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14-2(P153)




            ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇            




ダイエットを再開して数日したある日の夜のことだった。夜中に喉が渇いて目覚めた俺は隣室で眠るシェーラの声に気づいて引き戸を少し開けて様子を見た。詳しい様子は分からないが、どうやらうなされている様子だった。一体どうしたというのだろうか。


『マスター、シェーラ姫の周囲から微量な魔力の反応を感じます』

「魔力反応?」

『鑑定を行うことを進言します』


寝ている人間に鑑定を行うというのも気が引けたが、外部からの干渉の可能性もある。シェーラが起きないようにゆっくりと近づいた後に俺は彼女の額に手を当てて鑑定を行うように指示を出した。


『…何者かが彼女の潜在意識に干渉しているようです。画像を出しますか』

「ああ、頼む」


俺が承諾すると周囲の景色が切り替わった。そこは薄暗い石畳の床の部屋だった。壁際に鉄格子があるのを見ると地下牢なのだろうか。部屋の奥ではシェーラとおぼしき人影が鉄格子の前で誰かと話している様子だった。何を話しているのだろうか。気になった俺は意識をシェーラのいる牢に向けた。

牢に入れられている人間の姿には見覚えがあった。どこかで見たことがあるような気がする。そう考えてからシェーラの顔と男の面影がよく似ていることに気づいた。恐らくこの人はシェーラの父親だ。

だが、疑問が残った。一国の王である彼女の父がなぜ牢に繫がれているというのか。

シェーラは父親が牢に繫がれていることにショックを受けて泣き崩れていた。慰めようかとも思ったが、無駄だった。これはシェーラが見ている夢を映像化しているものに過ぎないのだ。国王らしき男は手足を鎖に繋がれて自由を奪われていた。ロクに食事も与えられていないのか衰弱している様子だ。だが、様子がおかしい。シェーラが目の前にいるのにも関わらず、彼女の顔を見ていない。というより見えていないのか。


『恐らく拷問で目を潰されているようです』

「ひどいな…」


これは夢なのだろうか。それともあちらの世界で実際に起きている状況なのか。目の前の事態に困惑する俺にインフィニティが補足を入れる。


『恐らくは現実で起きている事でしょう。死期の迫っている国王が自らの魔力を使用して夢という形でシェーラ姫に助けを求めているものと思われます』


何という事だ。俺がさっさと痩せなかったばかりにとんでもないことになっている。責任を感じた俺はインフィニティに命じて映像を打ち切った。


シェーラは少し落ち着いた様子だったが、眠りながら涙を流していた。国王があのような形で彼女にメッセージを送るという事は時間の猶予はないという事だ。それを考えると胸が締め付けられるように傷んだ。このまま何もしないわけにはいかない。強い衝動に駆られた俺はいてもたってもいられずにインフィニティに指示を出した。


「インフィニティ。なんでもいい。向こうの世界に干渉する方法を考え出すぞ」

『…事態が事態ですからね。全力を尽くします』


このままでは目標体重に達する前に国王が死んでしまう。一刻も早く助ける方法を考えなければ。眠りながら泣き続けるシェーラを眺めながら俺は心にそう決意した。





              ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





結局、異世界に渡る方法を導き出すために俺とインフィニティは朝まで絶えることなく議論を続けていた。色々と考えたのだが、正攻法でディーファスに渡る手段はない。世界を囲む厳しい結界が張られているディーファスには外部からの干渉を行うことはできない。ならば絡め手で行くしかない。現在の体重では異世界へ渡ったとしても弾き出されるのは目に見えている。加えてゲートが出現するかといえば疑問が残る。


『現在の体重をスキルで調整したとしても不安定な状態でいつ弾き出されるか分かりません』

「そうは言っても時間がないだろう」


こうしている間にも国王は衰弱していく一方だ。一刻も早く対策を練る必要がある。選択肢として二つある。


①スキルで体格と体重を一時的に調整して時間制限つきで異世界に渡る

②精神のみを異世界に飛ばして現地の生物に憑依


どちらを選ぶにしてもリスクが伴うものだ。ゆえによく考える必要がある。


皆さんからもご意見を頂戴して異世界に一時的に渡る方法を考えます。感想欄などで募集しますのでユニークなアイデアで晴彦と国王を助けてください。

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