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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第十話 服従していた家への復讐 その二

 クラウンが俺に怒鳴り散らしているその時、魔王は上手く立ち回ってくれた。

「やっ!!」

 武器を失って狼狽えていたクラウンの私兵に奇襲を仕掛け、無力化していく。
 十数人はいたというのに、一瞬で立っている者はいなくなった。

「くくっ……お前がバカなことしてるから、みんなやられちまったぞ? ほら、後ろ見ろよ」

 未だに俺を殴ろうとするクラウンにそう伝える。

「っ……無能どもめぇ」

 やつは目に見えて動揺していた。
 一応、クラウンは武器がなくても戦うことはできるだろう。だが、ここ最近は俺の武具を使用して大きな功績を残していたせいか、精神的にも大きな拠り所になっていたようだ。

「いいから、さっさと武器を作れぇえええええ!!」

 更に一発、殴打を受ける。
 痛みなんて気にならなかった。ただ、握られた拳が震えているのを見て、心が躍った。

 強がっている姿が、とても哀れで……俺は愉快だった。

「どうするんだよ、偉大なるプロエリウム家の当主さん? このまま俺をいたぶってても、武器は作ってやらないぞ? お前は魔族を逃がし、家を大きくするチャンスを失い、王家の怒りを買う。そのまま没落していったら、面白いんだけどなぁ」

「ぐ、ぬぅ……」

 心のどこかでは、クラウンも分かっているのだろう。
 この状況を打開できるのは俺の武器しかない。

 魔族を捕らえ、クエストを達成し、王家に箔をつけてもらう。
 そのために必要なのは――俺の武器だ。

「まぁ、俺に作ってほしくないのなら、好きに殴れよ。俺は殴られようと、脅されようと、絶対に武器を作ってやらないけどな。頼むなら、それなりの態度ってものがあるだろ?」

 主導権は完璧に俺が握っていた。

「ゴミの、分際でっ」

「え? 今なんか言った? 武器を作ってほしくないってことでいいのか?」

「……そうは、言ってないっ」

 クラウンはこれでもかと言わんばかりに俺を睨んでいた。
 だが、貴族としての立場や責任感が、プライドを抑え込んだのだろう。

「た、のむ……武器を、作ってくれ」

 奴隷である俺に向けて、頼みこむような言葉を口にした。
 命令ではなく、下手に出るような態度である。

 ――ぞくぞくした。
 今まで俺を見下していた相手を見下すのは、とても心地良かった。

 でも、まだ足りない。

「口だけか? 誠意はどこにいった? お前は自分より立場が上の人に対して、そんな威圧的に頼み事をするのか? ほら、やってみろよ……土下座、できるんだろ?」

 頭を下げるように、促した。
 そうすればクラウンは激怒して、再度俺の胸倉をつかみ上げる。

「貴様ぁ!! わ、私が……プロエリウム家の当主が、奴隷に頭を下げると!? 舐めるのもいいかげんにしろ!!」

「舐めてるのはそっちだろ」

 ニヤニヤとクラウンを嘲笑う。
 激昂するこいつを見ていると、心が晴れた。

 もっと、もっと、気持ち良くなりたい。
 クラウンを、更に苦しめたい。

「離せ……じゃあ、俺は帰る。自分たちだけで魔族は何とかしろ」

 やつを絶望に陥れるために。
 まずは胸倉をつかむ手を乱雑に振りほどいて、クラウンに背を向けた。

 このまま何もしなければ、本当に帰る――そのことを強く理解させたのである。

 俺がいなくなれば、武器は作れない。
 無手で魔族に挑んでも、敵わない。
 クエストを失敗すれば、プロエリウム家の繁栄はない。

 クラウンはきっと、それらのことをしっかり考えたことだろう。

「ま、て……待って、ください」

 ようやく、覚悟が決まったようだ。
 かすれた声で、やつは俺を引き留める。

 敬語だ。奴隷である俺に、媚を売るかのように丁寧に話しかけていた。
 こいつのプライドはもう折れている。

 それでもなお、プロエリウム家のために我慢しているらしい。
 立派な当主である。哀れで涙が出てきそうだ。

「は? なんだよ」

 ゆっくりと振り返って、再度クラウンと向き合う。
 その時にはもう、やつは地面に足をつけていた。

「お願いします……武器を、作ってください」

 ――ようやく、この時が訪れたのだ。

 クラウンが……戦闘職で、貴族で、勝ち組で、俺の主だったプロエリウム家の当主が!
 生産職で、負け組で、奴隷の俺に!

 土下座をしていた!!



 最高の気分だった。



 ああ、俺はこの時のために今までの苦痛を耐えていたのだ。

 そういう風にすら思えるような陶酔感が、俺を満たす。

 さぁ、復讐だ。

 クラウンが俺にやって来たようなことを、俺もしっかりとやってあげよう。
 そう思って俺は、地に額をこすりつけるクラウンの頭を――踏みつけた。




「作るわけないだろ、ばーか」



 ぐりぐりと踏みにじりながら、クラウンの願いを拒絶する。
 敬語を使い、頭まで下げたにも関わらず、断られたのだ。

 当然、クラウンはこれ以上ないくらいに激怒した。

「生産職がぁあああああああ!!」

 俺の足を払いのけて、魔法も使わずに殴りかかってくる。
 愉快すぎて、笑い声が抑えられなかった。

「あははははは!!」

 そして今度は逆に俺の方が殴り返してやった。服の下には生成した胸当てをつけている。装備のおかげで攻撃力は俺の方がはるかに高い。

「ぐはぁ!?」

 クラウンは見事に吹き飛んだ。
 地面に身を打ち付けるクラウンは、見ていてとても可哀想である。

「よ、よくも、父を!!」

 と、ここでようやく、おろおろしていたセリスが俺に杖を向けた。

 今まで何をしていいか分からないように硬直していたくせに、父親が殴られてようやく動くなんて……なかなか、無能である。

 でも、今はとても気分が良い。
 この場では、あまり酷い復讐はしないでやろう。


【武具生成スキル・発動】
『形状:剣』
『付与属性:なし』
『特殊効果1:なし』
『性能1:物理ダメージ上昇』
『性能2:物理ダメージ向上』
『性能3:物理ダメージ倍加』
『性能4:物理ダメージ増加』


 生成した武具は、物理ダメージに特化した剣である。
 これをセリスの杖に、強く打ちつける。

 そうすると、こいつの杖は簡単に壊れた。
 もともと『耐久力低下の呪い』も付加していたので、呆気なかった。

「ぁ……あ、ああっ。杖……私の、杖がぁ」

 杖が壊れて、彼女は泣きそうな表情になった。

 きっと『中毒の呪い』の影響だろう。これから杖がなくなり、中毒による依存のせいでとても苦しむことになるだろうが、それは後のお楽しみか。

 ともあれ、これで俺のやりたいことはやりきった。

 ふと魔族がいたところを見てみると、いつの間にか姿がなくなっていた。俺とクラウンがいざこざを起こしている間に逃げてくれたようだ。

 よし、クエストも失敗に終わり、とても満足である。

「あははははははは!!」

 倒れるクラウンと、杖の欠片を拾い集めるセリスを見て、俺は笑う。
 人生で一番、楽しい気分だった――
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