表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/296

第16話 『心の在り方に、豚も人もあるものか』(0)

【次回予告】

異世界から強制送還されたが、異界の姫シェーラを救うために懸命にダイエットを続ける晴彦。痩せる作業の途中とはいえ、ついに異世界に戻ることができた晴彦。だが、異世界は亜人迫害を行う帝国が大陸の大半を支配している状況であった。亜人迫害を止めるための戦いは続く。


次回

『異世界召還されたが強制送還された俺は仕方なく痩せることにした。』

第16話

『心の在り方に、豚も人もあるものか』


異世界に見放された豚の戦いが幕を開ける!



挿絵(By みてみん)


 シェーラ・シュタリオン。

 異世界ディーファスの小国シュタリオンの王女にして勇者召喚の巫女として選ばれた選ばれた少女。彼女には兄がいた。その名をアルフレッド・シュタリオンという。アルフレッドは父であるレオニール・シュタリオンによく似た優しい男であった。隣国のシルフィードで騎士としての修行を積んだ後は騎士団の団長としてその采配を振るい、ゆくゆくは父の後を継いで王となるはずの男であった。

 シェーラにとってアルフレッドは優しかった。母を幼い頃に亡くしたシェーラにとってアルフレッドは母のように接してくれた。だからこそシェーラはアルフレッドの事を慕っていた。

 シェーラは夢を見ていた。夢の中で現れたのは兄であるアルフレッドの姿だった。彼と彼に仕える騎士団は仲間と共にどこかの城に籠って外からの敵と戦っていた。

 城の外には数えきれないほどのかがり火が焚かれており、夥しい数の兵士が城を取り囲んでいた。四方から押し寄せる喚声と共に嵐のような弓が城に注ぎ込まれ、雨のように城壁の上にいる兵達に降り注いでいく。城の兵達も必死で応戦するものの圧倒的な物量に追い込まれつつあった。

 アルフレッドも側近の騎士たちも疲弊しきった様子だった。シェーラは兄の身を心配して声をかけようとした。だが、実体のないシェーラに彼らが気づくことはなかった。

アルフレッドの後を追いかけていくと彼は何者かと話をしていた。その男には見覚えがあった。父の親友のシルフィード王である。


「傭兵国ディリウスめ、わが国と同盟を結んでおきながら帝国に組するとは」

「メグナート森林王国の旗もありました。彼らも帝国に脅されて兵を出したようです。我が国に味方する国はこれで皆無かと思われます」

「くそっ!」

「今からでも遅くありません。私の身柄を帝国に引き渡せばシルフィードは守られます」

「アルフレッド、私は騎士王だ。わが身惜しさに我が子同然のお前を引き渡したとあっては末代まで笑われることになるだろう」

「そうですとも!我らはアルフレッド殿を決して見放すことはありません」


 疲弊しきっているはずの周囲の騎士たちはそう言って喚声をあげた。アルフレッドはそんな皆の心に泣きそうになりながらも頭を下げて礼を言っていた。

 次第にその光景から遠ざかっていくのを見ながらシェーラの夢は醒めるのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ