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5-8(P44)

 司馬さんに連れてこられたのは町はずれにある廃工場の中だった。

 この場所はWMDが所有している訓練場所なのだという。敵を誘き出したり、新人に訓練をするのにはもってこいであるという説明を受けながらも俺は首を傾げていた。何故こんな人気のない場所に呼ばれたのか分からなかったからだ。


「あの、何でこの場所に連れてきたんですか」

「決まってるだろう。今のお前さんの実力を測る模擬戦をやるからだ」

「あ、そうなんですか。ちなみに対戦相手はいつ来るんですか」

「目の前にいるだろうが。お前さんはこれから俺とやり合うんだよ」


笑顔のままで180度方向転換した後に俺はその場から逃げ出そうとした。その俺の襟首を司馬さんが黙って捕まえる。理解できない。どうしてあんたと俺がやり合うんだよ。抗議しようとした俺を司馬さんは迫力のある笑顔で黙らせた。


「お前が言ったんだろうが。自分が本当に役に立たないかどうか試してくれって」


呆れかえったように言う司馬さんに対して俺は自分の軽はずみな発言を反省した。確かに足手まといだと止められた時に試してくれとは言った。だからと言って戦って判断するというのは余りにも脳筋な考え方だと言わざるを得ない。司馬さんは俺が観念したのを見て笑いながら言った。


「いつでもいいぜ。俺を殺すつもりで仕掛けてこい」

「殺す気とは物騒なことを言いますね」

「物騒でも大袈裟でもないさ。そうしないとお前が死ぬことになるからな」


司馬さんはそう言って身構えた。その瞬間に何かを感じて俺は鳥肌が立った。それが司馬さんが放つ殺気のせいだと気付いた俺は恐怖に弾かれるようにして【クロックアップ】を使用した。体感時間がゆっくりと流れる中で左足を思い切り踏み込んで地面を蹴ると同時に走り出す。司馬さんは神速で俺が高速移動をできることを知っていてもクロックアップで思考と反応速度も高速化していることは知らないはずだ。そこに付けこむ隙がある。


先制攻撃で度肝を抜いてやる。


まずは肩口からのタックルを食らわせて転ばせよう。そう考えた俺は次の瞬間に絶句した。俺の身体が今にも司馬さんの体にぶつかろうかという時に身をかわしたからだ。身を逸らす程度の最小限の動きだったが、攻撃をかわすのには十分だった。攻撃をかわされて歯止めが利かなくなった俺はそのままの勢いで司馬さんの背後の資材置き場に突っ込んだ。鉄パイプやほかの資材が転がる轟音が辺りに響き渡る。


「スキルは悪くないんだがなあ。攻撃が直線的すぎる。避けてくれと言っているようなものだぞ」


目から火花が飛び散る俺の背後からのんびりした司馬さんの声が聞こえてくる。完全に見切られていた。脳震盪を起こしかけながらも起き上がった俺を司馬さんは人指し指で招くような仕草をして挑発した。不敵な笑みを浮かべていた。

挑発だと分かっていても頭にきた俺は後先考えずに【神速】と【クロックアップ】を同時に使用した。一瞬にして司馬さんの間合いに入るとアイテムボックスから取り出した木刀を握りしめて横薙ぎの斬撃を放った。だが、それはあっさりとかわされた。一太刀目がかわされたが、俺は諦めずに追撃を行った。だが、追撃の全てを司馬さんは華麗なバックステップで次々とかわしていく。悪夢のような光景だった。常人が止まったように見える【クロックアップ】の体感時間の中でこの人は普通に行動している。最後に袈裟懸けから振り上げた斬撃をかわされた俺が絶句していると司馬さんは笑った。


「ボディががら空きだぜ」


司馬さんの声が聞こえた後に俺の腹に凄まじい衝撃が走った。俺の腹に深々と司馬さんの拳がめり込んでいた。苦痛と共に胃液がこみ上げてくる。悶絶する暇もなく俺はその場に崩れ落ちた。


「なんでこんなに実力差があるんだ」

「単純にレベル差だろうさ。気絶する前に俺のステータスを確認してみな」

「ステータス…オープン…」


気絶しかけながらも司馬さんのステータスを見た俺は納得した。凄まじいステータスだ。俺が勝てるわけがない。そう思いながら俺の意識はゆっくりとブラックアウトした。


司馬 大吾

年齢:48

Lv.56

種族:人間

職業:魔剣士

称号:帰還者


体力:571/571 魔力:366 筋力:621 耐久:563 器用:420 敏捷:721 智慧:256 精神:587

ユニークスキル【一点突破】【弱点特攻】【貫通】【魔剣召喚】【魔剣能力全開放】【先読み】

シークレットスキル【■■■■■■■】

スキル【物理耐性】【魔法耐性】【精神耐性】【鑑定Lv.3】【アイテムボックスLv.2】







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