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7-10(P73)

色々と考慮した結果、デモンズスライム譲りのスキルは魔剣召喚を除いて全て使用することを断念した。理由はその効果を見ていただければ一目瞭然だろう。


【物理吸収】対象に与える全ての物理攻撃を吸収する。吸収されたエネルギーは蓄えられて体重へと変化する。100のダメージにつき1kg増量する。


【暴飲暴食】食べだすとやめられなくて止まらなくなる。食べるのをやめるためには精神抵抗の判定を成功する必要がある。本来食べられないものでも咀嚼可能。食べたもののスキルを一定確率で習得することができる。一度使用するたびに体重が10k上がる。


【倍返し】物理攻撃で与えた攻撃を倍にして跳ね返すカウンター攻撃。これを行う場合、あらゆる能動的な行動は一切使用することができない。


【魔剣召喚】魔剣ティルヴィングを召喚する。召喚時は手を翳して叫ぶ必要があるため、人前で実行するには勇気が試される。


本来であればこれらのスキルを使えば俺TUEEEを実行することも簡単なのだが、それを行えば異世界に戻ることはできなくなる。これまで厳しいダイエットを行ったことは全て水泡と帰す訳である。それは何としても避けたい。

というわけでこれらのスキルは全てインフィニティさん管理の重要なアイテム欄に全て放り込んだ。迂闊にアイテム欄から出そうものなら「それを使うなんてとんでもない」とインフィニティさんからお叱りのコメントが飛び出す特別仕様だ。

物理吸収だけは取っておきたかった。まあ、少しだけ実装するためにアイデアも考えてある。吸収したダメージをカロリーにして変換した後にそれをそのまま相手の身体に撃ち出す魔法があればこちらは無傷、相手の体重だけ増えるという悪夢のコンボが完成する。まあ、それを使うためには焼き入れた魔力回路を復活する必要があるのだが。

まあ、そんなこんなで退院した俺の毎日の日課が二つ増えた。それは座禅することとガムを噛むことである。ガムを噛むのは咀嚼数を稼いで味覚を取り戻すためである。そして座禅を行うのは精神集中を行うことで失われた魔力回路をもう一度回復するためである。

座禅はまだよかったのだが、ガムを淡々と噛む行為が意外としんどかった。なにせ稼ぐ回数が回数である。


味覚喪失(11360/120000)


一週間、三食食べて獲得できたのがたかだか11360回。あまりにも時間が掛かりすぎる。ゆえに俺はゼロスペースで座禅をしながらガムを噛むという訓練を自らに課した。これが地味にきつかった。想像してもらいたい。空気はあれども風もない、音も全くない。もっと言えば底冷えするような空間で延々と座禅をする苦しさを。精神を集中している間に何回か人の呼ぶような幻聴さえ聞こえてくる始末だ。不気味にも程がある。

まさか誰もいないよな、そうインフィニティに尋ねてみると何か心当たりがあったのか黙り込んでしまった。おい、怖いからやめろ。

そんなわけで嫌になるまではゼロスペースで訓練を続けた俺のマイナススキルは数日のうちに次のように蓄積されていった。


味覚喪失(87360/120000)

魔力回路喪失(1230/180000)


あり得ないくらいに顎が痛い。だが、頑張ったおかげで早いうちに味覚の消失問題はカタがつきそうだ。しかしそれよりヤバいと思ったのは思った以上に座禅では経験値が蓄積されないことだった。このままでは何十日かかるか分からない。らちが明かないだろう。何かいい方法はないだろうか。そう思った俺は得意のネットサーフィンと書籍で情報を調べることにした。

気になったものは片っ端からファイルにして保存していく。フォルダの中はあっという間に精神集中や魔法に関する膨大な資料でいっぱいになった。




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