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第34話 奴隷貿易とバブル景気 またやらかしちゃったヨーロッパ

博打にハマって墜落だらくする人のパターンは決まっています。


① ビギナーズラックで大儲け

② 調子に乗って掛け金を釣り上げる

③ 大失敗して素寒貧すかんぴんになる。


これの繰り返しです。


前回で、ヨーロッパの富豪が王様に金を貸した担保にアシエント(独占貿易権)を取ったと書きました。


それがきっかけになり、世界史で2回目のバブルが起きました。





ヨーロッパの国々は、獲得した植民地でもヨーロッパの国どうしで戦争をしていました。


東南アジアでは、アンボイナ事件やマタラム・オランダ東インド会社戦争。

南北アメリカ大陸では、フレンチ・インディアン戦争やウィリアム王戦争です。


その中の一つ、アン女王戦争に勝利したイギリスはスペインから、ある商品の独占的貿易権アシエントを獲得します。

当時、盛んに行われていた黒人奴隷の貿易権です。


イギリス政府は、ひっ迫していた財政を奴隷貿易によって立て直そうと考え『南海会社』という名の勅許ちょっきょ会社をつくり、アフリカ大陸とスペイン領西インド間で黒人奴隷の売買を始めました。


ところがこの奴隷貿易は様々な理由でうまくいかず、利益を生みませんでした。

その穴埋めをするように、南海会社は宝くじを始めます。

そしてこの投機的な商売が大当たりしてしまいます。


①の「ビギナーズラックで大儲け」です。


そして調子に乗った南海会社はイギリス国債と南海会社の株式を使った詐欺的な手法で巨大な利益を上げようとします。(この手法は複雑すぎて私には分かりませんでした)


タイミングの悪いことに、この時期のイギリスの中間層は金を持っており、投資先を探している状態でした。

そこに話題の南海会社の株式が大量に出回りました。

しかも南海会社は勅許ちょっきょ会社。

後ろ盾はイギリス政府。

みな先を争って南海会社の株を買いました。


海南会社の株式は、1719年に100ポンドほどでしたが、1年後の1720年にはなんと10倍の1,000ポンドにまで急騰。

大儲けする人が続出しました。

② 調子に乗って掛け金を釣り上げる、の段階です。


しかしその1年後の1721年には80ポンドにまで急落。

今度は破産する人が続出しました。

③ 大失敗して素寒貧すかんぴんになる、の落ちです。


どうやらこの騒動、政府関係者やイギリス王室まで関与していたらしく、南海会社の会計責任者は失踪。ベルギーで逮捕されましたが、イギリス本国には送還されませんでした。


この人類2回目のバブル騒動の結果、企業や国家の財務状況について第三者的な立場から分析をする必要が認められ、会計監査制度や公認会計士制度が始まります。


チューリップ・バブルに続いて、またバブルが起きたわけですが、同時期にアメリカでミシシッピ計画という事件も起きています。


どうやら、市場の独占を前提とする勅許会社はうまくいかないようです。


このような勅許会社を激しく批判した人物が、アダム・スミスです。

彼はその著作「国富論」の中で、競争によって“自然に”市場がバランスを保つと考え、勅許ちょっきょ会社を激しく非難しました。


しかし、自由に競争した結果、バブルが起こってしまう事実は、日本のバブル景気やリーマンショックが証明済みなので、もう人間にかかった呪いのようなものかもしれません。

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