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異世界召喚されたが強制送還された俺は仕方なくやせることにした。  作者: しぐれあめ
第二部 五章 ポケットに入った大冒険豚劇!!
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第十九話-14

皆さま、様々なアイデアをありがとうございます。全部採用となったら案の定、酷いことになりました。残りのアイデアは次話で使用します。

 新たな戦闘スタイル。それは戦闘中にアカシックレコードと自らの意識を繋ぐことによって戦闘中に新たな戦い方を生み出す【戦闘思考補助:アカシックレコード】だ。これを使えば自分一人の力だけでなく、戦闘経験が豊富な異世界の神々が手助けをしてくれる。

 俺はインフィニティに命じて【戦闘思考補助:アカシックレコード】を使用した。

 瞬間、恐ろしいまでの情報量が俺の頭の中に流れ込んだ。到底処理しきれる量ではなかった。精神の何かがゴリゴリと削られていくのが分かった。


「あぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ!!!!!」

『マスター!人間の処理能力を超えています!これ以上は危険です。スキルを強制的に終了させます』


 ぐにゃりと脳が曲がるような不気味な感覚の後に立っていられなくなった俺は戦闘中にも関わらず膝をついた。鼻から温かいものが流れている。何かと思って指で拭うと血だった。

危うく味方である異界の神々の思考に殺されるところだった。かなり役に立つアイデアを貰ったはずなのだが、このスキルの多用は危険すぎるだろう。


「藤堂さん、大丈夫ですか!?」

「何してんのよ、師匠!?」


 機械兵達と攻防を繰り広げていたアリスとカミラが揃って俺の事を心配してくれる。ううむ、心配をかけてしまった。だが、もう大丈夫だ。まずはあの機械兵達を黙らせよう。

 俺はおもむろに髪の毛を何本かむしり取ると口元に持ってきて息を吹きかけた。

 同時に髪の毛が変形し始めて異形の何かに変わっていく。それは俺の分身であり、マサトシ達にはお馴染みになっている藤堂パルピコであった。


『『『パルピコ!!』』』


 一瞬にして髪の毛からパルピコの大群が生み出されたことにマサトシが青ざめていた。思わず腰を抜かして地面にへたり込んでいる。おいおい、戦闘中に何をしてるんだよ。

 まあ、無理もないか。

 生み出された大群のパルピコは俺たちの周囲を守るように浮かび上がった。機械兵達は何が現れたのか若干戸惑ったようだが、大した脅威にはならないと判断したのか、先ほどと同じくレーザー攻撃を行ってきた。


『『『パルピコ!!』』』


 その全てをパルピコたちが吸収していく。馬鹿な奴らだ。パルピコには攻撃の吸収機能がついている。攻撃を加えれば加えるほど,こいつらはそれをエネルギーとして溜め込んでいく。それが一定まで達すると攻撃エネルギーとして放出するのだ。

 パルピコたちがレーザーから俺達を守ってくれている間に俺は次の準備を行うことにした。都合よく、一体の機械兵がこちらに向かって襲い掛かってきたので攻撃をいなしながら、カウンターで拳を放った。金属のような硬さを持っている。恐ろしく硬い奴だ。だが、俺の狙いはそこにはない。左拳に雷神覚醒の力を宿した後に機械兵の身体の内側に流し込むように電撃を放った。機械兵の身体から激しい電撃が流れた後に彼は力を失ったかのように項垂れた。その後に再度、機械兵の目に光が宿る。だが、再起動しても機械兵は襲ってこなかった。逆に俺達を他の機械兵から守るように立ち塞がったのである。どころか他の機械兵に向かって襲い掛かっていった。急に様子が変わった機械兵にマサトシ達も戸惑っている様子であった。だが、俺からしてみれば狙い通りである。

 要はアカシックレコードのアドバイス通りに相手の身体を電気でハッキングしただけなのだから。流石は異界の神。恐ろしい事を考える。雷神覚醒の能力は強力だが、強力すぎる弱点を持つ。今回のような混戦の中で使えばマサトシ達も電撃の巻き添えを食らう恐れがあるのだ。だが、体の一部分であれば無駄に広範囲の放電をせずに的確な電撃のコントロールができるのだ。

 敵の一人を狙い通りに操った俺は次の戦い方を試してみることにした。即興の錬金術によって生み出したのは二丁の拳銃。そしてそれを左右で持ちながら拳法のような構えを取った。


「あ、アニキ、なにしてんすか」

「見てわかるだろう。銃型の構えを取っているだけだ。」

「銃型?」


 銃型は銃を構えながら拳法の身のこなしによって攻防一体を同時に行う理想の戦闘スタイルの事だ。見よ、このスタイリッシュさを。都合よく二体の機械兵が襲い掛かってきたので俺は銃型で迎え撃った。敵の攻撃をいなすと同時に力が入り過ぎてしまったので引き金を引いてしまった。機械兵の硬い装甲に弾かれた銃弾が跳弾してマサトシの頬すれすれに飛び去って行った。


「ひいっ!」

「すまん、手元が狂った」


 そう言いながらもまたしても引き金を引いてしまい、敵の装甲に弾かれた。まるで狙っているかのように再び銃弾がマサトシの足元に深々とめり込む。


「アニキ!わざとやってないすか!?」

「そ、そんなことはない!」


 おかしい、こんな筈はないんだが。というか、なんでこんなに引き金引きやすいんだよ、普通にやばいよ、銃型。やばいと思った俺は銃を捨てて敵の身体に自分の腕をめり込ませた。同化することで相手の身体を侵食できないかと考えたが、無機質なために駄目だった。仕方ないと思って電撃でハッキングしようとしたが、その前に距離を取られてしまった。どうにも警戒されてしまったようだ。見ると先ほどハッキングした機械兵も仲間の機械兵によって破壊されていた。仲間といえども容赦のない連中だ。その姿に気を取られたのがいけなかったのか、俺の背後に回っていた機械兵の一人がマサトシ達の防御網を抜けて俺に攻撃を仕掛けてきた。思った以上にずっと速い。気づいた時には肘打ちで首の後ろを思い切り殴りつけられていた。やばい、意識が飛びそうになる。そう思った瞬間だった。


『マスター、私が戦います。申し訳ないですが、体を貸してください』

「ぐ、頼む…」


 頭のおかしい代表のインフィニティさんが急にそう言ったことに不安を感じたが、意識が朦朧とした俺は体のコントロールをバトンタッチした。自分の身体を遠くから見つめているような不可思議な感覚の後、インフィニティは指で俺の両肩のツボを押した。何をしているのだろう。一瞬、疑問を覚えたが、その後に疑問は氷解した。俺の身体の内側から無数の何かが浮かび上がってきたからだ。それは夥しい数の手であり、無数の眼球であり、白目を剥いたパルピコであり、暴食の化身であるトントンであった。瞬く間に様々な人面姐ならぬ異形の者達が絡み合った塊となった俺にアリスとカミラが生理的な嫌悪を覚えて悲鳴をあげる。ドン引きなのは俺も同じだ。あいつ、人の身体に何してるんだよ。

いきなり現れた異形に機械兵達もドン引きしている様子だった。



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