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3-1(P19)

 その日の深夜も俺はいつもの公園にいた。ただし今回はひとりではなく、シェーラを連れてきていた。これまで警察の余計な追及などが余計に入らないようにシェーラを一人で外に出さないように心掛けていた俺が彼女を連れてきたのは理由がある。


隠れて行っていた魔法の訓練の成果を見せるためだ。


異世界育ちの彼女には日本語が通じない。警察に職務質問をされた時のリスクを考えると夜の公園に連れてくるのも本来は避けるべきだろう。それでも弱点の克服によって魔法が使えるようになるところを一番最初に見てほしい。そう思ったからこそ、彼女を連れてきたのだ。俺はこれまで影で行っていた努力の結晶を可視化するためにキーワードを唱えた。


「ステータスオープン。閲覧限定解除対象:シェーラ」


藤堂晴彦

年齢:32

Lv.1

種族:人間

職業:異界の姫の保護者

称号:公園の怪人『豚男』   強制送還者

体力:16/16 魔力:4/4 筋力:15 耐久:18 器用:8

敏捷:10 智慧:12 精神:11

ユニークスキル〈ステータス確認〉〈瞬眠〉

レアスキル〈鑑定〉Lv.∞〈アイテムボックス〉Lv.0

スキル【名状しがたき罵声】【金切声】肥満体質【113・58】

鈍足 【1265/420000】魔法の才能の欠如【64994/65000】

運動神経の欠落【58/65000】

人から嫌われる才能【6320/120000】

〈アダルトサイト探知〉Lv.10



 俺のステータスが夜の闇に可視化されていく。本来はステータス表示を見ることができるのはスキルを所有している人間だけである。インフィニティが言うにはスキル所有者以外がステータスを見て悪用できないようにロックがかけられているらしい。そのロックの限定解除を行うことで彼女にもステータス確認を行えるようにしたのである。

 先日の首飾りの揉めごとの発端も俺には見える呪いの表示がシェーラには見えなかったことが原因だ。再び類似のトラブルに発展することのないようにステータスオープンを起動する際に条件の微調整を行えるように手直ししてもらったのである。これによって他の人間に自分や他人のステータスを見せれるようになった。

 勿論、ステータスを見せたくない相手には表示が見えないように臨機応変に設定を変えればいい。

人によって閲覧条件を変えることができるようになったのは大した進歩と言えた。もし不審なスキルやアイテムに呪いがかかっている場合にも事実関係を見せながら説明することができる。俺は数あるステータスの中から一つのスキルを大きく表示するように頭の中でイメージした。俺のイメージを優秀なインフィニティさんが反映させていく。


魔法の才能の欠如【64994/65000】


残り2回で弱点を克服できるマイナススキルの弱点の克服経験値にシェーラが驚きの声をあげる。


「ええっ!?凄いじゃないですか、ハル!」

「フフフ、凄いだろう。でも大変だったよ。ほぼ3桁しかない状態からのスタートだったんだからさ」

「本当に凄い…どうやってこれほどまでの経験値を貯めたんですか」

「話せば長く…ならないか。」


 そこまで来て俺はシェーラにこれまでの事の顛末を説明した。彼女が寝静まってから夜な夜なこの公園で必殺技の練習をしていた、そう告げると彼女は驚いていた。


「秘密の特訓をしていたのですね!凄いです、ハル!尊敬します!」


彼女の疑いのない澄んだ瞳に罪悪感を覚えた。何せ訓練の途中に後ろめたい思いもしていたからだ。まず近隣に怪しい男が出るという噂が流れて警察の職質を何度か受けている。最初の職質には適当に答えていたものの、数回続けば誤魔化しが効かなくなる。

仕方がないので理由を正直に説明したところ、気の毒な目で見られたことを思い出した。

気まずくなって一週間ほどは公園に来れなかったのだが、ほとぼりが冷めた後も繰り返しているうちにおかしな噂が流れ出した。


それが公園の怪人『豚男』である。


 人として大切な何かを代償にして俺は経験値を手に入れた。まあ、端から見れば不審者が毎日決まった時間に不審な運動をしていれば誰だって通報するのは当たり前だろう。

正直に話して尊敬の眼差しを失うのが怖かった俺は途中経過を省いて結果だけを見せることにした。

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