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負け組奴隷生産職は『武具生成』チートで成り上がる ~無限に生産できる最強装備なら復讐も簡単です~ 作者:八神鏡
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プロローグ 奴隷生産職の少年は武具生成スキルを授かった

 生産職は奴隷だ。
 戦闘職の冒険者に服従するしかない『負け組』である。

 魔物から守ってくれる冒険者と、ただ日常に必要なアイテムを作成する生産職では命の価値が違った。

 いくらでも代わりのいる生産職と違って、戦闘職は希少な存在でもあるのだ……国だって当然、戦闘職を優遇するのは当たり前だろう。

 大分前からもう、生産職は戦闘職の奴隷として生きていたらしい。

 死んでしまった俺の両親も、それからその前の代の祖父母も、戦闘職の家系に仕える奴隷だったようだ。

 貴族『プロエリウム家』。
 国でも有数の戦闘職の家系だ。

 あまり大きな貴族ではないが、古くから堅実に功績を残してきた由緒ある一族らしい。

 国からもしっかりと評価されているようで、今後とも末永く繁栄すると言われているようだ。

 そんなプロエリウム家に、奴隷生産職である俺は仕えている。

「ねぇ、下僕? あなたはいつまで『無能』のままでいるの?」

 いつもの日常だ。
 普段通り、俺はプロエリウム家の一人娘であるセリス・プロエリウムの嘲笑を浴びていた。

 ティータイムの時間に、彼女は俺を罵倒する。
 金髪碧眼でスタイルも良い、容姿だけ見ると美しい少女だ。しかしその内面はとても醜く、好感の持てるような人間性ではない。

 こいつだって俺のことは嫌いだろう。
 だが、年が同じということもあるせいか、この女は決まってストレス発散のために俺を呼び出すのだ。

「くだらない生産系のスキルでも、発現すれば多少なりとも私達プロエリウム家に利益が出るのに……今のあなたは、ただの置物だわ。しかも、鑑賞も実用性もない、無価値な置物よ」

「申し訳ありません、お嬢様」

 そう。今年で16歳になった俺だが、未だにスキルが発現していない。
 通常であれば、12歳頃にスキルが発現するのが一般的な世界で、俺はかなり遅かった。

 一方、セリス・プロエリウムは10歳の頃には戦闘系のスキルが発現した天才である。
 外面が良いこともあって、周囲からの評価も高いらしい。

 だが、家の中では本性を現して俺を痛めつけてばかりいる。
 本当に……最悪の女だ。

「今のあなたはね、ゴミよ。そんなあなたを養ってあげている私たちプロエリウム家に感謝しなさい?」

 感謝? そんなもの、一度だってしたことがない。

 物心ついた頃には既にぼろ雑巾のごとく働かされていた。教育など一切受けることができず、言葉の習得だって遅かった。自由などなく、報酬もなく、ただ毎日隷属するだけの日々を――感謝なんて、できるわけがない。

 でも、そんな思いを吐き出すことはできない。
 負け組生産職である俺は、きっとプロエリウム家に見放されたら野垂れ死ぬだろう。

 だから、我慢するしかなかった。

「感謝しております、お嬢様」

「ええ、感謝するといいわ」

 偉そうに彼女はティーカップにくちをつけて、それから顔をしかめた。

「まずい」

 そして、カップごと俺に向かって紅茶をぶちまける。
 これもまた、いつものことだった。

「何度も言っているでしょう? もっと、私が好む味にしなさいって」

「……申し訳ありません」

 味なんてどうでもいいくせに。
 こいつはただ、俺を痛めつけたいだけだ。無抵抗の俺を一方的に苦しめたいだけである。

「次は、気を付けます」

「そうして。じゃあ、ここから消えなさい……不快だもの」

「はい、失礼します」

 理不尽なまでの行為は、正直なところ嫌だった。
 でも、生産職である俺は……やっぱり、反抗なんてできなかった。





 一生、こんな生活が続くと思っていた。
 自由などなく、ただ惨めな奴隷として人生を送るとばかり、この時は思っていた。

 そんな時だった。
 俺のスキルが、発現したのは。

 この世界の人間は最低限一つはスキルを授かると言われていた。

 10歳から16歳くらいまでの間にスキルは発現する。
 そしれ16歳の俺も、負け組の生産系とはいえ、ようやくスキルを手に入れることが出来たのだ。

「――『武具生成』スキル?」

 朝起きたら、スキルが発現していることに気付いた。
 頭の中に、宿ったスキルの知識が浮かび上がっている。

 その説明を読んでみた。

「自由自在に武具が生成できるって……聞いたことないぞ、これ」

 初めて耳にするスキルだった。
 説明もたった一文で要領を掴めなかったので、試しに『武具生成』スキルを使用することに。

 頭の中で『ナイフ』の姿を思い描いた。

【武具生成スキル・発動】
『形状:ナイフ』
『付与属性:なし』
『特殊効果:なし』
『性能:切れ味特化』

 そして、淡い発光と同時に現れたのは、一本のナイフ。
 生産されたそのナイフを見て、俺は目を見開く。

「すごい……っ!」

 思いもよらないスキルに、鳥肌が立った。

 これならもう、無能なんかじゃない。
 とても素晴らしいスキルなのだ……このスキルがあれば、俺の待遇も改善されるかもしれない。

 負け組奴隷生産職でも……もしかしたら、武具生成スキルがあれば幸せになれる可能性がある。

 そんなことを考えると、無性に嬉しくなってしまった。

 今までは奴隷として、惨めに生きてきた。
 でも、ここからが俺の人生の始まりだ。

 いつか、プロエリウム家から独立できるくらいに成り上がってやる――!
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