって、俺はこいつにとって主になったみたいである。

 今まで、ゴミとか無価値とか呼んでいた相手を『ご主人様』とは……セリスも少しずつ、壊れているみたいだ――
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