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3-7(P24)

昨日インフィニティさんが言った通りにレベルが上がっている。新たに習得したスキルの数々ににやけそうになったが、俺が今回に知りたかったのはウォーキングを行ったことでどれだけ鈍足スキルに影響が出たのか知りたかったためである。鈍足の経験値推移は以下の通りであった。


鈍足 【1265/420000】➡鈍足 【17265/420000】


短期間での増加量が非常に気になった。何を基準とした数値なのだろうか、これは。仮にこれが歩数だとしたら単純に考えて16000歩歩いたことになる。そんなに歩いているはずはない。首を傾げる俺にインフィニティ先生が補足してくれる。


『新たに得られた努力家が影響しています。このスキルは様々な訓練を行ったときに経験値を二倍にしてくれるスキルですから』


何それ!超便利じゃん。インフィニティ魔法や限界突破の影に隠れて全然気づかなかったが、超優等生が俺の中に住み着いたものである。というか確か努力家ってシェーラも取得していたよな。ということは二人して経験値稼ぎをしまくって俺TUEEEできるものと考えてしまった。やばい妄想を再びしはじめてしまいそうだ。

ああ、どこかに莫大な経験値をもたらす某金属スライムはいないものか。そんな俺の空想をインフィニティさんが否定する。


『残念ながら彼らと戦うことは非常に危険です』

「え、なんでだよ」

『考えてもみてください。高レベルの冒険者が全く反応できない動きで攻撃してきたり、逃げ出したり、挙句の果てに1しかダメージを与えられないって。弾丸に近い速さの物体が襲ってくるようなものですよ。マスターは時速200kmを越える速さで飛んでくる物体と戦いたいですか』


ごめんなさい。戦いたくありません。それを聞くとなんだかとてもRPGの世界というやつは怖いものなんだなと考えてしまった。実際にあの世界に生きている勇者たちというのは相当厳しい生活を強いられているのではないだろうか。そんなことを考えているとふいにインターフォンが鳴った。え、誰だ、新聞の勧誘なら間に合ってるぞ。なんとか居留守を決め込もうとしたのだが、運の悪いことに丁度シェーラがトイレから出てきてしまった。水の流れる音がしているのに居留守を決め込むのは難しいだろう。


「藤堂さーん、いるんでしょ。出てきてくださいよ」


若い女の声だった。声だけ聴くと可愛らしい雰囲気を醸し出しているぞ。保険の勧誘かな。そう首を傾げながら俺はゆっくりとドアを開けた。そこにいたのは気の強そうな眉が特徴的な女の人だった。多分俺よりかなり若い。彼女は人懐こい笑みを浮かべながら俺に尋ねてきた。


「藤堂晴彦さん、ですね」

「あ、はい。そうですけど。どちらさまですか」

「あ、申し遅れました。わたくし、こういうものです」


彼女が出したのは警察手帳だった。

うわあああ!!警察だあああ!!不安と恐怖を感じた俺はすぐに扉を閉めて彼女にお引き取りいただこうと行動した。

だが、女の動きは速かった。あっという間にドアの隙間に靴のつま先を押し込むと半開きにしていた扉を強引に開く。こちらが閉めようとしたのにも関わらずだ。どういう力をしているんだ。そんなことを思う暇もなく、彼女は俺の背後に回り込むと俺の腕を後ろにひねり上げたまま足払いをして床に倒した。


「いててて!!」


思わず声をあげる俺の異変に気付いたシェーラが火炎魔法を掌に集中させ始めた。だが、その魔法が完成するよりも早く女は叫んだ。


「動かないで!この男の腕が折れるわよ!」


そういって女はシェーラを制した女は俺の手に何かをかちゃりとはめた。冷たい金属のような感触がする。一体何をはめられた。というかこういうシーン、どこかで見たことがあるぞ。何だか凄く嫌な予感がする。


「午前10時25分。異世界人略取及び魔法隠ぺいの疑いで被疑者『藤堂晴彦』を確保します」 


そういって女は高らかに宣言した。家出少女を拉致していた無職の豚男、逮捕。新聞の見出しを頭の中にイメージした俺は青ざめた。



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