第29話 黒人サムライ、ヤスケの半生
あまりに有名なのでご存知の方も多いでしょうが、16世紀の日本に異色の人物がいました。
織田信長付きの近習〔ボディガード〕で、名は「ヤスケ」。
黒人の侍です。
漫画やアニメによく登場するキャラクターですが、架空の存在ではなく、実在した人物です。
典拠もしっかりしています。
太田牛一著 信長公記の第十四巻には、ヤスケが京都の本能寺に来た際の様子が描かれています。
「二月二十三日、キリシタン国から黒坊主が参上した。年のころは二十六、七歳でもあろうか、全身の黒いことは、牛のようである。見るからに逞しく、みごとな体格である。その上、力の強さは十人力以上である。伴天連がこの男を召し連れて参上し、信長公に、布教のご許可にたいしてお礼を申しあげた」。
(大田牛一著 榊山潤訳 原本現代訳 信長公記P199より)
また徳川家康の家来だった松平忠家の日記にも記述があります。
「信長公がお雇いになっている、宣教師から進上された、黒人を連れておられた。体は墨のようで、身長や約180センチ、名はヤスケというそうだ」。
(忠家日記より)
ヤスケは奴隷ではなく、家と太刀を与えられた士分(さむらいの身分)だったようです。
どうやら弥助は当時ポルトガル領だったモザンビーク出身らしく、ポルトガル人に雇われたか、買われて日本に来たようです。
その後、本能寺の変が起こって織田信長は殺されてしまいまい、弥助も行方不明になりました。
彼がどうなったのか気になりますが「モザンビーク 民族衣装」で画像検索してみて下さい。
そこに出てくる民族衣装は、なんとなく和服に似ているような気がしませんか?
もちろん何の根拠もありませんが、空想は自由ですから。




