第13話 東インドに西インド? それってどこ?
ヨーロッパ文明の基礎となるのは、ギリシャ・ローマ文化ですね。そこで一番の英雄と言えば、なんといってもアレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)です。イスカンダルなんて呼び名もありますよ。
アリストテレスの教え子だった人でもあります。
当時の地中海文明圏では、アメリカ大陸は知られていませんでしたが、東方にインドがあることは予測されていました。
アレキサンダー大王の世界征服とはインドを征服することだったのです。
アレキサンダー大王は志半ばで死んでしまいますが、ギリシャ・ローマの文化はヨーロッパや中東に受け継がれました。彼らの中で『自分たちの考えが及ばない遠い土地』とは『インド』だったのです。
数千年経ってもその考えは変わりませんでした。
すでにこの世が球体である事実は明らかになっても『インド』という考えはヨーロッパ人の頭の中から離れませんでした。
『外国はインド』プラス『地球は丸い』イコール「東に行くと東回りでインドに行き、西に行くと西回りでインドに行く」という考えが生まれました。
つまり、ヨーロッパから西に行ったらある場所、つまりアメリカ大陸が『西インド』で、東に行ったらあるのが『東インド』だと、当時のヨーロッパ人たちは思っていたのです。
ずいぶんいい加減で自己中心的な考え方ですが、つい最近まで『オランダ領東インド』なんて言葉が使われていた事実を考えるとあまり笑っていられないのかもしれません。




