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6-6(P58)




              ◆◇◆◇◆◇        




デモンズスライムの破裂による全ての攻撃を魔剣による防御壁によって受けきった司馬は安堵のため息をついた。警戒していたとはいえ、いきなりだった。とっさに背後にいたフェニックスを守るだけで精一杯だったが、眼下に目をやると晴彦達もなんとか破裂の攻撃から身を守ることができているようでホッとした。すまんな、負担をかけて。心の中でそう晴彦に謝りながら司馬はデモンズスライムを睨みつけた。兜越しに送られてくるステータス情報は次のようであった。


デモンズスライム(第二形態)

齢:???

Lv.???

種族:魔神獣の核

状態:普通

称号:すべてを喰らうもの


体力: 5000/5000

魔力:729/729

筋力:821

耐久:0

器用:81

敏捷:56

智慧:0

精神:200

魔法耐性:2180

ユニークスキル

〈暴飲暴食〉

〈自己再生〉

〈破裂〉

〈分身〉

〈■■■■〉

〈擬装〉

スキル

捕食

吸収

粘液

〈■■〉



ステータスを確認して分かったことはかなり体力を消費していることだった。弱体化しているということだろう。畳みかけるなら今しかない。司馬は右手から先ほどと同じ光の剣の群れを放った。流星群のごとく一直線に宙を舞った光剣の群れはデモンズスライムの身体を容赦なく貫いていく。

防御力がないためか体力のステータスが先ほどより勢いよく減っていく。4400、4000、3600、3000.。だが、再生能力も上がっているのか勢いよく回復をしていくことも分かった。回復に対してダメージが追い付いていない。一撃で奴の体力を一気に奪う一撃を行う必要がある。拳を握りしめる司馬の背後でフェニックスの炎が今まで以上に燃え盛る。


『私が敵の特殊能力を防ぎます。その間に司馬さんは奴を屠る一撃を放ってください。』

(おう…頼むわ。)


司馬が同意した瞬間にシェーラが憑依したフェニックスはその専用能力を解放した。それは炎でできた渦であった。渦を身に纏ったフェニックスは翼をはためかせてデモンズスライムにそれを纏わりつかせた。身悶えても決して消えない焔がスライムの再生能力を阻害する。司馬はそれに頷くと精神集中を行った。司馬の両手から眩いばかりの光と全てを覆いつくす深い闇が形成されていく。両の手から放たれた二つの異なる力の根源は絡み合う糸のように交差した後に一つの形を作り出した。それは変貌前に鎖から引き放ったあの剣であった。これこそがダインスレイブ。かつて神に逆らった愚者が作り上げた全てを滅ぼす大量破壊兵器だ。司馬は鎧を身に纏う残り全ての制限時間をかけて剣に力を籠め始めた。圧倒的な魔力と闘気が剣に籠り始める。迸る紅い稲妻と周囲の張り詰めた空気に大気がビリビリと振動し始める。


――この刃、ひとたび抜き払えば眼前の敵に必定の死をもたらさん――


それこそが司馬の放つ最大最強の一撃、破滅(ダイン)(スレイブ)だった。雄たけびを上げながら司馬はデモンズスライムの身体深くに切り込もうとした。瞬間、神速によって現れた晴彦が叫ぶ。


「攻撃しては駄目だ!司馬さん、そいつは…」


だが、神速のスキルを使う晴彦を超えた勢いでスライムに迫る司馬は最早止まれない。司馬の剣がスライムに深々と突き刺さると同時に晴彦は絶叫した。


「そいつはあんたの攻撃を吸収して跳ね返すつもりなんだっ!!」


その言葉と同時に司馬の身体全体に耐え切れないほどの衝撃が走った。




        ◆◇◆◇◆◇        




デモンズスライムのフルカウンター能力をまともに喰らって上空に舞い上がった司馬さんを見上げながら俺は自らの失策を呪った。あまりにもダメージを受けたせいだろう。鎧の全身から煙を巻き上げている。消し飛ばなかったのが奇跡に近い。もう少し早く気づいていれば。デモンズスライムは自らのステータス偽装能力で司馬さんに攻撃させるように促したのである。

俺の鑑定スキルからは奴の物理吸収能力も体力が∞であることも見えていたが、司馬さんの鑑定スキルではレベルが足りずにそれが見えていなかったのだ。スライムにはそれが分かっていた。だからステータス偽装をして体力が減っているように見せかけたのだ。随分とクレバーな真似をしてくれる。知性が0というのも偽装表記ではないのか。そう疑ってステータスを見直すとやはり偽装の跡があった。擬装のスキル自体が奴のシークレットスキルであったのだ。

落ちてくる司馬さんを受け止めたのはワンコさんだった。全身から白い煙を噴く司馬さんはすでに意識を失ってあの物騒な鎧姿から元の姿に戻っていた。四肢の欠損などの酷い怪我をしているわけではないが、白目を剥いていることからすぐの戦闘続行は不可能だろう。主力を失った俺たちの前にデモンズスライムの巨躯が迫りつつあった。


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