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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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第九話 服従していた家への復讐 その一

 プロエリウム家の陣営に戻って、隠密用の兜を脱ぎ捨てる。
 すると、クラウンとセリスは何事もなかったかのように、俺へと視線を向けた。

「おい、ゴミ。様子がおかしいからうろちょろするな……そこにいろ」

 どうやら俺がいなくなっていたことに関しては何も気にしていないらしい。
 兜に付加した『認識阻害』がうまく機能しているようだ。

「あはっ……なんだか気持ちがいいわ。不思議な気分」

 セリスは俺の近くで杖を手に恍惚の表情を浮かべている。
 彼女の武具に付加されている『中毒の呪い』は順調に彼女を蝕んでいるようだ。快楽に悶えている。

 その武器がなくなった時、こいつは一体どうなってしまうのだろうか。

 わくわくしてくるが、今は魔族を逃がすことに集中しよう。
 それこそが、クラウンへの復讐だ。

「おかしい。何かが近づいている……あれは――魔族じゃないか!?」

 そしてようやく、魔族たちがこちらまでやって来てくれた。
 言いつけ通り、俺が指示したルートをきちんと辿っているようだ。

「勇者パーティーはどうした! 逃がしたのか!? くそっ、でかい顔してるくせに無能どもめ!!」

 予想通り、クラウンは動揺していた。
 悪態を吐きながら苦々しい表情を浮かべている。

 ――たまらない。
 こいつが苦しむ姿を見ると、何とも言えない幸福感が俺を包んだ。

 もっと、もっと。
 クラウンの苦しむ顔が、見たい。

 無意識に頬が緩んだ。
 さぁ、ここからどうしようか。

 クラウンを苦しるために、何をしてあげようか。
 頭の中で色々と考えていると、魔族たちが迫ってきた。

「「「「【火炎放射エミット】!!」」」」

 勇者パーティーにしたことと同じように、彼女たちは大量の火炎を放射して先制を仕掛ける。
 だが、今の状況は先程と少し違った。

 プロエリウム家の勢力――クラウンとセリス率いる私兵団は、きちんと迎撃の態勢を取っていたのである。

 勇者たちのように不意を突いていれば、あるいは今の攻撃でも十分だっただろう。
 だが、クラウンたちは魔族の攻撃をきちんと迎え撃つことに成功していた。

「【火炎の盾スクード】!!」

 更に言うなら、プロエリウム家は代々『炎属性』を使役する戦闘系の一族だ。
 火炎への対処は国でもトップクラスである。

 そんなやつらが、俺の生成した素晴らしい武具を扱っているのだ。私兵団が持っている武器もクラウンに命令されて俺が作った物である。

 魔族たちの一撃くらい、防ぐのは簡単だったはず。

「くっ……みんな、止まろう。攻撃が防がれたようだね」

 魔王は足を止めて、クラウンの様子をうかがっている。
 そして、俺の顔を見つけて――彼女はポカンとした。

「え……?」

 まさか俺がここにいるとは思っていなかったのだろう。
 どうしていいか分からなくなった、と言わんばかりに呆けている。

 まぁ、そのまま動かずにいればいい。
 この場は既に、俺が支配しているのだから……

「……フハハハ! よくよく考えれば、都合のいい状況だ! 勇者パーティーが逃がしたこいつらを捕まえたなら、我がプロエリウム家がより評価される!! いい……これは悪くない。多くの報酬を期待できそうだな」

 最初は狼狽えていたクラウンだが、初撃を防いだことで気が大きくなったようだ。
 汚らしく笑って魔族を見ている。

 どうやらもう捕まえた気でいるらしい。

 俺の武器を持っていることもまた、やつの自信に繋がっているのだろう。

 よし、そろそろ……その偉そうな顔を、ぐちゃぐちゃに歪めようか。

「かかれ! 多少強引でも構わん! 捕獲しろ!!」

 プロエリウム陣営が、今にも魔族たちへと襲いかかろうとした――その瞬間だった。



「【破壊の呪い・発動】」



 一つ、命令を下す。
 そうすることで、俺が生成した武具の中で【破壊の呪い】が付与されている武具が壊れた。

 つまり、プロエリウム陣営が持っていた武器のほとんど全てを、破壊したのである。
 残っているのは唯一、セリスが持っている杖だけだった。

「……は?」

 武器が壊れて、クラウンは驚愕の表情を浮かべた。
 さっきまではあんなに余裕そうだったくせに、みるみるその顔は真っ赤になっていく。

 ああ、なんて――素敵な光景なのだろう。
 クラウンの怒りに歪んだ顔が、俺をとても愉快にさせてくれた。

「ゴミがぁああああああ!? 何をした!! 私の武具を、どうしたのだ!?」

 敵の前だと言うのに、クラウンは俺へと走り寄って胸倉を掴み上げてくる。
 あまりの怒りに我を失っているようだ。

 いい顔をするじゃないか。

「何を笑っている!? この、ゴミがっ……格式高いプロエリウム家の当主である私を笑うとは、身の程を知れ!!」

 一発、頬が殴られる。
 だが、この痛みさえも、今は快楽だとしか思えなかった。

「新しい武具だ! さぁ、早く作れ!!」

 命令するクラウンに俺は唾を吐き出す。

「……おい、誰に命令してるんだよ」

 そして、今度はクラウンに自分の立場を分からせることにしたのだ。

「お前、俺が武器を作りたくないって言ったら、終わるぞ? 魔族には逃げられるし、クエストには失敗するし、王家からの信用はなくす。最悪、王家から怒りを買う可能性もあるだろ? 魔族を逃がしたら、どうなるか分からないよな?」

 そう言ってやれば、クラウンは真っ赤な顔を真っ青にした。
 ようやく、自身の立場が分かったようだ。

「き、さまっ……生産職の――奴隷の分際で、我がプロエリウム家に盾突くと言うのか!?」

「黙れ、言葉遣いがなってないな……自分の立場、分かってるのか?」

 ――楽しい。
 クラウンを嘲笑している今、俺は人生で一番幸せだった。

 この時を、なるべく長く。
 もっともっと、クラウンを苦しめてやらないと――
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